地方公務員志望者の中には、「プライベートを充実させたいから」というモチベーションの方も少なからずいらっしゃるでしょう。

実際、現役地方公務員にもこういう意識の方は大勢います。
歳をとるにつれて「(個人的な)プライベート充実」から「家庭生活充実」へと変質していくとはいえ、「オフを充実させたい」という基本的路線には変わりありません。
主権者たる国民からはお叱りを受けそうですが……

ただし、このブログでも散々書いているとおり、地方公務員のプライペートには色々制約が課せられます。
せっかく趣味を楽しむために地方公務員になったとしても、趣味によっては、この制約のために諦めざるを得ないかもしれません。 

とにかく「無難」を強いられるファッション

地方公務員だから楽しめない趣味の最たるものがファッションだと思います。 

職員の身なりに関する住民からの苦情は本当に多いです。
派手な格好をしていると当然怒られますが、かといって地味すぎても怒られます。
僕がかつて観光関係の仕事をしていた頃、「人前に出る仕事なんだから整髪料くらいつけろ」と怒られたことがあります。

服装のせいでお叱りを受けて仕事が止まってしまうのは、明らかに時間の無駄です。
住民の「お気持ち」は如何ともし難いので、苦情防止のためには職員側が自衛する、つまり派手すぎすダサすぎない「無難な格好」をするしかありません。

もちろん休日は好きな服を着ていいのですが、自分の身体は平日であれ休日であれ急には変えられません。
そのため、ファッションにおいて重要である「髪型」が厳しく制限されます。

女性であれば、ヘアカラーは黒か、染めるにしてもダークブラウンくらいです。
明るい色にはできませんし、メッシュ入れたりも不可です。
男性は黒一択、かつ長髪は確実に駄目です。 あとはツーブロックもNGな自治体が結構あるようです。
ちなみに僕は「もみあげが長すぎる」と叱られたことがあります。ブラック校則よりも細かいのでは?

女性の場合、手指のネイルも楽しめないでしょう。
ネイルアート自体は休日だけ(平日は落とす)にしても、土台となる爪そのものが長い時点でNGです。 
 
僕はキモオタク独身異常男性なので、ファッションは全く詳しくありません。
外見的にすぐわかる事例しか挙げられないのですが、ほかにも色々と制約があるのだろうと思われます。
ビジネスカジュアルマニアでもない限り、思い通りファッションを楽しむのは難しそうです。


長期休暇が取れないので近場しか旅行できない

細かい休みは取得しやすいものの、長期休暇は取りづらいのが地方公務員です。

地方公務員(特に本庁)の仕事はチームではなく個人技が基本です。
職員ごとに細かく担当業務が分かれており、一人でも欠けるとフォローしきれません。

そのため、「平日に連続して休暇をとる」ことへの強い抵抗感が染み付いています。
もし休んでいる間に担当業務で突発案件が舞い込んできたら、組織全体に迷惑がかかるからです。

僕の勤務先県庁だと、よほどの事情が無い限り、年休取得は週あたり2日が限度です。
お盆や年末年始を除けば、最長でも土日含めて4連休が限界でしょう。
ちなみに、ゴールデンウィークには期待しないほうがいいです。
暦通り休めたらラッキーなほうで、休日出勤せざるを得ないケースも少なくありません。
(ちなみに僕の場合、本庁勤務していた8年間、毎年1〜2日は休日出勤していました)



長期休暇を取れないとなると、長期の旅行、特に海外旅行ができません。
せいぜい3泊4日が限界でしょう。
台湾のような近場なら問題ないでしょうが、移動だけで時間を要するヨーロッパや南半球への旅行は、かなり難しくなります。

職務専念義務のために何であっても売れない

地方公務員には職務専念義務があり、営利活動は禁止されています。
地方公務員は地方公務員法38条により営利活動を制限されています。 
「営利活動」にはいろいろな解釈があるようですが、基本的に「売上が生じる活動は全部駄目」です。
つまり、売上以上に経費がかかっていて利益的にはマイナスであったとしても駄目です。

このため地方公務員は、フリーマーケットで手作り雑貨を売ったり、同人誌を頒布することができません。
 
最近は何でもかんでも「副業」に括られて収益面ばかりが注目されがちですが、こういった活動はそもそも「作ることが楽しい」ものです。
僕もクリエイターとしては傍流の端くれですが、この気持ちはよくわかります。

モノを作るとなると、どうしても経費がかかります。
そこで「対価をとって経費を回収したい」と思うのであり、儲けのためにやっているわけではありません。
しかし地方公務員は、この「経費回収のための売上」が許されていません。

こっそりやっていればバレなさそうなのですが、実際のところ結構バレています。
僕の勤務先県庁でも定期的に発覚しています。
実例を挙げるのは避けますが、恐ろしいくらいにあっさり特定されてしまうようです。
 
僕も実は既に特定されていて、無収益だから放置されているだけなのかもしれません……


地方公務員人生と相性が良いのは、細々と続けていくタイプの趣味でしょう。
高確率で土日は休めますし、平日もそれほど夜遅くなるわけではないので、「毎日20分」とか「週1回」みたいな、細切れの時間は確保できます。