世間的には「人は見た目が9割」と言われておりますが、田舎役所というクローズドな環境下だと
  • コミュニケーション能力 6割
  • 見た目 3割
  • 事務処理能力 1割
くらいのバランスじゃないかと思っています。 
圧倒的に大切なのはコミュニケーション能力です。 

とはいえ見た目も重要です。
少なくとも事務処理能力よりは、はるかに重視されます。

僕は老け系のオタク顔です。
いわゆる「チー牛」のような童顔オタクではなく、もっとおっさんくさい感じです。

民間企業勤務だとマイナスにしかならない容貌なのでしょうが、地方公務員としては結構有利に働いています。
ひと目見て「いかにも融通効かなさそう」と思われるのか、住民からあまりゴネられません。
電話だと人並みにゴネられるものの、対面だと(さんざん嫌味は言われますが)早々に帰ってもらえます。

一方、童顔の地方公務員は、老け顔よりも苦労が多いと思います。

年功序列文化では下に留め置かれる

「年功序列」というといかにも役所の専売特許のように思われがちですが、実際は日本社会の至るところに染み付いています。

役所に来る住民の方々も同様です。
対応する職員が自分よりも年上か年下か次第で、態度が一変します。
より正確にいうと、年下だと認定した職員に対しては、態度が大きくなりがちです。

童顔の職員は「年下」認定されやすく、住民から攻撃的な物言いをされることもしばしばです。
特に童顔の男性職員は大変そうです。
住民に対して「男だから少々強めに当たってもいいだろ」「年下なら遠慮しないぞ」という二枚の免罪符を与えてしまい、攻撃行為の心理的ハードルを引き下げます。

たとえば、制度の詳細をわかりやすく正確に説明したとしても「本当か?常識的に考えておかしくないか?」などと食いつかれたり、些細な言葉遣いをネチネチ指摘されたり……こういう細かいトラブルに遭いがちです。

もちろん、ガチなクレーマーは性別も年齢も関係ありません。
職員の属性に合わせて臨機応変に弱点を突いてきます。
童顔が不利なのは住民対応一般の話です。


「油断させて本心を引き出す」という固有スキル

童顔の職員は、相手から大きな態度を取られがちで、そのせいで苦労が増えるといえます。
しかし、見方を変えると、「相手に大きな態度を取らせられる」というのは、武器にもなり得ます。

「大きな態度を取られる」ということは、「相手を油断させられる」ことでもあります。
年下認定した職員に対してマウントを取ろうとするのは、相手を見くびっているからです。
「反撃されるかも」という警戒を怠り、ついつい口が軽くなっている状態ともいえます。

「相手を油断させて口を滑らせる」というスキルは、地方公務員人生でかなり重宝します。
役所に限った話ではありませんが、組織外の人と協業する場合には、「相手が信用できる人物であるか」を見極める必要があります。

地方自治体は、「役所」であり「田舎」という、馬鹿にされがちな要素を兼ね備えています。
一見友好的な相手であっても、内心どう思っているかわかりません。
そのため、あえて油断させて本性を引き出すという策が大変効果的です。
童顔の職員は、相手を油断させやすいため、相手の本性に迫りやすいとも言えるでしょう。

もちろん、単に相手を油断させるのみならず、口を滑らせて本性を暴き出すためには、高度なコミュニケーション能力が欠かせません。
外見とコミュ力の両方が揃うことで、スキルとして確立するのです。


地方自治体にはいろいろな仕事があり、老け顔が活きる職場もあれば童顔が活躍する職場もあります。
どちらにしても「強み」として活かせるので、まずは自分がどちら寄りなのかを考えてみると良いでしょう。