庶務担当をしているので、よく財政課とやりとりをしています。
去年一昨年の2年間は役所外に出向しており、予算要求とは無関係の生活を送っていたので、財政課に通うのは2年ぶりです。
2年ぶりのはずなのに……財政課の職員の顔ぶれが全然変わらないんですよね。
ちょうど僕の同期より下の世代が全然入ってきていなくて、平均年齢がじわじわ上がってきています。
財政課といえば役所内では王道の出世コースです。
財政課の人事が変調を来しているということは、出世コースにも変調を来していることに他なりません。
同期の財政課職員に状況を聞いてみました。
財政課候補の若手がコロナ対応業務で潰れた
僕の勤務先では、だいたい入庁8年目くらいの若手職員が財政課に抜擢されてきました。年度末になると、「あの世代からは誰が財政課送りになるのかな〜?」なんて噂話で盛り上がります。
少なくとも平成初期頃からこのような流れが長年続いてきたようなのですが……ここ2年ほどは若手が全然財政課に配属されていません。
その代わり、これまで財政課とは無縁だった35歳前後の職員がいきなり配属されるケースが増えています。
このような状況の背景を財政課の同期に聞いたところ……財政課候補だった有望な若手が軒並みコロナ対応業務で「潰れてしまった」せいとのこと。
僕の勤務先県庁では、主に20代後半の職員(採用年次でいえば平成26〜30年あたり)が、コロナ対応の現場最前線(医療系部署)に投じられてきました。
彼ら彼女らが大量の仕事と過酷な住民対応に3年間従事した結果、ハードワークが不可能なほどに「潰れた」という状況のようなのです。
「潰れた」というのが実際どのような状況なのかはわかりませんが、心身を壊したり性格がしまったりして、とにかく財政課のようなハードな部署に配属できる状態ではないのでしょう。
僕自身、令和2年度だけコロナ関係の業務を担当していましたが、本当にひどい仕事でした。
業務量はマシなほうだったものの、とにかく定時内はずっと住民から罵詈雑言電話に耐える日々が続き、ストレスがひどかったです。
これが3年間も続いたら……絶対耐えられません。
治しようのない後遺症
つまるところ、現状の出世ルート界隈は、空前絶後の人手不足なのだと言えるでしょう。財政課のようなハードワークを任せられる若手職員が組織内からいなくなってしまったのです。
このブログでも何度か触れていますが、国策により採用者数が絞られた結果、地方自治体はどこも40歳前後の職員が極端に少なく、そのせいで組織に歪みが生じています。
この世代は民間採用も不調だったので、採用人数は少なくとも優秀な職員が集まりました。
そのため、出世コースだけを見れば空白は生じていません。
一方、今回の新型コロナウイルス感染症では、職員数自体はさほど減っていないものの、優秀な職員ばかりがダウンしてしまいました。
そのため、頭数は確保できているものの、出世コースだけを見れば空白が生じているのです。
現状、だいたい5年分の優秀な職員を失ったわけで、組織としてはかなり危機的な状況だと思われます。
一方、今現在30代の出世コース入りを逃した職員にとって、今はリベンジを果たす絶好の機会と言えるでしょう。
若手の代わりに出世コース入りするというこれまで無かった臨時ルートが開かれているわけです。
とはいえ、わざわざ出世コース入りしたいと考える地方公務員はごく少数でしょう。
むしろ、望んでもいないのにいきなり出世コースに投入される30代職員が増えている、と捉える方が正しいと思います。
コメント
コメント一覧 (15)
ここ4、5年は(言葉が悪いですが)地元国立大の優秀層も県庁離れしてますので、将来の組織をしっかりと任せられる子が減ってる印象です。まさに、出世コースはガタガタになりそうです。
過去最低の志願者数、過去最低の東大卒採用率、コロナ明けの最近でさえも朝4時から大臣の答弁レクをやっているという話も聞かれて、私のいた時代ですら朝6時開始で早朝4時台の始発に乗れば何とか間に合う時間でギリギリ行ってましたが、今や開始が朝4時ってw(要は泊まれってことかw)
まともな思考の人たちの集まりには思えません。目的のためには手段を選ばない?そんな所に優秀な人材は寄ってこないだろうし、外資なり起業なりに流れるのは至極当たり前。国家全体で組織的自滅を地でいっている感じがしますよね。
☟ブラック霞が関で官僚離れ深刻、国会答弁打ち合わせ朝4時開始も背景
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230628-OYT1T50342/
なんで今さら自分が…と思っていたのですが、なるほどそういうカラクリだったんですね、納得です
なんとか数年やり過ごして、心と身体を壊さないようにしようと思います
確かに、異常事態ですし、うちもたくさんの人員がコロナ対応に異動していました。
その中に、幹部候補生もたくさんいたんですね…
👇【公務員離れ】地方でも人口減少の自治体で公務員のなり手不足が加速する悪循環(マネーポストWeb)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b21e0655140b34bdd3e97e8e9f42178ead10fa47
僕の勤務先自治体も全く同様の状況です。入庁後に育成できれば問題ないのでしょうが、勤務先の人材育成機能はゼロに等しく、意欲も能力も低いままの若手(しかも自分は「この程度で十分仕事ができる」と思っている)が大量生産されている状況です……
役所はむしろ「目的はどうでもいいけど手段にはこだわる」組織だと思っていましたが、そんな役所らしさすらかなぐり捨てて、無茶苦茶なことになっているのでしょうか……
朝4時は極端事例だと思いたいです……
本事例はあくまで僕の勤務先自治体の一事例ですが、コロナ対応で若手職員がドロップアウトしているのはどこも共通でしょうし、ひょっとしたら同じケースなのかもしれません。どうかお気をつけて……
コロナ対応みたいな新しい仕事に、すぐ取り掛かれて成果を出せる人となると、やはりエース級を投入せざるをえなかったのだと思います。組織にはしっかり「後遺症」が残ってしまったようです。
3年間で財政課を脱出できるんですね!僕の勤務先自治体では6〜7年くらいが当たり前(20代後半〜35歳くらいまでを財政課で過ごす、よく「アラサーを財政課に費やしてる」なんて言い回しをしています)なので、衝撃です。
自治体によって本当いろいろですね……
財政課の配属期間長いですね…
財政課予算編成担当の一部の人は、そのまま財政課の係長に昇任します。このような人たちは財政課5年コースですね。
「まだ体が動く」であろう20代後半〜30代前半に財政課で頑張らせるというのは、ある意味理にかなっているようにも思われます。
出世コースかはわかりませんがこういう事情もあるのかもですね。
まぁ、官房系をぐるぐる回ってる圧倒的出世コースには到底追いつけませんが。。
企画部門で活躍できれば、一気に抜きん出るチャンスもあるように思います。