つい先週、唐突にラブライブ!プロジェクトの新シリーズが発表されました。




PVに出てきた風景は、どうやら石川県金沢市らしいです。
新シリーズの初お披露目で、キャラクターを一切出さずに風景だけ見せる……という手法は今回が初めてのはず。
これまではキャラクター主体のコンテンツだったところ、新シリーズでは今まで以上に地域性を推す展開を構想しているのかもしれません。
もしそうだとしたら、舞台のチョイスはとても重要ですし、ここで金沢市を選出した理由もちゃんとあるのだと思われます。

かつて「花咲くいろは」の聖地巡礼をした際の記憶を呼び起こしつつ、金沢市を舞台にする意義を考えてみました。

一通りなんでもある(娯楽施設以外)

フィクションの舞台としてみた金沢市の強みは、ハード・ソフト両面でそれなりになんでも揃っていることだと多います。
フィクションの素材には事欠かないでしょう。

自然環境でいえば、山も川も海もあります。
市街地もあれば田園地域もありますし、古都らしい街並みもあります。

ソフト面では、伝統芸能工芸が高水準なのが強いです。
これまでのシリーズではほとんど取り上げられていない題材でもあり、いかようにも描けそうです。
(オタクとの相性は悪そうですが……)

食べ物がどれも高水準なのも高ポイントです。
トップクラスと呼べるほど著名なものは無い(和菓子くらい?)かもしれませんが、何でも推そうと思えば推せるくらいにハイレベルなのは、フィクションの素材としては好都合でしょう。


オタク的にはアクセス不便

オタク界隈では、俗に「聖地巡礼」と呼ばれる作品の舞台現地を巡る行為が定番と化しており、作品の舞台選定にあたっては、オタクにとってのアクセスしやすさも重要な要素です。

同シリーズのサンシャイン!!の舞台である静岡県沼津市であれば、オタクの一大生息地である東京からアクセス良好(近いし安い)ですし、大阪名古屋からも比較的行きやすいです。

観光政策の文脈では、金沢市の強みとして「三大都市圏いずれからもアクセスしやすい」ことがよく挙げられます。
ただこれは一般的観光客の場合の話であって、オタクの場合は当てはまりません。

オタクは基本的にお金がありません。
そもそも学生が多いですし、社会人であってもコンテンツにお金をつっこみがちで常時金欠です。
そのため、移動に要するコストは最小限に抑えたがります。
遠出するときは基本的に高速バスで、大学生以上であればマイカー派も多いです。

金沢市の「三大都市圏からのアクセスしやすさ」は、新幹線や特急を利用した場合の話です。
高速バス路線もありますが、6時間くらいかかります。

つまるところ、オタクにとって金沢市は相当行きにくい場所です。
立地的にはディスアドバンテージを背負うにもかかわらず金沢市をチョイスしたのは、これを打ち消せるほどの魅力が金沢市に備わっていると、熟慮の末に判断したのでしょう。
判断の鍵となった要素のひとつが、先に触れた「題材の豊富さ」なのではないかと思っています。
いちファンとしてはただ期待するのみです。

女子高生が主役というコンセプトとの相性は……

ラブライブ!シリーズは、女子高生が部活としてアイドル活動をするというコンセプトで展開しています。
そのため、主要登場人物は基本的に女子高生です。
作中で地域性を描写するにしても、女子高生目線での描写になります。

こう考えると、金沢市を舞台にするのは微妙な気がしてきます。
金沢市が持つ諸要素は、大人にとっては魅力的かもしれませんが、女子高生にとってはどうでもよさそうに感じられるからです。

女子高生が兼六園とか加賀友禅とかノドグロとか五郎島金時なんかに関心を示すシーンがどうしてもピンと来ず、もしそんなシーンが展開されたら「ご都合主義」を感じてしまうでしょう。
茶屋街のおしゃれパンケーキとかならしっくりきますが、これなら別に金沢市である必要はありません。
(もしOLが主役の作品であれば超ぴったりな街だと思います。お酒も飲めますし。 )

いちオタクとしては、もちろん期待しています。素直に楽しみです。
ただ、観光関連の実務経験が、この期待に水を差してきます。
きっと単なる杞憂です。