地方公務員の定年引上げが始まってから、いつの間にか3年が経過していました。
現在、地方公務員の定年は62歳です。
定年引上げに関しては、このブログでも過去に何度か記事にしているとおり、悪い方向に役所組織を大きく変えるのではないかと懸念していました
具体的には、以下の2点を危惧していました。
- 閑職ポストが役職定年後職員に占領されて、若手職員は繁忙な職場ばかり回されるようになる(復職直後職員の慣らし運転ポストも奪われて、いきなり実践投入される懸念も……)
- 退職者の数が減るのに連動して、新規採用者数が減り、職員の年齢構成が歪になる
しかし実際のところ……あまり大きな変化は感じていません。
冒頭に「いつの間にか3年が経過した」と書いたとおり、定年引上げなる制度変更が進行中であることすら忘れていたくらいです。
定年引上げは2031年までかけてゆっくりと完成する制度変更です。
2年に1回、奇数の年に定年年齢が1歳ずつ引き上げられていき、2031年(令和13年)以降は65歳定年で固定されます。
序盤を終えた現時点での状況を一旦振り返ってみようと思います。
役職定年を受け入れてまで役所に残ろうとする人はごく少数
現行の制度では、原則として、61歳以降(60歳に達した日の後、最初の4月1日以降)は管理職に就くことができません。
部長であれ課長であれ、管理職手前の役職(いわゆる課長補佐など)に降格させられます。
正確には「管理監督職勤務上限年齢制」と命名されていますが、一般的には「役職定年」「役降り」などと呼称される仕組みです。
定年引上げが始まる前は、役職定年して職場に残留する高齢職員が発生するせいで人事ローテーションが乱れるのでは……という強い懸念がありました。
当時のインターネット上では
- 最近の平職員の仕事はデジタルツールありきなので、高齢職員がやるには無理があるのでは
- 「年上の部下」を持つことになる係長や課長の心理的負担が大きい
- モチベーションを保てるのか
などの不安が噴出していましたし、僕自身は前述のとおり、暇なポストを占領されることを危惧していました。
しかし実際のところ、僕の勤務先では、従前のとおり60歳で退職する人が多く、役職定年して組織に残る人はほとんどいません。毎年2~3人程度です。
そのため、職場が混乱するほどの影響は生じずに済んでいます。
やはりみなさん働きたくないんですね……
特例延長で部局長のまま残留する人はそこそこいる
一方、制度開始前はあまり想定していなかった事象が生じています。
「特例延長」の形で61歳以降も部局長として残留する人が複数発生しているのです。
前述のとおり、61歳以降の職員は原則として管理職に就くことができません。
ただ特例として、「職務の遂行上の特別の事情等がある場合」などには、引き続き管理職を務めることが認められています(地方公務員法28条の5)。
僕の勤務先県庁では、この「特別の事情等」が幅広に解釈されているようで、61歳以降も継続して部局長を努めている人が何人もいます。
定年引上げ開始前にも、再任用で部局長を務める人はいましたが、数年に1人というレアケースでした。
しかも人事部局としても本人としても本意ではなく、やむを得ない事情があって残留せざるをえなかったと聞いています。
しかし現在は、同時に複数の61歳部局長が存在しています。従前ではあり得ない状態です。
(特例という位置付けではあるものの)制度上61歳以降も部局長を務めることが認められるようになったので、適性のある人になるべく長く活躍してもらいたい……ということなのでしょうか?
部局長を卒業する年齢が引き上がっている一方で、部局長に昇進する年齢は変わっていません。
これまでは大体57歳くらいで部局長に昇進、3年ほど務めて60歳で退職……という流れだったのが、今では61歳まで部局長を務めるようになりました。
1人あたりの部局長経験年数が伸びている形です。
そのため、定年引上げ開始前と比べて、部局長ポストの交代が間違なく減っています。
部局長ポストが空かないので、部局長の手前(次長級)で60歳を迎える人が散見されるようになりました。
この人たちにとっては、文字通り「目の上のたん瘤」なんでしょうね……
さらに、次長級で足踏みをする人が増えている余波として、課長から次長への昇進も遅れています。
とはいえ、部局長に昇進する人は、従来どおりのペースでさくさく昇進していきます。
つまるところ、本庁課長まで昇進した人たちの間での競争が激しくなっているということなのだと思われます。
僕の勤務先特有の事情?
インターネット上では、定年引上げのせいで組織がぐちゃぐちゃになっているという悲鳴や怨嗟も散見されます。
僕の勤務先みたいに、大した影響を受けていないという自治体は、少数派のような気もします。
ひょっとしたら、僕の勤務先自治体に、なんらかの特殊事情があるのかもしれません。
ひとつ思い当たるのは、退職したOBOGのポスト(いわゆる天下り……)がいまだに残っている点です。3セクの理事などですね。
詳細は運用は知りませんが、次長級以上に出世すれば、どこかしらに回してもらえるように見えます。
降格して役所に残り平職員として仕事するよりも、こういうポストに転出するほうが優先されているのだと思います。
ただ、こういうポストも年々減っているので、今後も安泰というわけではありません。
これからどうなっていくのか、引き続き状況を眺めていたいと思います。
