地方公務員の業務として、写真を撮らないといけない場面が増えてきていることは、以前の記事に書いたとおりです。
最近はカメラの性能が良くなってきており、数万円で買えるカメラでも画質的には十分印刷物にも使えます。
ただ、画質が十分であっても、商用写真としての最低条件をおさえていないと、たとえ他に候補写真が無かったとしても、使用拒否されてしまいます。けっこうシビアです。
本当に大事な写真は勿論プロに任せるべきですが、職員でも最低ラインを超えるだけの写真撮影技術を身につけておくべきだと思います。
今回は技術のうちの一つ、「水平をとる」ことを紹介したいと思います。
まずは縦線を垂直にすること
言葉で説明するより、実例を見るほうが早いでしょう。
このラッピングバスの写真、商用写真としては論外です。水平がとれていません。
そもそも何を撮りたいのかがよくわからない写真なのですが、それよりも街灯やバス停の柱といった、写真内の主要な縦線が、写真外枠の横軸に対して垂直になっていないところがNGです。
これらは本来、地面に対してまっすぐ立っているものです。これが傾いていたら、心理的に不安になります。
補助線を入れてみました。商用写真として使うなら、黄色の縦線にぴったり重ならなければいけません。
こっちの写真なら、ギリギリOKかなと思います。
縦線を写真外枠の横軸と垂直になるようにするのが、「水平をとる」第一歩です。
建築物が写る場合は、柱が傾かないように撮れば良いでしょう。
柱が複数本あって、両方を垂直にできないときは、別のアングルからも撮影します。
柱が1本しか入らないアングルに移動し、同じ被写体をもう一度撮るのです。
どうしても柱が複数本入る場合は、真ん中に近い柱を優先的に垂直にします。端の方は歪みやすいので、端の柱を垂直にしようとすると、全体が不安定になってしまうためです。
地平線を平行にする
地平線が入る場合には、地平線と写真外枠の横軸とが平行になるように撮ります。
台の上に乗ったモノを撮るときは、台の天板が横軸と平行になるように撮ります。
地平線と柱の両方があるときは、被写体と近いほうを優先すればいいでしょう。
どちらかといえば、柱優先です。
よくある失敗パターン
主役(この写真ではカモメ)に集中しすぎるあまり、全体的に水平がとれていません。柱が斜めになっていて、不安定です。
素人的にはこれでもいい気がするのですが、出版業界では原則ダメです。
縦方向は問題ありませんが、斜めの横線(コンクリブロック)が入っているせいで台無しになっています。
余計なものは入れないようにすべきですが……
僕が聖地巡礼中に興奮しながら撮った写真なので、わかりにくい部分も多いと思います……書籍や新聞に載っている写真は、アート作品を除けばほぼ全てきちんと水平が取れているので、「水平がとれているかどうか」という観点から何枚も写真を眺めていけば、正しい感覚が身についていくと思います。
正しい例を認識した上で練習すれば、すぐに水平をとれるようになります。
まずは水平がとれている状態がどのような状態かを理解して、それから実際に練習するのみです。
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