先日コメントを頂戴して初めて気づいたのですが、これまで労働組合関係の記事をひとつも投稿していませんでした。
ネタ集めの最中だったり、うまくまとまらずにボツにしたわけではありません。
「組合関係の記事」という着想がそもそもありませんでした。
僕にとって労働組合は「朝からビラ配りしてて大変だなあ」程度の認識しかありません。
一応加入はしているものの、行事にはほぼ参加していません。
そのため、組合の内実はよくわかりません。
こんなライトユーザー視点での組合評です。組合加入のメリット
そこそこコスパの良い共済(≒保険)を利用できる
組合員になると、組合が提供している各種共済サービスが利用できます。
共済は保険のようなもので、生命保険や医療保険、自動車保険など、地方公務員が利用しそうなメニューがひととおり用意されています。
保険会社が提供する保険サービスと比べると、共済のコスパは悪くありません。
あくまでも僕の感覚ですが、基本料金が格段に安いというよりも、オプションが安いです。
そのため、それなりに保障内容を充実させるのであれば、保険会社の保険よりも共済のほうが安価になりそうです。
ただし、共済は組合員向けのサービスです。
組合費を払い、組合員の地位を得ている間でないと、利用できません。
共済そのものの費用だけでなく、組合費を含めたトータルコストで比較すれば、それほど安くないかもしれません。
- 生命保険は死亡保障だけで十分、保険金も最低限でいい
- 自動車保険は対人対物保障だけで十分、車両保険は不要、レッカーサービスとか示談代行も不要
のように、「保険は必要最低限の内容のみで十分、とにかく安くしたい」という方であれば、共済はかえって割高になるでしょう。もっと安価な保険を探したほうが良さそうです。
人間関係が広がる
組合では、宴会やスポーツ大会のような組合員向けの交友イベントをよく開催しています。
役所内での人間関係を広げたいのであれば、こういうイベントは絶好のチャンスです。
部署・年齢に関係なく職員が集まってくるため、普段の仕事では出会えないような人と巡り会うチャンスです。
実際、職員どうしで結婚した方々から、組合主催のイベントで出会ったという話をよく聞きます。
組合経由での出会いの強みは、似た者どうしが集まりやすいという点です。
交友イベントに参加するのは「人間関係を広げたい」というタイプであり、僕みたいな内向的陰キャはいません。
お互いの目的意識が一致するので、有意義なコミュニケーションが生まれるはずです。
さらに、組合の役職に就けば、他自治体の職員(組合役職者)とも交流できます。
役所内だけでなく全国へと人間関係を拡大できるのです。
詳しくはよくわかりませんが、組合費を使って県外出張もできるとか……
政治家の道に挑戦できる
地方公務員はいつも政治的圧力に晒されています。
中には圧力を受け続けるあまり、「圧を加える側」、つまり政治家に転身したくなる職員もいるでしょう。
地方公務員にとって、組合は最も身近かつフレンドリーな政治団体です。
専従職員になって、政治活動っぽいこともやらせてほしいと名乗り出れば、いくらでもやらせてもらえると思われます。
実際にやってみて肌に合わなければ、地方公務員に戻れます。
退路をキープしたまま政治へチャレンジできるのです。こんな好待遇はなかなか無いでしょう。
組合加入のデメリット
次にデメリットを整理していきます。
デメリットというよりはコストと言ったほうが正確かもしれません。
デメリットというよりはコストと言ったほうが正確かもしれません。
組合費がかかる
組合員でいるためには組合費を払わなければいけません。僕の場合、だいたい基本給の1.5%強、月4,500円くらいです。
けっこう面倒な「部署の組合担当」
どんな部署にも最低一人は「組合担当」がいます。
組合本部と部署内組合員との連絡中継役であり、ビラを各組合員に配ったり、勉強会のような行事を周知したりします。
行事によっては動員人数のノルマが課されていて、参加を渋る人を説得したりもします。
この仕事がなかなか厄介です。
僕も1年だけ経験しましたが、普通の業務よりもストレスを感じました。
動員のお願いが本当に辛い。
動員のお願いが本当に辛い。
総評:金銭的には損だけど……
短期的な金銭面で考えれば、組合に加入するのは損でしょう。
とはいえ組合が弱体化したり消滅したらもっと損をしそうなので、金銭的に困窮していないのであれば、お布施感覚で組合費を払っていてもいいのでは?と思っています。
公務員の味方になってくれる唯一の団体
公務員の労働環境改善を堂々と主張できるのは、現状、組合だけです。
このブログでも何度か触れていますが、世間は「公務員の労働環境改善」に断固反対します。
「公務員にしかメリットのない予算執行は許されない」「そんなことに予算と労力を割くのなら住民に還元しろ」というロジックです。
最近だと、もし予算案の中で「庁内執務スペースの新型コロナウイルス感染症対策」をはっきり明記したら、マスコミや議会からコテンパンに叩かれるでしょう。
「公務員の労働環境改善」を実現するには、世間の大多数と戦わなければいけません。
もちろん役所は世間に逆らえないので、役所以外の誰かに戦ってもらうしかありません。
世間の潮流に真っ向から反抗するこんな危険な主張ができるのは、現状、労働組合だけです。
実現できるかどうかは別にして、組合以外は主張すらできません。
もちろん組合だって「公務員の労働環境改善」を主張すれば叩かれますが、組合という政治団体だから耐えられますし、他の政治要素と絡めることで環境改善を実現できるかもしれません。
組合がどれだけ頑張ったところで、賃上げは期待できません。
人事院勧告にはどうあがいても逆らえないからです。
しかし、「労働環境改善」のために、役所に支出させることは可能です。
これだけでも労働組合の必要性は十分あると思います。
闘争から守ってくれる唯一の団体
過去の記事でも少し触れたのですが、自治体では今後もどんどん非正規職員(会計年度任用職員)が増えていくと思っています。
正規職員と非正規職員では待遇が大きく異なります。
言うまでもなく非正規職員のほうが不安定であり、組合のような組織が必要です、
そのため、非正規職員が増えていけば、いずれ非正規職員だけの組合が登場して、力を伸ばしていくと思います。
非正規職員にとってみれば、正規職員は労働者ではなく使用者であり、闘争の相手です。
つまり、正規職員個人に対して非正規職員の組合が争議をふっかけてくるケースも十分想定されます。
(事務職員個人vs技能労働職組合という構図であれば、これまでも実際に発生しているかもしれません)
このような事態が生じたら、個人vs集団ではあまりに部が悪すぎます。
正規職員側も個人ではなく集団、つまり組合として応じないと、押し負けます。
争議するためではなく、争議から身を守るためにも、組合の必要性があると思います。
この記事を書いて改めて考えてみると、僕にとって組合は、無くなったら困るけど関わるのは面倒という存在です。
住民から見た役所と同じようなポジションかもしれません。
コメント
コメント一覧 (4)
労働組合は、難しいですよね。
私は元々組合活動が好きで、積極的に関わっています。
声を張り上げながら朝ビラを配り、組合の腕章を付けたまま職場に戻って朝ビラを全員に配っています(部長級・課長級にも)。
ただ、今いる県庁は労組に全く力がなく、「組合?なんか怪しいことしているんでしょ?」という職員ばかり。冷笑系が多いんですかね。
我々の世代(20代)は、ちょうど世間が分かり始めたころに橋下行革があり、維新が関西の官公労組をウルトラマンよろしくバッサバッサとメスを入れ、労組の闇を暴き出したという経験があるので、労組には怪しいイメージがあるのは仕方ないことかもしれません。。。
あとは、労組にいる組合員が「変な職員」で有名な豪傑ばかりというのも挙げられるかも。
100%加入自治体だとそうでもないのですが、加入率1桁レベルの役所だとそんな感じです汗
組合員の年齢層も50代あたりに集中しているので、若年層はますます入らなくなっています。
主さまの仰るとおり、労組は「なければ困るし、関わると面倒」ですよね。
僕の勤務先でも、出世コースから脱出するために執行部役員になった職員がいます。
もともと将来を期待されていただけあって、圧倒的調整力で活躍しているようです。
僕の勤務先では、執務スペースのコロナ対策を人事側が全然やらないので、職員が自腹でアクリル板や消毒液を買っていたのですが、組合が中心になって声をあげてくれたおかげで、来年度はちゃんと予算をつけて対策してくれるらしいです(ビラ情報)。
このエピソードを知って「無くなったら困る」を痛感しました。
医療職も多いですし
うちの組合はコロナ後も全然盛り返しておらず、イベントも全然復活してませんね……