インターネット上には「若手地方公務員の年収は低い」という言説が溢れています。
ただほとんどの説は自身の体験談に基づくもので、いまひとつ信頼性に欠けます。

僕自身、かつて若手地方公務員と民間勤務とで年収を比較してみたことがあります。
この記事を書いたときに色々調べたのですが、「若手地方公務員の年収」を調査した統計ものは、どうやら存在しないようでした。
結局、比較軸となる「若手地方公務員」には自分自身の年収を使用しました。

とはいえやはり僕一人のデータをもって「若手地方公務員」を代表させるのも違和感があるので、極力「統計数値だけ」を用い、内訳も示した上で、地方公務員の年収イメージを推計してみました。

30歳で413万(地域手当除)、だいたいこんなものでは?

平均的年収-1
推計結果はこんな感じ。
給料月額(=号級表に載っている基本給)、時間外勤務手当、管理職手当をそれぞれ算出して「月収」を決め、月収×12に期末勤勉手当を加算して「年収」としています。

地域手当が加算されるエリアの場合は、この数字にさらに地域手当分が上乗せされます。

どうでしょう?だいたい合ってませんか?
ちなみに僕の場合は、この金額をわずかに下回ります。平均未満というわけなんですね……


残業が多いと露骨に年収が増える

先のイメージ表では、月あたりの残業時間を「12.5時間」と設定しました。
「少ないのでは?」と直感的に思いましたが、あくまで統計データに従うとこうなります。

というわけで、残業が多い人バージョンも作ってみました。
画像用2

働き方改革の流れで、残業に関しては「月45時間」「年間360時間」という具体的基準ができました。
このため、残業代に関しても、「月45時間」「年間360時間」分以上は支給されづらくなる可能性が高いです。(実際もっと残業していたとしても……)

ある意味、月収でいえば「月45時間」バージョン、年収でいえば「年間360時間」バージョンが、一般的な地方公務員の収入の上限とも言えるでしょう。

出世コースは稼げる(残業代で)

一番右の「月80時間バージョン」は、庁内の圧倒的出世コース(財政課とか)や国家本省へ出向した場合、つまり例外的事例を想定しています。
出世コースでばりばり働いている人と、僕みたいな閑職の間には、これくらいの年収差が生じるのです。
ちゃんと満額支給されていればの話ですが……

本省出向の場合、この金額にさらに地域手当(23区内なので20%)が上乗せされるので、とんでもない収入増になります。
ありえない話ですが、僕がもし本省出向したら、だいたい年収680万円になるんですよね……

年収1000万円台は難しい

この表を見れば、地方公務員が年収1000万円に到達するのがどれだけ難しいか、よくわかります。
地域手当が上限支給(20%)される地域であったとしても、30代のうちに年収1000万円に到達するのは、まず無理だと考えて間違いないでしょう。

40代中盤以降でもりもり残業すれば年収1000万円に到達できますが、この年頃になっても残業できる(残業するほど仕事が与えられる)のは、それなりに出世コースを歩んできた人だけです。
誰もが実践できるわけではありません。

期末手当▲0.15ヶ月=残業30時間分

つい先日、今年の人事院勧告が公表されました。
給料(基本給)は据え置き、期末手当(ボーナス)は0.15ヶ月分の減額……とのことです。

地方公務員の場合はこの数字がそのまま使われるわけではありませんが、だいたいこの通りになるでしょう。

実際どれくらいの収入減になるか、イメージ表を見ればだいたいわかります。

平均的年収-1

30歳の場合、給料月額235,591円×0.15ヶ月=35,449円くらいの収入減になります。
残業代換算すると約20時間分です。
個人的には「0.15ヶ月分」と言われると対したことないように感じられますが、「残業代20時間分」だと途端に辛くなります。