キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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カテゴリ: 公務員の仕事道具

札幌市が公費で名刺を作成するとのニュースがあり、SNS上で盛り上がっていました。



自治体職員の名刺自腹問題は、弊ブログの開設当初に取り上げています。




この記事、書いてから6年経過するにもかかわらず、いまだに安定して閲覧されています。
それだけ多くの職員が「名刺の自腹負担」に違和感を抱いている現状がうかがえます。

仕事で名刺を使う、つまり名刺が公務に必要なツールであるのなら、その作成費用を個人が負担することには合理性がありません。民間企業では名刺は会社負担が一般的であり、自治体においても公費で作成するのが自然な流れでしょう。
札幌市以外でも公費負担に切り替える自治体が増えていますし、今後ほかの自治体でも、積極的に見直す動きが生じるのではないかと思います。

一方で、僕の勤務先自治体では、過去の監査(某士業団体が主導した外部監査らしい)で「名刺の公費負担は認められない」と判断されたことを根拠に、公費負担しない方針が維持されています。
公費負担への方針転換=士業団体の権威を損なうことにつながりかねず、当面は舵を切れないんだろうなと思います。

今回の札幌市の取り組みが、他の自治体にも波及し、公費負担が当たり前になる日を心待ちにしています。
しかし一方で、名刺を公費負担で作成するようになった場合、新たな種類の住民トラブルが発生するのではという懸念もあります。

求められると断れない?

近年、職員のプライバシー保護やカスハラ対策のため、普段身につけている名札を簡略化する動きが広がっています。
とはいえ住民の立場からすれば、後々トラブルになった際の保険として、職員のフルネームは是非とも把握しておきたいと思うのが当然の心理です。
実際、公文書開示窓口や図書館で職員録の開示を求めたりして、別の方法でフルネームを調べる方が増えているとも聞きます。

このような背景を考えると、今後は職員のフルネームを把握するための手段として、住民から名刺を求められるケースも増えていくと思われます。

名刺には、フルネームの名前よりも明かしたくない情報(メールアドレスや直通電話番号)まで記載されていますし、さらにはSNS等に晒されて個人攻撃につながるリスクも孕んでいます。

そのため、名刺を渡す相手はなるべく選別したいのが本音です。相手から名刺を差し出されて「交換」するならまだしも、職員側から一方的に名刺を渡すのは極力避けたいところです。

名刺を差し出すよう要求された場合、私費負担(作成するかどうかは職員の判断)であれば、「作っていません」「あいにく今切らしています」で逃げることができます。

しかし、公費負担になるとこの言い訳は使えません。
特に、いくつかの先進自治体のように、名刺を「広報ツール」として位置付けてしまうと、名刺は公共施設のパンフレット等と同じく「積極的に配布すべき公式な印刷物」になるわけで、「作っていません」「切らしています」という回答は、行政の不手際とみなされる可能性が高いです。

かといって正直に「お渡しできません」と返答する、つまり「渡さない」という判断を職員が下す形になると、間違いなく住民の反感を買うと思います。
公費で印刷している以上、「なぜ渡さないのか」を説明する責任も発生するでしょう。

いずれにしても、名刺を渡さないことで、さらなるトラブルを招くおそれがあると思います。

杞憂であることを願うばかり

自治体における名刺の公費負担は、公務の効率化や公平性の確保という観点から重要な施策だと思います。
その一方で僕は、住民とのトラブル増加を懸念しています。

僕自身、これまで幾度となく、怒れる住民から名刺を出すよう要求されてきました。
「お前の態度が気にくわない、SNSに晒すから寄越せ」と明示的に言われたことすらあります。
そのたびに「うちの県では名刺作ってません」という弁明で逃げてきました。
もしこの言い訳が使えなくなったらと思うと相当厳しいです。

既に公費負担に踏み切った自治体では、こういうトラブルは発生していないのでしょうか?
実際のところどうなのか気になるところです。

先述したとおり、僕の勤務先貴自治体ではまだまだ名刺自腹負担が続きそうなので、他自治体の動向を注視していきたいと思います。

【2025/2/11追記】
もし公費で名刺を作成するとなった場合、もしかしたら名刺も公文書扱いになるんでしょうか……?

少なくとも、名刺を発注するために印刷会社に渡したデータは公文書になるはずなので、わざわざ職員に名刺を要求しなくても、「印刷会社との間で作った入稿データ」を公文書公開請求すれば、職員のフルネーム・直通電話番号・メールアドレスが簡単に一式揃うのでは……?

僕の勤務先県庁では、2年前くらいからチャットツールを導入しています。
導入当初はいろいろトラブルが相次いだらしい(僕は外部機関に出向していたので詳細知らない)のですが、今となっては無くてはならないコミュニケーションツールとして重宝されています。

従来ツールの間隙を埋めてくれる

これまでの役所内コミュニケーションツールには、電話メールがありましたが、どちらも問題を抱えていました。

電話は言わずもがな、相手の時間を奪ってしまうという問題があります。
緊急の場合には有効な手段ではありますが、些細な用件でも電話をかけると、相手に時間的・精神的な負担をかけてしまいますし、なかなか電話がつながらないせいで時間のロスが発生するとか、うっかり電話するのを忘れていて手遅れになるなどのトラブルも発生していました。

メールを使えば、相手の時間を奪わずに済むものの、今度はキャパシティの問題が生じます。
メールボックスの容量が小さくてすぐにパンクしたり、添付ファイルの上限が小さくてやりとりできるデータの容量に限度があったり……メールというツールそのものの問題ではありませんが、職員向けの設備投資に割ける予算がごくごく限られる地方自治体組織において、メールシステムのキャパシティ不足は如何ともしがたい問題です。

そこでチャットツールが登場し、電話とメールの利点を兼ね備えたコミュニケーションが実現しました。
チャットなら、リアルタイムで双方向のやりとりができ、相手に過度な時間的負担もかけません。
添付ファイル容量の大きさも随分改善されました。チャットシステム自体が目新しいサービスなので、デフォルトでキャパシティが大きいです。
内部のやりとりはチャット、外部とのやりとりはメール……という形で使い分けることで、メールボックスがパンクすることも減りました。

従来も、電話やメールの代わりに手書きメモでコミュニケーションをとる職員数が一定数いましたが、チャットはこれに近いと思います。

職員の意識改革

チャットシステム導入の副次的効果として、職員のコミュニケーションに対する意識の変革という効果もありました。

従来は、個人個人が使い慣れた方法でコミュニケーションをとる傾向がありました。
会議をたくさん開く人、とりあえず電話をかける人、メールを重んじる人などです。

僕自身、極力メールで万事こなそうとするタイプでした。
僕は忘れっぽいので何事も文章に残しておかないと不安になりますし、かつ庁内でも自分は比較的暇なほうなので、電話で相手の時間を奪いたくありません。
我ながらこの方法は悪くないと思っています。ちゃんと文章に残しておいたことで後々助かったことも多いですし、文句を言われたこともありません。

ただ、メールを作文する時間が長くなり過ぎて、効率が悪かったことを反省しています。
1通のメールに1時間以上かかることもザラでした。

僕はちゃんと目的を持って意識的にメールばかり使っていましたが、実際のところ、先述したような各コミュニケーション手段の一長一短を意識している職員は少数派だったと思います。
そんな中、チャットシステム導入は、各職員が「コミュニケーションとは何か」を立ち止まって考える良い機会となりました。
チャットという新しいツールを使う中で、従来のツールの特徴を見直すことになり、「電話は相手の時間を奪う」などの基本事項にようやく気付いてきたのです。

コミュニケーションツールごとの特徴に意識が向いた結果、コミュニケーションの目的や分量、関係者人数などの条件を踏まえ「どの手段を取るのが最も効率的なのか」を都度考える習慣が生まれつつあり、適切なコミュニケーション手段が選択されるようになってきています。

ネチケットの復活?

一方、チャットツールにまつわる問題というか課題も生じています。

まず、謎のチャットマナーを主張する職員の出現です。
出典不明のルールを持ち出してきて、「その使い方は失礼じゃないか」みたいな指摘をしてきます。

最近見かけたものは、以下のような感じです。
  • 体裁の指定(1行○文字まで、1投稿あたりの行数上限、句読点の打ち方)
  • 添付ファイルの種類に制限を設ける(PDFしか投稿してはいけない 等)
  • 未読時間の上限(○分以内に既読をつけるのが常識 等)
  • 目上の職員にチャットするときは事前に電話すべき

このようにネチネチ指摘してくる職員がいるので、特に若手を中心に安全策を取る人が増えています。
  • 「お世話になっております。○○課の△△です。」などの定型挨拶文から入る
  • 本文はガチガチに公文書ルールを遵守(送り仮名、1行の文字数など)
  • 締めにも「よろしくお願いします。」などの定型文を入れる

つまるところ、外部に送るようなメールと同じような作法で、文章を作文しています。
そのせいで本文よりも定型文のほうが長くなることもしばしばあり、せっかく即時性あって手軽なコミュニケーションがとれるというチャットの利点を損なっている気がしています。
(僕がこのような主張すること自体、「謎のチャットマナーを持ち出す」行為にほかならないわけですが……)

事実上の週7日勤務になるのか

もう一点、労務管理上の懸念も払拭しきれません。

月曜日に出勤すると、休日出勤していた職員からだいたい5~10件ほどチャットが入っています。
僕の勤務先県庁では今のところ、ライセンス数の都合上、一部の職員しか私用のスマートフォンにチャットシステムを入れておらず、「休日はチャットを確認できない」という前提があります。
そのため、チャットツール導入後にありがちな「休日にも仕事の指示が飛んでくる」という事態にはまだ陥っていません。

ただ、これから順次、全職員の私用スマートフォンにチャットシステムを入れられるようライセンスを追加調達する予定らしく、そうなれば、ひょっとしたら休日でも仕事を押し付けられるのではないかという懸念が生じてきます。

すでにチャットシステムを入れている職員に確認したところ、既に「月曜日でいいから対応してほしい」という指示がたびたびあるとのこと。

発信元としては休日出勤を強いる意図は全く無いのでしょうが、しかしこの場合でも、受信側としては、通知が届いた時点で中身を確認しなければいけません。
休日に対応しなければいけない急件なのか、週明けで十分な案件なのか、チャット本文を見ないと確認できないのです。

実際の作業までは求めなくとも、このような確認作業を強いている時点で、れっきとした「仕事の押し付け」ではなかろうか……と思ってしまいます。

先日職場にて、後輩職員たちが勤務環境の悪さを愚痴りあっていました。
彼ら曰く、「県庁は10年前から何も変わっていない」とのこと。

彼らはせいぜい入庁5〜6年目で、10年前の勤務環境を経験しているわけではありません。
言葉のあやというか、きりの良い数字ということで「10年」という年数を持ちだしたのでしょう。
ゆえに、「10年前」の姿を誤認していても仕方ありません。

しかし、それにしても……「10年前」の認識が甘すぎます。
10年前の県庁は、彼らが想像しているよりももっとずっとひどかったです。

「いや10年前はさぁ……!」という老害ツッコミを入れたくなるのをその場では必死に堪えましたが、結局モヤモヤが治らないので、以下発散させてもらいます。


OHP(オーバーヘッドプロジェクター)

大人数の前で何らかの発表を行う場合、今ならパソコンをプロジェクターに繋いでスクリーンに投影するのが一般的でしょう。
最近はこの方式すら時代遅れになりつつあるかもしれません。

僕が入庁した当時は、OHPを使うのが主流でした。
透明なプラスチックのフィルムに光を当てて、紙芝居のように投影するアレです。
長時間使っていると熱を帯びてきて、独特の匂いを放ち始めるんですよね。

奇しくも入庁2〜3年目くらいにOHPからプロジェクターへの置き換えが進展して、これまでOHPだった資料が一気にパワーポイント化されていきました。
僕自身、OHP資料を作ったのは最初の1年目だけです。

今から思い返してみると、OHP資料を作るのは本当に面倒でした。

OHPを使うには、発表資料をフィルムで1枚1枚用意する必要があります。
特別な印刷機を使う必要があり、手間も費用もかかります。
フィルムがけっこう高価で、しかもインクがうまく乗らなかったりして印刷ミスが多発するんですよね……

そのため、一部分だけ更新したい場合は、印刷し直すのではなく手書きで修正したり、修正箇所だけ印刷して切り貼りしたり……手先の器用さを求められました。

あと、「色を濃くしすぎるとうまく投影されない」とか、「細かい部分は印刷よりもペンで塗ったほうが綺麗に仕上がる」とか……いろいろなテクニックも必要でした。

パワポであれば数秒で済む作業に、相当な時間と労力をかけていましたね。

docx・xlsx・pptx禁止令

MicrosoftOfficeのファイルには、「docx・xlsx・pptx」のように末尾に xがつくものと、「doc・xls・ppt」のように末尾にxがつかないものがあります。
前者はOffice2007以降のバージョン、後者は2003以前の古いバージョンです。

エクセルの条件付き書式がxlsだとうまく動作しなかったりと、末尾にxがついているほうが機能が充実しているので、最近は普通はこちらを使っています。

僕が入庁した当時(2013年)は、末尾にxがつく形式でのファイル作成は厳禁でした。
庁内のパソコン更新が進んでおらず、xがつく新しい形式だと開けない職員が多発するからです。

役所内のみならず世間的にも「xがつく新しい形式は一般的ではない」という認識が強く、申請書のような書類様式をdocx形式でホームページにアップしてしまった日には、苦情の電話があったものです。

今となっては誰も気にしていないでしょうし、誰も覚えていないでしょう。
当時、苦情を食らった当事者でもない限り……


タバコ痕だらけの机

執務室内の机や椅子がボロいのは今も昔も変わりませんが、机に関しては10年前よりも随分改善されています。

僕が入庁した当時、執務室内の机にはたいてい焼け焦げた跡があり、凹凸がありました。
原因はタバコです。
執務室内でも自由に喫煙できた時代に、灰を落としたりして机を焼いてしまった痕跡が、ありありと残っ
ていたのです。

僕が入庁した頃には、すでに分煙が徹底されていて、各フロア設置された喫煙室以外では完全禁煙が達成されていました。
それでも先輩職員の皆さんは「自席で自由に喫煙できた時代」が忘れられないらしく、机の焦げ跡を懐かしげに眺めていたものです。

最近は机の更新も進んで、焦げ跡が残っている机がだいぶ減ってきました。
もしかしたら「昔の名残がなくなる」と悲しんでいる職員もいるのかもしれませんが、僕は何の感慨もありません。
机の凸凹が無くなって使いやすくなりますし、住民の皆様から「いまだに机でタバコ吸ってるのか!」と誤解されてお叱りを受けるリスクが減りますし、良いことづくめです。

1ヶ月ほど前から唐突に、対話型AIが脚光を浴び始めました。
テレビやネットニュースはもちろんのこと、平均年齢70歳くらいの地方新聞の投書欄ですら、「AI=ChatGPT」と言わんがばかりの勢いで侃侃諤諤の議論が交わされています。

こういう新技術は、高齢者層から頭ごなしに否定されることが多い気がしますが、対話型AIに関しては賛否両論に分かれているような印象を受けます。
ただ、賛成側にしても否定側にしても、実際に使ったことがある人は果たしてどれくらいいるんでしょう?
話題になっているのを見て数回使ってみたくらいの人は結構いるかもしれませんが、日常的に使っている人はほとんどいない気がします。

創作のお供

僕は趣味で短編小説(主に二次創作)を書いています。

書きたいシーンはスラスラと言葉が出てくるのですが、そうでないシーンはなかなか進まないもので、いわば後片付けのために多大な時間と労力を注ぎ込んでいるような気がして、結構ストレスなんですよね。
こういう部分、あんまり筆が載らないシーンをAIに書いてもらっています。

あとは擬音や視覚表現のバリエーションを増やしたいときにも使っています。
例えば、殴り合いのシーンを5,000字くらい書いていると、どうしても擬音がワンパターンになるんですよね。「ガシッ」「ボカッ」みたいな典型だけだと足りません。
そこでAIに「擬音の候補」を提示してもらうのです。

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ちなみに、単に「殴ったときの擬音を教えて」とだけオーダーすると、倫理コードに引っかかってブロックされます。これを回避するために「あなたは編集者です」などの状況設定を入れています。

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エピソードは得意、ロジックは苦手

現状、対話型AIが得意なのは「エピソード」です。
シチュエーションを指定してやれば、それらしいエピソードを一瞬で創出してくれます。
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ChatGPTであれば、プログラムも書けます。
地方公務員に身近なところだと、エクセルの計算式やマクロコードも一瞬で仕上げてくれます。
僕自身、庁内各課から提出されてきたエクセルファイルを統合する作業を代行してくれるマクロコードをChatGPTに書いてもらって、早速楽をさせてもらっています。


一方、論理構造がしっかりした文章はまだまだ苦手です。
因果関係や論理関係がしっかりした文章はなかなか生成できませんし、ビジネス文章の基礎である「ロジックツリー」や「MECE」にもうまく対応できません。

根拠をはっきりさせたうえで意見を主張する文章も苦手です。
意見自体はそれなりに仕上がるのですが、根拠の部分が弱いです。
インターネット上の通説レベルの根拠はしっかり準備してくれるのですが、専門書レベルの知見や定量的データまでは引っ張ってきてくれません。
そのため、既視感のある薄っぺらい仕上がりになりがちです。

現状、対話型AIを仕事で使うのは仕事で使うにはまだまだ難しいと思います。
論理構造が今ひとつで根拠も弱く、説得力に欠けるからです。
一文一文は綺麗に書けていて、サラーっと流し読みするだけならそれっぽく見えるのですが、じっくり読むと穴だらけなんですよね。

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「昇給や賞与が少ない」とか「民間は週6勤務が一般的」というファクトがだいぶおかしいです。


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センチュリーが日本の伝統の結集であるのはまだわかるとしても、「地元の産業や文化に対するアピールにつながる」という結論にはつながりません。


一方、厳密なロジックや根拠が必要ない文章、例えば新聞の社説、コメンテーターの発言、エッセイ、感想文のような文章を作るには十分実用レベルだと思います。
特に、具体的なエピソードをもとに何らかの主張をするタイプの文章はとても良い感じに仕上がります。
ニュースでも「就職活動のエントリーシートをAIに書かせた」という事例が取り上げられていましたが、まさにこういう使い方において長所が発揮されるでしょう。

あとは質問を作るのも上手いと思います。
人間ではなかなか気がつかないようなものも含め、網羅的に論点を出してくれます。

実務に使えるか

いくつかの自治体では、既存の対話型AIを議会答弁や報道発表に活用する方向で検討しているらしいですが、僕はなかなか難しいのではないかと思っています。

役所が作る文章は、いろんな人が多角的・批判的に吟味してきます。
そのため、結論はもちろんのこと、論理展開や根拠にも一切手を抜けません。
全面的にAIにぶん投げて作文してもらうのは不可能でしょう。
AIが作った文章を、職員が全面的に修正する光景がありありと想像できます。

せいぜい細かい文言の候補を提示してもらうとか、記者発表原稿の大まかな流れを作ってもらうとか、その程度に止まるのではないかと思います。
 
これだけでも十分便利そうではありますが、世間で騒がれているほど革命的な進歩かと言われると……正直疑問です。
「エピソードの創作」という現状の強みを活かすのであれば、今すぐにでも対話型AIを活躍させられそうですが……役所内にそういう仕事があるのでしょうか?僕には思い当たりません。

それよりも、エクセルマクロのコードを書いてもらって日々の業務を効率化する用途にまず使うほうが、有益だと思います。あまり世間受けは良くなさそうですが……

今はまだ組織的に採否を判断するフェーズではなく、職員個々人が試しに使ってみて、どんな局面でAIを活用できるのかを探る段階だと思います。

加えて、どういう質問を投げると効果的に回答を得られるのかを探るのも重要だと思います。
「現状苦手」と書いた定量的根拠に基づく主張も、うまく質問を投げてやれると、きちんとした回答が返ってくるんですよね。

「地方公務員はAIに仕事を奪われて路頭に迷う」と警鐘が鳴らされ始めてから結構な時間が経過しました。
AIの進歩は凄まじく、誰でも手軽に使えるサービスが続々登場していますが、残念ながら役所には今のところチャットボットくらいしか導入されていません。
「仕事を奪われる」どころか、むしろチャットボットに関する苦情対応という新しい仕事が増えているくらいです。

地方公務員と同じくブロガー(ライター)も、「AIに代替される」と脅されています。
インターネット上に存在する膨大な文章をAIに学習させることで、条件さえ指定すれば「それっぽい」文章を量産できるので、わざわざ人間が時間と労力をかけて執筆する必要が無くなるのだとか。

ただ、学習材料となる文章量が少ないであろう地方公務員ネタの場合でも、AIはちゃんと対応できるのでしょうか?
実際に文章作成サービスを試してみました。

PlayAi

まずは「PlayAi」というサービスを使ってみます。
ボックス内に文章を放り込むだけで続きを書いてくれる、非常に使いやすいサービスです。
このサービスに、このブログの過去記事の冒頭部分を読み込ませて、続きを書いてもらいます。

使うのはこの記事。
(いくつかの記事で試してみたのですが、一番出来が良かったものを紹介します。)



<読み込ませた文章>

自分が出世コース入りしているのかどうか、30歳を過ぎる頃になれば自然と分かってきます。
同期職員の間でも業務内容の差が広がり、忙しい職員と暇な職員にはっきり分かれるからです。

過去にも紹介したとおり、出世コースに入るか否かは20代のうちに確定すると僕は考えています。

役所の出世コースは明確で、「誰が出世コースに乗っているのか」は人事録を数年分見ればおおよそわかります。

出世競争最大の謎であり役所人事の神秘は、その前段階である出世コース入りを賭けた2次選抜過程です。
誰が参戦しているのか傍目にはわかりませんし、戦っている当人すら自覚が無いかもしれません。

今回はこの「2次選抜」の真相に迫ってみます。


<ここからAI>

この記事では、私がどのようにして彼らと仕事をするようになったのか、そして彼らがどのようにしてそこにたどり着いたのかをご紹介します。
長い記事になりそうなので、2つのパートに分けます。これらのパートは、以下のように書かれました。
 
パート1: 資格、面接、事前承認
第2部:二次選考のプロセス
この記事では、様々な情報源(無料、有料)を使用しましたが、なぜその情報源を選択したかを説明します。また、二次選考の流れや、どうすれば参加できるかを説明します。

資格について
行政職に就くための一番の資格は、困難な状況下でも働ける能力です。
近年では、ストレスの多い状況下でも働きやすいと言われています。
しかし、役所も年々変わってきており、それは条件も変わってきていることを意味します。
そのため、昔よりも資格を取ることが大切になっています。

最も重要な資格は、正しい姿勢を持っていること、そして正しい姿勢だけを持っていることです。
働くべき時に働けるだけではダメなのです。働かなくてもいいときに働けることも必要です。
常にスポットライトを浴びたいタイプの人は、自分のステータスを落とすようなことはしたくないでしょう。

しかし、それだけではありません。
行政の仕事にはレベルがあり、それぞれのレベルに見合った能力が必要なのです。
例えば、内務省で働きたいのであれば、家を空けるときに自分を養える能力が必要です。
内務省で働きたいのであれば、家にいるときに食事を提供できるようにしなければなりません。
内務省で働きたいなら、家を空けるときに家族を養うこともできなければならない。
これらの条件を満たせるかどうかが重要なのです。

応募する部署の条件を満たすにはいくつかの方法があり、それらの方法を「資格」と呼びます。
最も一般的な資格は、そのポジションの最低条件です。
各役職の要件は異なる場合があります。
例えば、公共サービス委員会の委員というポジションに応募するのであれば、以下の最低条件を満たす必要があります。
 

翻訳調?

出世の話ではなく採用試験の話になってしまいました。「選抜」という単語がまずかったのでしょうか?
とはいえ、前半部分は結構いいこと書いてませんか?

>行政職に就くための一番の資格は、困難な状況下でも働ける能力です。
>最も重要な資格は、正しい姿勢を持っていること、そして正しい姿勢だけを持っていることです。
>働くべき時に働けるだけではダメなのです。働かなくてもいいときに働けることも必要です。

このあたりは特に考えさせられます。

全体的に翻訳ソフト感があるので、海外サイトの文面を使ってAIに学習させたのかもしれません。


AIのべりすと

次に使うのは「AIのべりすと」というサービスです。
名前のとおり小説を書くことに主眼が置かれたサービスですが、小説以外の文体も書けます。
無料で使えますが、ユーザー登録が必要です。

こちらのサービスにも、このブログの過去記事の冒頭部分を読み込ませて、続きを書いてもらいます。
使うのはこの記事。
(こちらもいくつかの記事で試しており、一番出来が良かったものを紹介します。)




<読み込ませた文章>

何気に出世関係の記事が常時人気の弊ブログ。
地方公務員ブログを読むような現役職員って、「人生のコスパが悪いから出世したくない」とか「出世よりも『やりたい仕事』を優先したい」という考えの方のほうが多い印象ですが……なんだかんだで出世にも関心があるのでしょうか?

入庁からそれなりに月日が経過して、同期入庁職員からは財政課も人事課も輩出されてしまいました。
とりあえず、僕たちの出世レースはひと段落したところだと思われます。

「鉄は熱いうちに打て」ということで、ここで一旦、筆者が見た20代の出世レースを振り返ってみようと思います。

<ここからAI>

※筆者は公務員試験未経験者のため、行政職(I種)と一般職(II種)の区別や採用区分の違いなどについては割愛させていただきます。
 
■1年目・新卒配属時(財政課)
まずは財政課の新入職員時代についてお話しします。
財政課では主に地方債の管理業務を行っていました。
地方債というのは簡単に言うと借金のことですね。
この借金には大きく分けて二種類あります。
一つ目が起債と言われるもので、地方自治体が民間企業などにお金を借りることを言います。
もう一つが借換債と言いまして、借り換えのための資金のことです。
どちらも国の補助金が入るため、財政課の職員の主な役割はその補助額を調整すること。
具体的には、地方債の発行額を決めたり、償還計画を立てたりすることです。
このあたりの事務作業はかなり煩雑なのですが、この部署に配属されることは地方公務員としてはかなり恵まれた環境と言えるでしょう。

■2年目・異動時(財政課)
2年目の秋に異動となりました。
異動先は財務部財政課というところでした。
財政課とはうってかわった地味な職場です。
主な業務内容は国債管理および地方債の審査。
いわゆる財務官僚がするような仕事をしていたわけですね。
ちなみに、国税庁でも同じようなことをしているらしいです。
財務部財政課では、国債を格付け会社に委託して格付けしてもらうのですが、その際には財務省から出向してきた方々にアドバイスを受けながら作業をしています。
また、年度末になると、財務省の方々と意見交換会を行います。
そこで出た話をもとに、年度予算案を作成するというのが主なお仕事でした。

■3年目・異動時(税務課)
3年目の春に異動しました。
異動先は再び財政課に戻り、今度は税務課へ。
主に法人課税関係の事務を担当していました。
こちらはいわゆる霞ヶ関の仕事で、法人課税の法律改正があった際には国会対応をしたり、企業への説明に出向いたりすることもありました。
あとは決算書の内容を確認したり、税金を納める法人さんを訪問して話を聞いたりすることもありましたね。
 
■4年目・異動時(財政課)
4年目はまたまた財政課に戻りました。
今度こそは異動なしでずっと財政課勤務になると思ってたので嬉しい限りです。
 
そんなこんなで新入職員時代は終わり、いよいよ本格的に公務員として働き始めます。
これからは、各自治体ごとに異なる制度の中で、どのように仕事を進めていけばいいのかを模索していくことになるでしょう。
 
さて、新入職員時代の思い出を振り返ると言っておきながら、いきなり財政課編になってしまったんですが……まあ、それはそれでいいでしょう! ここからは各自治体ごとの事情も踏まえつつ、新入職員時代の話を続けていきたいと思います。
※次回更新は5/16(木)予定です。

まじでAIに職を奪われるかもしれない

ちゃんとした日本語文章として成立しています。AIすげえ!
1文1文の繋ぎ方がすごく自然で、句読点の打ち方も過不足なく、僕が書く記事よりも明らかに読みやすくて敗北感を覚えています……
体裁的にもブログ記事らしく仕上がっています。

内容的にはツッコミどころ満載ですが、ちゃんと自治体(ちょっと地方財務局も混じってるっぽいですが)を舞台に作文してくれているのは普通にすごいと思います。
文章の流れが自然すぎるために、公務員以外の人が読んだら、どこが間違っているのか気づかないかもしれません。

人間とAIの役割分担

「AIのべりすと」本当にすごいです。
文章の読みやすさだけでいえば、それなりに練習したWEBライター並みだと思います。

「仕事のやりがい」や「経験談」みたいな、あくまで主観的意見であり、間違いの存在しない話題であれば、「AIのべりすと」でも十分読み応えのある記事が書けそうです。

反対に、
  • データや学説を根拠にして推論する
  • 固有名詞を多用する
  • テーマがマイナーすぎてAIがついてこれない
こういった文章は苦手なようで、まだまだ人間のほうが有利だと思われます。
根拠となるファクトや、最も伝えたい結論部分は人間が書いて、その中間の「つなぎ」部分をAIに書いてもらう……という役割分担がうまくできれば、現時点の無料サービスでも十分に活用できそうです。

おまけ:採用パンフレットを書いてもらう

役所がリリースする文章の中でも、ひときわ抽象的で主観的なのが採用パンフレット中の「職員の声」です。
AIの傾向を見るに、「志望動機」「やりがい」みたいな主観的意見は十分対応できそうなので、試しに「AIのべりすと」に書いてもらいました。
ついでにイラストもAIに描いてもらって、体裁を整えると……

先輩職員AI.001
AIだけでそれっぽいものが作れてしまいます。本当に末恐ろしいです。


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