多くの地方公務員にとって、7月から8月は閑散期だと思います。
6月の議会も終わり、4月1日付け人事異動の余波も収まり、役所組織全体が平穏を取り戻す時期です。

ただし、9月補正案件を抱えてしまうと、状況は一変します。
7月半ばから財政課と折衝を始めて、お盆過ぎまで続きます。
担当者はその間、夏季休暇に取得する同僚を横目に、延々と資料を作ったりヒアリングを受けたりしなければいけません。

僕自身、一度だけ9月補正案件を担当したことがあるのですが、その夏は一日も休めませんでした。

夏場に財政課職員とやりとりしているうちに、彼らの食事が明らかに偏っていることに気がつきました。
昼も夜も麺類ばかり食べています。
カップ麺だったりコンビニ製品だったり出前だったり……調達形態は様々ですが、とにかく麺類ばかり食べています。

このことに気づいて以来、秋冬にかけて行われる次年度当初予算要求の際にも財政課職員が何を食べているのか注目していたのですが、やはり麺類が多いです。
つまるところ、僕の勤める県庁では、財政課職員は年中麺類ばかり食べています。

この傾向が全国共通なのか本県独自の傾向なのか、まだわかりません。
ただ僕は出世ルートに共通する特徴だと思っています。
麺類を主食に据えることは、出世ルートを生き抜くために、ものすごく合理的だからです。

すぐに食べられる

このブログでも何度か触れていますが、概して地方公務員は昼休み時間が保証されていません。

 
一応1時間の昼休み時間が設定されてはいるものの、急な仕事が舞い込んできたら休めません。

庁内ではもちろん「昼休み」の存在は認知されていて、昼休み時間中に仕事を振るのは非常識な振る舞いです。
しかし、住民やマスコミ、議員のような役所外部の方々からすれば、昼休み時間なんて役所側が勝手に決めたローカルルールであり、自分たちにとっては全く関係ありません。
「昼休みだから待ってくれ」なんて言おうものなら怒鳴り散らされます。

出世コースの職員であれば、なおさら急件に翻弄されるものです。
普通の職員以上に、いつ・どれくらいの時間を昼食に充てられるか、読めないのです。

このような労働環境下なので、短時間で食べきれる麺類が重宝されているのだと思われます。


疲れてても喉を通る

短時間で食事を済ませることが重要ならば、サンドイッチのようなパン類に頼るという手もあります。

ただ、長時間労働が続いて体力が落ちてくると、食事をすることすら億劫になってきます。
パン類はちゃんと噛まなければ飲み込めません。
この程度の「噛む」動作ですら辛くなるのです。

麺類はあまり噛まなくても喉を通ります。この点もまた重要なのです。
咀嚼する必要性が薄いということは、それだけ食事時間を短縮できるわけでもあります。



かつて僕の知人の現役キャリア官僚も「普段は麺類ばかり食べてる」と話していました。
 
汁物(かけそばやラーメン)よりもつけ麺スタイルが好きだけど、麺を箸でつまんでつけ汁にディップしている時間がないので、普段は汁物しか食べられず悶々としているとか。
つけ麺は価格だけでなく「食事時間」というコストもさらに上乗せして支払う必要がある贅沢な料理なんだとか。

当時は何を言っているのか正直よくわかりませんでしたが、今になってようやくわかりました。