そろそろ新規採用職員の方々から
  • 担当業務が重すぎる
  • 業務量が多すぎる
  • こんな仕事を新採に任せるのはおかしい!
という恨み節が聞こえてくる時期です。

こういう職場に対する恨みつらみを新人の頃から拗らせてしまうと、いいことはありません。
どんどん仕事に対するモチベーションが下がっていき、人生の幸福度も下がっていきます。

しかし実際のところ、「新採なのに仕事が重すぎる」という感覚は、勘違いのケースも多いです。
僕自身も採用1年目は「人事の采配が間違っている」と恨み言を呟いていたものですが、今から思い返せば新採相当の大したことのない仕事でした。

新規採用職員が自らの担当業務に不平不満を抱きがちな理由を考えていきます。

4〜5月はそこそこ繁忙期

昨年度の支払いを処理したり、決算を作ったり、6月の議会に向けて準備したり……等々、4月から5月は一年の中でもけっこう忙しい時期です。
4月採用の新規採用職員は、いきなり繁忙期に放り込まれたようなものとも言えます。
 


これまでは忙しかった方も、案外7月以降は暇になるかもしれません。
「新採なのに仕事が重すぎる」と愚痴るのは、もう少し待ったほうが賢明です。

だいたいの自治体では7月〜9月に夏季休暇を取得できます。
夏季休暇が取れないくらい繁忙状態が続くようだったら、本当に「重すぎる」ポストだと思います。

就業前イメージとのギャップ

今となっては流石に「地方公務員は毎日定時帰り」だと信じている人はいないと思いますが、それでも「民間と比べれば大して忙しくないだろう」と高をくくっている人ならば、まだいるかもしれません。
こういうタイプが実際に地方公務員として働いてみたら、予想以上に仕事が多く、「辛い」と感じることでしょう。

総務省の調査では「地方公務員の残業は10時間/月くらい」という結果になっていますが、これはまやかしです。
サービス残業分を含めればもっと残業しています。

本庁勤務であれば、ホワイトと言われる部署であっても月30時間くらいの残業は普通にあり得ます。
残念ながらこれが現実……
月50時間を超えない程度であれば、「まだマシなほう」と思ったほうが正確です。

経験の差

周囲の職員と自分とを比較して「自分は大変だ」と思うケースも多いでしょう。
  • みんなは早々と帰っているのに、自分だけ仕事が終わらず残業している
  • みんなはいかにも簡単そうに回しているのに、自分はいつも調べ物をしたり悩んだりしている
こういう周囲とのギャップを理由に、「新採なのに重い仕事をやらされている」と感じるわけです。

これは実際のところ、担当業務の軽重のせいではなく、経験の差によるものです。
他の職員にとっては「当たり前」のことであっても、新規採用職員にとっては「初めて」であるために、何事も苦労するのは仕方ないことです。
大抵の場合、自分一人だけ重い仕事を振られているわけではありません。

周囲の職員がさほど苦労しているように見えないのであれば、その職場はホワイトだといえます。
役所仕事に慣れてさえしまえば楽な環境だと証明されているからです。
不平不満を感じるなんてもってのほか、むしろ当たりポジションを引き当てています。
不貞腐れずに仕事をこなして慣れていけば、来年にはホワイト環境を享受できるはずです。

上司のせいで不必要に重くなっている

新規採用職員の仕事は、基本的に上司のチェック下で行われて、自分だけでは完結しません。
上司が細かい人であれば例年以上に大量の作業を命じられるでしょうし、適当な人なら僅かな手間で済むでしょう。
教育上手な上司であればスムーズに仕事できるでしょうし、放任系であれば何でも自分で調べて考えなければいけません。

つまるところ、新規採用職員の仕事量も業務の重さも、上司次第で一変します。
本来は新規採用職員向けに担当業務を減らしている「軽いポスト」であっても、上司が「仕事を創る」タイプであれば、無限に忙しくできるわけです。

このパターンはどうしようもありません。
公務員の宿命……というよりは組織人の宿命でしょう。
「新採なのに」という理由で嘆くのではなく、「天災に遭ってしまった」と諦観するしかありません。


もちろんガチで新人に相応しくないハードなポストもありえます。
僕の経験則では、住民からの苦情が多い部署は、新規採用職員でも忙しい傾向がある気がしています。
(苦情対応業務自体が、どちらかといえば若手が対応する仕事扱いのため、新人含め若手に負担が集中しがち)

今は大変かもしれませんが、不貞腐れずになるべく和気藹々と仕事を進めていったほうが、精神衛生上も楽になると思います。