<これまでのあらすじ>

結婚相談所での婚活を9月末にスタートしたキモオタク。
まずは10月に5人とお見合いして、うち2人と仮交際成立。しかし11月半ばまでに全員と別れてしまいます。
そこから再度5人とお見合いして、12月中ば時点で3人と仮交際が成立。
3人との関係をキープしたまま、イベント目白押しの年末年始期間に突入するのでした。




ラブコメ主人公みたいな年末年始

たとえ仮交際というまだ不安定な段階であっても、時節のイベントはきっちりこなすのが結婚相談所婚活のセオリーです。
そのため、クリスマスにはちゃんとしたコース料理を食べに行き、プレゼントを渡さなければいけません。これを怠ると「優先順位が低い」と思われて破談一直線です。ルール的に複数交際が認められているからこそ、相手が自分にどれだけの手間とコストをかけてくれるかが、相手の好意を測るバロメータになります。

僕は3人同時に仮交際状態であり、3人それぞれに食事の場をセットし、プレゼントを準備しなければいけません。
田舎ゆえに、ちゃんとしたコース料理を提供しているお店が本当に少なく、目ぼしいお店は11月のうちから予約で埋まっており残席はごくわずか。
最初は、お相手ごとに日程を確定させてから空いているお店を探すつもりだったのですが、この方法だとそもそもお店を押さえることができなさそう(お店の空きが無くなってしまう懸念あり)だったので、12月下旬の土日でまだ予約を受け付けているお店をとりあえず先に押さえることにしました。

ネットで予約可のお店を探し、さらに電話で「キャンセルはいつまで大丈夫ですか?」と問合せるという流れを延々と繰り返します。
やはりクリスマスシーズンは書き入れ時ということで、キャンセルは勘弁してほしいというお店もあり、最終的に4店舗の予約を取るために12件電話する羽目になりました。

それからお相手たちとの日程調整に入り、予定を埋めていきます。
日時が被らないよう、お相手ごとにちょっとずつ候補をずらして提案し、回答を待ちます。
こういうとき、すぐに返事をくれる方って本当にありがたいですね。日程調整の連絡にはすぐ回答すべきであると痛感しました。

日程調整と同時に、プレゼントも探します。
異性との交際歴ゼロの僕に気の利いたプレゼントなんて選べるわけがないので、大人しく結婚相談所提供のアクセサリーカタログ(提供している会社のものと思われる)から、それっぽいネックレスを発注します。
こういう恋愛弱者向けのサービスが整っているのは、結婚相談所の強みの一つだと思います。

結果、約5千円のランチコースを2回、約1万円のディナーコースを1回いただくことに。
値段相応に美味しかった……のですが、短期間に3回もコース料理を食べると、お腹への負担が大きかったです。

お財布へのダメージも重かったです。
御食事代は僕が二人分を支払いますし、さらにプレゼントで1万円弱×3。合計7万円が飛んでいきました。
(結婚相談所のルール上、仮交際期間中のデート費用は男性負担が原則です)


新年を迎えてからは、3人それぞれと初詣に行きました。
田舎ゆえにデート感覚で行けるオープンな神社がひとつしかなく、同じ神社に3回お参りして、同じおみくじを3回引く羽目になりました。
(なお【末吉】【末吉】【吉】という面白みに欠ける結果……)

周辺には他に回れるスポットも無く、帰り道にチェーン喫茶店に寄ってお喋りして解散という流れまで全く同じ。
せめてもの抵抗として、喫茶店の座席は違うところを選びました。

3人同時と交際を進めるという、まるでラブコメ主人公のような年末年始を過ごしたわけですが、本当に慌ただしかったです。
面会がある日は言うまでもなく、無い日は次の予定のロジを組むためにひたすらネットで調べ物をしなければならず、年末年始休みのほとんどを婚活に費やしました。
休みらしいことといえば、スクールデイズの無料一挙放送を見たくらいでしょうか……


眼福だった(感想)

体力的にもお財布的にも過酷な三股生活は、幸か不幸か長くは続きませんでした。
1月の半ば、お相手側から断られる形で、ヒフミさん(仮称)との仮交際が終了しました。
(「ブルーアーカイブ」の阿慈谷ヒフミより名前を拝借)





外見的には一番好みのヒフミさん。
世間一般的に見ても「可愛い」と言われるレベルです。
最初に「お見合い」で会ったときは落ち着いていて物静かな感じだったのですが、仮交際に入ってからはグイグイと迫ってくるようになりました。
僕のことを見定めるようにいろいろ質問してくる一方で、「自分のことも知ってほしい」という意図なのか、自分のこともどんどん話してくれます。

ヒフミさんのスペックを簡単にまとめると、
  • 僕より3歳年下
  • 県内3番手の進学校から地元国公立大学に進学
  • 高校では陸上部、大学ではイベントサークルに所属
  • 大学時代は某おしゃれコーヒーチェーンでアルバイト
  • 趣味はキャンプとライブ参戦
  • 民間企業(大手企業の地方支社)で経理職
  • 僕よりも高収入(手取りで約35万円/月)
まさに地元エリート層であり、陽の人です。

口下手な僕相手でも上手く会話を回してくれて、気配りもできる。そして外見も良い。
仕事も結構好きらしく、専業主婦になるつもりは毛頭無いとのこと。
結婚相手として文句のつけようがありません。

しかし面会を重ねるにつれて、ひとつ問題点が浮かび上がってきました。
共通点がなさすぎるんですよね……

お相手がコミュニケーション巧者なおかげで、雑談は盛り上がるんです。
お互いの最近の出来事とか、一緒に食べたものや出かけた場所の感想とか、こういう話題を転々としているだけでそれなりに時間が過ぎていきますし、気まずくもなりません。
でも共通の関心事項が無いので、会話が深まらず、お相手がどういう人なのか今一つ見えてきません。
カタログスペックはお互い開示しあって一通りわかっても、嗜好や価値観がよくわからないままなのです。

例えば、お互いに「本が好き」という共通点があれば、どういうジャンルや作家が好きなのか、どういう読み方をするのか(座右の1冊を繰り返し読む、濫読する等)、本にまつわるエピソード……等々、本を起点にお互いの内面を伝え合うことができます。
しかし僕とヒフミさんの場合、こういうコミュニケーションがなかなか取れません。例えばヒフミさんから「〇〇というバンドのライブに行った」と言われても、僕にバンド音楽の基礎知識が無いために、その情報をどう解釈すればいいのかわからないのです。

僕自身もそのことに薄々気づいてはいましたが、ヒフミさんが好みのタイプであることに間違いはなく、「僕がもっと積極的に歩み寄ればなんとかなるのでは?」と考えていました。
面会のたびに少しでもヒフミさんの趣味に興味を持とうと、キャンプギアのことを調べたり(「ゆるキャン△」のアニメを見返しました)、ライブに使うハコの勉強をしました。自分を変えれば相手にもっと近づけるはずだと意気込んでいました。

しかし残念ながら、3回目の面会が終わった後に交際終了の通告が届きました。
カウンセラーさん経由で理由を聞いたところ、お相手も「悪い人ではないと思うが、共通点が少なくて一生ずっといるイメージが持てなかった」とのこと。
正直、「一生ずっと一緒にいるイメージ」は僕も持てていませんでした。
それでも一緒にいると楽しいので、一生一緒にいられるよう努力して自分を変えよう、僕からお相手側に寄り添おう……と意気込んでいましたが、お相手側はそこまで熱意が湧かなかったようです。

ヒフミさんとの邂逅を通じて思ったのは、「可愛い」は正義ということ。

「共通点が無いなあ」と思いながらも関係を続け、さらには自分を変えてまでお近づきになりたいと強く思ったのは、ヒフミさんの容姿に惹かれていたからです。
僕は常々「人間は外見より中身が大事」だと思っており、婚活でも「決して外見に絆されるわけない」と自負していましたが、実際に可愛い人と対面するとあっさり夢中になってしまいました。
もし僕にお金があったら、飲み屋のお姉さんとかオキニの嬢とかに大金をつぎ込んで、身を滅ぼしていたかもしれません。薄給地方公務員で良かったのかも……

小休止、そして二股へ……

ヒフミさんに振られたところで、傷心に浸っている時間はありません。
仮交際中のお相手は、まだ2人残っています。
お二人とも外見的にはヒフミさんに及ばないものの(超失礼)、どちらかといえば僕と同じく「陰の人」で、素のままでも接しやすいタイプです。

さあ気持ちを切り替えていこう!と意気込みを新たにしたのですが……風邪をひいてダウン。
2週間ほど婚活を休止し、静養していました。

ここまでが1月のエピソード。2月から本格的に二股婚活を始めていきます。
だいぶ長くなったので一旦ここで切ります。