キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

タグ:予算

書籍でもウェブサイトでも、公務員試験対策の定石として「総合計画を読み込むべし」と説かれています。

総合計画に目を通すのは重要だと思いますが、個人的には「読み込む」必要性までは感じません。
 
総合計画だけでは抽象的すぎて、論文や面接対策としては不十分だと思っています。 
正直、どの自治体も同じようなトピックに触れていて、似たような内容が書かれています。

たとえ総合計画の文言を一字一句暗記していたとしても、総合計画の中身がどのように具体的な施策として展開されているのか知らなければ、地雷を踏んでしまうでしょう。

特に、受験自治体が実際に行っている施策と、論文や面接で回答した内容がずれていると、勉強不足だと思われてしまうかもしれません。

具体的な施策内容を調べるのに役立つのが予算資料です。
どこの自治体もホームページに掲載されていて、簡単に入手できます。
もし載っていなければ、役所の情報公開コーナーみたいなところに行けば、紙の冊子が置いてあるでしょう。

ただし、予算資料は慣れていないと読みづらいです。
現役職員でさえ、すらすら読める人はあまりいません。
そこで役立つのが、議会に対して提出される予算案の説明要旨です。

説明要旨=予算案のわかりやすい要約

自治体の予算は、議会の議決をもって正式に採用されます。
そのため、議会中のどこかの時点(だいたい初日)で、議員に対して首長から説明するタイミングがあります。
ここで予算案の中身を全部説明していると膨大な時間がかかってしまうので、大まかな方向性と主要事業だけを抽出して説明します。

このタイミングで使われる資料が説明要旨です。
予算資料と同じく、多くの自治体でホームページ上で公表しています。
例えば広島県だとこんな感じ。



説明要旨は、首長が喋るための読み原稿みたいなものです。
そのため、耳で聞いて理解できるよう、わかりやすい表現が使われています。
お堅い文章ではないので、頭に入ってきやすいと思います。

自治体によってはプレゼン資料も用意されていて、よりわかりやすいと思います。
 

数年分チェックしてみよう

説明要旨にはあくまでも単年度分のことしか触れていないので、事業の長期的な推移を知るには不向きです。
さらに最近は、新型コロナウイルス感染症のせいで内容が偏っている(コロナに関係のない事業は省略されがち)ので、産業振興や観光、広報のような面接で使いやすい事業への説明が不足しがちです。
 
そのため、コロナが流行し始める前の分(過去4年分くらい)もチェックしておいたほうが良いと思います。

また、予算には「当初予算」と「補正予算」があります。
このうち特に注目すべきは「当初予算」と「9月補正予算」です。

当初予算は1年間の予算のベースであり、金額的にも大部分を占めています。
9月補正予算は、年度上半期に発生した状況に応じて当初予算を変更したり、下半期に実施する主要事業を計上するもので、いくつかある補正予算の中でも自治体としてアピールしたい主要事業がよく計上されています。

昨年度(令和2年度)は、新型コロナウイルス感染症のせいでどの自治体もガンガン補正予算を組んでいて、9月補正予算以外も重要な事業が計上されていますが、これは異常事態です。
 
普通の年度であれば、9月補正予算以外は事務的な内容(時間外勤務手当の人件費予算を増やす等)が多く、論文や面接対策目的であれば、特に注目しなくても問題ないと思います。
 


新年一発目の記事から陰謀論をお届けしていきます。

広報担当者にとって、今年は地味に大変な一年になりそうだと思っています。
カネとネタに飢えたマスコミ(テレビ局・新聞社)が役所に群がってきそうです。

役所から広告費を絞りたい

マスコミの経営状況は思わしくありません。
特に広告収入の落ち込みがひどいようです。

株式を上場しているテレビ局の決算短信では、真っ先に「広告収入の減少」を訴えています。
新聞社は非上場なので詳細はわかりませんが、「広告収入が減って厳しい」と報道されています。


『鬼滅の刃』最終23巻の発売に合わせ、2020年12月4日の全国紙5紙(朝日、読売、毎日、産経、日経)の朝刊に、作中キャラクターの登場する広告が掲載されました。

漫画や映画の宣伝のため大々的に新聞広告を打つという宣伝方法自体は珍しくはありません。
ただ、『鬼滅の刃』でやるとは想像だにしていませんでした。

原作コミックスを最後まで読んだ方ならわかると思いますが、本作の終盤には新聞社的に絶対認められないであろう(「こんな展開を子供たちに読ませてはいけない」とか言って叩くほうが自然な)シーンがあります。
 
新聞社としての思想を捻じ曲げてまで広告収入が欲しかったのだろうと思わざるを得ません。
 


テレビ局の決算資料によると、広告収入減少の原因は、新型コロナウイルス感染症(以下「新コロ」)による経済活動の停滞です。
これまで広告を打ってくれていた民間企業が、新コロのせいで経費節減に走ったり、広告したいモノ・サービスをうまく生産できていないせいで、広告を打たなくなっています。
つまり、広告への需要が縮小しています。
 

この状況は日本全国どこの地域も変わりませんし、全国メディア・地方メディアともに直面している苦境だと思います。

羽振りの良い唯一のセクター=行政

経費節減ムードが蔓延する中、行政だけは例年になく金遣いが荒いです。
国では「持続化給付金」「Go toキャンペーン」のような超大型事業を立て続けに展開していますし、自治体でも独自の給付金やクーポン券事業などを行なっています。

あまり報道されませんが、自治体には「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」というお金が国から交付されています。
使用用途は幅広く、自治体の判断でかなり自由に使えます。
もちろん広報にも使えます。


役所攻めがローリスクハイリターン

  • とにかく広告収入が欲しい
  • 民間企業よりも行政のほうが資金的余裕がある
となれば、行政から広告収入を得ようとするのが自然かつ成功率の高い戦略です。
しかも超簡単です。広告が無くて空いている時間や紙面を使って、「住民に伝わってない、もっと広報しろ」とひたすら殴ればいいだけです。

実際、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」のうち相当な額が、既にマスコミに流れているんじゃないかと思っています。

もちろん、広報は重要です。
しかし、「テレビのスポットCM」や「新聞広告」のようなマスコミ経由の広報のほかにも、手段はいろいろあります。
マスコミに言われるがまま広告を打っていたら、それこそ無駄遣い極まりないです。

役所からネタを絞りたい

去年の年末に、総務省から「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」という資料がリリースされました。

自治体ごとの職員給与月額のラスパイレス指数などが掲載されている資料で、一部の層を除いて面白いものではありません。
しかし、僕の住む地域の地方紙では、この資料の中身を膨大な紙面を割いて解説していました。

思うに、記事のネタが枯渇しているのでしょう。

経済活動が停滞すると、マスコミが報道で取り上げる「ネタ」も減ります。
ニュースのネタになるには何であれ「動き」が必要です。動きが無ければネタは生まれません。

一方、役所は、むしろ平時よりも活発に動いていて、安定してネタを生産しています。
しかも最近は新コロのせいでいつになく行政の動きに関心が集まっており、どんなネタであれ反響を期待できます。
つまり、役所の動きに注目していれば、「それなりに受けるネタ」が安定的に見つかるのです。

役所側としては、自分たちの一挙手一投足がネタにされかねないという実情と、マスコミの監視の目を意識する必要があると思います。

これまで一度もマスコミに取り上げられたことのないようなマイナー事業こそ注意が必要です。
もし取材されたらどういうふうに紹介するのか、念入りに吟味しておいたほうが無難でしょう。
今の不安定な情勢下では、不用意な発言は命取りです。

マスコミは営利企業

カネとネタを求めるマスコミの猛攻は、2020年から既に始まっている流れなのでしょうが、今年はより一層過激になると思います。
対立路線で挑んでくるところもあれば、協調路線を敷いてくるところもあるかもしれません。
いずれにせよ真剣です。

マスコミは営利企業です。利益最優先で動きます。
よく「民意」「道徳」「倫理」のような高尚な概念を持ち出してきますが、これらを武器として使えば利益が出るからやっているだけです。これらの概念に遵奉したいわけではありません。

自治体の広報担当者は、例年になく強烈なマスコミからの外圧と対峙することになるでしょう。
まずは何より「相手は営利企業、利益のため打算的に動いている」「結局は広告収入とネタを欲している」ことを念頭に置き、冷静に対応したほうがいいと思います。

 

役所が提供するオンラインサービスがことごとく叩かれています。
雇用調整助成金のオンライン申請システムだったり、コロナ感染者追跡アプリだったり……そして何より特別定額給付金のオンライン申請。
僕自身、ここ数ヶ月で大量にお叱りの声をいただきました。どれも県庁は直接関係ないし、怒鳴られてもどうしようもなんですけどね……

マスコミも、僕が直接対応した住民の方々も、オンラインサービスの不出来さを叱責するついでに、役所仕事の非効率さも一緒に詰ってきます。
ハンコ文化だとか、テレワークできてないとか、電話に頼りすぎとか、ペーパーレスを進めるべきとか、職員のパソコンスキルが低いとか……
「とにかく役所は電子化が進んでいない」と言う結論で締めくくるのが定番のパターンです。

実際のところ、役所が提供するオンラインサービスはだいたいお粗末だし、役所内部の設備も業務プロセスも前時代的なままで非効率なのは間違いありません。叩かれても仕方ありません。

しかし、前者(住民向けのサービス)と、後者(役所内部)の問題を、ひとまとめにして叩くのは危険だと思っています。
この二つは大元の原因が異なります。
 
両者をひとまとめにして叩くだけでは根本的な問題解決にはなりませんし、間違った方向にすら進みかねないと思っています。
特に前者を叩きすぎると、役所の本来の役割である「市場の失敗の補完」を見失いかねません。

【2020/9/25追記】
「デジタル庁」というキャッチーなキーワードが世に産み落とされたので、記事タイトルを変えました。
省庁横断でデジタル化を進めること自体は大賛成ですが、やはり「住民向けサービス」と「役所内の業務面」を分けて考えるべきだと思います。

オンラインサービス拡充よりもデジタル弱者救済の方が優先

過去の記事で、世の中のデジタル化についていけてない方々(以下「デジタル弱者」)の支援が今後の役所の課題になると書きました。


デジタル化が進むにつれて、従来のアナログなサービスがどんどん削減されています。
アナログからデジタルへの移行についてこられていないデジタル弱者にとっては、ここ十数年で生活が不便になってきました。

アナログサービスの削減により困っている人が発生しているという現状は、市場の失敗の一例です。
市場の失敗の補完は、役所の基幹業務です。
つまり、デジタル弱者の救済は、役所の本業なのです。

インターネット上に現れてこないだけで実はものすごく多い

デジタル弱者はものすごく多いです。今回のコロナウイルス感染症騒動で痛感しました。
僕自身が対応した住民の方々からも、
  • 持続化給付金にしろ自治体独自の給付にしろ、インターネットが使えないとろくに補助制度のルールすら調べられないのは差別だ、全員平等に郵送せよ!
  • 特別定額給付金を真に必要としている貧困者はインターネットが使えないんだから、オンライン申請者を先に始めるのは本末転倒だ!
という声をたくさんいただきました。
人数でいえば、役所のアナログ具合を糾弾する方よりも多かったです。
しかもアナログ批判の声よりも真剣味があり、本当に困窮している様が伝わってきました。

さらに言えば、怒りのレベルも高かったです。
アナログサービス削減に対する憤懣、社会全体への鬱憤が普段から溜まっているのでしょう。
インターネットでしか情報配信しない姿勢に対して、何回も「殺人鬼」呼ばわりされました。

デジタル弱者が地方政治の王道派

デジタル弱者の大半は高齢者で、中には政治力のある方もいます。
地元の名士で膨大な票数を動かせたり、議員OBだったり……

6月議会の議事録を見てみれば一目瞭然でしょう。
田舎の自治体だと、デジタル化推進よりもデジタル弱者救済を求める質疑のほうが多いはずです。

現役世代にもデジタル弱者はたくさんいます。
最近流行りの「GIGAスクール構想」関係で、家にネット回線がある家庭の割合がたびたび報道されていますが、どこの自治体も7割前後止まりです。
誰もがインターネットにアクセスできる時代は未だ到来していません。


まとめると、
  • デジタル弱者の救済(=市場の失敗の補完)は役所の本来の役割
  • デジタル弱者は数が多くて真に困っており、救済施策のニーズがある
  • デジタル弱者は政治力を持っている

以上3つの理由から、地方政治ではデジタル弱者側が優先されがちです。

現状、地方財政にゆとりは無く、オンラインサービス拡充とデジタル弱者救済を両立させるのは困難です。
政治力による駆け引きの結果、オンラインサービス充実は劣後して、デジタル弱者のほうに予算と労力を振り向けています。

もし役所が現状の世論に与してオンラインサービスを拡充するのであれば、デジタル弱者の救済策も同時にもっと強化しなければいけません。
そうしないと、役所は福祉という本来の役割を放棄して、格差拡大に加担するという本末転倒になってしまうのです。

どんなデジタル弱者でも使えるやさしいオンラインサービスを整備することが理想なのですが……利用者(住民)のデジタルリテラシー格差があまりにもすさまじく、正直想像できません。

世論が認めてくれたらいくらでも設備投資できる(はず)

一方、役所内のデジタル化が進んでいなくて業務が非効率なのは、設備投資をする予算が無い(認められない)からです。
ボトルネックは世論です。

職場環境に設備投資しようとすると「職場環境への投資は職員のためにしかならない。住民に還元されない。だから認められない」というロジックが席巻しているために、設備投資したくてもできないのです。

コロナウイルス感染症騒動をきっかけに、業務継続計画(BCP)を真剣に考え直している自治体も多いと思います。 
今であれば、「第二波に備えた業務体制の整備」 みたいな名目で、設備投資予算が通るはず。
個人的には千載一遇のチャンスだと思っています。 



役所内のデジタル化の遅れは、世間が叩けばきっと是正されます。
来年度当初予算に堂々と計上できるよう、来年の2月くらいまで叩き続けて欲しいくらいです。

一方、住民向けのオンラインサービス整備の遅れは、ただ叩くだけでは解決しません。
デジタル弱者の救済という優先課題の存在を忘れないでほしいです。

もし面接でオンラインサービスのことを聞かれたら、デジタル弱者救済のことにも触れてみるといいかもしれません。

外部からのアポイント要望を断ったり、仕事の締め切りに間に合わないとき、よく「議会用務」「予算用務」を理由に使ってしまいます。
これは自分に限った話ではなく、自分だけでなく地方公務員、とくに県庁職員であれば身に覚えがあるかと思いますが、外部の方からは「嘘くさいな」と思われているようで、たまに嫌味を言われます。

実際のところ、あまり忙しいわけではないのですが、急に絶対優先の仕事が飛び込んでくる可能性が高く、別の予定を入れるとドタキャンせざるをえない場面が多々発生します。そのため、極力フリーなままでいたいのです。

今回は「予算要求用務」について、大まかな流れを書いてみたいと思います。


第一段階 課内・部局内調整

だいたい10月頃から、「来年度どれくらいの予算をかけて、何をするか」を各担当が考え始めます。
11月に入ると、課内の調整がはじまります。まずは各担当アイデアを課長がヒアリングし、課長が課としての方針を決めます。
課としてまとまったら、次は部局レベルでの調整です。部長が各課の方針をヒアリングし、部としての方針をまとめます。
ここまでは純粋に「どうすれば最大の効果が出るか」を念頭に事業を考えます。

【イメージ】
(担当)
来年度は「声優ラジオ番組とのタイアップ」を強化したいと思います。リスナーだけでなく、内容がネットニュースに取り上げられるなど、副次的な効果も見込まれます。声優事務所に問い合わせたところ、300万円で通年プロモーションが可能です。
(課長) 
安定した成果が望めるが、声優ラジオは成熟したメディア。再来年度に遅らせても支障ない。今やるべきはバーチャルユーチューバーの波に乗ること。こちらに予算を割きたい。声優事業は200万円以内に抑えたいから、通年でなくスポット的に実施することにして、いつやるか検討して、再度見積もりを貰ってくれ。


第二段階 財政部局調整

部局での方針がまとまったら、次は財政部局との調整です。
財政部局は、「一般論としてロジックが通っているか」「組織として一貫性があるか」「政治的に問題ないか」という観点から、事業案を検査します。
まずは各課の担当が財政部局担当に事業案を説明し、財政部局担当から財政部局内の上司へ諮っていきます。
ここからはマジレス・クソリプの応酬です。これらをうまくこなすことが必要になってきます。
こなせなかったら「効果が薄い」「実現可能性が無い」とみなされ、どんどん予算額がカットされていきます。そのため、財政部局からの指摘への対応は、優先順位を高くせざるをえません。
ここで上手なマジレスを繰り出せる財政部局担当は、例外なく出世しています。

【イメージ】
(担当)
ウェブメディア活用事業は、これまではニコニコ超会議とのコラボなどコンテンツ提供プラットフォームとの連携が中心でしたが、プレミアム会員数の減少など、ユーザーのプラットフォームへの忠誠心が薄れています。
そこで来年度は、提供プラットフォームではなく、コンテンツの作り手との連携を強化します。具体的には、現在大人気で高い効果が望める「バーチャルユーチューバーとのタイアップ」に300万円、成熟したメディアであり安定した効果が望める「声優ラジオ番組とのタイアップ」に200万円を計上しています。それぞれの具体的内容は……(以下、タイアップ内容の詳細)
(財政部局担当)
本当にプラットフォームの力が弱まってるの?ネットフリックスとかアマゾンプライムビデオ、Spotifyなんかは絶好調じゃなかったっけ?単にニコニコが弱ってるだけじゃないの?
これまでずっと「プラットフォームとの連携」を続けてきたんだから、まずはコラボ先のプラットフォームを乗り換えるほうが自然じゃない?どうしてこれをしないで、いきなりプラットフォームを見捨てるの?
バーチャルユーチューバーのファンって本当に若者?統計資料あるの?こっちが用意した原稿通りに読んでくれる保証はあるの?そもそもバーチャルユーチューバーってアウトローさが売りだから自治体とタイアップした時点で魅力無くならない?もしこの事業のせいで人気落ちた場合の補填は?
声優ラジオは誰とタイアップするの?うちの自治体関係者のアニメ監督〇〇さんの意見は聞いた?〇〇さんの了解貰わずに進めても大丈夫なの?そもそも〇〇さん監督のアニメってラジオやってないけど、これって〇〇さんラジオ嫌いってことじゃないの?〇〇さんがうちにふるさと納税してくれてるって知ってるよね?機嫌損ねない?大丈夫?
(担当)
……確認します。
(財政部局担当)
明日の朝8時までにお願い。


第三段階 首長の一声

財政部局が認めてくれたら、首長に諮ります。
首長に対しては、財政部局から全部局分まとめて説明し、反応を伺います。
すんなり了承してくれれば問題ないのですが、首長が私論を語りだしたら一大事。その私論が実現可能か、大至急確認が必要になります。

【イメージ】
(財政部局)
オタク振興部ウェブメディア活用課においては、従来のプラットフォーム活用の効果をさらに高めるため、プラットフォームと連携を保ちながら、コンテンツの作り手とも連携を強化していきます。具体的にはバーチャルユーチューバー及び声優ラジオとのタイアップを実施します。予算規模は500万円です。実施に当たっては、〇〇監督の意見を適宜聞きながら進めていきます。
(首長) 
先日〇〇監督と会食したとき、彼が□□という新人の女性声優を推していた。来年秋に彼女を主役に起用して新たなシリーズものを始めるらしい。バーチャルユーチューバーは今年半ばには下火になる。□□を使って話題性をつくる側に回れ。500万円で足りるのか?成果を必ず出せ。
(財政部局担当)
□□という声優を知っているか?〇〇監督の次回作に起用されると首長が聞いたらしい。彼女を使ったタイアップ事業を作れ。声優ラジオに限らない。予算規模は最大2000万円まで認めるから、確実に成果が出る手堅いものを考えろ。明日6時までに必ず。
(課長)
マジかよ……(大至急〇〇監督に連絡して事実関係を確認、監督から□□に声掛けしてもらう確約をとり、2000万円の積算をでっちあげ、首長に「できます」と回答、)


第四段階 議会の承認

首長に了承されたら、最後は議会での審議です。
よほど政治的にグレーな問題でない限り、承認されます。


だいたいこんな感じですが、第三段階でのどんでん返しはほとんどありません。財政部局が首長の意向をだいたい把握しているので、第二段階を通り抜けるまでに、首長好みの内容に仕上がっています。

予算用務全般、とにかく期限がシビアで、時にはクソリプに付き合わなければならず、時間も精神力も奪われてしまうのです……

このページのトップヘ