自分が出世コース入りしているのかどうか、30歳を過ぎる頃になれば自然と分かってきます。
同期職員の間でも業務内容の差が広がり、忙しい職員と暇な職員にはっきり分かれるからです。

過去にも紹介したとおり、出世コースに入るか否かは20代のうちに確定すると僕は考えています。


役所の出世コースは明確で、「誰が出世コースに乗っているのか」は人事録を数年分見ればおおよそわかります。

出世競争最大の謎
であり役所人事の神秘は、その前段階である出世コース入りを賭けた2次選抜過程です。
誰が参戦しているのか傍目にはわかりませんし、戦っている当人すら自覚が無いかもしれません。

今回はこの「2次選抜」の真相に迫ってみます。
7割方妄想なので脱力して読んでください。

2次選抜過程=調整能力と激務耐性を試す

出世コースに乗るためには、少なくとも「事務処理能力」「調整能力」「激務耐性」の3つが欠かせません。
ここでいう「激務耐性」とは、忙しい時期でも仕事のパフォーマンスが落ちないという意味です。

このうち「事務処理能力」は、担当業務がどんなものであれ測定可能な指標です。
役所の仕事において、事務処理能力が求められないものはありません。

そのため、採用直後からの数年間にわたる1次選抜の過程では、主に「事務処理能力」を測定していると思われます。
「事務処理能力」が高いと評価された職員が、2次選抜に進みます。

2次選抜では、残る2要素である「調整能力」と「激務耐性」が主に測られます。
つまり、「調整能力」と「激務耐性」が試されるポストに配置されれば、自分が2次選抜にかけられていると判断できます。

20代後半の段階で、延々と事務作業が続くポストやほぼ定時で帰れるようなポストに配置されたとしたら、残念(幸運?)ながら2次選抜には進めなかったのだと思われます。

具体的な2次選抜ポストは自治体ごとにバラバラであり、人事録を読み込んで分析するしかありません。
しかし役所は役所であり、若手に任せても問題なくて「調整能力」と「激務耐性」をテストできるポスト、つまり2次選抜向けのポストは、ある程度は似通ってくると思います。

2次選抜ポストの典型例

予算担当

課の予算担当ポストや、部局の予算調整ポストは、言わずもがな庁内調整業務の要であり、来年度当初予算の編成時期(11月~2月)には激務を強いられます。

しかも部や課ごとに最低一人は配置されるポストであり、庁内全体で見れば相当な人数が存在します。
つまり、仕事の出来を比較でき、能力評価しやすいです。
「調整能力」「激務耐性」を測定するのにうってつけのポストと言えるでしょう。


前任者がもっと上位の職員だったポスト

これまで30代半ばの職員が担当していた業務の後任者として起用された場合も、2次選抜入りしている可能性が高いと思われます。

役所では基本的に、職位が上の職員ほど難しい仕事を割り当てられます。
歴代ずっと30代の職員が担当している業務は、若手職員では務まらない理由があるのです。
(例外もたくさんありますが……)

逆にいえば、これまで30代職員が担当してきた業務を難なくこなせる若手職員がいたとすれば、その若手職員は間違いなく優秀といえるでしょう。

ベテラン担当ポストにあえて若手を配置することで、その若手職員を試すのです。

部局長との接触機会が多いポスト

そもそも出世コース入りの可否を見極めているのは一体誰なのでしょうか?
職員の人事はもちろん人事課が決めているわけですが、いくら人事課といえども「調整能力」「激務耐性」のような抽象的な能力まで測定・把握できるとは思えません。

僕の見立てでは、出世コース入りの鍵を握っているのは部局長です。
部局長はいわば出世コースの大先輩であり、出世する職員に求められる資質を自らの経験をもって熟知しています。
人事課としても、部局長たちの意見を大いに参考しているのではないでしょうか?

とはいえ部局長ともなると普段は個室で仕事しており、若手職員を観察する機会がなかなかありません。
そのため、特に注目されている職員は部局長の目に入るポストに配置され、日々評価されているのだと思います。
 
具体的にはこのあたりが典型でしょう。
  • 各課・各部局の予算担当(予算や議会のヒアリングで確実に接触する)
  • 各部局の総括担当課(部局長の秘書的な業務がある)
  • 部局長へのヒアリングを頻繁に行う事業の担当(ヒアリングが多い=目玉事業でもあり、激務かつ調整も多い)


本省出向はあくまで2次選抜の序章

国家本省への出向も2次選抜プロセスの一部だと思っています。
1次選抜で「事務処理能力あり」と認められた職員でなければ、出向しないでしょう。
 
ただし、本省出向そのものが2次選抜の結果を左右するとは思いません。
本省への出向中は、だれもその仕事ぶりを直接観察できず、「調整能力」も「激務耐性」も測定できないからです。

本省出向の目的は、1次選抜で「特に見込みあり」と認定された本命職員をさらに成長させることなのではと思っています。

2次選抜の本番は出向から帰ってきた後であり、本省出向を経験したから出世ルート当確とは限りません。
本省出向者はあくまでも1次選抜の成績が良かっただけで、2次選抜で巻き返される可能性は十分ありえます。

真相がわからないなら勝手に解釈してもいい

自分がどう評価されているかなんて、正直よくわかりません。
正解がわからないのであれば、自分に都合よく解釈してしまえばいいと思います。

仕事で成果を出したいのであれば、「自分は出世候補者だ、組織から見込まれているんだ」と勝手に思い込むのも大いにアリだと思います。
自然とやる気が溢れてきて、仕事が楽しくなるかもしれません。