地方公務員という仕事は苦情から逃れられません。
僕はこれまでに複数の部署を経験してきましたが、どの部署でも業務とは関係ない公務員批判(無駄に給料が高い、人数減らせ、態度が悪い等)が過半数を占め、業務に関する苦情は半分未満にとどまります。
さらに業務関係の苦情でも、無理やり役所をこじつけているだけのイチャモンみたいな内容が多く、本当に役所に責任がある苦情は、全体の2割程度です。
業務と無関係な苦情を延々聞いていると、虚しくなってきます。
一個人の私的欲求解消のために地方公務員の時間が割かれているという意味で、間違いなく「税金の無駄」でもあります。
金額ベースで見れば、紙の無駄よりもよっぽど大きいと思います。
ただ、地方公務員に対しては誰でも気軽に不満をぶつけていいという風潮には、一定の意義もあると思っています。
業務と無関係な苦情を延々聞いていると、虚しくなってきます。
一個人の私的欲求解消のために地方公務員の時間が割かれているという意味で、間違いなく「税金の無駄」でもあります。
金額ベースで見れば、紙の無駄よりもよっぽど大きいと思います。
ただ、地方公務員に対しては誰でも気軽に不満をぶつけていいという風潮には、一定の意義もあると思っています。
地方公務員はどうして叩きやすいのか
地方公務員が悪感情の捌け口になっているのは、- 「どれだけ罵詈雑言を浴びせようとも反論してこない」と思われている
- 「能力的に劣っている」と思われている
- 「悪事を働いている」と思われている
- 「税金で食わせてやっている」という負い目がある
- マスコミや偉い人が日々地方公務員を叩くことで「地方公務員は叩かれて然るべき」と正当化されている
- 電話一本でいつでもどこでもすぐに叩けるし、役所に行けば確実に叩ける
裏を返せば、このあたりの条件を満たせば、地方公務員でなくともサンドバッグ化しかねません。
2〜4を満たす層は地方公務員以外にも複数存在しますし、6は組織であれば大体当てはまります。
5を満たす層は、最近どんどん増えています。
インターネットの発展により、ヘイト系の主張が格段にやりやすくなったからです。
今やどのような層であれ、どこかの大学教授やメディア関係者、あるいはインフルエンサーから叩かれています。
誰かを叩きたいと思えば、ちょっと検索するだけで、叩くことを正当化する主張が見つかるでしょう。
地方公務員特有の事情は、今のところは1だけでしょうか。
サンドバッグ(=公務員)が無くなったらストリートファイトするでしょ?
もし何らかの事情があって地方公務員を叩けなくなったら、日本全国津々浦々に充満している「地方公務員へのヘイト感情」は、どこに向かうでしょうか?きっと先述した1〜6の条件のいくつかを満たす「叩きやすい層」に向けられるでしょう。
具体的には、子どもや高齢者、障害者、生活保護受給者、賎業扱いされている職の従事者あたりでしょうか。
いずれにしても、地方公務員よりも雇用や収入が不安定で、身体的にも強くはありません。
地方公務員よりも「打たれ弱い」といえると思います。
こういった方々が、今の地方公務員批判並みの頻度・強度で罵倒されたとしたら……悲劇的結末が待ち受けているでしょう。
というよりも、「大多数から見下されて公然と叩かれているのに雇用も収入も確保されている」という地方公務員の社会的地位が異質すぎるのでしょう。
僕自身、これまで何度も殺害予告されてきましたし、何度も「訴えてやる」と宣戦布告されてきましたが、それでも冷静でいられたのは、「どれだけボロクソに罵倒されたところで実害は無い」という安心感があったからです。
もちろんストレスは感じますが、それだけです。実害はありません。
地方公務員は圧倒的な「叩かれやすさ」を背負わされており、万人からヘイト感情を日々ぶつけられることを宿命づけられています。
この現状が地方公務員に多大なストレスをもたらし、職業満足度を損なっています。
ただ、見方を変えれば、地方公務員が悪感情の捌け口となることで、少なくない人々が救われているはずです。
「地方公務員は、大人しく叩かれることで、一定の役割を果たしている」
こう捉えることで、僕は苦情対応ストレスを和らげています。
コメント
コメント一覧 (26)
単に苦情を聞き流すサンドバッグなだけのものも多くありますが、過去の熱海市の土石流の問題のように、結構、背後に大きな問題が隠されている場合もまれにあったりして、なかなか厄介です。
最近では、調布市の外環道トンネル工事の陥没問題とか、法的にも、施工にも問題がありそうなケースの行政や施工主に対する法的措置などはその対応がなかなか難しいものがありますね。
リニア新幹線地下工事などでも作業員が何人も亡くなったりもしてますが、先のオリンピック工事や大型の公共工事などでは早くやらないといけないものなので、その狭間で作業員や住民が犠牲や被害を受けたりすることも度々あります。例の静岡県とJR東海の関係もしかりです。背後の事情を知るとゴネる静岡県をあまり悪くは言えない経緯も見えたりします。
その時々の対応を誤ると後に裁判沙汰となり、直接判断を下した人ではない後任の担当者や関係者がその事務を取り扱わなくてはならなかったり、クビが飛んだり、責任を問われたりすることが考えられます。
この辺はまさに運であり、苦情や行政処理上の不適切な対応から、人のクビや命が奪われることもあるので、なるべくその当事者にならないよう公務員は慎重に行動しなくてはならない時がありますね。サラリーマンの宿命でもあります。
例示された事案の中にも、こういう元凶が潜んでいるケースが少なくないような気がします……
例えば夏期集中休暇で上官が休んでいる間に会計書類の回付期限を過ぎてしまった等。
・自由研究のためにノーアポで職員にインタビューを始める親子連れがやってくる
・帰省者が交通事故を起こすせいで道が混雑して遅刻する
・高校野球は甲子園本番よりも地区予選の方が盛り上がる
あたりがパッと思い当たります。
ただナンバーワンは、例示された「上司がずっといないせいで書類決裁が止まって期限超過」ですね……
ちなみに、似たような記事なら過去に書いていますので、ぜひ。
田舎地方公務員(県庁職員)の夏期休暇・盆休み事情とは?
https://ps-kimotaku.officeblog.jp/archives/19446845.html
この点は「人事行政等の公表」を市民が見て、総務省が公表している地方公務員の数に対する地方公務員の懲戒処分者数の割合よりも当該地方公共団体における職員数に対する懲戒処分者数の割合が高ければそのように思われますね。
「無駄に給料が高い、人数減らせ」がクレームとして来るのは俄には信じがたいです。というのは、各地方公共団体は例えば京都府であれば「知事へのさわやか提案」(https://www2.pref.kyoto.lg.jp/teian/form.html)というものがあり、右の如き主張をしたければ「貴庁職員は他の業種等に比し給与その他の所得が高く云々」と記載して送付すれば済むからです。
あと、態度が悪いは必ずしも不当なクレームと言えない場合もあります。
例えば香川県にこのような(https://www.pref.kagawa.lg.jp/kocho/kocho/koe/k1102031005.html)苦情が届いており、これで適示された事実が真実ならば地方公務員法35条違反です。
誰の目から見ても態度の悪い職員、実際いますよね。特に住民に対しても高圧的な職員は本当になんとかしてほしいです。どうしてそんな態度が取れるのか謎です。
市民課の仕事と言ったら、戸籍謄本、住民票、戸籍抄本、住民票記載事項証明書、住基カードの発行といった事務的なものばかりですよね。
公務員へのクレームというのは行政と市民の思いのすれ違いに尽きると思うんです。
機械的に証明書を発行する市民課とそれを受けとる市民の間にどんなすれ違いが起きるのか全く理解できなかったんですよね。
まさにその通りだと思います。
特に窓口業務の場合は、市民側の「想定より手間・時間がかかる」という見込み違いが原因で苛立たれることが多く、他部署よりも根が浅いので、工夫次第で何とかなる部分も他部署よりまだ多い気がしています。
マスコミや政治家が公務員を叩くのは、彼ら彼女らが公務員嫌いだからというよりは、そうすると数字(利益や票)が取れるからであり、結局のところ国民全体が公務員嫌いなのだろうとも思っています。国民が嫌う物事は他にもたくさんありますが、中でも公務員は「お墨付き」がもらえているから、堂々と叩けるのでしょう。
役所の外には本当に敵しかいないので、せめて公務員どうしは助け合わねばと、この記事を書きながら改めて思いました。
一つは誤植の見落としがある、書類の審査が遅い、「自署又は記名押印」と記載があるのに窓口職員が執拗に押印を求める、といった「公務員の働きぶり」に対するクレーム、もう一つは税務課や納税課等において「何故この控除が認められないのか」を代表例とする法解釈の相違によるクレームです。
前者なら善処するのが良いでしょう。特に「自署又は記名押印」と記載があるのに窓口職員が執拗に押印を求める(実際に経験しました)という場合は当該職員の上官が平身低頭すべきでしょう。
次に、後者の場合、埒が明かないと判断された時点で行政不服審査法に拠り不服申立を行う、或いは地方税法432条1項に拠り固定資産評価委員会へ審査申出を行う等の不服申立や訴訟で解決を図られることになるでしょう。
「公務員の働きぶり」に対するクレームの場合において、職員が勤務時間中にも関わらず私語している等の場合は地方公務員法35条違反を理由に職員課に(下手すれば録音付きで)報告され、当該職員はめでたく懲戒処分に付されるということもあり得ます。
公務員が不祥事起こした時に発生するクレームです。
地方公共団体までしか公表されない場合はたぶん代表番号に掛けられて職員課か人事課が応対するんでしょうが、所属部署まで公表されている場合(https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000306/306652/osirase041214.pdf)(https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000301/301994/20220725oshirase.pdf)(https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000260/260039/201911syobun.pdf)(https://www.city.otsu.lg.jp/shisei/jinji/jinji/cho/40796.html)(https://www.city.otsu.lg.jp/shisei/jinji/jinji/cho/41114.html)(https://www.city.otsu.lg.jp/shisei/jinji/jinji/cho/45971.html)(https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20230209/2060012655.html)なんかは所属部署に電話を掛けられ、「上官を出せ」とか言われて「こんなこんなことするって一体普段からどういう教育しているんだよ。」みたいなことを言われるんでしょうね。それも大勢からひっきりなしに。
ただ、これを悪質クレーマーと断定してしまうのは違うと考えます。
まず、昼休みは正午から13時までというのが恐らく一般的な観念でしょう。
次に、地方公務員法35条は「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」定めていますから、「昼や休みでない時間帯に公務と職務に無関係なことをしている地方公務員法35条違反」として誤認された可能性が高い訳で、これは悪質クレームとは言えません。
そういえば、京都市では2008年に上下水道局の職員が勤務中に職場離脱を繰り返していた事件(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-02-19/2008021914_02_0.html)が有りました。
私は東京のことには疎いのですが、もし、過去にその区役所で職員の職場離脱が有って地元新聞で報じられたのであれば、その記憶のある誰かが今般のコンビニ前でソフトクリームを食べている職員と過去の真正の地方公務員法35条違反を結び付けたということになり、悪いのは区民と区役所の信頼関係をぶち壊した過去の職員ということになるんでしょうが、如何せん、冒頭記事だけではその辺の真相が判りません。
僕の勤務先県庁の場合、たとえ12:00〜13:00の間であっても、コンビニには行かないですね……昼休みであっても「役所から職員がふらふら出てくる」だけで苦情になりかねないという意識が刷り込まれていて、そもそも昼休みに外出するという発想がありません。地域差を感じます。
だって、時間帯が13時以降(出展同じ)であれば、前期で指摘申し上げた通り、勤務時間中にソフトクリームを食べている地方公務員法35条違反として認識された可能性が高い訳ですから。
さて、冒頭記事で取り上げられたような苦情をなくすにはホームページ上で昼休みを時間をずらして与えていることを周知する、同様の記載をしたポスターを庁舎の至る所の貼る等、苦情の芽を摘むことが大切ですね。
そして、当然ですが、真正の地方公務員法35条違反をしないことも大切です。
もし誰か1人でも真正の地方公務員法35条違反をすれば誰も「当庁では昼休みをずらして与えており、13時から14時が昼休みの職員が存在します。」という文言を信じなくなりますので。
京都市でその文言書いたら間違いなく職員が勤務時間中にパチンコ等に興じているのを誤魔化すための言い訳として見られるでしょう。
過去に貴庁で何が有ったのですか。
まさか、勤務時間中に職員が職場離脱して遊びまわっていたという過去があるのでしょうか。
これ(https://www.youtube.com/watch?v=oczK5Dc2H4A&t=1s)等は休憩中でないのにソフトクリームを食べていると誤認された可能性に言及している(2:20~2:25)にも関わらず、「馬鹿じゃないの。」(2:16)、「「何を求めてんの。」って思うんだよね。もう、ちょっと可笑しすぎないか。何でもかんでもクレーム入れりゃ良いってもんじゃねえよ。良いだろ。そんなソフトクリーム。何がそんな癇に障ったのか。」(2:34~2:45)と論述しています。
しかし、地方公務員法35条が「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」と定めている以上、休憩時間でもないのにソフトクリームを食べていると通報者が誤認したのであれば、その通報にはきちんと筋が通っています。
それをあたかもカスタマーハラスメントの如く論じる当該動画は著しい論理破綻を来しています。
当然こちらとしては地下鉄薩摩守事件についての検証不尽を指摘し、それが市バス薩摩守事件に繋がったと論述しているのにその反応が遅いことを糾弾し、(続く)
これがもし、最初に『交通局無賃乗車・隠ぺい事案調査・検証チーム調査・検証結果報告書』で調査不尽を指摘された時に
「この度は市民の信頼を大きく損なう不祥事を引き起こし、申し訳ございません。頂いたいた御意見を真摯に受け止め、二度とこのようなことが起きないよう、職員一同再発防止に努めて参ります。」(実際に再度検証するとは言っていないが、実際の当局の回答より遥かにマシ)と回答していたら、せめて市バス薩摩守事件の後の「市長への手紙」で3営業日以内に「当庁一丸となって不祥事撲滅に取り組むべき処、地下鉄、バスと同様の不祥事を立て続けに発生してしまい、誠に申し訳ございません。
頂いた御意見を踏まえ、不祥事根絶、綱紀粛正に努めて参ります故何卒御容赦いただきますよう、平にお願い申し上げます。」と回答していたら、私もここまで京都市当局をボコボコにしなかったと思います。
つまり、クレーム応対で初動を失敗したがために後々まで響くということもあるのではないかと思うのです。
関西圏の現業職員の不祥事に関しては、定期的にニュースになりますが(コメントいただいたので改めてホームページを見てみたら予想以上に頻繁でした……)、多分、「いろいろ複雑な事情があり明らかにできない事実」がたくさんあるがゆえに、客観的に見たら非合理的な処理を自治体がやっているのではないかと思います。京都市からの謝罪をお求めとのことですが、多分「謝れない事情」「謝ったら謝ったで別の誰かが憤慨する事情」があるのだと思います。