キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

カテゴリ: そのた

全国でコロナ対応に従事している地方公務員各位には本当に本当に申し訳ないのですが、個人的に2022年は超楽しい一年でした。体感だと4ヶ月くらいで終わっちゃいましたね。
コロナが若干落ち着いてきて自由に行動できたおかげなのも大きいですが、仕事のストレスが過去最少だったのも大きいです。

外様でいるのがこんなに楽とは……

僕は昨年度からとある民間団体に出向しておりますが、そこでの扱いは完全に事務バイトです。
この2年、雑用とルーチンワークしかやっていません。
ひたすら業務量が多いのでだいぶ残業している(年末年始は今日明日しか休めません)とはいえ、業務自体は単純ですし、自分だけでほぼ完結するので面倒なコミュニケーションがありません。
「調整」から解放された生活、控えめに言って最高です。

何より、組織内のいざこざから無縁でいられるのが本当に気楽です。
プロパー職員どうしのドロドロした人間関係(20代のうちから謎のマウント合戦が展開されている)とか、部署間のパワーバランスとか、幹部への忖度とか……こういう面倒ごとは実質バイトである僕には何の関係もありません。

僕の前任者は「プロパーから見下されるのが辛い」「やりがいが無さすぎる」と嘆いていましたが、僕としてはむしろ楽なのに給与据え置き、しかも残業代がちゃんと貰えるという神環境です。

仕事のストレスが少なく精神的にゆとりがあるおかげで、例年よりもアクティブに活動できました。
このブログでもネタにしたように転職活動してみたり、久々に旅行に出かけたり、弁当男子を始めたり、暫時中断していた小説執筆を再開したり……他にも色々とやりたいことができました。
残業や休日出勤のせいで余暇時間自体は短いはずなのに、心が元気だから精力的に動けるんですよね。

来年4月に県庁に復帰したら、これまでの反動で今度は苦労するのでしょうが、それまではぬるま湯環境に浸かっています。

基本をとことん丁寧に

今年は漫画作品のアニメ化が大いに盛り上がりました。
ヒット確定の超有名作のみならず、ややマイナーな作品がアニメ化された途端に人気爆発する……というパターンも散見されたのがとても喜ばしいです。それだけ「動き」と「音」の付加価値が高まっているということなのでしょう。

漫画作品をアニメ化する場合、コマとコマの間隙を埋める必要があります。
間隙の埋め方次第で、同じ原作でも全然違うアニメになり得ます。
今年の作品はこの「間隙の埋め方」がものすごく良かった。

その典型例が「ぼっち・ざ・ろっく」です。
間隙を埋めるリソースを「1対1の人間関係構築過程」につぎ込んでいたように思われます。
ここが丁寧に補足描写されていたおかげで、主人公達の感情を機微に至るまでトレースできるようになり、何よりキャラクターがとても魅力的に見えました。
漫画原作アニメのひとつの極地だと思います。

今年は他にも「1対1の人間関係」にスポットを当てた良作が多かった気がします。
「リコリス・リコイル」とか「明日ちゃんのセーラー服」とか。
組織やチームを描くにしても「1対1の人間関係の総体」として描かれていて、組織・チームありきで人間関係が決まるわけではありません。

つまるところ今年は、「魅力的なキャラクターどうしが交流することで、魅力的な人間関係が生まれる」というフィクションの基本中の基本がしっかりできている、地に足のついた良作が多かったのだと思います。
視聴者として楽しめたのみならず、創作者の端くれとして、とても勉強になりました。

一方で悩まされたのがラブライブ!スーパースター!!2期(以下「星2期」)です。
7月から10/9まで放送されていましたが、終盤2話の怪作っぷりをいまだに消化できず悶々としています。

とにかくメインテーマが何だったのかが釈然としないんですよね……
途中まで「リベンジ的な勝利をチームで獲る」がメインテーマだったはずで、これに沿って個々のエピソードが積み重ねられてきたところだったのに、終盤でいきなり留学という縁遠い要素が登場、さらにラストでその留学要素が台無しにされるという……というドタバタ劇で締められたせいで、「リベンジ的な勝利をチームで獲る」というテーマも中途半端、留学要素は何したかったのかがよくわからずにいます。

個々のエピソードは良いんですよ。特に「UR葉月恋」と「オニナッツ関係」あたり。

あとはキャラクター描写がいつになく淡白だったのも、消化不良の原因だと思っています。
(特に一年生メンバー、誰かに同調するだけなシーンが多かったのと、変化らしい変化が生じていないせい?)

正直これまでのシリーズもメインプロットが迷子になりがち(あるいは希薄)ではありましたが、それでもキャラクターがしっかり立っていたので、視聴者がキャラクターの意図や思考をトレースして、物語を「補完」することができました。(2010年代以降にヒットした作品は、いずれもこういう性質を備えていると思います。)
しかし星2期は、キャラクターの言動の意図を探ろうとしても、手がかりが足りないのです。

とはいえ少なからず感情を揺さぶられたのは事実であり、このまま忘れるのは勿体無いです。
腑に落ちるまで感想漁りを続けていこうと思います。 

 

外部団体に出向中の今なら人事課にバレないだろう……という目論見のもと、ここ1年半ほど細々と転職活動をしています。
※今のところ地方公務員を辞めるつもりは一切ありません。単なる社会勉強です。

ここまで、転職サイトに登録してオファーを待ってみたり、転職フェアに参加してみたりしてきたところですが、今回は転職シリーズの総仕上げとして、キャリアアドバイザーと面談してみました。

市場価値の低さに定評のある地方公務員、しかも僕は30歳を超えています。
果たしてどれだけ酷評されてしまうのでしょうか……?
これまで獲得してきた資格たちは、僕を助けてくれるのでしょうか……?


<これまでの転職シリーズ>







準備〜作戦編

僕が今回利用したのは、某大手転職エージェントの無料面談サービスです。
エージェントへの登録自体はだいぶ前に済ませており(求人情報を見るため)、そこで提供されているサービスを利用しました。

このエージェントからは、電話やメールで「面談しませんか?」というお誘いを何度も受けており、「転職するかどうか検討中段階でも是非面談しましょう」とプッシュ営業を仕掛けられています。
向こうから誘ってくるくらいなので、生煮え段階の僕が面談しても怒られはしないだろう……と思い、面談を申し込んでみました。

僕がキャリアアドバイザーから引き出したい情報は、転職市場における地方公務員の位置付けです。
一般論を聞き出すのはもちろんのこと、他の転職事例も聞いてみたいところ。
僕が喋る時間は最小限に抑え、キャリアアドバイザーになるべく話させたいです。

そこで、「これから自分のキャリアやスキルを棚卸しする手がかりにすべく、民間企業は元地方公務員をどう見ているのか把握したい」というスタンスを取ることにしました。
こういう理由であれば、「相談する」というよりは「教えを乞う」感じで進めても自然なはず……。

面談本番

面談はオンライン会議アプリ経由で、30分ほど行いました。
アドバイザーの方は僕と同年代くらいの女性で、新人らしさは全然無く、この道でそれなりに経験を積んでいるオーラが出ています。期待大です。

まずは簡単に自己紹介をした後、履歴書の中身についていくつか先方から質問されました。
具体的には、転職先の条件の優先順位、興味のある業界、転職する場合の就業見込み時期あたりです。

あとは地方公務員としての業務経歴についても色々聞かれました。
特に観光部局での経験を深掘りして尋ねられ、
  • 課内でどういうポジションを務めたのか
  • 特に印象に残っているエピソード
  • 役所外部との折衝経験
このあたりを結構詳しく話しました。
今から思い返してみれば、こちら側の喋りやすい話題を振ることでアイスブレイクする目的だったのかもしれません。

「転職するとしたら来年4月以降」と伝えたところ、先方から「半年以上先となると、現時点で具体的な求人をお示しするのは困難です。志望企業を固められない以上、履歴書の添削もできませんし……今回の面談は、お客様の疑問にお答えして自己分析を深める機会にしたいのですが、よろしいですか?」と提案されました。

こちらとしては願ったり叶ったりの展開です。早速用意しておいた質問を投げかけていきます。
(以下、アドバイザーさんからの回答は 斜字体 で表記します)


地方公務員から民間企業へ転職する場合、どういう業界が人気なのか?

コンサルティングファームシンクタンクを志望する方が多いですし、実際に多くの方が転職に成功しています。
公務員の業務と比較的似ていること、確実に収入アップが見込めることが人気の理由です。

また、こういった企業では、パブリックセクターから業務を受注するケースが近年増えており、「行政組織の内部事情を知っている元公務員を雇用したい」という人材ニーズがあることから、公務員から転職しやすい業界ともいえます。

ここ数年は、うまく需要・供給のマッチングが成立している状況です。


1問目から興味深い回答をいただけました。
コンサル転職といえばキャリア官僚の独壇場かと思っていましたが、地方公務員からでも転職できるんですね……。

「政策立案したくて役所に入ったのに、調整業務や住民対応、肉体労働ばかりやらされて、頭を使わせてもらえない」という不満を抱える若手職員は少なくありません。
こういう不満を解消したくて、バリバリ頭脳労働のコンサルやシンクタンクに光明を見出すのかもしれません。

地方公務員の人材面での強みは何か?

強みとしては、「地頭の良さ」「組織内調整スキル」「セルフマネジメントスキル」が挙げられます。

まず、公務員には地頭の良い方が多く、物事の理解力や論理的思考力に長けています。
たとえ未経験分野であっても、学習が速く早々に戦力化できるという意味で、ポテンシャルが高い人材として認識されています。

また、公務員は日常的に、様々な利害関係者間の調整業務を担っていることから、同年代の民間人材と比べても組織内調整の経験が豊富です。
大規模市役所や県庁クラスであれば、大手民間企業に引けを取らないスケールの組織であり、調整能力に関しては即戦力として期待する企業様もいます。

このほか、公務員は一人あたりの業務量が多く……大変失礼な言い方になりますが上司によるマネジメントが機能していないので、若手であってもしっかり自立している方が多いです。
業務の目的やスケジュールを自力で設定して、自分で進捗管理するというセルフマネジメントの技術は、民間企業ではなかなか身につかない、公務員独特のスキルともいえます。


「ありません」と即断されるかと思いきや、丁寧かつ具体的に教えてくれました。
いずれのポイントも、地方公務員ならではというよりは、国家公務員ともかなり共通します。
転職市場では、地方公務員はキャリア官僚の代用品みたいな扱いなのかもしれません。

若手地方公務員を悩ませる「不毛な調整業務」や「放置系上司」が、まさか人材力向上に資しているとは……


地方公務員の人材面での弱みは何か?

弱みとしては、「利益感覚の欠如」「マネジメント経験の欠如」が挙げられます。

民間企業では、どんな業種であれ「売上を確保する」「利益率を高める」といった観点が不可欠ですが、公務員でこういった感覚をお持ちの方はごく稀です。
また、民間企業と比べて公務員は出世のペースが遅く、部下を持ったりチームを率いたりといったマネジメント経験が不足している傾向にあります。



こちらは予想通りの回答です。納得。

民間転職したい地方公務員が準備すべきポイントは?

企業様が地方公務員に期待しているのは、先にも述べたとおり「地頭の良さ」「組織内調整スキル」「セルフマネジメントスキル」です。
これらのポイントをわかりやすく企業様にアピールできるよう、まずはこれまでの業務経験を棚卸しして、使えそうなエピソードを探してみてはいかがでしょうか。

特におすすめなのが、新規事業の立上げに携わった経験です。
自然と調整能力をアピールでき、かつ企業様としてもイメージしやすく、面接でも高評価を得られています。

また、弱みである「利益感覚の欠如」を補うため、簿記資格の取得を推奨します。
(FPはどうでしょう?という僕の更問いに対し)FPよりも簿記ですね。FPはあくまでも個人資産の運用に関する資格なので、転職ではさほど重視されません。

あとは
MOSITパスポート資格を取得していれば、社会人としての基礎能力を証明できるので、時間があれば取り組んでもよろしいかと思います。
そのほかの資格は……キモオタクさんのようにITストラテジストを取得している地方公務員の方は結構いらっしゃいますね。あとは中小企業診断士も多いかと。
これらの資格、地頭の良さを証明する材料にはなりますが、合否を左右するほど重要というわけでもありません。


ITストラテジスト地方公務員、転職市場では希少価値無いんですね……ショックです。
中小企業診断士も若干興味あったのですが、すでに地方公務員のホルダーがたくさんいると知らされて萎えてしまいました。


「優秀な若手」は民間でも通用しそう

もっとボロクソにこき下ろされるのかと思いきや、地方公務員をそれなりに高く評価しているように思われました。
お世辞も混じっていたのかもしれませんが、ここは全部真実だとして話を進めていきます。

とりあえず簿記

わずかでも転職に関心があるのなら、まずは簿記の勉強をしてみるのが良さそうです。
「簿記は大事」という話は、今回のアドバイザーさんのみならず、以前転職フェアに参加した際にも複数の企業から聞きました。
複数の情報源から推されるということは、かなり重要度が高いと言えるでしょう。


「優秀さ」の物差しは官民でさほど変わらない

地方公務員の強みとして挙げられていた「地頭の良さ」「組織内調整スキル」「セルフマネジメントスキル」は、地方公務員なら誰しもが備えているわけではありません。
この3点を備えた地方公務員は、職員の中でも相当の上位層です。

つまり、役所内で「優秀だ」と高く評価されている職員と、民間企業が求める元地方公務員人材は、かなり共通していると言えるでしょう。
僕はこれまで「公務員らしくない人ほど民間企業では活躍できる」と思っていましたが、どうやらそうとも限らないようです。

逆にいえば、役所内でパッとしない人は、民間企業からも需要が無い……とも言えます。
厳しい現実です。

固有技能よりもポテンシャル

インターネットで地方公務員の転職情報を調べると、「地方公務員は転職市場では無価値」という前置きからの
  • 地方公務員が転職するならプログラミングスキルが必須!
  • ブログを書いて文章力を磨こう!
みたいな、何らかの殊技能を身につけるべきという主張がたくさんヒットします。
しかし今回の面談では、こういう個別具体的なスキルに関しては一切言及されませんでした。

語学に関しても全然触れられませんでした。
(こちらから更問いしようと思っていたのに、すっかり忘れていました……)


アドバイザーさんの回答を余すところなく文章化しようとした結果、弊ブログ最長の約4,400字に到達してしまいました。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。

もし転職を考えている方がいたら、僕みたいにとりあえず無料相談サービスを使ってみればいいと思います。
地方公務員は、引く手数多な「転職強者」ではありませんが、ゴミ扱いもされるわけでもありません。
怯える必要は無いでしょう。 


今年4月に受験したITストラテジスト試験、合格していました。
元々は応用情報技術者試験を受けるつもりだったのですが、欲が出てしまい(もし落ちても秋に応用情報リベンジできるし……というバックアップもあり)、応用情報をすっ飛ばして高度試験に手を出してしまいました。


以下、地方公務員とは全く関係ない話なので、興味の無い方はブラウザバック(死語?)してください。

午前1:できれば免除

午前1は4択マークシート式で、同日開催の応用情報技術者試験の午前問題の一部がそのまま出題されます。
問題自体は応用情報技術者試験と同じ……ということは、応用情報技術者試験の対策をすればいいわけです。

しかしこれが非常に大変です。
出題範囲が広くて暗記事項が多く、計算問題もバラエティ豊富で、まともに対策しようとすればものすごく時間がかかります。
そのため、午前1試験は免除を狙うのが望ましいです。(免除の条件はIPAホームページを参照)




まともに午前1対策をするのであれば、応用情報技術者試験の参考書を参照しつつ過去問演習を繰り返すのがベストでしょう。

僕の場合、昨年の秋試験で応用情報技術者試験を受けるべく(試験日に急遽仕事が入り結局受験できず)昨年4月頃から地道に勉強していたおかげで、午前1を突破できました。

午前2:ひたすら過去問

午前2も4択マークシート式で、IPA試験の区分でいう「ストラテジ系」の知識が問われます。
出題範囲が狭いうえに過去問焼き直しも多いので、参考書を読みつつ過去問演習すれば、難なく突破できると思います。


午後1:ひたすら過去問

午後1は論述式で、ほぼ国語です。
そこそこ長い問題文があり、これを読んで20〜40字くらいで論述させる問が5つくらい用意されます。
(大学受験でいうと、全統記述模試みたいなイメージ)

ただ、大学受験の国語とは異なり、問題文全体を俯瞰して論述させるような設問は無く、問題文中の特定の一箇所にヒントが集中している設問ばかりです。
つまるところ、設問の出題意図を正しく理解し、問題文中からヒントを探り当てることができれば、容易に正答できます。
これはもう慣れるしかありません。


午後2:なるべくたくさんのパーツを準備しておく

午後1までは前哨戦のようなもので、本番は午後2の論文試験です。
2時間という試験時間の中で、少なくとも2,000字ほどの文章を書かなければいけません。
しかもテーマは毎回変わります。
さらには手書きです。ITとは……?

ちゃんと実務経験のある方なら、経験のストックからふさわしい事例を持ってきて即興で書き上げられるのでしょう(そもそもITストラテジスト資格は、こういう人のスキルを証明するための資格なのでしょう)。

しかし、経験値の低い受験生の場合は、そもそも論文に使えるストックがありません。
わずかな経験を無理やり転用してみたり、ゼロからストーリーを捻ろうとすると、到底時間が足りません。

そのため、IT素人が論文試験を突破するには、論文に使えそうな事例を「架空の経験」としてあらかじめ複数捏造しておくしかありません。
そして、いろんな角度から「架空の経験」を描写した文章を準備、つまり論文のパーツをなるべくたくさん準備しておいて、試験本番では問題文に応じてパーツを組み合わせて論文を作っていく……という作戦しかないと思います。

あとはとにかく実際に書くしかありません。
試験本番では、問題文を見て「どのパーツを使うか」「各パーツをどう組み立ていくか」「問題文に合わせためにはどういうチューニングが必要か」を考え、その結果を文章に落とし込んでいく……というプロセスを踏みます。
これをひたすら練習するのです。

パーツの作り方

あらかじめパーツを準備しておいて、試験本番ではパーツを組み合わせて論文を作る……という方法自体は、目新しいものではありません。むしろオーソドックスな手法です。
他にもいくつか流派があるようですが、僕は「パーツ流」で突破したということを、まずお伝えします。
 
パーツの作り方はこんな感じです。

1 論文試験の雰囲気を知る

まずは参考書を読んで、論文試験の全体像を把握します。

2 「架空の経験」の題材を決める

「架空の経験」として取り上げる題材は何でもいいですが、複数個用意しておいたほうが無難です。一つだけだと、問題文と相性が悪かった場合に詰みます。


少なくとも
  • IT技術を使った新サービスで売上を伸ばした
  • IT技術を使って業務プロセスを省力化してコストカットした

汎用性が高いこの2つは、必須だと思います。

また、できれば自分と馴染みのある題材を選ぶほうが、パーツを作りやすいですし、試験本番で行き詰まったときのアドリブにも効かせやすい(即興でエピソードをでっち上げたり)です。

重要なのは、IT技術導入の成果を定量的に測定できること、そして投資効果を金額で評価できることです。
お金に繋がらない題材(利便性を高めるだけ等)は、論文化しにくいので、避けたほうがいいでしょう。

僕は3題材を準備しました。
いずれもマンション管理ネタで、「新サービスで売上増」「省人化によるコストカット」「データ収集&分析で満足度向上」の3つです。
マンション管理士と管理業務主任者資格を活かせたのは、これが初めてです。

試験本番では「新サービスで売上増」を使いました。 

3 パーツを作っていく

題材が決まったら、その題材をいろんな視点から描写して、100〜300字程度のパーツを作っていきます。

描写すべき視点は、参考書(後述)にひととおり書いてあります。
あとは過去問の問題文や論文集を読んで、足りないものを補っていけばいいでしょう。
僕の場合、1題材あたり、全パーツ合計で1.5万字ほど準備していました。

「パーツを作る」と言っても、必ずしもゼロから作文する必要はありません。
書籍や雑誌、インターネット記事から、使えそうな記述を「探して」「収集」するほうが、むしろ重要です。
未経験者なのに全部オリジナルで書き切ろうとしたら、かえって現実味がなくなりかねません。

4 パーツの中身を定量化する

ITストラテジストの論文試験では、「何事も定量的に表現したほうがいい」という通説があります。
(定量的に表現したほうが現実味があり、説得力が生まれるということなのでしょうか?)

ひととおりパーツが出来たら、定量的に表現できるものは定量化していきます。
特に、投資コストと投資効果(売上増やコストカット)は、きちんと積算根拠付きで用意しておく必要があります。
そのまま出題されることもありますし、いざという時の字数稼ぎにも使えます。

僕が使った参考書類

 
・ALL IN ONE パーフェクトマスター ITストラテジスト



試験全体の参考書です。
午前2はこれだけで十分だと思います。
全体像を掴むため、最初に読みました。


・応用情報技術者 合格教本


午前1対策用に使用しました。
一応通読しましたが、全く記憶には残っていません。
とにかく詳しいので参照用に最適です。


・ITストラテジスト午後2 最速の論文対策

僕が師事した「パーツ流」論文作成法のバイブル。
パーツとして準備しておくべき視点項目は、この本にひととおり書かれています。


・ITストラテジスト 合格論文の書き方・事例集


前半が論文執筆法、後半が参考論文集になっています。
前半パートは正直あまり体系化されておらず、論文素人がこの一冊だけ回しても書けるようにはならないと思われます。
ひととおりパーツを準備して、経験値を積んだ状態で読むほうが、糧になると思います。


・業種別審査事典

いろんな業種の概略が掲載されている事典です。
パーツ作りにものすごく使えます。
(僕が本番で書いた論文の3割くらいは、業種別審査事典の丸写しだったり……)
大きい図書館に行けば、だいたい置いてあると思います。


・新版ITコンサルティングの基本
・新版SEの基本
この1冊ですべてわかる 新版 ITコンサルティングの基本
克元 亮
日本実業出版社
2021-05-20


新版 SEの基本 この1冊ですべてわかる
山田隆太
日本実業出版社
2022-02-28


そもそもIT業界とはどんなものなのかを知るために一読。
パーツの内容を補強するのに使えました。


・バランス・スコアカードの使い方がよくわかる本



目標や成果を定量的に評価して、投資効果があることを証明する……という、どんな題材でも必要になり、かつ合否を分つ重要な要素(という噂)を、しっかり書くための参考書です。
ちゃんと効果のある数値目標の設定方法がわかります。


個人的な工夫

午後1の問題文を参考にする

午後1試験の問題文では、まずは現状分析から入り、IT導入のプロセスを解説して、上司や経営層へのプレゼン場面で締められるパターンが多いです。
これはまさに、典型的な午後2の論文と同じです。
午後1の問題文は、見方を変えると、午後2論文のサンプルとも言えます。

僕の場合、ITの導入も上司へのプレゼンも経験したことがなく、どういう手法や手順があるのかすらよくわからなかったので、午後1の問題文がものすごく参考になりました。
午後1の問題文の論理展開を、題材だけ置き換えて、そのままパーツとしてストック使わせてもらいました。

「午後1はどうせ国語問題だから対策するだけ無駄」という説もありますが、未経験者ほど、午後1の問題演習が午後2対策にも役立つと思います。

設問アで伏線を張って、設問イ・ウで回収する

僕はIT業界の実務経験が無い代わりに、文章を書く経験は比較的豊富なほうだと自負しています。
このブログを含め累計7年くらいブログを書き続けていますし、SS(5,000〜10,000字くらいの短編)作家歴はもっと長いです。

経験則として、文章に一貫性・納得感を持たせるには、うまく伏線回収するのが鍵です。
特に短編の場合は、冒頭の設定をきちんと消化することが重要です。
「あの要素、せっかく字数を割いて描写されていたのに、全然活かされなかったな」と思われると、文章自体がまとまっていないように感じられるものです。

ITストラテジスト試験の論文でも、冒頭に張った伏線をきちんと回収することを意識していました。
具体的には、設問イ・ウで取り上げる内容を、設問アでも「業界動向」や「自社の課題」として、軽く触れるように心がけました。

具体的にいうと、マンションの共用部分管理のIoT導入というネタの場合、設問イとウで「点検業務を省人化できコストカットできる」ことをメリットとしてアピールするのに先立ち、設問アで「技術者不足と人件費高騰のため点検費用が高騰しており利益率を圧迫している」という伏線を貼りました。

未経験チャレンジには時間がかかる

ITストラテジスト合格までの勉強時間は、累計で約140時間でした。
しっかり実務経験のある方は50時間くらいで合格できるらしいので、かなり余計に時間を要してしまいました。
「コスパがいい」とも評されているITストラテジストですが、未経験者の場合はそう甘くはないと認識しておいたほうが無難でしょう。

このうち論文対策に要したのは約50時間です。
30時間はパーツの準備、20時間は実際に手を動かして論文を書いていました。(本番までに6本書きました)

パーツ流で論文対策する場合、実際に論文を書いてみて、試験本番で行う「パーツを組み合わせて論文を組み立て、ところどころ微修正して完成度を高める」というプロセスの練習が欠かせません。
論文を書いてみると、不足しているパーツにも気が付きます。
ある程度パーツが揃ってきたら、早い段階から論文を書く練習をしていけばいいと思います。
 

前回の記事に続き、僕が転職フェアに参加した結果をお届けしていきます。
今回は市役所・町役場ブースの探訪記です。

僕が参加した転職フェアは他県で開催されたもので、出展していたのも他県自治体です。 
さすがに県内市町村の説明会に乗り込む度胸はありません…… 

 

聞いてみたいこと

市役所・町役場ブースを訪問したのは、採用担当者から是非とも聞いてみたい事柄があったからです。

ひとつはアピールポイントです。
自治体の採用説明会や採用パンフレットでは、役所の仕事全体を幅広く取り上げるのではなく、前向きで華々しい仕事を「客寄せ」として紹介するのが通例です。
市町村の場合は、まちづくりや観光、移住定住あたりがよく取り上げられている印象です。

ただ新型コロナウイルス感染症のせいで、このあたりの「花形事業」は現在縮小中です。
そこで、代わりに何を取り上げるのか、気になっていました。

もうひとつは定年延長の影響です。
「定年退職者が減る分だけ採用者数も減るのでは?」という噂の真相を、無邪気に質問できる絶好のチャンスです。

加えて、参加者側からどのような質問が挙がるのかも興味がありました。
ブログのネタにできそうだからです。

捌き方に実力差あり

今回の転職フェアでは、全部で3自治体から説明を伺いました。
いずれのブースも大人気で、ほとんどの民間企業ブースよりも賑わっていました。
一番混んでいた自治体では、20人ほどの待ち行列ができていて、ブースにたどり着くまで小一時間かかりました。

ただ、待ち行列の捌き方には、明らかに自治体ごとに実力差が出ていました。
ひたすら待たせるだけで放置している自治体がある一方で、
  • 待っている人にQRコード付きのチラシを渡して「概要説明は動画でも見られますよ」と案内する
  • 待っている人に対して「質問あったら何なりとどうぞ」と個別に声かけ
など、待ち時間を無駄にさせない工夫をしている自治体もありました。
こういうところで印象が激変するんですよね。勉強になりました。


貴重なお話ありがとうございました

いずれの自治体も、15〜20分ほど採用パンフレットに沿って概要説明した後、質疑応答時間を設けていました。

SDGs激推し

概要説明では、いずれの自治体もSDGsへの取組みにかなり時間を割いていました。
役所自らがSDGsを実践するとか、市民にSDGs意識を浸透させる事業を展開しているとか……
「従来から存在する施策や制度を、SDGsの観点から捉え直して〜」という言い回しも、複数回聞こえてきました。
まちづくりや観光に代わる「花形事業」「客寄せ役」として、SDGsを位置付けているのかもしれません。

定年延長期間中の採用者数減は確実か

定年延長に関しては、いずれの自治体でも、概要説明では言及されませんでした。
そこで、こちらから質疑応答時間に「最近、公務員試験予備校の案内で『これから定年延長が始まると退職者数が減るから採用者数も減り、試験倍率が上がります!』という文句をよく見かけるのですが、実際のところどうなんですか?」と質問してみました。

その結果、いずれの自治体でも、「あくまでも担当の感覚ですが……」という前置きつきで、
  • 退職者数が減るのは確実で、その分だけ採用者数を減らさなければいけないのも確実
  • 退職者数が減るのは2年に一度だが、採用者数も2年に一度のペースで減らすとなると、職員の年齢構成が乱れるので、減少幅は年度間で均したいところ
  • 実際のところ、「フルタイム勤務の再任用職員」が「61歳以上の正規職員」に置き換わるだけなので、組織が急に高齢化することは多分ない

とのことでした。
 やはり、減少幅は未知数ではありますが、採用者数が減るのは間違いないと思われます。

やはり待遇が一番気になるのか

順番待ちをしている間は、ずっと他の参加者がどのような質問をしているのか、耳をそば立てていました。
聞こえてきた範囲では、待遇に関する質問が多かったです。
  • 有給の取りやすさ
  • 残業の有無
  • 休日出勤の有無
このあたりは誰もが尋ねていました。
そして「配属される部署によって様々です」と即答されていました。

全体的に質問をする人が少なく、質問するにしてもホームページを見ればわかるレベルのものばかりで、正直物足りなかったです。
やはり業務内容自体には全然関心がなく、「クビにならないし収入安定している」という理由だけで公務員を目指す方が多い、ということなのでしょうか……


機会があれば、都道府県庁の中途採用説明会にも乗り込んでみたいです。

外部団体に出向中の今なら人事課にバレないだろう……という目論見のもと、ここ1年ほど細々と転職活動をしています。
※今のところ地方公務員を辞めるつもりは一切ありません。単なる社会勉強です。

以前の記事では、転職サイトに登録した結果を紹介しました。
(基本情報技術者の資格を追加した結果を追記しています。)


転職サイトに登録してからそろそろ一年が経ちますが、ずーっと似たような企業からしか案内が来ず、物足りなくなってきました。
そこで、新たな刺激を求め、転職フェアに参加してみました。

ただの説明会ではなく「市場(いちば)」

僕が参加したのは大手人材会社が主催している転職フェアで、だだっ広い会場にたくさんの企業が個々にブース出展して、来場者は気になる企業のブースを訪れて社員から話を聞く……というスタイルです。
形態だけ見れば、新卒採用の合同説明会と同じようなものです。

しかし内容は別物です。
選考とは関係のない説明会ではなく、明らかに採用に直結しています。
我々求職者が企業を「選ぶ」だけでなく、企業側も求職者を「選ぶ」、まさに市場そのものでした。

企業のブースでは、担当者が会社の説明をしてくれるだけでなく、こちらのプロフィールをぐいぐい尋ねてきたり、ことあるごとに「あなたはどう思いますか?」みたいに質問を投げかけてきて、こちらに喋らせようと仕向けてきます。

フェアによっては面接用の専用ブース(試着室みたいなもの)が用意されており、僕の隣で一緒に説明を聞いていた人がそちらへ連れ込まれていく……なんてこともありました。
 

僕は不人気

僕が参加したフェアでは、いずれも「これまで経験した職種」や「希望する職種」のカードを首から下げるルールでした。
「営業」「経理」「人事」「エンジニア」など、いくつかのカードが用意されており、その中から選択します。

僕の場合、消去法で「事務一般」を選ぶしかありません。
カードを下げた途端、一気に自分が「商品化」されたように感じられてテンションが上がります。
ディストピア作品の導入シーンのようです。

企業側はこのカードを見て、自社のターゲットか否かを判断しているのでしょう。
採用したい職種の人には積極的に声をかけ、そうでない人はスルーするのが一般的セオリーのようでした。

会場を見て回った感じ、人気なのはやはり「営業」です。
反対に「事務一般」は人気がなく、「未経験歓迎」を掲げている企業を除き、僕は全然声をかけられませんでした。
そもそも事務職の転職者自体のニーズが少なく、採用するにしても若い人の方がいいのでしょうか……

本日は貴重なお話ありがとうございました

お話を伺った企業の中から、印象に残ったところを紹介していきます。

IT派遣系

最も話を聞きたかったのがIT派遣業界、俗にいうSESです。
今話題の「デジタル人材」市場の動向に興味があり、僕が取得した基本情報技術者の価値も知りたく思っていました。あとは株式投資対象としても興味があります。

どの企業も幸いにも「未経験OK」を堂々と掲げていたので、安心して乗り込めました。

事業内容はどの企業も似通っていて、何ヶ月か研修してからプロジェクトにアサインする……という流れなのですが、業界の捉え方や、IT人材の考え方は、企業ごとに様々でした。

例えば、アサインするプロジェクトなんかだと、
  • みっちり下流工程で経験を積んでからでないと上流工程にはアサインしません、下流工程のスキルのほうが汎用性があるのでその方が社員のためになります
  • 本人の希望に応じて新人でも上流工程にアサインします、上流工程のスキルを異業種へ横展開していくことが今後必要です
こんなふうに綺麗に分かれました。
どちらの考え方も一理あるように思われます。

基本情報技術者資格は、残念ながら全然評価されませんでした。
「基礎知識があるという担保にはなりますが、ある程度年齢を積まれている方の場合、基礎知識よりも専門性のほうが重視されるので、開発経験とかベンダー資格のほうが歓迎されますね」とのこと。

あとは興味本位で「官公庁へ派遣する事例もあるんですか?」と質問してみたところ、今のところ事例は無いもののそういう相談は結構寄せられているらしく、近いうちに実現するかも……とのことでした。

IT派遣企業からは、フェア後のアフターフォローもありました。
「個別面談しませんか?」みたいなメールが送られてきたほか、電話もかかってきました。
30代未経験という市場価値ゼロの人間でも繋ぎ止めようとするあたり、「IT人材の不足」は本当に深刻なのだと思われます。

税務コンサル

税金をたくさん徴収したい役所側からすると、税務系のコンサルは難敵です。
敵の本懐を探るべく、お話を伺いました。

行政の搾取から企業を守る……みたいな「思想」が伺えるかと期待していたところ、「ルールに則って正しく節税提案することで、企業の資金繰りを守り、ひいては不正に走ることを防げます」などなど、非常に誠実に説明していただき、疑ってかかったことを内心深く反省しました。

「スタートアップ企業に積極的に営業を仕掛けて顧問化を狙っている」ことを売りにしていたので、「スタートアップ支援って最近は地銀とか公的機関が乗り込んできて、競争激化してませんか?」と興味本位で質問してみたところ、「スキルに雲泥の差があるので絶対勝てます」と即答されました。かっこいいです。

市役所・町役場

民間企業に紛れて、夏以降に採用試験を行う自治体もいくつか出展していました。
長くなりそうなので、次回記事で改めて紹介します。

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