キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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世間から遅れること約1年、僕もNotionを使い始めました。

 
大変便利です。もっと早くから使っていればよかった……と悔やむばかりです。

Notionのようなクラウド上でのファイル管理サービスは、セキュリティの都合上、地方公務員稼業には向いていません。
内部資料をクラウドストレージに保存する行為は、あまりにもリスクが高すぎます。
わずかでも手違いがあってファイルが外部に流出してしまったらおしまいであり、かつ実際このような事案がたびたび発生しているので、厳に慎まなければいけません。

ただNotionは、「クラウドストレージにファイルをアップ」しなくても十分便利なツールです。
サービスの真価は発揮できていないのかもしれませんが、それでもかなり役立ちます。

(今更ながら)Notionとは?

ざっくりいうと、Notionはオンライン上でファイルを保存・管理できるサービスです。
ワード・エクセルファイルやPDF、画像、動画など幅広いファイル形式に対応しているうえ、ウェブページのコピーをファイルとして保存(クリップ)することも可能です。

さらに、保存したファイルを色々な方法で並べ替えたり抽出して表示できます。
エクセルみたいな一覧表や、インスタグラムみたいなサムネイル表示、カレンダーやガントチャートのような時系列表示など、並べ替え・抽出の目的に応じて様々な形式が利用できます。

要するに、ファイルの保存や管理に関してはわりとなんでもできるツールです。
「わりとなんでもできる」のが特徴です。これまで複数のウェブサービスで別々に行っていた作業を、Notionを使えば一元化できるのです。

今のところ日本語化はされていませんが、直感的に操作できるので全く問題ありません。

詳しい説明は省略します。
既に広く流布しているツールであり、大勢の方がわかりやすい解説をアップしているので、そちらを参照してください。検索すればたくさん出てきます。

ひたすらクリップ&タグ付け

僕のNotion利用法はいたって単純です。
担当業務に関係のあるウェブページをひたすらクリップしています。

僕はグーグルアラートを使って担当業務関係のニュースを日々収集しており、通知されたニュースのうち重要だと思ったもの(あとあと参照したくなりそうなもの)は、とりあえずクリップします。



他にも関係するニュース記事やレポート、他自治体のプレスリリースなどがあれば、随時クリップしていきます。

クリップした記事には、「トピック名」「地域名」「発信者名」「情報媒体の種類」などのタグをつけて、後から見返せるように整理しています。

「自分の担当業務に関係のあるウェブページを保存する」という作業自体は、地方公務員なら誰でも日々取り組んでいるでしょう。わざわざNotionを使わずとも可能です。
ただし、紙に印刷してファイリングしたり、ワードにコピペしたり……と、それなりに手間がかかっているのでは?

一方Notionを使えば、一瞬で終わります。
しかもタグのおかげで、あとあと参照するのも簡単です。

危機的事態だからこそ情報収集&整理

弊ブログでも何度か触れていますが、地方自治体はこれから当分の間、新型コロナウイルス感染症関係の訴訟に悩まされると思っています。
「行政の不手際のせいで新型コロナウイルス感染症が拡大した、だから感染症に起因する不利益の責任は行政にある」というロジックが定着してしまった以上、新型コロナウイルスのせいで不利益を被っていれば、誰もが原告となりえます。

休業補償や医療訴訟は確実として、そのほかにどういう切り口で提訴されるか、現時点では想像もつきません。
新型コロナウイルス感染症とは一切無縁だと断言できる業務はごくわずかでしょう。 
つまり役所は現在、自らが保有するあらゆる機能・あらゆる業務に対して、訴訟リスクを抱えている状態なのです。

訴訟にまで至らなくとも、大規模な抗議運動くらいは続々生じると思っています。
現時点では「密」を避けねばいけないという風潮があるため抗議運動は下火ですが、ワクチンが行き渡って感染リスクが減ってきた時点で、溜めに溜めた憤懣が一気に爆発して、デモ活動のような抗議運動が始まるのでは?と今から懸念しているところです。衆議院総選挙もありますし……

訴訟や抗議運動に対応するには、これらの芽を早々に察知し、Xデーまでに防衛体制を整えておかなければいけません。
こういった作業の基礎が情報収集と整理であり、Notionが役立ってくれるのです。

 

古のインターネットでは、PDFファイルはブラクラ扱いを受けていました。
しかし今では超便利ツールとして活躍しています。時代の変化を感じますね。
特に役所のホームページでは「とりあえずPDF化しておけば大丈夫」という感覚で、色々な情報がPDF化されて掲載されています。

PDFに限らず、どんなファイルにも「メタデータ」というものがあります。
ざっくりいうと「プロパティの中にあるデータ」であり、作成日・更新日や作成者などの情報のことを指します。

メタデータの中でも特に有名なのが、画像データのexif情報です。
弊ブログでも過去に取り上げたことがありますが、最近はきちんと公表前に削除するのが常識として定着しつつあるようで安心しています。 




PDFファイルを公表するということは、必然的にPDFファイルに含まれるメタデータも公表されてしまいます。
この「PDFファイルのメタデータ」が意外と厄介で、下手をすると炎上案件を引き起こしかねません。

右クリックするだけでは閲覧できない

PDFファイルのメタデータはプロパティの中に潜んでいます。
ファイルを右クリックして見られるプロパティではなく、Adobe Acrobat Reader DC(閲覧機能だけの無償版)のようなPDF閲覧ソフトの中で見られる、より詳しいほうのプロパティです。

ここには、PDF化する前の元データ(ワードやパワーポイントのファイル)のプロパティが一部残存しています。


otoshi01

otoshi02

実例を見てみます。左が元データ(ワードファイル)のプロパティ、右がPDFのプロパティです。
「タイトル」と「作成者」がそのまま残っています。
これらの情報が残っていて、役所外部に知れ渡ってしまうと、非常に面倒です。

タイトルのせいで不要なトラブルを招く

まずはタイトルから見ていきます。
メタデータにおける「タイトル」は、ファイル名とは別物です。
PDFファイルの名称をいくら変更しても、「タイトル」は変わりません。
PDF化する前の元ファイルの名称がそのまま残るようです。

伝えたい情報はファイルの中身とファイル名に記載しておけばいいのであり、メタデータに記載する必要はありません。
メタデータの「タイトル」は、「file01」のような無機質な名称か、ブランクで十分です。 

メタデータの「タイトル」欄は、そこに使われている単語のニュアンスをめぐり、トラブルの引き金になりかねません。

画像で示した例でいうと、タイトルに含まれる「講演」「資料」という2語は、人によって定義が異なる可能性が高い単語です。
各人がバラバラな定義を持っているせいで、以下のような抗議が想定されます。

  • 「講演」は目上の人間が目下の人間に対して行うものだ、公僕である役所職員が「講演」するなんて思い上がりも甚だしい、謝罪しろ
  • 「資料」と称するからには講演内容の出典や根拠資料を網羅的に示すべきだ、学会ではこれが常識だ
  • 「講演資料」と題するなら講演そのものを追体験できるデータ、つまり音声と動画を掲載すべきだ、テキストだけで済ませるのは怠慢だ
いずれの抗議にしても、メタデータがブランクであれば起こりえないものです。
まさにメタデータが余計な一言になって、住民感情を逆撫でしてしまうのです。


さらに、資料の中身とは直接関係のない情報がタイトルに書かれていると、あらぬ疑念をかきたててしまいます。

画像で示した例でいうと、「案B」「修正4」の部分が問題です。
これらの情報は講演内容そのものとは関係ない「講演に至るまでの検討過程」であり、本来は役所外部に披露する必要のない情報、これも余計な一言です。

「案B」「修正4」という文言を見ても、大抵の人は関心を示さないでしょう。
しかし、役所と戦いたい人にとっては、この情報が攻めの糸口になります。

  • 案Aはどんなものだったのか?なぜ案Bにしたのか?もしや案CやDもあるのか?
  • どうして修正が生じたのか?そもそも4回も修正する必要があったのか?修正に要したコストは?コストに見合う成果はあるのか?

こういう攻撃を誘発してしまうのです。

個人情報漏洩になりかねない「作成者」情報

「作成者」情報のほうがより深刻です。
個人情報の漏洩というマジモノの不祥事に直結するからです。

公文書公開のルール(情報公開法・自治体の情報公開条例)では、公文書に含まれる個人の氏名は非公開情報であり、黒塗りしなければいけません。
誤って公開してしまうと、個人情報の漏洩になります。
※ただし個人の氏名であっても「公務員の氏名」は例外で、黒塗りは不要です。

データの場合も同様に、個人の氏名は公開してはいけません。

データの場合はさらに注意が必要です。
ファイルの中身(本文)だけではなく、プロパティ内にも情報(メタデータ)が潜んでいるからです。

メタデータの中に個人情報がある場合も、消去するなり記号に置き換えるなりして個人情報を守らなければいけません。
ここが結構見落としがちなポイントで、誤って公開してしまい不祥事として大々的に報道された事案もあります。

画像の例でいうと、「作成者=久川凪」という情報は、まさにメタデータの中の個人情報です。
原則、公開してはいけません。
(ただし、久川凪さんが公務員であれば全く問題ありません。)

役所が自前で作った資料であれば、「作成者」欄は作成した職員=公務員の名前になるので、問題は生じないでしょう。
しかし、外注して作成した資料だと、外注先の社員さんの氏名がそのまま残っているケースがよくあります。チラシとかパース図とか図面とか……
バレたら即、不祥事です。

元データのプロパティを消す

不祥事ハンター達はメタデータをよく見ています。
そもそもこの記事自体、ネット上でアンチ役所活動を展開している方の発言から着想を得ました。
その方いわく、「いつどこが不祥事を起こすかわからないんだから、日々あらゆる行政機関のサイトを巡回してメタデータに個人情報が残っているファイルを収集している」とのこと。

どういうふうに悪用されるかわからないし、役所としては(今のところ)公開する義務もないので、可能な限り消しておくのが無難です。

しかし困ったことに、PDFのプロパティ内のデータは、一旦PDF化してしまうと削除できないようです。
Adobe Acrobat(PDFの加工ができる有償版)があれば消せるようですが、無償版のAdobe Acrobat Reader DCでは対応していません。
Adobe Acrobatは高価なため、役所で保有しているところはごく少数でしょう。

そのため、PDFファイルを作成する前に、元ファイルのメタデータを消すしかありません。

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赤丸で囲んだところをクリックしてプロパティを消してからPDF化すれば、PDFのプロパティも綺麗になります。
できれば作成日とか更新日も消したいところなのですが、こちらは消せないようです。



押印廃止に後押しされているのか、役所のペーパーレス化も最近よく話題に上ります。
僕自身、毎日たくさん紙を消費することに心を痛めており、はんこと同じく紙の使用もどんどん減らしたいところです。

しかし、役所が全面ペーパーレス化するにはたくさんの課題があり、押印廃止と比べても圧倒的に難しいと思います。
中でも深刻なのは、ペーパーレス化により不利益を被る人(デジタルに疎い住民)が大勢いる点です。
総務省作成の資料によると、65歳以上の年代でインターネットの利用率が非常に低く、約半数が「使いこなしているとはいえない」とされています。
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インターネットを一切使わずに住民サービスをペーパーレス化するのは、現実的ではありません。

となると、インターネットに疎い層にとっては、ペーパーレス化のメリットはありません。むしろ既存の紙ベースのサービスが縮小されて不便になるでしょう。

つまり少なくとも65歳以上の約半数(総務省資料によると約1247万人)が「サービスの劣化」を感じることになります。
高齢者のほうが政治的影響力が強いことを踏まえると、かなり強烈な反対運動が巻き起こるでしょう。

そのため、対外的なサービスも含めた全面デジタル化は当面不可能だと思います。
ペーパーレス化するなら、まずは庁内だけで完結するプロセス(決裁、会議など)を先行させることになるでしょう。

ペーパーレス化そのものには僕も賛成で、できるところから進めていけばいいと思っています。
ただどうしても懸念が拭えない点があります。

目が疲れる

ペーパーレス化が進んだとしても、地方公務員の仕事そのものが変わるわけではありません。
相変わらず役所内に篭り、資料作成や書類のチェック、会議や打合せをこなしていくことでしょう。

資料作成は既にほとんどパソコン作業なので、大きく変わるのは書類チェックや会議です。
従来は紙媒体に出力していたものがデータになり、画面上で見ることになります。

つまり、これまで紙を眺めていた時間は、そのまま電子機器の画面を眺める時間になります。

めちゃくちゃ目が疲れそうだと思いませんか?

近い将来、地方公務員の適正に「眼精疲労耐性」が挙げられる日が来るかもしれません。

イージーミスで怒られる案件が増える

下っ端公務員の重要な仕事に「紙資料のデータ化」があります。

外部から受領した紙資料をスキャンしてPDF化したり、必要な部分だけエクセルファイルに抜粋・転記したり……

仕事自体は単純作業そのものであり、誰でもできます。いずれはRPAによって置き換えられるでしょう。
しかし、のちのちの判断の基礎となる元データを整備する作業であり、決して間違ってはいけない重要な仕事です。
単純作業ゆえにケアレスミスも発生しやすく、かなり厄介な仕事でもあります。

僕自身、幾度となく数字転記ミスをやらかして叱責されてきました。
議会答弁の訂正まで発展したことも一度だけあります。軽いトラウマです。

役所内のペーパーレス化が進めば、外部から受領した紙資料をそのままコピーして使うことが減り、スキャンなり抜粋転記なりの一手間を加えてデータ化する作業が増えるでしょう。
つまり、下っ端職員にとっては、イージーミスを起こしやすいうえガン詰めの原因にもなる厄介な仕事が増えるのです。


紙の使用量を減らすだけでも勿論成果だとは思いますが、紙を減らした結果かえって不便になるのは勘弁願いたいです。

手当たり次第なんでもペーパーレスするのではなく、まずはドキュメントの寿命を基準に優先順位をつけたほうがいい気がしています。
  • 寿命が短い、つまり短期間しか使わなかったり、単発での使用に止まるものは、どんどん電子媒体に置き換えていく。(例:会議資料、報告資料)
  • 寿命が長い、つまり長期間にわたり何度も使うドキュメントは、紙媒体での保有も認める。(例:マニュアル類)

僕単独で完結する業務は、当面この基準で運用してみようかと思っています。

職場ではこれまでずっとHappyHackingKeyboard(以下「HHKB」)を使ってきたのですが、今年の半ばにRealforceに乗り換えました。


 
過去にも記事にしたとおり、地方公務員のデスクは手狭になりがちで、外付けキーボードを使うならコンパクトな機種のほうが好都合です。
コンパクトかつ打鍵感の良いキーボードといえば、HHKBに勝るものはなかなかありません。

しかし、今の担当業務ではHHKBだと対応しきれないため、テンキーレスタイプのRealforceに乗り換えました。
(新しく購入したわけではなく、家で使っていたものを持っていっただけです)


ショートカットキーに目覚めた

現在の担当業務では、日がな年中エクセルを触っています。
常時3つくらいは同時にエクセルファイルを開いており、データ入力したりコピペしたりファイル内検索をかけたり……という作業を延々と続けています。

これまで経験した業務では、エクセルよりもワード(文章作成)やパワーポイント(ビジュアル資料作り)を使うほうが多く、エクセルを使うにしても力技でなんとかなる程度でした。
そのため僕のエクセルスキルは非常に低く、なんとかVLOOKUP関数が使える程度。
ショートカットキーも全然知らず、ひたすらマウスをキーボードを行き来しながら作業していました。

その結果、見事に腱鞘炎になりました。
原因は多分マウスの触りすぎです。
手首を変に曲げたままマウスを持っているせいで、負担がかかってしまったようです。

腱鞘炎を機に一念発起し、極力マウスを触らずに済むよう、ショートカットキーを使うように心がけました。
すると手首が楽になるだけでなく、びっくりするほど作業効率が上がりました。
作業自体は全く変わらないのに、「マウスとキーボードの間を右手が行き来する回数」が減ったおかげで、かなりの時間を節約できたのです。
さらに、マウスで作業するよりもショートカットキーを使うほうが、パソコンのレスポンスも早い気がします。

ファンクションキーが恋しい

どんどん新しいショートカットキーを開拓していくにつれて、次なる課題にぶつかりました。
HHKBだと、F1〜F10キーを使うショートカットが使いにくいのです。

HHKBにはF1〜F10のキーが無いため、Fnキーと数字を同時押しする必要があります。
例えば「Alt +F4」を使いたい場合には、3キーの同時押しが必要になります。
これが結構面倒で、ショートカットによっては両手が必要になります。

あとはPageUp/PageDownキーも重要です。
役所は無駄にシート数の多いエクセルファイルが大好きで、業務中にも頻繁にシートを切り替えます。
そのため、Ctrl +PageUp/PageDownでのシート切り替えが、かなりの時間節約になるのです。
HHKBだとこれもやりにくいです。

試行錯誤した結果、エクセルに限らず、ショートカットキーを駆使したいのであればHHKBのキー数では不足するという結論に達し、Realforceに乗り換えることにしました。


Realforceのほうが1.5倍くらい大きいので、案の定デスクは手狭になってしまいました。
それでも余りあるメリットを享受できています。ショートカットキー最高です。

もしエクセルを極めたいのであれば、F1〜F10キーの付いているキーボードをおすすめします。
コンパクトさも勿論重要ですが、それよりもショートカットをうまく使いこなすほうがより重要だと思います。

民間企業では徐々に出張が復活しつつあるようですが、役所はまだまだ自粛傾向が続いています。
僕自身、本当なら秋シーズンは担当者会議やら説明会やらでガンガン出張しているはずなのに……今年は全滅です。

今年はリアルな会議の代わりに、オンライン会議で用件を済ませています。
ただしご存知のとおり役所は技術後進組織なので、スムーズにオンライン会議が開けるわけがありません。
万事手探りで、かろうじて回している状態です。

「どのツールを使うか」でもめる

世間的にはzoomとteamsが人気のようですが、僕の勤める県庁ではいずれも使用できません。
セキュリティルール上、使えるのはもっとマイナーなとあるツールだけです。

このため、外部から「zoomで会議しましょう」と提案されても、一旦はお断りするしかありません。
代わりに弊庁で使っているマイナーツールで開催できないか打診するのですが、すると今後は相手から「うちは内部ルール上zoomしか使えません……」と難渋を示されることがままあります。

こうなってしまうと、どちらかが内部ルールを曲げるしかありません。
それぞれ組織内のシステム部局に相談して、特例措置を求めます。

弊庁だと、相手側のルールを書面で貰って「本当にzoomしか使えない」ことを証明したり、そもそもこの会議がどれだけ大事か、メールや電話だけでは済ませられない重要案件であることを資料作って説明したり……という内部調整作業が発生します。

正直、すごく面倒です。

今はまだオンライン会議黎明期であり、システム部門もいろいろ模索しているところだと思っています。いずれルールがゆるくなるはずと期待しています。

機材トラブルは日常茶飯事

  • 映像が映らない
  • 音が鳴らない
  • ウェブカメラが認識されない
  • マイクが機能しない
  • そもそも回線に繋がらない
このあたりの機材トラブルがほぼ毎回発生しています。

役所で使っているパソコンは、低スペックで古いものばかりです。
オンライン会議という用途はそもそも想定していません。
そこに無理やりカメラとマイクをつないでいる状態なので、うまくいかなくて当然だと思います。

職場の備品を使おうとして痛い目に遭った結果、カメラ・マイクを自腹で購入する職員や、SIMカード入りの私物タブレット端末を使う職員も増えてきました。

何より困るのが回線の不調です。
僕もつい先日、庁内のインターネット回線につながらず、スマートフォンの4G回線を使う羽目に陥りました。
原因はシステム部局にて調査中なのですが、どうやら同時に庁内で多数のオンライン会議が開催されていたようで、通信量が膨大だったために弾かれたのではないか?とのこと。

端末トラブルは私物持ち込みで最悪対処できるとしても、回線不調はどうしようもありません。
こればかりは早急になんとかしてもらいたいところです。

ペーパーレスではない(資料は紙で用意する)

諸々の苦難を乗り越え、ついにオンライン会議が始まりました。

「こんにちは〜〇〇県庁のキモオタクです、聞こえますか?」
「聞こえますよ〜、いつもお世話になってます〜」

ありきたりな最初の挨拶ですが、ここにたどり着くだけでめちゃくちゃ感動します。

「オンライン会議」といえば、テレビ電話のように相手の顔を見つつ、画面上で資料を共有して進めるのが普通だと思います。
よくある「ウェビナー」はこんな感じですよね。

しかし役所のオンライン会議では、画面上での資料共有は基本的にやりません。
資料は手元に、紙媒体で用意します。

先述したとおり、役所が使う端末はロースペックです。
画面が小さく解像度が低いので、画面上に資料を表示しても読めません。

資料は前日までにメールで送ってもらって、各自印刷して会議に臨みます。
重要なのは、印刷条件をちゃんと伝えることです。

印刷条件を特に指定しなかった場合、たいていどの資料もA4モノクロで印刷されてしまいます。
資料自体がフルカラーであっても、わざわざトナー代を費やしてくれるほどリッチな組織はあまりありません。

こちらとしてはカラーで見てもらいたいビジュアル資料であったり、A3で印刷することを想定して内容を詰め込んだ資料であったとしても、ちゃんと伝えない限り、相手は解ってくれません。
色(カラーorモノクロ)や、用紙サイズくらいは、しっかり指定しておいたほうが、当日の進行がスムーズになると思います。

資料のどこを見ているのかわからなくなる

オンライン会議中は、手元の資料と画面上の相手の顔を交互に見ることになります。リアルな会議と同じです。
しかし不思議なことに、リアル会議よりも、相手が資料のどこを見ているのか(説明しているのか)わからなくなる事態が多発します。

特に注意が必要なのは指示代名詞です。


ニジガク 説明.001
突然のダイマ。過去シリーズでは尺不足のために描ききれなかった(かつファンが渇望していた)「個」あるいは「個×個」の物語を丁寧に紡いでいこうという気概を感じる。単純に自己実現の物語として上質。クライマックスをどう設えるのか、そこにどう持っていくのか(「個」の物語をどうやって撚っていくのか)が楽しみすぎて毎週真剣。(オタク特有の早口)


例えば、上の資料の説明を受けているときに、「その次の理由ですが〜」「その右にあるグラフをご覧ください」と言われたら、一体どこを指しているのか、すぐに察せるでしょうか?

ちゃんと話を聞いていれば、文脈的にどこなのかすぐわかると思います。
しかしオンライン会議の場合、先述のとおり、機材トラブルで音声が飛んで(しかも相手には飛んでいることがわからない)、説明がぶつ切りになることがよくあります。
長丁場になると集中も途切れやすいです。ついつい別のことを考えたりしてしまいます。
つまり、文脈が途切れやすいのです。
 
しかも役所が作る資料は、限界まで情報が詰め込まれた中身ギチギチの1枚紙です。
お世辞にも見やすいとは言えません。リアル会議であっても、どこを説明されているのかわからなくなりがちです。



ニジガク 説明.002

ちょっと修正してみました。
仰々しいかもしれませんが、「2(2)の理由ですが〜」「図1をご覧ください」というように番号で示せるようにして、指示代名詞は極力使わないほうが親切だと思います。

複数ページにわたる資料の場合はページ番号が必須です。
複数ファイルに分かれている場合には、さらに資料番号を振る必要があります。
手間は増えますが、ページ番号を通しで振るほうがより親切かもしれません。

機材さえなんとかなれば実際便利

これまで十数件のオンライン会議を経て、一方的に話を聞くだけの説明会や、2陣営までの会議であれば、オンラインで十分だと思うようになりました。
資料の作り方にさえ気をつければ、誰でも開催できると思います。

他方、多数の陣営がいて議論が錯綜する会議だと、経験のあるファシリテーターが必要だと思います。
オンラインの場合、紛糾したら収拾がつきません。


今のところ、組織の小さい市町村のほうが、サクッと設備を充実させてオンライン会議に移行できているように思います。
県内のとある僻地自治体からは「オンラインのほうがずっと楽だし、もう県庁行かないわ(笑)」と宣言されてもいます。

役所はこれまであまりにデジタル経験値を積んでこなかったので、当分はうまくいかなくて当然です。
「じこはおこるさ」の精神で慣れていくしかないと思います。

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