<前回までのあらすじ>
婚活のセオリーに従い、仮交際中の3人それぞれとクリスマス&初詣をこなしたキモオタク。
食事代やプレゼント費用で7万円が飛び、胃も懐も大ダメージを負うものの、大きな失敗は犯さずに乗り切ります。
そんな中、外見的には一番好みのヒフミさんとの交際が終了。
「共通点がなさすぎる」というハードルは高く、彼女の魅力に引き寄せられ自分を変えようと努力したが、関係を続けるには至らず。
傷心の暇もなく、残る2人との交際を本格化――と意気込むも、まさかの風邪でダウン。
幸いにも2月早々に復活し、合法的二股関係に挑むのでした。
ヒフミさん感想戦
今から思い返してみると、ヒフミさんがどうして結婚相談所を利用していたのか心底不思議です。
容姿も人当たりも良くて、結婚相談所を利用せずとも普通に恋人を作れそうなタイプですし、実際何度かお会いしても「男性との交際に慣れている」と感じました。
初対面の頃から緊張している様子は全く見せませんでしたし、会話の流れもスムーズでこちらの話を引き出すのが上手く、心地よい時間を過ごせました。
さらに、適度にボディタッチをくれるんですよね。親しげに肩を叩かれたり、笑いながら軽く腕に触れられたりすることもありました。
職場の同僚との距離感とは明らかに異なり、恋人同士のような自然な親密さを感じさせる振る舞いでした。
(根拠は全くありませんが、そこそこ長く交際してきた相手がいたものの何らかの理由で最近別れたのかな……と推測しています)
異性との交際経験が年齢に伴っていない僕にとって、ボディタッチをしてくる異性というのはヒフミさんが初でした。
ボディタッチされるのって本当に心地よいですね。
身体的な接触としてはごく軽いものであっても、自ら手を伸ばして触りに行くという行為は、それなりに好感を抱いている相手にしかできないわけで、向こうからボディタッチしてくるということは、相手が僕を受け入れてくれているという外ならぬ証拠になります。
つまるところ、ボディタッチは身体的接触であると同時に、プライベートかつディープな精神的接触であり、言葉を重ねるよりも軽くつつく程度の軽微な触れ合いのほうが心に響いてくるんですよね。
……などという一般人なら中学生くらいで学ぶ常識を今更ながら理解しました。
似た者2択
一方、残るお二人は、まさに「結婚相談所ユーザー」というタイプです。
僕も全く人のことを言えないのですが……異性と親密な関係に至った経験が乏しいゆえに、どう振る舞うのがいいのか迷っているのが伝わってきます。
たとえば待ち合わせ時、僕を見つけると手を振ってくれるのですが、表情は硬く動きもぎこちなく、緊張がありありと滲み出ています。
一緒に初詣に行った際も、隣を歩こうとせず半歩後ろに下がろうとしたり、逆に僕よりも先にずんずん進んでいってしまったり……
そんなやり取りの端々に、僕は不思議と居心地の良さを覚えていました。自分との共通点を見出していたのだと思います。
ありのままの自分でいられるウイさん(仮称)
特に似たもの同士なのがウイさん(仮称)。
※「ブルーアーカイブ」古関ウイより名前を拝借(猫背気味、意外と背が高い、たまにテンパる)
県内町役場の正規事務職員で、年齢は僕と同い年。
県内3番手の進学校を卒業後、関西の中堅国公立大学に進学の後、Uターンして町役場に就職したとのこと。
しかもウイさん、もともと地方公務員を志望していたわけではなく、新卒時に民間就活をしたもののどこにも受からず、就職留年して地方公務員になったという経歴です。
「不本意ながら地方公務員になったけど、転職するほどのエネルギーも無く淡々と続けている」という仕事へのスタンスでも、僕と似ています。
そうした共通点があるからか、ウイさんと一緒にいると妙に気楽でした。
婚活の場でありながら、彼女との面会は「結婚相手を探す」というよりも、気の合う同僚と仕事帰りに飲みに行くような感覚に近かったのです。
特に仕事の話題には事欠かず、役場の業務のこと、町の課題や職場の人間関係、制度の改正についてなど、共通する話題はいくらでもありました。
しかし、その盤石すぎる仕事の話題が、逆に問題でもありました。
何度会っても会話の大半が仕事に終始し、ウイさんのプライベートな一面がなかなか見えてきません。
休日の過ごし方や趣味、家族との関係など、もう少し個人的な話ができたらと思っても、なかなかそこへ踏み込むきっかけがありませんし、ウイさんからも仕事の話題しか振ってきません。
つまるところ、ものすごく奥手な人なのです。
とはいえ、少しずつ距離が縮まっている実感はありました。
お互いに明確に好意を伝え合うわけではないにしても、会うたびに相手に対する親しみが増していくのは確かでした。
初対面の頃は、お互い探り探りの会話だったのが、次第に冗談も交えたやり取りができるようになり、会話のテンポも心地よくなっていきました。
言葉を選びながら丁寧に話す姿勢には、人柄の良さがにじみ出ていて、決して押しつけがましくない距離感が心地よかったのです。
話すときにはじっくりと相手の言葉を受け止め、軽々しく相槌を打つのではなく、しっかりと考えた上で返答する姿勢に、真面目さと誠実さを感じました。
僕は、ウイさんとのやり取りを通じて、婚活における「安心感」というものの大切さに気づきました。
情熱的に惹かれるというよりも、一緒にいて自然体でいられること。
その安心感こそが、関係を築いていく上での大きな要素になるのではないかと思うようになったのです。
ウイさんと過ごす時間は、決して刺激的ではないかもしれませんが、確かな信頼感がありました。
そして……本当にゲスな観点で申し訳ないのですが……とても立派な果実をお持ちです。
コートの上からはずんぐりした体系に見えるのですが、コートを脱いでセーター姿になるとむしろ細身で、とある一部がつっかえるせいで全身膨張して見えていたのでした。
自分を高みに引き上げてくれるナギサさん(仮称)
もう一人のナギサさん(仮)も、根っこは僕と同じ陰キャです。
※「ブルーアーカイブ」桐藤ナギサより名前を拝借(ノブレスオブリュージュを感じさせる佇まい)
これまでマッチングしたお相手の中では初となる県外出身で、うちの県に来てからまだ日が浅いナギサさん。
東京都世田谷区に実家があり、高校入学までは親の転勤に付き添って全国を転々。
高校からは東京に根を下ろし、都内超有名進学校から都内最高峰私立大学に進学します。
大学在学中に某難関資格に合格して、いったん東京で就職しましたが、約1年前に母親の実家がある本県へIターン転職を決めて今に至ります。
これまでの転勤族生活で本県含め計7つの都道府県を転々としてきて、色々な土地での生活を経験した中で、本県が一番の気に入りで、移住を決めたとのことです。
ナギサさんいわく「これまで住んできた都市の中で、本県はちょうどいい規模感」らしく、都会すぎず田舎すぎず、自然と都市機能のバランスが絶妙だと感じるのだといいます。
家柄も学歴(入学偏差値的な意味)も格上、資格職ゆえに本県でも高収入をキープできており、僕よりも2歳年下ながら年収は200万円ほど上回っています。
カタログスペック的には、僕みたいな田舎地方公務員とは到底釣り合わず、もし僕が結婚するとなったらまさに「逆玉」です。
僕とは生い立ちもステータスも全然違う別世界の人のはず……なのですが、初対面の頃から不思議と通じるものがあります。
興味関心や着眼点、嗜好傾向が似ていて、どんな話題でも話が弾んで、会話が深まっていくんですよね。
ウイさんの場合、仕事ネタ・役所ネタであれば延々と深掘りができるのですが、仕事以外の話題は少ないです。
そのため、地方公務員としてのウイさんがどんな人なのかはよく理解しましたが、プライベートの部分がなかなか見えてきません。
これまで出会った方々も同様で、話題が限定的だったり、会話が広がらなかったりすることが多かったです。
一方でナギサさんの場合は、いろんな話題で深い会話ができるので、人となりがどんどん見えてきます。
同時に僕自身のことも自然に開示することができ、お互いの関係が深まっていくのを実感できました。
ナギサさんの会話運びが上手いのはもちろん、たぶん人としての根っこの部分が似ていて、だからこんなにスムーズにコミュニケーションが進むのだろうと思います。
何と言っても、ナギサさんと過ごす時間は知的な刺激に満ちていました。
ナギサさんは明らかに僕よりも頭の回転が早く、さらに教養の幅と深さが段違いで、会話の中で新鮮な気付きや発見を与えてくれます。
しかも僕と着眼点が似ているから、僕の興味のある方向へ先回りして会話を進めてくれます。
例えば一緒に喫茶店に入ったら、メニュー表を見ながら珈琲豆の種類や焙煎方法についてさらっと語ってくれて、僕の好みに合うメニューを紹介してくれたり。
街を歩いていて見かけた古い建築物に対して、「この建物、なんとなくヨーロッパ風ですよね」と僕が言うと、「これ○○様式で、当時の日本では珍しくて、これを含めて全国で5か所くらいしかないんですよ」とナギサさんが補足してくれたり。
もちろんナギサさんが一方的に語り続けるわけではなく、僕が話しやすいように質問を振ってくれます。それがまた絶妙で「○○ってどう思います?」と僕の考えを引き出し、「なるほど、それって△△とも似てますね」と話を広げてくれる。話し上手かつ聞き上手なだけではなく、話の流れを作るのが上手いのです。
ナギサさんにとっても、僕と過ごす時間は充実しているようです。
ナギサさんとの面会は、「この地域のことをもっと知りたい」という先方からの希望を受け、県内の有名観光スポットを巡るプチ旅行を僕のほうでセットする形にしています。
しかも僕はかつて観光部局に在籍していたこともあり、県内の観光地は一通り案内できます。
ナギサさんからの求めに応じて、観光地の豆知識などを披露していたら、文字通り目を輝かせて喜んでくれて、「地元愛と知識の深さに驚きです」「こんなに地域のことを詳しく教えてくれる人に出会えて幸運です」とストレートに褒めて感謝してくれます。
こんな感じで、ナギサさんと一緒にいると、世界に彩りが添えられるというか、何気ない日常の新たな一面を垣間見れるというか……とにかく一緒にいると知的刺激を受けて楽しいんですよね。
しかも決して高圧的になることなく、相手の意見や感じ方を尊重してくれる謙虚さを持っています。
僕には無い視点と知識を持っていて、一緒にいると自分の世界がどんどん広がっていきます。このようなコミュニケーションを取れる人とは、大学時代以来久しくお目にかかれていませんでした。
県庁組織には皆無ですし、そもそも田舎社会には普通存在しないタイプだと思います。
ナギサさんからも、はっきりと言葉にして、僕のことを大切に思ってくれていることを伝えてくれています。
究極の2択
僕が利用している結婚相談所では、仮交際期間中の面会は5回までというルールがあります。
5回目を終えるまでに、本交際に進むかどうか決断しなければいけません。
仮交際とは違い、本交際には1人としか進めません。
つまり僕の場合、どちらかと本交際に進むためには、もう一方と別れることになります。
5回の仮交際の間に、どちらを取るか決断しなければいけないのですが……本当に甲乙つけがたいんですよね……
いっそのこと、どちらかから振られてしまえば、残ったほうに決められるのですが、両者ともそんな素振りは全く無く、順調に仲が深まっていきます。
そしてそのまま、どちらを選ぶか決めかねるまま、5回の仮交際面会を終えてしまいました。
さらに決断を保留したまま3日ほど経過すると、結婚相談所のコンシェルジュさんから「ウイさんからもナギサさんからも本交際に進みたいと連絡ありました。どっちにするか決めてください」と連絡が入りました。
どちらかに振られるという消極的選択もありえなくなってしまいます。
だいぶ長くなってしまったのでここで切ります。
実はこの記事を書いている時点(3/29)で、どちらにするか決断して返答済です。
決断に至るまでの懊悩を次回お送りしたいと思います
コメント
コメント一覧 (10)
できることなら母親や父親とか家族についてさらに知りたいところですが、仮交際だとそこまではさすがに難しいのかな。お相手のご両親や兄弟姉妹が問題ない経歴や内面であれば何も言うことはありません。諦めることなく前進すれば良い結果が出そうですね。プライベートで幸せになってほしいです(非モテのキモオタクキャラでなくなってしまうのは残念ですがw)
お相手のご家族や、地方公務員という職業のステータス的価値に関しては、まさに次回問題になってきます……ただいま作文しておりますのでしばしお待ちください。
30歳超えて自分が固まってから自分よりレベルの高い人(実家の太さも含めて)と結婚するのは中々疲れる気がします
ありがとうございます!これまでろくに恋愛してこなかった人間たちがぎこちなく婚活している……という状況自体はまさに小説やドラマの舞台なので、あとは僕がどれだけうまく言葉にできるか次第だと思っています。続編も頑張って書きます!
ものすごい鋭い指摘ですね……まさに次回は「自分とはレベルの違う人」と付き合うことの難しさが主題になってきます。僕が体感した難しさをいかに言語化するか、今ちょうど難儀しているところです。
巨乳で細身という職場で確実に男性陣が放置しない要素があって結婚相談所に登録してるということは奥手以外にもそっち方面にこだわりがあるのかもしれません。
ご助言ありがとうございます。性格的に奥手かつ潔癖みたいなところがあるっぽいのは、薄々勘づいております……コロナ禍か!?とツッコミ入れたくなるくらいソーシャルディスタンスをとってきます。僕自身もどちらかというと物理的距離を置いてしまうタイプなので、この意味でも気兼ねなくいられるのかとも思っています。
ところでキモオタク様が以前書かれていた、今の仕事内容が整理整頓しかないみたいな記事どこでしょうか。いくら探してもみつからなくて
当方新規採用ということですが、今のところ1時間で終わる仕事しか与えられておらず、周りは自分より早く入庁して20時あたりまで残ってて暇&申し訳なさで苦痛しかありません
> 今の仕事内容が整理整頓しかないみたいな記事どこでしょうか。
自分で書いておいて心当たりがありません……(笑)
このあたりの記事でしょうか?
https://ps-kimotaku.officeblog.jp/archives/24700597.html
https://ps-kimotaku.officeblog.jp/lite/archives/28910711/comments/1433508/
あくまで推測ですが、周囲の方々もまだ慣れてなくて、新人に仕事を振る余裕もまだ無いのだろうと思われます。
時間に余裕あるなら、共有フォルダや書棚を漁ったりして「どこに何があるのか」探索するのがよいのでは?と個人的に思います。