新卒採用でも経験者採用でも、民間企業はとにかく「即戦力となる人材」を求めます。
一方、役所はそれほど即戦力にはこだわりません。
特に新卒採用では、全く期待していないと断言してもよいでしょう。
役所には役所特有の「仕事の作法」があり「思考法」があります。
役所には役所特有の「仕事の作法」があり「思考法」があります。
これらを欠いていると、いくら専門知識が豊富だったりビジネススキルに長けていたとしても、地方公務員としてはうまく機能しません。
これらを習得するには、役所内である程度の期間を過ごすしかありません。
日々の仕事を通して感覚的に理解していくものです。
つまり、地方公務員として活躍するには役所独自の「仕事の作法」「思考法」を身につける必要があり、これらの習得にはどうしても時間がかかるため、新人職員のパフォーマンスには大して期待できないのです。
職場が新人に求める要素は、ごく限られています。
これらをきちんと達成できれば「将来有望な即戦力」として高く評価され、出世コース一次選抜を突破できると思います。
自立的学習能力
まず何より重要なのが、自分で調べて理解を深める能力です。
役所の新人教育は「OJTがメイン」という建前ですが、大抵の自治体ではトレーナーのような指導役がいるわけではなく、手の空いた職員が面倒を見るだけです。
忙しい部署であれば、誰も構ってくれないかもしれません。
ゆえに、放っておいても自分で勉強して成長してくれる新人は、職場にとって非常にありがたい存在です。
もちろん、調べてもわからないことや、調べ方がそもそもわからないときは、周囲に質問すればいいです。
質問前にきちんと自分で調べること、自分で調べようとする姿勢が重要です。
自分で調べたうえで、周囲に「調べたところ〜だと思うのですが、合ってますか?」と確認を取るのも良いでしょう。
地方公務員は部局をまたいでガンガン人事異動するという宿命にあり、何歳になっても新しい仕事を覚えなければいけません。
「調べて理解する」というプロセスは、ずっとつきまといます。
地方公務員の基礎スキルの一つであり、これを入庁当初から発揮できれば、間違いなく高評価につながるはずです。
独学で公務員試験を突破できた方は、「自分で調べて理解する」のが相当得意だろうと思います。
この意味で即戦力要素を備えていると言えるでしょう。
内部的コミュニケーション能力
民間企業でも、即戦力人材の必須要素として「高いコミュニケーション能力」が真っ先に挙げられます。
役所の場合でも同様で、コミュニケーションに長けていれば即戦力になります。
ただし、民間企業でいう「コミュニケーション能力」と比べ、役所が新人に求める「コミュニケーション能力」は、かなり範囲が限定されます。
役所の場合は、まずは組織内でのコミュニケーションがしっかりとれれば十分です。
組織外(住民など)に対するコミュニケーションまでは、新人には求めません。
役所外との付き合いは、まさに役所特有の「思考法」が重要な業務であり、いくらトークが上手い新人であっても任せられないからです。
新人のうちは、誰かに仕事を振る(指示する)ケースはごく稀で、基本的に仕事を振られる(指示される)立場であります。
そのため、役所が新人に求めるコミュニケーション能力は、
- 周囲からの指示を正確に理解し、作業レベルに落とし込む
- 作業した結果を指示元に正確に伝える
これに尽きます。
言葉にすると単純かつ簡単そうに見えるのですが、実際は結構難しいです。
いい歳こいても全然できていない職員もいます(ブーメラン発言)。
屈強なフィジカル
若手地方公務員の仕事には、肉体労働もたくさんあります。
会議やイベント会場のセッティングのために重たい備品什器類を運んだり、大量の書類を縛って捨てたり、パンフレットやチラシを延々と袋詰め・箱詰めして運んだり、ゆるキャラの着ぐるみに入ったり……例を挙げるとキリがありません。
20代の頃は「若い奴だけに押し付けるな😡」と内心憤っていました。
ただ僕自身30歳を過ぎて、体の節々に違和感を感じるようになってきました。
やりたくないわけではない(むしろこういう単純作業は好きなほう)なのですが、やり過ぎると体を壊すリスクがあるので、任せざるを得ないのです。
肉体労働を軽々こなしてくれるパワー系新人は、どんな部署でも即戦力として重宝されます。
上からの評価も自然と厚くなっていくでしょう。
今やるなら「習慣化」
今回取り上げた「学習能力」「コミュニケーション能力」「筋力」いずれにしても、一朝一夕で身につくものではありません。さらに「コミュニケーション能力」は、実戦の中で磨かれる要素も強く、事前に鍛えるのは難しいでしょう。
「即戦力として活躍したい!」と思うのであれば、「コミュニケーション能力」は一旦棚上げして、「学習能力」と「筋力」にフォーカスすればいいでしょう。
なんでもいいので勉強してみて「勉強方法」を思い出したり、筋トレやジョギングを始めたり……とにかく習慣化して地道に鍛えていくしかないと思います。
勉強に関しては、今の時期であれば、5月のFP3級か、ITパスポート試験あたりがちょうどいいでしょう。
コメント
コメント一覧 (5)
今回の視点でご質問ですが、今の時期から目指す大臣知事での取得資格はありますでしょうか。ご教示のほど何卒よろしくお願いします。
「大臣知事での資格」とは、公的資格という認識でよかったでしょうか?
そうであれば、まずはFP(ファイナンシャルプランニング技能士)だと思います。
役所のいわば看板商品である「税」と「社会保障」の知識を幅広く取得できるからです。
2級くらいまでは誰が取得しても役立つはずです。
ありがとうございます。参考にさせていただきます。
役立ちすぎて凄いです(笑)
都市計画法の知識は他部署でも頻繁に活躍するので、ぜひ今のうちに吸収しておくといいと思います。
全然関係なさそうな部署でも意外と絡んでくるんですよ……