昨今、「キャリアは組織に委ねるものではなく、自ら切り拓くもの」という考え方が社会全体に浸透し、自己研鑽に励むビジネスパーソンが珍しくありません。
地方公務員も同様です。むしろ、「民間企業みたいなしっかりした研修体系が無いから、自主的にスキルアップしなければ」という危機感をも抱いているかもしれません。
しかし、いざ「成長したい」と志したとき、地方公務員の前には特有の壁が立ちはだかります。
それは、伸ばすべきスキルの選択が極めて難しいという問題です。
地方公務員には、部署をまたぐ「人事異動」がつきものです。ある部署で心血を注いで習得した専門的な法解釈や実務知識も、異動一つでその価値を失ってしまうことが少なくありません。
一方で、地方公務員として汎用的な知識技能(財務会計、公用文作成など)を磨き上げても、一歩組織の外へ出れば何の意味も持ちません。
地方公務員の中でも向上心の強い方々は、民間企業への転職も視野に入れているでしょうし、「できれば役所の外でも使えるスキルを伸ばしたい」と考えていると思います。
地方公務員の中でも向上心の強い方々は、民間企業への転職も視野に入れているでしょうし、「できれば役所の外でも使えるスキルを伸ばしたい」と考えていると思います。
せっかくの努力を徒労に終わらせないためには、どのような部署に身を置いても、あるいはどのような職種に転じたとしても通用する「超汎用性なスキル」を身に付ける必要があります。
このようなスキルとして、「ファシリテーション」や「場づくり」のようなコミュニケーションスキルがこれまで提唱されてきましたが、僕は「家事スキル」が何より優先だと思っています。
プライベートを最適化・効率化すれば実務にも波及する
最初に断っておきますが、「家事ができるようになると仕事のパフォーマンスが底上げされる」と主張したいわけではありません。
このような副次的な効果もありますが(後述)、実務的な知識・技能を身につけるよりも、家事スキルを向上させてプライベート時間の最適化を図るほうが、よっぽど有意義なのではないか?というのが本旨です。
家事スキル向上の主な効果は、5つあると思っています。
第一に、圧倒的な「汎用性」です。
どんな生き方をしようとも、衣食住は欠かせません。異動しようが転職しようがセミリタイアしようが、家事スキルはずっと役立ちます。
文字通り「一生失われることのない財産」であり、どこへ行っても通用する「ポータブル・スキル」の筆頭と言えるでしょう。
第二に、このスキルは「決して廃れない」という点です。
どれほどテクノロジーが進歩し、便利な家電が登場したとしても、家事の原理原則は変わりません。
掃除と洗濯は今後も自動化が進むかもしれませんが、少なくとも料理は、人手が一切不要になることは無いと思います。
第三に、家事スキルは「人生の選択肢」を劇的に広げます。
地元で就職した地方公務員の中には、「家事できない/したくない」という理由で親元を離れない選択をした人が少なくないと思います。しかし、身の回りのことが自分で完結できるようになれば、住む場所も、働き方も、自らの意思で自由に選べるようになります。
「いざとなったらどこでも行ける」という安心感は、つらいときの支えにもなります。
第四に、家事スキルは他スキルを延ばす下地になります。
家事スキルが向上すると、生活の質が上がります。時間に余裕ができ、健康的な生活を送ることができるようになります。
そのため、次に何かのスキルを延ばそうとする際に、より多くのリソースを注げるようになるのです。
そして最後に、家事技能の向上を通して「マルチタスク能力」「タイムマネジメント能力」も養われます。
家事はマルチタスクの連続です。ひとつの家事を複数の工程に分解して、パズルのように組み合わせ、同時並行で進められるようになると、劇的に効率的できます。
このようなタスク整理のプロセスは、仕事にも活かせます。
とりあえず一人暮らし
家事スキルは、数をこなせば着実に向上していきます。
そして、手っ取り早く経験数を積み重ねるには、一人暮らしをするのがベストだと思います。
誰にも頼れない状況で、いかに仕事を終えてから寝るまでの数時間を効率的に運用するか。この「切実さ」こそが、思考を鋭利にして、試行錯誤の質を高めます。
さらに、複数の工程を逆算し、同時並行でタスクをこなす感覚は、ひとりで生活の全責任を負うことで初めて切実な課題として立ち上がってきます。
世の中には料理教室や家事セミナーも存在しますが、断片的な技術を学ぶことと、生活のすべてを回すことは全く別物です。掃除、洗濯、炊事、家事一式をひとりで一手に引き受ける責任ある立場に身を置くことで、実のある経験が積めると思います。おまけに家計管理もできるようになり、今後の資産形成にも役立つでしょう。
「一人暮らしはお金の無駄だ」と思う人もいるでしょうが、一生モノのスキルを養うための投資だと思えば、リターンは悪くないと思います。
僕が採用された頃は、初任給が17万円(手取りだと13万円くらい)で、一人暮らししたら赤字になるのが普通でしたが、最近は若手の給与水準も上がってきてますし、以前よりは随分やりやすくなっているはずです。

コメント
コメント一覧 (4)
もっとも若い頃にファミレスのようなやっつけ仕事で料理作りのアルバイトをひたすらこなしたせいもあって?自分が作る食べ物には流れ作業のような振る舞いにあまりいい思い出がなくて、こだわりが少ないというのもあります。製パン工場に勤めると菓子パンを食べる気が失せるという人もいると思いますが、まさにあんな感じです。
ましてや自給自足みたいな野菜を育てたり鶏を飼う(〆る)みたいなことは手間がかかって全く無理なチャレンジでした。何も知らずにどんな工程や工夫がなされたかも分からないまま、手品のように騙されて食べる方がもしかしたらうまいのではないかと思ったりして...(だから自給力が失われていくのかと)
得意な料理は特に無いのですが、コロナ禍で外食できない期間、22時過ぎに帰宅してから自炊する生活を強いられていたので、40分で1汁2菜作る程度のスピード感は身につきました。基本的に僕は自分に甘いので、自分が作ったものは全部美味しく感じます。お得な感覚だなーと我ながら思っています(笑)
そうなると、あらかじめ1人暮らしや配偶者のみとの生活の時にいかに家事スキルを身につけておくかが大事かなと思います
家事はある程度計算が立ちますが育児は子供が小さければ小さいほど計算が立ちにくくなりますからね…
家事スキルがないと、「不慣れな家事」+「計算できない育児」のダブルパンチで家庭内もギスギスする可能性あり…
こういう家事や育児で日常的にマルチタスクをやってうまく家庭をコントロールできていれば必然的に仕事でもそういうスキル身についていくなという実感が私は湧いてます
ちなみに、我が家は私が正社員、妻がパートなので家事の比率は大凡ですが私:妻=3〜4:7〜6、育児は手が空いてる方がやる感じで何とか回しています
> 家事スキルがないと、「不慣れな家事」+「計算できない育児」のダブルパンチで家庭内もギスギスする可能性あり…
僕もまさにこの点を危惧しています……結婚するまで実家暮らしだった妻は「家事の手の抜き方」を心得ておらず、とにかく家事一つ一つを丁寧に手間暇かける(このやり方しかできない)ので、毎日25時過ぎまで家事に付き合わされています(笑)育児が加わったら確実に破綻しますね……