公務員の魅力の一つとして必ず挙げられるのが、「安定した昇級」です。
事実、僕もこれまで5年間、毎年昇級しています。
給与額決定の仕組み自体はインターネット上にたくさんの解説がありますが、昇級のペースについては、一般論に落とし込むのが難しいせいか、ほとんど見かけません。
今回は、実際の昇級について、特に20代の若手職員の状況について、書いてみたいと思います。
地方公務員の昇級の仕組み
地方公務員の月給額は、棒級表によって決められています。
(参考:総務省ホームページ)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo-tk.html
棒級表では、縦軸に号、横軸に級が取られています。
職員一人一人に○級○号というランクが付与されており、このランクごとに月給額が決められています。
例えば、たいていの自治体では、大卒新規採用者は「1級25号」になります。棒級表によると月給額は172,200円になります。
号の方は、1月1日付けで上がります。これが俗にいう定期昇給です。
級の方は、たいていの場合、役職によって決まっています。役職が上がる(主事→主任など)と、級も上がります。
以上が給与額決定の仕組みです。
定期昇給のペース(僕の勤める自治体の場合、噂含む)
採用1年目を除き、基本は4号ずつ昇給していきます。
ある程度の年齢になると鈍化していくそうですが、30代半ばまでは「毎年1月1日付けで4号昇給」が基本のようです。
4号をベースに、勤務評価による上乗せがあります。僕の勤める自治体の場合、最大10号昇給までは存在するようです。
プラスの方は、相対評価です。部局ごとに上乗せ昇級枠が一定数設けられていて、部局内で活躍した順(人事評価)に上から枠を当てはめていくようです。
先輩から聞いた話だと、10号昇給は特例時のみ、上位5%で8号昇給、15%で6号昇給らしいですが、実際のところは不明です。
反対に、4号昇給できない職員もいます。これも人事評価の結果によるもので、仕事の出来不出来というよりは、遅刻や欠勤数など勤務態度が反映されるようです。
自分の場合(ケーススタディ)
同期入庁職員の話を聞いていると、大規模な施設の新設や改修に当たった年、難しい業務をやり遂げた年、そして国の省庁に出向した年には、上乗せ昇給したとのこと。毎年6号昇給しているという強者もいます。徴税の仕組みにマイナンバーを組込む業務をうまくこなした同期職員は、8号昇給しました。
一方、2号しか昇級しなかった同期もいます。彼は仕事をさぼって喫茶店で一服していた事案を起こしたことがあり、そのせいかと思われます。
僕も一度だけ6号昇給しています。防災系の仕事をしていた時に、訴訟案件になりそうだったトラブルを上司と一緒に円満に落ち着けたことがあったのですが、これが評価されたとのこと。年度末の面談で上司から伝えられました。
差額はどれくらい?
以上のケーススタディから、採用5年目時点で給与に差が開いていると、確実にいえるでしょう。
1号の差を月給額に換算すると、だいたい1,200円の差になります。
上乗せ換算なしの場合と、5年間毎年6号昇給した場合では、月額7,200円×12ヶ月=86,400円の年収差になります。
この差は一時的な手当てではなく、基本給の差です。
一度高く評価されたら、それが定年まで功を奏するのです。
一度差が開いてしまうと挽回困難なところも見落とせません。若いうちに差が固定化してしまうともいえるでしょう。
号級は、ボーナスやいろんな手当てにも関係してくるので、トータルだと10万円くらいの差になるでしょうか……残業50時間分くらいですね。
民間企業と比べれば微々たる差なのでしょうが、一般的に思われているよりは競争的なのではなかろうかと思っています。
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