本ブログのアクセス数には明確に周期があり、毎年3月にピークを迎えます。
Googleアナリティクスによると、1月~4月にかけて20代前半のアクセス数が激増しており、4月から働き始める新規採用職員予備軍の方々が本ブログを読んでくれているのだろうと思われます。
就業を控えたこの時期は、多くの人が不安を感じるものです。
僕自身も俗にいう「内定ブルー」みたいな状態になっていて、ひたすらアニメを見て気を紛らわせていました。
数か月後に生活が激変するのは確実なのに、準備しようがないというもどかしさ。
できることといえば、情報収集くらいでしょうか。
もどかしさのあまり、本ブログみたいな信憑性の疑わしい情報すら目を通してしまうんですよね……
勤務開始目前の方々にとっての最大の関心事は、自分の配属先だと思います。
地方公務員界隈で「配属ガチャ」という言葉が罷り通っているとおり、どこに配属されるか発表まで全然わかりませんし、当たり外れの差も大きいです。
地方公務員人生には人事異動がつきもので、初任の配属先に骨を埋めるわけではありません。どうせ数年で別の仕事をすることになります。
全然興味が無い分野に配属されたとしても、数年我慢すればいいだけです。
逆に、希望する部署に行けたとしても、その幸運は数年限りです。
しかしそれでも、地方公務員人生における最初の配属先の影響は非常に大きいと思います。
業務内容はさておき、地方公務員という職業や、役所という職場に対する好き嫌いは、最初の職場での経験でかなり決まってくるからです。
初任配属先の業務内容や雰囲気、人間関係が合わなかったために、採用1年目にして仕事への意欲を失う職員は少なくありません。
意欲を失う程度ならまだマシなほうで、心身を壊して休職したり退職してしまう人もいるくらいです。
反対に、採用直後は全然やる気が無かったのに、周囲に感化されてモチベーションが上がったり、能力を開花させる人もいます。
僕自身、そこそこ楽しく地方公務員稼業を続けられているのは、初任の配属先がいいところだったからだったと思います。
また、役所を見限って転職するにしても、最初の配属先での経験を「自分の強み」としてPRしていかなければいけません。
転職活動の成否すらも、最初の配属先にかかっていると言えるでしょう。
では、実際に新規採用職員にとって働きやすく、キャリアにとっても有益な「当たり部署」とはどのようなものか。僕の経験をもとに、独断と偏見で考察してみます。
人数が多い
僕が最も重要だと思う要素は、配属先部署の正規職員数です。
初任の配属先は、正規職員が多ければ多いほうが良いと思います。
より正確にいうと、正規職員が少ない職場は心身の健康を損なうリスクが比較的大きく、最初の職場としてはなかなか厳しいと思います。
職員数の少ない職場は、人間関係も狭くなりがちで、一人でもやばい職員(パワハラ野郎など)がいると、その人の雰囲気に吞み込まれます。
分母が少ない分、全員に占めるやばい職員の影響力がどうしても強くなってしまうんですよね。
人数が多い職場であれば、善良な職員たちで集まって別コミュニティを作ってお互いを守りあうことが可能ですが、少人数職場ではこういう対処が難しいです。
加えて、何らかの事情で急に職場全体の仕事量が増えた場合や、職員が減ってしまった場合に、職員数が少ないと負担の分散ができません。
年度途中で急に業務が増えるケースは多々あります。
- 首長や議員の発案で新規事業を立ち上げることになった
- クレーマーに目をつけられて連日大量の公文書開示請求が舞い込んできた
- 制度改正があった
- 訴訟を起こされた
などなど、現役地方公務員の方であればどれか一つは経験があると思います。
このような事態が生じた際に、人数の多い職場であれば複数人で分担できますが、少人数の職場だと一人で対応する羽目になりがちです。
もっとシンプルに、分母となる職員数が少ないので1人あたりの負担増が大きいともいえるでしょう。
年度途中で職員が減ってしまった場合も同様です。
同僚が心身を病んで休職してしまったものの補充されず、欠員状態のまま年度末まで仕事を回すという事態はもとから常態化していますし、最近では若手職員がいきなり退職するケースも出てきました。
こうした場合、いなくなった職員の分の仕事を他の職員が引き継ぐことになります。
職員数が少ないほど、1人あたりの引継分が多くなり、負担が増えることになります。
役所内ルールを執行する仕事
業務内容では、庶務や部局内調整のような、役所内ルールを執行する仕事が「当たり」だと思います。
役所にはいろんなルールや作法があります。
役所にはいろんなルールや作法があります。
代表的なものとして、会計経理や議会答弁の作成、契約手続き、補助金の交付手続きなどが挙げられます。
こういった業務にはマニュアルが用意されており、ある程度の年次になると『知っていて当然』とされますが、実際に担当しなければ細かな手続きを理解することは難しいものです。
早い段階でこれらの知識を身につけておくことは、公務員としてのキャリアを築く上で大きな助けとなるでしょう。
また、こうした行政の内部ルールを知っていることは、民間企業への転職においても強みになりえます。
近年、行政の業務を外部に委託するケースが増えており、役所内部の実務に精通した人材は、民間企業にとっても貴重な存在です。
例えば、役所相手のコンサルティング業務や、公共事業のプロポーザル参加など、行政経験を活かせる分野は少なくありません。
さらに、内部ルールの執行は、単なる事務作業ではなく組織運営の一環とも言えます。
転職活動の際には「マネジメント経験」としてアピールできるでしょう。
実際に、僕が過去に転職活動を試行した際も、エージェントからは「組織の管理に関わる経験があるか」と問われました。営業や経理のような実務スキルを持っていない地方公務員をあえて採用する場合、企業側はきっと「組織を動かす能力」を期待するのだろうと思います。
ここまで色々書いてきましたが、結局は人間関係が全てだと思います。
正直どこの部署であれ、新人の担当する仕事は大差ありません。
実際に、僕が過去に転職活動を試行した際も、エージェントからは「組織の管理に関わる経験があるか」と問われました。営業や経理のような実務スキルを持っていない地方公務員をあえて採用する場合、企業側はきっと「組織を動かす能力」を期待するのだろうと思います。
結局は人間関係
ここまで色々書いてきましたが、結局は人間関係が全てだと思います。正直どこの部署であれ、新人の担当する仕事は大差ありません。
コメント
コメント一覧 (10)
一方で魅力に欠ける要素として、給与が安い、昇給が少ない、組織の硬直性や非効率性、スキルがつかない、つぶしも効かない、転職しにくい、税金泥棒や公金の無駄遣いなど一般人やマスコミなどから酷くバッシングを受けやすいといったことがあるでしょう。
前者の魅力を重視して役所に入ったものの、後者でのさまざまな洗礼を早速で多く浴びてしまった人は入庁を後悔したり、人生の選択の過ちに気づいてしまった人が多くいるはずです。私自身も入ってからすぐにデメリットをたくさん感じてしまったことで数年後には組織から出たくなったことを覚えています。
組織に入って違和感や嫌悪感を感じる人は敏感肌だと思います。特に公務員はある種の鈍感力がモノを言い、数年で役所を辞める人が少なくない実態は納得いくものがあります。周りの環境も大事ですがそもそも気質が合わないと感じると人は鬱になる前に早めの判断が迫られるかと思います。
>組織に入って違和感や嫌悪感を感じる人は敏感肌だと思います。特に公務員はある種の鈍感力がモノを言い、数年で役所を辞める人が少なくない実態は納得いくものがあります。
完全に同意です。特に地方公務員は、いろんな人からの敵意・悪意・害意に晒されますし、鈍感でないとやっていけないと思います。僕の場合、感謝された回数よりも「夜道に気をつけろ」と言われた回数のほうが間違いなく多いです。
わたしは、公務員ではないのですが、仕事上特定の部署の市役所や県庁の職員の方と日々関わります。
公務員の方はどんなことを考え仕事しているのか知りたいと思い、キモオタクさまのブログを読みはじめました。
わたしが仕事で関わる部署は、いわゆるはずれ部署なのかなと思います。
残業も多そうで日々多忙、何人か仕事に来れなくなってしまっている職員さんを拝見しました。
また異動してきたばかりの方を紹介していただいた時、その方が不安や困惑の表情を浮かべていたことは忘れられません。
異動してきたばかりでも、取引先や市民からは既に一人前とみなされてしまいますよね。でもまだ実際はそこまで達するのは難しいという状況の中で、そこを葛藤しながら仕事されているのを感じます。
また前任者がしてきたことも、現担当者の責任になってしまったり、様々な重圧があることを感じます。
今後も、キモオタクさまの記事楽しみにしております。
以前コメントさせていただいた、新卒1年目公務員の者です。
部局の予算の取りまとめ業務に従事していますが、超勤も100時間が当たり前で責任だけがついてくる現状に限界を感じています。
現所属はここ数年で急激に若返りが進んでおり、若手の先輩方も限界を迎えています。
(期待された職員が配置される所属だそうです)
次年度にて課内異動を希望しているのですが、新採2年目で課内異動は後のキャリアに影響があるのでしょうか?
出世欲等はあまりありませんが、将来的に産業振興部門に進みたいと思っています。
踏ん張るべきか、異動を熱望するか迷っています。
それぞれの自治体で差異はあると思いますが、主様のお考えをお聞かせください。
このままだと退職、転職という選択を取るしかないのかなと考えています。
拙い文章となり申し訳ありませんが、ご教示いただけると幸いです。
最初から出世ルートに乗っているのが羨ましく感じますが、隣の芝は青く見えるというやつなんでしょうかね
地方公務員の立場を汲んでいただいて本当に感謝です。
何年も同じような状況が続いているのであれば、そこは「外れ部署」なのでしょうね……役所外の方にまで「不安や困惑の表情」を見せるとなると、相当切羽詰まってるんだと思います。今後も参考になれたら幸いです。
僕も昨年から庶務担当やっているので、部局予算総括担当者の苦労は重々理解しています。本当にお疲れ様です……ある程度のキャリアを積んでからだと自分の裁量も挟めてやりがいのある仕事のようですが、新卒1年目だとただ迷うばかりですよね……
お尋ねの件ですが、課内移動であればキャリアにはさほど影響無いのではと思います。一早く財政課に行ってガンガン出世したいのであれば今の担当を是非続けるべきですが、そうでないのなら大丈夫かなと。
また、もし異動できなかったとしても、転職・退職はもう一年待ったほうがいいと思います。予算業務は「1年間の流れ」がわりと決まっているので、2年目以降は格段に楽になるはずです(残業時間は据え置きかもしれませんが精神的負担は随分マシになる)。もう1年やってみて、それでも厳しければ、転職・退職も視野に入るのかと思います。
三歩進んで二歩下がるような感じです。前進はしています。
ただ時間を食われすぎて文章にまとめる時間がありません……3月中にはまとめたいと思っています。
僕の勤務先自治体でも、以前(僕が採用された十数年前頃)は新採で予算担当やらせるスパルタ配属がよくありましたが、最近は無くなりましたね……上司や先輩が伴走支援してくれるならまだしも、いきなりはなかなか厳しいと思います。