キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

カテゴリ: 公務員の日々の仕事


どこの自治体の職員採用パンフレットにも「現役職員へのインタビュー」が載っています。
内容は様々ですが、「仕事のやりがい」「一日のスケジュール」「プライベートの過ごし方」あたりはどの自治体でも共通していると思います。

パンフレットの読者である公務員志望者にとって、一番関心のある情報は「一日のスケジュール」ではないかと推測しています。

「仕事のやりがい」はあくまでも職員個人の主観的な感想で人それぞれですし、「プライベートの過ごし方」も同様です。
「一日のスケジュール」のみ客観的事実で、入庁後の自分を想像するヒントになります。

しかし残念なことに、パンフレットに載っている「一日のスケジュール」はほぼ嘘です。
少なくとも、定時出勤・定時退社していたら確実にフェイクです。
採用パンフレットに載るような花形部署が定時勤務できるわけがありません。
(退庁時刻が20:00を過ぎているようだったら信用できます)

そこで、リアルな実例として、閑職県庁職員である自分の一日を紹介します。
暇さ具合でいえば、フルタイム勤務の平職員の中でも上位10%に入る自信があります。

出勤〜定時まで

定時(9:00)の20分くらい前には出勤して、地方紙とネットニュースに目を通し
  1. 自分の業務に関係あるニュース
  2. 職場内で話題になりそうなニュース
  3. 議員や公務員の不祥事(地方・国政問わず)
あたりをチェックします。

①②は入庁当時から続けているルーチンで、僕に限らずたいていの職員が実践しています。
 
③は今年に入ってから新たに加わった習慣です。
新型コロナウイルス感染症の流行以後、自分の担当業務に関係なく行政全般への苦情をぶつけられる状況であり、こういう情報を知らないと苦情主から「意識が低い」と更に叱責されるため、否応無くチェックしている状態です。 

定時内

9:00 業務スタート

まずはメールチェックから始めます。
だいたい夜のうちに5件くらいはメールが届いており、それらを読んでいきます。
自分の個人アドレスだけでなく、課の共有アドレスもチェックします。
 
「朝一のメールチェックはNG」と説くビジネス書もありますが、地方公務員の場合は始業時のメールチェックが不可欠です。
前日の定時後に発出→本日AM10:00期限の作業依頼のような急件がたびたびあり、こういう案件に限って重要だからです。

メールチェックの次は課全体のスケジュール確認です。
特に管理職の予定は必ず確認します。

地方公務員の仕事には、自分一人では完結せず、管理職の了承が必要なものがたくさんあります。
朝のうちに予定を確認しておかないと、「今日中にチェックしてもらいたいのに、午後から管理職が外出しててチェックしてもらえない、詰んだ」という事態に陥りかねません。

課全体の慌ただしさを把握しておくことも重要です。
もしかしたら急に応援を求められ、自分の作業ができなくなるかもしれないからです。

9:15 本日のタスクに着手

課全体のスケジュールを頭に入れた上で、本日のタスクを確認します。
一日の大まかな流れを決めて、優先順位の高い順に取り掛かっていきます。

本日の場合、真っ先にこなすべき案件は、本日17:00締切の調査ものです。
しかも16:00から来客のアポがあるので、実質16:00までに回答しなければいけません。 

定時内であれば、だいたい20分に1回くらいは電話がかかってきます。
よほどの急件を抱えていない限りは、作業の手を止めて電話に応じます。
メールも同様です。定期的にチェックします。

他の職員の書類決裁も、すぐに見て回すようにしています。
僕の手元に留めておくメリットが皆無だからです。

10:30 上司から急件

予定通り作業を進められる日なんて滅多にありません。
毎日少なくとも3件くらいは突発案件が舞い込んできます。
 
本日の1件目は上司から資料作成依頼。議員からの問合せに答えるため、過去のデータをまとめてビジュアル化します。
管理職のチェック・修正指示を経て、資料を仕上げる頃には午前が終わっていました。

12:10〜13:00 昼休み

ちょっと遅れて昼休みに入ります。
自席で昼食(仕出し弁当)をいただき、愛読しているブログ類をスマートフォンで読んでから、仮眠に入ります。

13:00 国からの通知文を読む

午前中の急件対応中、国から通知文が届いていました。突発案件2つ目です。
どうやら僕の担当している制度の運用ルールが今後変わるようです。
幸いにも大した変更ではないので、特段上司には説明せず、通知文を課内供覧に回します。

13:30 作業再開

本日のタスクを再開します。順調にいけば定時内に終わりそう。

14:00 他課から突発案件

本日3件目の突発案件。他課(A課)から、とある資料を至急提供するよう、電話で依頼されました。
個人情報もりもりのデータのため、そもそも他課に提供していいものか僕単独では判断できません。
「課内で検討したい」と回答して一旦電話を切り、係長に相談。
係長的にはOKだが、念のため課長にも相談することになり、課長に諮るための簡単な打合せペーパーを作成。

14:30 課長にヒアリング

先の急件について課長の意向を伺います。
課長的にもOKだが、どうしてA課が突然そんなデータを求め始めたのか、その背景を気にしている様子。
 
まともな職員ならA課から依頼があった時点で違和感を察して背景を尋ねておくべきところ、こういうところで気が利かないから僕は出世競争早々脱落なんだよなーと反省しつつ、ヒアリングから離席してA課担当に電話。
結果、「部長からオーダーされた」との一点張りで、明確な答えは貰えません。
 
明らかに怪しいので、A課に対しては「個人情報なので絶対に庁内限り、職員のみ閲覧可」という条件を強く念押しして情報提供することになりました。

こういう仕事が、公務員がよく言う「調整業務」の一例です。

15:30 作業再開

今日やるべき作業に三たび着手します。
午前中に仕上がるはずだった17:00締切の調査ものすら、まだ出来ていません。
さすがに焦って作業します。

眼精疲労と空腹を感じ始める頃合いで、作業効率が落ちてきます。 

16:00 打合せ

X市役所の担当者が来て、来年度からの新規事業について説明を受けます。
財政的支援を求められますが、そんなものは無いと回答。

残業タイム

17:45 定時終了

あと少しで全タスクを終えられそうなので、そのまま残業に突入します。
定時を過ぎると電話が減り、作業効率が上がります。

18:00 作業依頼メール

他課(B課)からの作業依頼メールが届きました。4件目の突発案件です。
期限は明日AM10:00。作業量自体は大したことないものの、課長の確認が必要です。
本日中に仕上げて、明日の朝一番に課長に見てもらうことにします。


18:45 本日の作業終了

もともと予定していた本日のタスクを完了。
B課から依頼された作業に移り、こちらも完了。
明日マストのタスクをメモして、机の上とデスクトップを整理して、さっさと退庁します。

普通はもっと忙しい

繰り返しになりますが、これはあくまでも閑職のケースです。
90%のフルタイム勤務職員はこれより忙しいです。
忙しい部署だと突発案件がもっと増えるうえ、しかも締切の短い急件ばかりなので、一日中ずっと急かされているような状態になります。

公務員志望の方で、この一日を見て「思ったより忙しそう……」と思うなら、考え直したほうがいいかもしれません。



押印廃止に後押しされているのか、役所のペーパーレス化も最近よく話題に上ります。
僕自身、毎日たくさん紙を消費することに心を痛めており、はんこと同じく紙の使用もどんどん減らしたいところです。

しかし、役所が全面ペーパーレス化するにはたくさんの課題があり、押印廃止と比べても圧倒的に難しいと思います。
中でも深刻なのは、ペーパーレス化により不利益を被る人(デジタルに疎い住民)が大勢いる点です。
総務省作成の資料によると、65歳以上の年代でインターネットの利用率が非常に低く、約半数が「使いこなしているとはいえない」とされています。
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インターネットを一切使わずに住民サービスをペーパーレス化するのは、現実的ではありません。

となると、インターネットに疎い層にとっては、ペーパーレス化のメリットはありません。むしろ既存の紙ベースのサービスが縮小されて不便になるでしょう。

つまり少なくとも65歳以上の約半数(総務省資料によると約1247万人)が「サービスの劣化」を感じることになります。
高齢者のほうが政治的影響力が強いことを踏まえると、かなり強烈な反対運動が巻き起こるでしょう。

そのため、対外的なサービスも含めた全面デジタル化は当面不可能だと思います。
ペーパーレス化するなら、まずは庁内だけで完結するプロセス(決裁、会議など)を先行させることになるでしょう。

ペーパーレス化そのものには僕も賛成で、できるところから進めていけばいいと思っています。
ただどうしても懸念が拭えない点があります。

目が疲れる

ペーパーレス化が進んだとしても、地方公務員の仕事そのものが変わるわけではありません。
相変わらず役所内に篭り、資料作成や書類のチェック、会議や打合せをこなしていくことでしょう。

資料作成は既にほとんどパソコン作業なので、大きく変わるのは書類チェックや会議です。
従来は紙媒体に出力していたものがデータになり、画面上で見ることになります。

つまり、これまで紙を眺めていた時間は、そのまま電子機器の画面を眺める時間になります。

めちゃくちゃ目が疲れそうだと思いませんか?

近い将来、地方公務員の適正に「眼精疲労耐性」が挙げられる日が来るかもしれません。

イージーミスで怒られる案件が増える

下っ端公務員の重要な仕事に「紙資料のデータ化」があります。

外部から受領した紙資料をスキャンしてPDF化したり、必要な部分だけエクセルファイルに抜粋・転記したり……

仕事自体は単純作業そのものであり、誰でもできます。いずれはRPAによって置き換えられるでしょう。
しかし、のちのちの判断の基礎となる元データを整備する作業であり、決して間違ってはいけない重要な仕事です。
単純作業ゆえにケアレスミスも発生しやすく、かなり厄介な仕事でもあります。

僕自身、幾度となく数字転記ミスをやらかして叱責されてきました。
議会答弁の訂正まで発展したことも一度だけあります。軽いトラウマです。

役所内のペーパーレス化が進めば、外部から受領した紙資料をそのままコピーして使うことが減り、スキャンなり抜粋転記なりの一手間を加えてデータ化する作業が増えるでしょう。
つまり、下っ端職員にとっては、イージーミスを起こしやすいうえガン詰めの原因にもなる厄介な仕事が増えるのです。


紙の使用量を減らすだけでも勿論成果だとは思いますが、紙を減らした結果かえって不便になるのは勘弁願いたいです。

手当たり次第なんでもペーパーレスするのではなく、まずはドキュメントの寿命を基準に優先順位をつけたほうがいい気がしています。
  • 寿命が短い、つまり短期間しか使わなかったり、単発での使用に止まるものは、どんどん電子媒体に置き換えていく。(例:会議資料、報告資料)
  • 寿命が長い、つまり長期間にわたり何度も使うドキュメントは、紙媒体での保有も認める。(例:マニュアル類)

僕単独で完結する業務は、当面この基準で運用してみようかと思っています。


「公務員は苦情対応が大変」という意見をよく見かけますが、今の時代、働いているなら誰しもが苦情対応に頭を抱えていると思います。
公務員だけが特段大変だとは思いません。
 
とはいえ役所ならではの苦情の特徴があり、そのせいでスムーズに処理できなかったり、苦情主・対応側ともに余計なストレスを感じていることも事実だと思います。

顧客数=潜在的苦情主がものすごく多い

役所の顧客(行政サービスの利用者)は、少なくとも域内の全住民です。
観光や移住、広報など域外住民をターゲットにした施策もあり、実際はさらに増えます。
民間サービスでこれほど多くの顧客を抱えているものは、そうそうありません。 配達業やインフラ関係くらいでしょうか?

顧客が多いほど苦情の量は当然増えます。
ただし役所の場合、幸か不幸か、大半の顧客は普段は行政サービスに対して無関心です。
そのため、平常時は、顧客数の割には苦情が少ないほうだと思います。

しかし、顧客は皆、潜在的には苦情主です。
何かあれば全員が苦情主になりえます。
つまり役所は、膨大な数の潜在的苦情主を抱えており、有事の際にはものすごい数の苦情を受けうるのです。

苦情主のステータスがバラバラ→苦情内容もバラバラ

役所の顧客には、ステータスのばらつきが非常に大きいという特徴もあります。
何しろ域内の全住民が顧客です。
年齢、所属、職業、社会的地位……あらゆる要素において、上も下もきりがありません。

同一のトピックであっても、ステータスが異なれば、抱く意見は異なります。
苦情も同様です。
とあるひとつの行政サービスに対する苦情であっても、苦情主のステータスによって中身は大きく異なります。
つまり役所は、抱えている顧客の幅が広いために、受ける苦情の中身も幅広いのです。

例えば街路樹の消毒。
  • 近隣住民は「消毒しなければ毛虫が湧いてくる、すぐ消毒してくれ」と要望します
  • エコ団体の方々は「毛虫がいないと生態系が乱れる」と声を張り上げます
  • 観光客は「消毒業者が邪魔だから中止しろ」とSNSで表明します
  • 消毒業者の業界団体は「夜間作業は労災の温床、危険だから禁止してくれ」と陳情します

いずれの苦情にしても無下にはできません。誰もが重要な顧客だからです。
応じるかどうかは別にして、一旦は聞き入れる必要があります。

苦情主のステータスや苦情内容の幅が広いと、対応のマニュアル化が難しくなります。
そもそもどんな事案がありうるのか想定しきれないのです。
そのため事前の備えが不完全にならざるを得ず、アドリブ的な対応がどうしても必要になります。

苦情を言われても応じられないケースが大半

僕の経験上、住民からの苦情に完璧に応じきったことは一度もありません。
一部対応するだけに止まった案件がちらほら、大半は諦めてもらっています。

もちろん面倒だから拒絶しているわけではありません。
内容的に応じられないため、泣く泣くお断りしているのです。

対応できない苦情の中でも特に多いのは、法令や全国的制度への苦情です。
いずれも自治体にルールの変更権限は無く、自治体はあくまでも運用するだけの立場です。
いくら苦言を呈されても変えられません。
別の言い方をすれば、地方自治体や地方公務員は本来自分には責任の無いはずの事案で悪者扱いされがちとも言えるでしょう。
「自分は何も悪く無いのにどうして罵倒されてるんだろう……」という戸惑いを、自治体職員であれば誰もが経験していると思います。

行政は本質的に執行機関であり、物事を決める立場ではありません。
特に地方自治体は、住民が想定するより裁量の幅が狭いものです。

執行過程での不手際に対する苦情であれば当然役所が責任をもって対応しますが、法令や制度そのものや、ある事業のやる/やらないの判断など、役所ではなく議会(ひいては住民)が決めたことに対してまで苦情を言われても応じきれません。
むしろ、苦情主一人を尊重して法令・議決を勝手に覆すような行いは、その住民による独裁にほかなりません。あってはならないことです。

Go toキャンペーンの運用変更や、困窮世帯に30万円給付→国民全員に10万円給付への変更など、政府が民意に追従したように見える事案が最近いくつかありました。(実態はどうか知りません)

これらを成功体験と捉えて「住民が強く訴え続ければ役所を変えられる!!」「役所が折れるまで叩き続けよう!!!」と意気込んでいる方が増えているように思います。
自治体の独自事業なら変わる可能性はありますが、生活保護のような法令に基づいて全国一律で運用している事業は、自治体をどれだけ叩こうが変わりようがありません。

これから当面、こういう「自治体ではどうしようもない苦情」をぶつけてくる方が増えるような気がして、ちょっと憂鬱です。

断ってばかりだけどメンタルは保ちますか?

地方自治体に寄せられる苦情の多くは、先述したような法令・全国的制度への苦情であり、自治体ではどうあがいても応じられない案件です。
そのため、地方公務員の苦情対応業務の大半は、苦情を聞いたうえでの説得です。

  • 「その苦情には応じられない」というメッセージを、いかに明確かつ穏便に伝えるか。
  • 相手のステータスを敏感に察して、ふさわしい言葉と仕草・態度を選べるか。

これが地方公務員の苦情対応の基本だと思います。

こういう苦情対応のスタンスは、ある意味楽です。
「いかに引き下がってもらうか」だけに集中すればよく、弁償の方法のようなアフターフォローを考える必要が無いからです。

一方、このスタンスが苦痛で仕方ないという方もいるでしょう。
苦情に応じないということは、別の見方をすれば、困っている人を見捨てることでもあります。
公務員を志す方は多かれ少なかれ「人助け」に関心があるはずで、眼前の嘆願者を見放すことに罪悪感を覚えるでしょう。
それでも割り切るしかありません。これが公務員という立場です。

苦情対応の場面では、多数=公益(秩序)のために、眼前の一人を見放さざるをえないケースが多数あります。
心の中で割り切って公益を優先できるかどうかは、公務員適正のひとつだと思います。


どんな仕事に就こうとも苦情対応からは逃れられません。
「苦情対応が嫌だから公務員は止めておく」という判断に意味は無いと思います。
それよりも「断ってばかりだけど罪悪感に耐えられるか」という観点で考えたほうが有益でしょう。


新年一発目の記事から陰謀論をお届けしていきます。

広報担当者にとって、今年は地味に大変な一年になりそうだと思っています。
カネとネタに飢えたマスコミ(テレビ局・新聞社)が役所に群がってきそうです。

役所から広告費を絞りたい

マスコミの経営状況は思わしくありません。
特に広告収入の落ち込みがひどいようです。

株式を上場しているテレビ局の決算短信では、真っ先に「広告収入の減少」を訴えています。
新聞社は非上場なので詳細はわかりませんが、「広告収入が減って厳しい」と報道されています。


『鬼滅の刃』最終23巻の発売に合わせ、2020年12月4日の全国紙5紙(朝日、読売、毎日、産経、日経)の朝刊に、作中キャラクターの登場する広告が掲載されました。

漫画や映画の宣伝のため大々的に新聞広告を打つという宣伝方法自体は珍しくはありません。
ただ、『鬼滅の刃』でやるとは想像だにしていませんでした。

原作コミックスを最後まで読んだ方ならわかると思いますが、本作の終盤には新聞社的に絶対認められないであろう(「こんな展開を子供たちに読ませてはいけない」とか言って叩くほうが自然な)シーンがあります。
 
新聞社としての思想を捻じ曲げてまで広告収入が欲しかったのだろうと思わざるを得ません。
 


テレビ局の決算資料によると、広告収入減少の原因は、新型コロナウイルス感染症(以下「新コロ」)による経済活動の停滞です。
これまで広告を打ってくれていた民間企業が、新コロのせいで経費節減に走ったり、広告したいモノ・サービスをうまく生産できていないせいで、広告を打たなくなっています。
つまり、広告への需要が縮小しています。
 

この状況は日本全国どこの地域も変わりませんし、全国メディア・地方メディアともに直面している苦境だと思います。

羽振りの良い唯一のセクター=行政

経費節減ムードが蔓延する中、行政だけは例年になく金遣いが荒いです。
国では「持続化給付金」「Go toキャンペーン」のような超大型事業を立て続けに展開していますし、自治体でも独自の給付金やクーポン券事業などを行なっています。

あまり報道されませんが、自治体には「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」というお金が国から交付されています。
使用用途は幅広く、自治体の判断でかなり自由に使えます。
もちろん広報にも使えます。


役所攻めがローリスクハイリターン

  • とにかく広告収入が欲しい
  • 民間企業よりも行政のほうが資金的余裕がある
となれば、行政から広告収入を得ようとするのが自然かつ成功率の高い戦略です。
しかも超簡単です。広告が無くて空いている時間や紙面を使って、「住民に伝わってない、もっと広報しろ」とひたすら殴ればいいだけです。

実際、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」のうち相当な額が、既にマスコミに流れているんじゃないかと思っています。

もちろん、広報は重要です。
しかし、「テレビのスポットCM」や「新聞広告」のようなマスコミ経由の広報のほかにも、手段はいろいろあります。
マスコミに言われるがまま広告を打っていたら、それこそ無駄遣い極まりないです。

役所からネタを絞りたい

去年の年末に、総務省から「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」という資料がリリースされました。

自治体ごとの職員給与月額のラスパイレス指数などが掲載されている資料で、一部の層を除いて面白いものではありません。
しかし、僕の住む地域の地方紙では、この資料の中身を膨大な紙面を割いて解説していました。

思うに、記事のネタが枯渇しているのでしょう。

経済活動が停滞すると、マスコミが報道で取り上げる「ネタ」も減ります。
ニュースのネタになるには何であれ「動き」が必要です。動きが無ければネタは生まれません。

一方、役所は、むしろ平時よりも活発に動いていて、安定してネタを生産しています。
しかも最近は新コロのせいでいつになく行政の動きに関心が集まっており、どんなネタであれ反響を期待できます。
つまり、役所の動きに注目していれば、「それなりに受けるネタ」が安定的に見つかるのです。

役所側としては、自分たちの一挙手一投足がネタにされかねないという実情と、マスコミの監視の目を意識する必要があると思います。

これまで一度もマスコミに取り上げられたことのないようなマイナー事業こそ注意が必要です。
もし取材されたらどういうふうに紹介するのか、念入りに吟味しておいたほうが無難でしょう。
今の不安定な情勢下では、不用意な発言は命取りです。

マスコミは営利企業

カネとネタを求めるマスコミの猛攻は、2020年から既に始まっている流れなのでしょうが、今年はより一層過激になると思います。
対立路線で挑んでくるところもあれば、協調路線を敷いてくるところもあるかもしれません。
いずれにせよ真剣です。

マスコミは営利企業です。利益最優先で動きます。
よく「民意」「道徳」「倫理」のような高尚な概念を持ち出してきますが、これらを武器として使えば利益が出るからやっているだけです。これらの概念に遵奉したいわけではありません。

自治体の広報担当者は、例年になく強烈なマスコミからの外圧と対峙することになるでしょう。
まずは何より「相手は営利企業、利益のため打算的に動いている」「結局は広告収入とネタを欲している」ことを念頭に置き、冷静に対応したほうがいいと思います。

 


去年の12月は「#忘年会スルー」というハッシュタグが流行り、ネット上では大喜利合戦が繰り広げられていました。
このハッシュタグとともに恨み節をこぼしていたアンチ忘年会派の方々にとって、今年の自粛ムードは如何なものなのでしょうか?
心から清々している人もいれば、なんだかんだ物足りない人もいるのでは?

僕の職場でも忘年会は勿論ありませんし、そもそも今年は一度もオフィシャルな飲み会がありませんでした。

ただ、新型コロナウイルス感染症が収まり次第、飲み会はすぐに復活すると思っています。
田舎だと役所はかなり巨大な組織であり、役所の飲み会は業界にとってそれなりに大きな収入源です。
そのため、役所が恒久的に飲み会を開かなくなれば、業界にとってかなりの痛手になります。
「役所が率先して地域経済を回すべき」のような論法を以て、議員などの有力者から圧力が加わり、飲み会を再開していくことになると予想しています。

飲み会の中でも忘年会は特に規模が大きく、参加するかどうかの判断も悩ましいところです。
そのため、コロナ収束後は再び「#忘年会スルー」が話題になると思います。

役所が忘年会を再開するのが果たしていつになるのか、今のところは見当がつきません。
忘れてしまう前に、役所の忘年会の特徴を記録しておきます。

年末年始とは限らない


役所の中には、年末こそ忙しい部署もあります。
例えば財政課。12月は来年度当初予算編成の真っ盛りで、年末年始含めて休んでいる暇はありません。
雪が降る地域であれば、除雪を担当する出先の建設事務所や、本庁の防災・危機管理担当部署も大忙しです。

これらの部署では、忙しくなる前の時期(10月頃)に、忘年会を済ませてしまいます。
理由は後述しますが、「やらない」という選択はほぼあり得ません。時期をずらして極力開催します。

「役所だ」とは名乗らない


予約する際には、決して公務員であることを明かしません。
架空の団体名を使うか、幹事の名前だけを伝えます。

宴席でのトラブルや、後々のクレームを予防するため、「公務員が飲み会を開いている」という事実を極力隠したいのです。
 
一部住民にとって、公務員の忘年会は不愉快極まりないものです。
彼ら彼女らにとって、公務員の飲み会は税金の無駄遣い、生活保護受給者がギャンブルするのと同じ扱いです。
「酒が飲めるくらい余裕があるなら給料下げて、その分税負担を軽減しろ」というロジックなのでしょう。

こういう方々に忘年会が見つかってしまうと、その場で悪態を吐かれたり、後日人事課にクレームが入ったりします。
せっかくの宴席が台無しですし、お店にも迷惑をかけてしまいます。


特に宿泊付きの場合、旅館の入り口に「〇〇役所△△課ご御一行」みたいな予約プレートが下げられてしまったら、確実にトラブルに発展します。
そのためよく「〇〇会」のような架空団体名を使います。
幹事のネーミングセンスが問われます。



僕自身、数年前の忘年会にて、おじさん集団に怒鳴り込まれたことがあります。
「役所の分際で飲んでるんじゃねえ!」と激昂するおじさん達を、同席していた別職員がうまくなだめてくれましたが、もし僕しかいなかったら暴力沙汰に発展していたかもしれません。普通に怖かった。

住民絡みの宴会トラブルは、市町村役場のほうが多いと聞きます。
特に選挙前後は感情的に刺々しくなりがちなので、仕事の話は徹底的に避けて身バレを防いでいるようです。


新規開拓には及び腰 


忘年会に限らず、役所の飲み会は、過去に使ったことのある店、いわば「安全な店」を使い続けます。
これまで利用したことのない店を使う場合には、その店の関係者を洗ったり「別の部署がその店で過去に飲み会を開いた事例」を探したりと、いろいろな下準備が必要です。


例えば最近オープンしたばかりの店舗であれば、店舗の公式サイトやSNSアカウントを遡って、オープン当時の画像を探して、開店祝いの胡蝶蘭や花輪の贈り主を調べます。
ここから関係者を洗い出していくのです。

飲食店にしても宿泊施設にしても、政治色を帯びているケースが多々あります。
経営者が政治団体に所属していたり、組合がものすごく強かったり、大株主に議員がいたり、そもそも経営者が議員一族だったり……

政治色のある店舗を公務員が利用すると、「公務員がこの店舗を利用した」という事実を政治利用されかねません。
あとあと面倒な事案に発展しうるので、極力避けたいところです。

経営者がアンチ行政なために、公務員の入店を嫌がるケースもあります。
ただし前述のとおり、予約時点では「役所です」と名乗らないため、事前に弾くことができません。
そのため飲み会当日に初めて公務員を招き入れてしまったと判明するパターンが多いです。

常連客にアンチ行政な方がいる場合にも、経営者としては公務員を遠ざけようとします。
かつて観光の仕事をしていた頃、地域の飲食店から「公務員に敷居を跨がせてしまったせいで『店の格が落ちた』と叱責され、常連さんが離れてしまう(だから行政のイベントには出店できない)」という懸念を何度も聞きました。



新規開拓には入念な事前調査が必要で、かなり面倒です。
しかもスキャンダルやトラブルの危険が伴います。
そのため、定番の店を使うほうが楽かつ安心なのです。

政治的事情からは結局逃れられない


役所側としてはなるべく政治からは遠ざかりたいところですが、相手はそんな呑気ではありません。
役所という金づるを自陣営に引き込むべく、9月頃から「この店を使ってくれ」「この旅行代理店を使ってくれ」という営業活動が始まります。

政治に屈するか否か、屈した場合どの政治家案件を採用するかは、管理職次第です。





今年は「飲み会」から強制的に距離を取らされたことで、「自分にとって飲み会とは何なのか?」と自省する良い機会になったと思います。
僕はコミュ障陰キャなので、飲み会は少ないほどありがたいです。正直今年は快適でした。

年齢的にそろそろ幹事を任される頃合いなので、当面自粛ムードが続いてくれないかなと期待もしています。無理な望みでしょうが……


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