地方公務員の給料月額(基本給)は、ちゃんと1年間出勤さえすれば、余程のことがない限り昇給します。
業務の難易度や忙しさ、人間関係など、役所という職場はとにかく「配属運」で全てが決まる環境ではありますが、昇給はほぼ平等です。
この「昇給の安定感」が、悪名高い「年功序列」につながっているだとか、個々人の業績が反映されなくて悪平等を引き起こしている……などなど賛否両論ありますが、自分みたいな無能寄りの人間にとっては非常にありがたい仕組みです。
しかし実のところ、地方公務員でも給料月額が下がるケースが存在します。
もちろん不祥事を起こして降格処分を食らえば下がりますが、こういう職員に過失があるパターンだけでなく、無過失どころか優秀なせいで減額されてしまうケースも実は存在します。
退職派遣に要注意
無過失の給料減額が発生しうるのは、外部機関に退職派遣されるときです。退職派遣は、地方公務員を一旦離職して派遣先組織で改めて採用されるという出向形態で、第三セクターや独立行政法人、国への割愛派遣あたりでよく見られます。
外部機関への出向では、退職派遣のほかにも在籍型派遣があります。
在籍型のほうがメジャーです。自治体職員という立場のまま外部機関に出向するもので、給与は派遣元自治体が引き続き支払います。
退職派遣の場合、派遣期間中の給与は派遣先が負担します。
そのため、派遣されてきた職員にいくら支払うかは、基本的に派遣先が決めます。
派遣先が独自の基準で「値付け」するわけです。
極論、派遣先が「地方公務員経験なんて役に立たない」という考え方の組織であれば、経験年数を問わず初任給並みに設定しても問題ありません。
とはいえ職員側からすれば、人事異動の都合で一方的に退職派遣させられているわけで、派遣先の意向で給料を下げられてしまったら、当然ながら不満を抱きます。
そのため、なるべく自治体勤務と差がつかないよう、派遣元自治体の人事担当者が派遣先と調整しています。
結果的に、たいていの退職派遣では、職員の待遇は変わりません。
国だけは一味違う
ただし、国への退職派遣(割愛派遣)は事情が異なります。ほぼ確実に自治体勤務時代よりも号級がダウンして、給料が下がるようです。
つい最近、某省への退職派遣から帰ってきた同期職員から聞きました。
彼が個人的に調べた限りでは、
- 初任給水準+自治体勤務年数×4号ベースが上限、たいていもっと低い
- 自治体勤務年数しかカウントされないっぽい(民間勤務あり中途入庁者は異様に安い)
- 自治体勤務時代の特別昇給(6号・8号昇給)は当然考慮されない
あたりの法則性が存在するっぽい……とのことでした。
彼いわく、退職派遣職員の給料水準(号級)はベテランプロパー職員の方々すら把握できていない暗部。どうやって決められているかも謎ですし、同じ年齢・経験年数の職員どうしでも着任時点で差が開いているとのこと。
(もし近日中に弊ブログが消滅したら、この闇に触れてしまったせいだと思ってください)
職場都合で派遣される以上、ちゃんと現給保証されてるのかと思いきや、まさか個々に値付けされてるとは……恐ろしいところです。
ただ、たとえ給料が下がるとはいえ、本省勤務であれば地域手当がたんまり支給されます。
僕の同期のケースでは、給料自体は3万円ほど下がったものの、地域手当が5万円ほど支給されたので、給与トータルではプラスだったとのことでした。
ただ、地域手当の恩恵を受けられないパターン、例えば
- もともと地域手当がしっかり支給されている都市部自治体から本省に派遣される場合
- 同一県内の地方局に派遣される場合
減給リスクを背負うのは高評価職員だけ、閑職はむしろ守られる
退職派遣にしろ研修派遣にしろ、国に出向する職員は、自治体組織の中でも高く評価されている職員だけです。つまり、高評価な職員は「退職派遣で号級ダウン」という減給リスクに晒される一方、反対に僕みたいな閑職は減給とは無縁でいられるわけです。
評価が低い職員ほど減給リスクが高そうな気がしますが、実際は真逆なのです。
インターネット上には、地方公務員の本省出向について解説している記事がたくさん存在しており、研修派遣と退職派遣(割愛)の差にも多く触れられています。
しかし、「割愛だと給料が下がる」という情報は全然見当たりません。
ひょっとしたら僕の同期が出向した省庁だけのイレギュラー運用なのかもしれません……
そもそも退職派遣自体、研修生としての出向よりもレアケースですし、心配するほどのリスクではないと思います。
コメント
コメント一覧 (9)
都道府県や政令市だと、国よりも昇給が早く級号俸が高い職員も結構いるでしょうが、あくまで国の意識としては「地方は地方の昇進のやり方」として突き放した感覚があるので、あくまで国の評価基準に従い、同じような年齢やレベルの職員の昇進昇給レベルと差をつけないように配慮をしているんだと思います。
国は民間経験に関してはその経歴として若干軽視している傾向があり、民間から中途で入る職員は、最初は同年代よりも給与がやや低い傾向にありますが、経験を積めばそこは段々と追いつくようです。
本省であれば地域手当がつくので、地方からくれば実際上にも年収が下がることはないと思います。
地域手当は本当に大きいですよね。僕もそろそろ本気で東京事務所勤務を狙っていこうかと思っているところです。
そんなことしたら誰も行かないですし。
当該職員は出世コースに両足突っ込んでいて何度か上乗せ昇給しており、派遣前時点では、僕と同年次・同年齢ながら8号ほど号級が上でした。その分が国には引き継がれなかった結果なのかなと勝手ながら思っています。
ちなみに弊県庁では、国出先機関への退職派遣だと、地域手当加算が無いので「給料」が下がった分だけ「給与」が下がる…というのが専らの噂です。その分職責も軽くなるので割と人気だったりします。僕自身興味あります(笑)
数年前のことですが、
数年前のことですが、某省庁への退職派遣を言われた際、数日後に上司から「先方が給与を算定したところ、基本給ベースで28号俸、約5万円下がることが判明した。この異動を受けられるか?」と言われました。
実は自分は民間経験者として採用されたのですが、やはり国の給与算定では自治体勤務年数しかカウントされていなかったようです。
あまりに頭にきたので、私はその派遣の話をお断りしました。(人事担当者もそんなに下がるとは思っていなかったようで、驚いていました)
自分が自治体組織の中で評価されていたのかどうかは分かりませんが、職員個人の大幅な不利益を伴う派遣の話を持ってくること自体、どうなんだ?と思いましたよ。
本省の方々は給与ダウンする人事異動が当たり前(本省から自治体出向したら大抵大幅ダウンするはず)なので、地方自治体の職員も多少は不利益被っても平気だと思っているのでしょうか……?それにしても5万円ダウンはきついです。まともに働く気が起きなさそうです。
残業代も満額支給になったので、1000万プレイヤーが多発している模様です笑
現に同世代官僚の皆さんはこんな感じで残業して1000万プレイヤーになってると思うと恐ろしい世界です……