20代の若者にとって、地方公務員という仕事は旨味がありません。

民間と比べて給料は安いですし、ビジネスマンとしての汎用的なスキルが身につくわけでもなく、キャリアの幅が狭まります。
しかしそれでも一定数(最近は随分減ってきましたが)の若者が地方公務員を志しているのは、こういったデメリットがあるにもかかわらず、何らかのメリットを見出しているからなのでしょう。

地方公務員に就職するメリットとして典型的なのは、「趣味の充実」でしょうか。
土日祝日に安定して休みが取れて、平日もまあまあ早く帰宅できてるので、趣味に割く時間もエネルギーもしっかり確保できるはず……このように期待している人は少なくないと思います。

この目論見は概ね正しいです。
よほど忙しい部署に配属されない限り、趣味を楽しむ時間はそこそこ確保できます。
とはいえ30代になると、なかなか趣味をエンジョイしにくくなってきます。
(男性のケースを中心に紹介していきます、女性職員の事情はよくわかりません)


30代になっても趣味を充実させられているのはかなり少数派

30歳過ぎで実際に趣味をしっかり楽しめている男性職員は、全体のおおよそ2割程度でしょう。
だいぶ少数派です。
 
趣味を充実できていない理由は、既婚者と独身者で大きく異なります。

時間もお金もエネルギーも足りない既婚者

既婚かつお子さんがいる男性職員は、とにかく育児に時間もエネルギーもお金も吸い取られています。
趣味に割く余力なんて一切残りません。
「家にいると疲れる、仕事のほうがラク」というぼやきを何回聞いたことか……

仕事が忙しかろうと暇であろうと関係ありません。
たとえ毎日定時で帰れて、年次有給休暇をフル取得できたとしても、エネルギーとお金が無くなって趣味を継続できないようです。

ただ、趣味から遠ざかってしまったからといって、彼らは不幸には見えません。
「辛い辛い」と言いつつも、充実しているように見えます。
 
多分、人生における優先順位が変わったのでしょう。
興味関心が趣味から育児へとシフトしているために、たとえ趣味に一切触れられなくても、人生としては充実しているのです。

一方、お子さんのいないDINKS家庭であれば、反対に生活に余裕ができて、趣味を継続しやすいようです。

エネルギー(モチベーション)が枯れていく独身者

一方の独身者では、お金や時間はあるものの、エネルギーはどんどん失われていきます。
エネルギーというより「モチベーション」というほうが正確でしょうか。

独身者の場合、他の人が婚活に励んでいる20代の時間を、まさに趣味につぎ込んできた人が多いです。
それだけ趣味に没頭してくると、それなりに飽きが生じてきます。

加えて、自分の限界も見えてきます。

スポーツであれば体力の限界。
コレクションであれば資金力の限界。
ゲームであれば技量の限界。

ある程度没頭してきたからこそ、自分の限界が見えてくるのです。

さらに、趣味仲間もどんどん減っていきます。
結婚等で時間が無くなる、怪我や病気で続けられなくなる、単に興味が無くなる……などなど、色々な理由で趣味仲間がいなくなっていき、趣味を介した人間関係が衰退していきます。

こういった事情が重なって、趣味へのモチベーションがどんどん削がれていくのです。


新しい趣味が見つかればいいが

僕自身、これまでそこそこ充実した趣味人生を送れてきましたが、今年に入ってから急激にモチベーションが低下してきています。

オタク趣味のほうは、仲間が激減したことが大きいです。
これまで主にTwitter経由で繋がっていた仲間が、Xに移行する際のドタバタでSNSから離れてしまい、気軽に感想を言い合える相手がほとんどいなくなってしまいました。

このブログも趣味のひとつですが、今まさに限界をひしひし感じています。
残業が多すぎて週0.5日くらいしか休めていない生活が続いており、記事を書く時間が全然ありません。
この記事が最後のストックです。次回はいつ更新できることか……

「趣味の充実」という目論見で地方公務員になるのは、間違いではないと思います。
ただし、年齢を重ねるにつれてライフステージが変わり「趣味」がどうでもよくなるかもしれませんし、趣味へのモチベーションを保てていたとしても、異動ひとつで趣味どころではなくなるかもしれません。

「給料安いし僻地勤務リスクがあるけど、趣味の時間を確保したいから地方公務員になる」 みたいな感覚、つまり諸々のデメリットは理解しているものの「趣味時間の確保」というメリットが上回るから地方公務員になりたい!という方は、よくよく考え直したほうがいいと思います。