今年のゴールデンウィーク、読者各位は何日ほど出勤しましたか?

僕は前半三連休・後半四連休合わせて3日間出勤で済みました。
庶務系の仕事をしていると、前年度分の支払い処理にラストスパートをかけたり、決算額をまとめたり、6月議会の準備に向けて資料を準備したり……等々、この時期はどうしても出勤せざるを得ません。

今年の4月に採用されたばかりの職員の中にも、さっそくこのゴールデンウィークで休日出勤デビューした方もいるでしょう。
ゴールデンウィークみたいな大型連休であれば、多少出勤してもストレスを感じる程度で済みますが、普通の週末土日に出勤すると、身体にも負担がかかります。
労働時間が増えると同時に回復時間が削られるわけで、まさにジリ貧です。

もちろん休日出勤せずに済むように効率的に仕事をこなすのが重要なのですが、地方公務員という仕事はどうしても休日出勤から逃れられません(詳細は後述)。
そのため、誰もが休日出勤のコツを習得する必要があると思っています。

こういう知恵こそ、先輩や上司からOJTで学ぶ経験知のひとつなのですが、運悪く(運良く?)休日出勤とは無縁の環境に置かれた新人職員向けに、僕なりの休日出勤のコツを紹介します。

※本稿で取り上げる「休日出勤」は、行事やイベント業務ではなく、平日の残務処理です。

何をするのか事前に決めておく

休日出勤において最も重要なのは「計画性」です。

休日出勤している時点で計画性が無いのでは?という至極ごもっともな指摘は置いといて……
  • 休日出勤してどのような仕事をするのか
  • 何時に出勤して何時に帰るのか(何時間働くのか)
あらかじめ決めておくことを強く推奨します。

平日と同じように仕事できるわけではなく、いろいろな制約があります。

まず、休日出勤では、他人の手を借りることができません。
よほどの繁忙期でもない限り、休日出勤してくる人は少数派です。
休日の業務は、基本的に一人でやらなければいけません。

見方を変えると、休日にこなせる業務は、一人で完結する範囲に限られます。
例えば、疑問点を上司に相談したり、別部署から資料を貰ったりすることができません。

加えて休日は、設備面でも制約が課されるケースがありえます。
例えば、庁内システムがバッチ処理のために使えなかったり、倉庫や会議室が使えなかったり……等々。

せっかく出勤してきたのに作業できないと「詰み」です。
僕にも苦い思い出があります。
かつて観光部局にいた頃、大量のパンフレットの袋詰めを土曜日にやろうと思い出勤してきたら、パンフの在庫を仮置きしていた会議室が休日は施錠されていて中に入れず、結局作業できずに帰る羽目になりました……(結局月曜日徹夜して作業しました)

休日出勤する場合は、遅くとも前日の午前中くらいにはタスクを洗い出して、
①平日のうちに絶対やらなければいけないこと
②休日でもできること
③無理に休日中にやらなくてもいいこと
に分類したうえで、①はその日のうちに優先的に処理、②は休日に回す、③は先送り……というふうに計画を立てておけば、「やろうと思っていた作業ができない」という窮地に陥ることなく、かつ無際限に休日勤務してしまう事態にも陥らずに済むと思います。

6時間が目安

休日出勤の時間はもちろん短ければ短いほうがいいのですが、時間外勤務勤務手当が支給されるのであれば、6時間以内を目安にすればいいと思います。
労働基準法上、勤務時間が6時間を超えると休憩時間を入れなければいけなくなり、実質タダ働き時間が生じるからです。



労働基準法
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。



例えば6時間1分の残業だと、45分間の休憩をとったことにしなければならず、時間外勤務手当が支給されるのは5時間16分だけ。
休日出勤中に45分もしっかり休憩取っていれば損はしないものの、そんなに休憩するくらいならさっさと帰りたいと思うのが自然な心情であり、しっかり休む人はいないと思います。
その結果、休憩分の45分はタダ働きになってしまいます。

6時間以内であれば休憩時間も不要で、ただ働きは発生しません。

シングルタスクを心がける

先述のとおり休日出勤にはいろいろな制約がありますが、一方でメリットもあります。
他者からの邪魔が入らず、集中できる点です。

役所の執務室は、集中できる環境とは到底言えません、
  • 誰かのしゃべり声(ときには怒鳴り声)で騒がしい
  • 鳴りやまない電話
  • メール通知(最近であればチャットも)
  • じろじろ見てくる来庁者
などなど、集中を乱す要素で満載です。

加えて、上司や別部署から急件が仕事が降ってきて、作業を中断させられるケースも多発します。
いわば終始マルチタスクを強制されている状態であり、ひとつのことに集中するのは本当に難しいです。

集中できない環境になっている原因は、ひとえに他者の存在です。
職員であれ来庁者であれ、他者がたくさんいるせいで騒がしくなりますし、新しい仕事が生まれて自分の元へ飛んできます。

休日になれば出勤してくる職員が激減しますし、来庁者も来ませんし、電話も基本的にかかってきません。
集中を乱す原因が一斉に排除されるわけです。

このメリットを最大限に活かすべく、休日出勤はシングルタスクに徹するべきだと思います。
あらかじめリストアップしたタスクを、一つ一つ潰していく。
ある意味、当たり前のことなのですが、地方公務員稼業でこれを実践できるのは、休日出勤時だけです。

週明け以降の業務負担見込み次第で短距離走・持久走モードを使い分ける

休日出勤すると、平日の出勤以上に疲れます。
上司も住民もいないので、職場環境的にはずっと楽なはずなのですが、やはり集中できるぶんだけ脳が疲れるのだと思います。

当然のことながら、休日に出勤した分だけ休みが減るわけで、翌週は疲れを残したまま平日5日間の勤務を乗り切らなければいけません。

特に、予算編成時期のような長丁場になると、何週間も休日出勤を続けなければいけません。
よほどの鉄人でもない限り、ペース配分を考えないと途中でバテてしまいます。
(財政課のような休まない人たちは、このへんの調整がものすごく上手です)

翌週はさほど忙しくないのであれば、全力で休日出勤しても特に問題ないでしょう。
ただし、平日もずっと残業せざるをえなかったり、次の週末もまた休日出勤しなければいけないようなハードな日々が続くのであれば、一度の休日出勤で体力を使い果たすわけにはいきません。
労働時間も集中度合いもセーブして、疲労の蓄積を抑えていく必要があります。

長時間残業は地方公務員の宿命

地方公務員という仕事の性質上、夜間休日を問わず働き続けなければいけない場面があります。
災害発生時なんかはまさにその典型ですし、新型コロナウイルス感染症みたいな謎の脅威が生じたときもこうなります。

能登半島地震では、非管理職の1/5相当にあたる約500人が、月100時間以上の残業をしたようです。


このように、本人の意向にかかわらず、誰しもがいきなり長時間残業を強いられるかもしれないのです。
これは地方公務員の宿命と言えるでしょう。

自分の長時間労働耐性は、やってみないとわかりません。
いきなり緊急事態に突入する前に、自分がどれくらい耐えられるか、試す機会があればいいと思います。