キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

タグ:人事

今年度の国家公務員受験者が久々に前年を上回ったようです。


とはいえ僕が公務員試験を受験した頃の3分の2くらいにまで落ち込んでいます。
当時より採用者数は爆増しており倍率的には歴史的低水準、つまり「合格しやすい」にもかかわらず受験者数が伸びないということは、巷でよく囁かれる「学生の公務員離れ」が進んでいると思わざるを得ません。

人事院では昨年、「国家公務員を志望しなかった理由」を調査しています。

 

国が実施する調査は、調査する前は大々的に取り上げられるものの、調査結果はなぜかスルーされがちです。
この調査も、「調査します」と発表した際にはニュースになっていましたが、3月に発表された調査結果はほとんど話題になっていなかったように思います。僕自身、つい先日気づきました。
気になった項目を紹介していきます。


全文へのリンクを貼っておきます。

もうちょっと細かく集計してほしかった

僕がまず注目したのは、本アンケート回答者の「志望状況」です。

スクリーンショット 2022-04-24 10.05.12

まず、回答者の約65%が「もともと興味なし」と回答しています。結構高いです。
ということは、このアンケート結果には、「公務員を興味が湧かなかった人」の意見が色濃く反映されています。

就活生は忙しいです。
興味が湧かない業界に対し、わざわざ時間と労力を費やしてリサーチしている余裕はありません。
ゆえにこのアンケート結果は、「公務員に興味がない人が」「直感的印象で回答している」ものと解釈するのが適切だと思います。

また、約20%が「関心があったが、やめた」と回答しています。
この層は「ちゃんとリサーチしたうえで止めた」方々であり、採用側からすれば「取りこぼし」ともいえます。
個人的には結構高いと思います。一旦公務員を検討したら受験まで一直線のイメージが強く、「よく考えたうえでやっぱりやめる」というパターンはごく少数だと思っていました。

ガチで分析するのであれば、「もともと関心がなかった」層と「関心はあったが、やめた」層を分けて集計する必要があると思います。
前者の回答は「ただの印象」で、後者の回答は「調査・熟考の結果」です。重みが違います。
なんらかの対策を講じるにしても、手法が全く異なるはずです。
公表されていないだけで、人事院内ではきちんと分析しているのでしょうが……

「人間関係と職場の雰囲気が終わっている」というイメージ

個々の回答項目を見ていくと、1問目から衝撃的な結果が出てきます。

スクリーンショット 2022-04-24 10.28.37

「人間関係や職場の雰囲気が良さそう」のスコアが飛び抜けて低い……
本省のエンドレス長時間労働や、国会議員にどやされている印象が強いのでしょうか?
「職場の雰囲気」は多忙と結びついているとして、「人間関係」とは……?

「仕事と私生活の両立ができる」も気になります。「そう思わない」がこの項目だけ頭一つ抜きん出ています。
「関心はあったが、やめた」層がこの項目でどう回答しているのか非常に気になります。
ひょっとしたら「そう思わない」に集中しているのかも……

コスパが悪い就職手段?

次の設問では「国家公務員を選ばなかった理由」を尋ねています。

先述したとおり、この設問の対象者には、「もともと関心がなかった」層と「関心はあったが、やめた」層という異質な存在が入り混じっています。
これらの2層では、「選ばなかった理由」に差がありそうですし、たとえ同じ回答を選ぼうとも、その回答に至るまでの過程は全然違うはずです。
そのため、ごちゃ混ぜで集計してもあんまり有意義ではない気もしつつ……とはいえどうしようもないので、この結果を見ていきます。

スクリーンショット 2022-04-24 10.38.57


まず目につくのが採用関係です。
「採用試験の勉強や準備が大変」が最も高スコア、「採用試験に合格しても必ずしも採用されないこと」「採用試験の実施時期が遅い」もなかなか上位に来ています。

がっつり対策しなければいけないのに採用されるかどうか不確実、つまるところ採用対策のコスパが悪いということなのでしょう。わかります。完全に同意です。

あとは「ハードワークだから敬遠している」系統の項目でスコアが高くなっています。

一方、ハードワークを厭わない層からは、処遇関係への不満がありそうです。
「出身大学が処遇に影響しそう」「能力や実績に基づいた評価がなされなさそう」「若手に責任のある仕事を任せてもらえなさそう」あたりの回答も高スコアで、実力や成果に見合った待遇を求めるバリキャリ志向のニーズに沿えていないことがわかります。

第三者発の情報のせいで受験者が減っている?

この調査では、国家公務員関係のみならず、就職活動プロセス全般についても質問しています。
中でも僕が気になったのは情報収集手段です。

スクリーンショット 2022-04-24 11.11.18

本文中でも触れられているとおり、採用側が発する公式情報のみならず、インターネット記事や口コミサイト、Twitterのような第三者発の情報も結構参照されているようです。

この傾向は、役所にとってはかなり不利です。
世間の人々の大半は、公務員に対して敵対的です。
インターネット上には、公務員批判記事は大量にあれど、公務員に好意的な記事はほとんどありません。

公務員への就職に関しても、「オワコン」「泥舟」「人生の墓場」といった否定的な記述ばかりです。
公務員就職を推奨しているのは、今や予備校くらいです。

つまり、第三者発の情報を集めるほど、公務員就職に対してネガティブな感情を抱いてしまうでしょう。
こうやって意欲を挫かれる人も、ひょっとしたら少なくないのかもしれません。

この調査結果はあくまでも国家公務員について尋ねたもので、そもそも地方公務員は対象外です。
ただし、この設問は「就職活動全般」について尋ねており、地方公務員採用でも大いに参考になります。
インターネット上の第三者意見が結構参照されていることが定量的に明らかになったという事実は認識しておいたほうがいい気がします。

最近少しずつ「定年延長で採用者数が減少するぞ!!!!」という煽りを見かけるようになりました。

ただ、具体的にどれだけ減るのかは、今のところ見つかりません。
そこで、現時点で入手できる情報を用いて、果たしてどれくらい減りうるのかを考えてみました。
あくまでも人事エアプによる試算です。

採用者数=退職者数

地方自治体の採用は、基本的に退職者補充です。
退職者見込み数と同数を採用します。
 
例えば2022年度中に100人退職する見込みだとすると、2022年度中の採用者(2023年4月から勤務スタートの人たち)は、100人がベースになります。
2022年度中に100人減る代わりに、2023年4月1日から新たに100人を雇い入れることで、総人数をキープするわけです。

定年延長期間中は、2年に1度のペースで定年退職者が発生しない年度、つまり退職者数が激減する年度が挟まります。
退職者数の減少が確実であるために、採用者数の減少も確実視されているのです。

約5割が定年退職者

総務省の「令和元年度 地方公務員の退職状況調査」(リンク先はPDF)によると、全退職者に占める定年退職者の人数は、54.5%とのこと。

以下、表現をシンプルにするため、全退職者に占める定年退職者の割合は約5割と置きます。
さらにシンプルにするため、職員の年齢構成は均一(どの年齢でも職員数は同一)と仮定します。

スクリーンショット 2022-02-11 10.32.24

 

定年が延長されようとされまいと、定年退職以外の退職者数には、直接の影響はありません。
ひょっとしたら「老いぼれを優遇する組織に未来は無い!」と若手の離職が増えたりするかも知れませんが、現時点では定量的に予測できないのでスルーします。

超単純に考えると、定年が引き上げられる年度(令和5,7,9,11,13年度)は、退職者数が最大で約5割減少するわけです。

先述したとおり、地方自治体の採用は基本的に退職者補充です。
退職者数が5割減るということは、採用者数も5割減ることになります。

つまり、またまた超単純に考えると、定年が引き上げられる年度(令和5,7,9,11,13年度)は、採用者数が最大で5割減少するかもしれないわけです。

ただし、その前後の年度(令和4,6,8,10,12,14年度)は、定年退職者が発生するので、新規採用者数は減りません。
新規採用者数は、令和4→5にかけて半減、令和5→6にかけて倍増、令和6→7にかけて半減……というサイクルを繰り返します。

不確定要素①:年度間で平均化するか?

めちゃくちゃ単純に考えるとこんな感じになりそうなのですが、実際の運用はもっと複雑になると思われます。
この方法だと職員の年齢構成が歪んでしまい、組織運営に支障が出るからです。

採用試験に関しても、「1年ずれるだけで倍率が全然違うのは非効率・不公平だ」という批判が上がるでしょう。

そこで、多くの自治体では、採用者数の減少幅を平均化するだろうと思われます。
「2年に1度のペースで新規採用者数を半減させる」のではなく、例えば「2年続けて新規採用者数を25%減少させる」ことで、年度間の採用者数の増減幅を縮小するのです。
定年延長と採用者.001


僕がこれまで「令和4年度の新規採用者数は減りそう」と呟いているのも、この発想がベースです。
令和5年度に新規採用者数を5割減らす代わりに、令和4年度と5年度に25%ずつ減らす……という人事戦略を採る自治体がそこそこあるのでは?と勘繰っています。

この作戦では、令和4年度は退職者>採用者となるため、令和5年度は欠員が生じます。
この分は会計年度任用職員で穴埋めするのでしょう。

反対に、令和4年度の採用数は減らさず、令和5年度〜14年度にかけて25%採用数を減らす、いわば採用枠を前倒しするような運用も考えられます。
こちらだと令和6,8,10,12,14年度は定員をオーバーしてしまうので、自治体としてはあまり気が乗らない気がします。

不確定要素②:定年延長を受け入れない職員の割合

ここまでの妄想は、満60歳を迎える職員が全員定年延長を受け入れる前提で展開してきました。
これまで定年退職してきた職員が「全員」残留するために、採用者数が圧迫されるという前提です。

しかし実際は、定年延長を受け入れず、満60歳で退職する人も存在するはずです。
つまり、定年延長年度(R5,7,9,11,13)であっても、退職者数が5割も減るとは限らず、ひいては採用者数の減少幅もより小さいかもしれません。
 
定年延長と採用者.002


「定年延長を受け入れず、満60歳で退職する人」の割合が高ければ高いほど、退職者数が増えるため、採用者を減らさずに済みます。
極端な話、この割合が100%であれば、定年延長は完全に形骸化して、これまでと全く変わらないわけです。
反対に0%であれば、全員が定年延長に従うことになり、5割の退職者減・採用者減が現実化するでしょう。

「定年延長を受け入れず、満60歳で退職する人」の割合は、現時点では全然読めません。
かつ、自治体によっても大きく差があるでしょう。

暫定的結論:最大25%?

現時点で入手できる公表数値ベースでは、
  • 2年に一度、最大で50%減少させる
  • 多くの自治体では、採用者数を平均化するため、10年間にわたり最大で25%減少する
  • 令和4年度採用から減らす自治体もあるかもしれない(最大25%減少)

までしか言えません。
あくまで「最大」であり、 実際はここまでは減らないと思います。

定年延長期間中の採用戦略は、今まさに各自治体の人事部局で真剣検討している最中でしょう。
そもそも使えるデータが少なく、悪戦苦労しているところなのではと思われます。 
人事通な方が書いたガチ解説が読みたいところなのですが、今のところ見つけられていません。
人事に詳しいほど、不確定要素がありすぎるために、確たることを発信できないのでしょうか……?


就職活動中は「『やりたい仕事』は何なのか?」という自問自答を繰り返し、志望動機という成果品へと練り上げていきます。
一方、「やりたい仕事」を考える過程で、「やりたくない仕事」も明確になってくるでしょう。

地方公務員の場合、他の職業と比べて、配属される可能性のある業務の範囲がものすごく広いです。
そのため、「地方公務員になって〇〇の仕事をしたいけど、△△はやりたくない」というように、同じ公務員稼業の中でも好き嫌いが分かれると思います。

地方公務員の配属は運次第です。 
よくソーシャルゲームのガチャに例えられて「配属ガチャ」と呼ばれているとおりです。
ただ課金はできません。リセマラもできません。一発限りの運勝負です。
そのため、「やりたい」「やりたくない」どちらにしても、叶うとは限りません。

とはいえ、可能性を高めることは可能です。

「やりたい仕事」を担当する職員の割合が大きい自治体に就職すれば、自分が配属される可能性も高まります。
反対に、「やりたくない仕事」を担当する職員の割合が小さい自治体に就職すれば、自分が配属される可能性も下がります。


そこで、総務省が毎年実施している「定員管理調査」の数値をベースに、都道府県・市町村それぞれについて、地方上級試験の一般行政区分(いわゆる事務職)で採用された職員の部署ごとに割合を試算してみました。

この時期だと、都道府県と市区町村のどちらを優先するか迷っている方もまだいると思います。少しでも参考になれば(そして都道府県を第一志望に据えてもらえれば)至福の限りです。


部局別構成比の違い

画像用


都道府県>市町村の部局は赤色、都道府県<市町村の部局は青色で着色しています。
基本的には左側の「全体構成比」を見てください。右側の「一般行政構成比」は参考値です。

表の下にある注記でも触れましたが、この数字には技術職(土木、農林、保健師など)や現業職の方は入っていません。
あくまでも事務職だけです。

事務職が配属されなさそうな部署・ごく少数しか配属されないであろう部署(保育園とか)は、控除しました。

説明量が膨大になるので、具体的な算出方法は省略します。
結構頑張ったのでエクセルファイルをそのままアップしたいくらいなのですが、ブログシステム上無理っぽいです……

あくまでも全自治体の合計値をもとに算出した割合なので、職員数の多い大都市部の影響が色濃く出ているかもしれません。

部局別コメント


議会


いわゆる「議会事務局」の人数です。ほぼ同じ割合です。


総務・企画

市町村のほうが割合が大きいです。
住民票や戸籍管理を担当する「住民」部局の人数差が影響しています。
都道府県の「住民」部局って何なんでしょう?パスポート関係くらいしか思いつきません……

「広報広聴」が個人的に意外でした。
あくまで推測ですが、自治体の規模と広報広聴部局の人数は関係ない、つまり大きな自治体も小さな自治体も同じような人数で広報業務を回しているような気がします。

ちなみに、財政・人事・企画という出世コース御三家は、この区分に含まれます。
(財政と人事は「総務一般」、企画は「企画開発」) 


税務

都道府県のほうがやや大きいです。
出先機関(県税事務所など)の数が、都道府県のほうが多いためだと思われます。
本庁の人数だけに絞ると市町村のほうが大きくなりそうです。


民生(≒厚生労働省系の部局

市町村のほうがかなり大きいです。
国保や介護保険のような市町村特有の事業があるうえ、「民生一般」も大きくなっています。
よく話題に上る「生活保護のケースワーカー」も「民生一般」に含まれます。


衛生(≒環境省系の部署)

さほど差はありませんが、都道府県のほうが大きいです。
理由はよくわかりません。法定事務量の違い(特に許認可業務は都道府県のほうが多いはず)でしょうか?


労働

若年者の定着やUIJターン促進のような業務を担当する部署です。
労働局と一緒に仕事することが多いせいなのか、都道府県のほうが大きいです。
とはいえ全体から見ればかなり少数派です。


農林水産

都道府県のほうが大きいです。
ちなみに農林技師の人数を加算すると、都道府県と市町村の差がもっと開きます。


商工

観光はやや市町村のほうが大きく、観光以外は都道府県のほうが大きいです。
経済産業省系の法定事務を都道府県で担っているためだと思われます。


土木

都道府県のほうが大きいです。
特に用地買収は都道府県がトリプルスコアをつけています。


公営企業会計

市町村のほうが大きいです。
「公営企業会計って何?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、ざっくり「出先機関の一部で、なかなかまったりしているところ」だと思ってください。


教育

都道府県のほうが大きいです。
高校事務職員の影響が大きいです。


都道府県と市町村、どちらがいい? 

「何でも屋」が嫌なら市町村

全体構成比で見ると、市町村は上位2部局の「総務・企画」と「民生」だけで50%を超えます。
全職員の過半数がこの2部局に勤務しているわけです。

一方、都道府県は、上位2部局を足しても約42%で、5%〜10%の層にたくさんの部局が並んでいます。
市町村と比べると、都道府県のほうが職員のばらつきが大きいと言えるでしょう。

つまり、都道府県の場合はいろんな部署を転々とする可能性が高いのに対し、市町村の場合は「総務・企画」「民生」部局で過ごす期間が相対的に長くなると推測できます。

「地方公務員は数年おきに部署が変わるから専門性が身につかない!」と危惧するのであれば、市町村のほうが向いているかもしれません。

少なくとも「総務・企画」「民生」部局に関しては、都道府県職員よりも専門性が身につきやすいはずです。

具体的には戸籍関係、生活保護、国民健康保険、介護保険あたり。
将来的に公務員を辞めて士業で独立開業したり、金融関係の仕事に就きたいのであれば、このあたりの専門性が有利に働く気がします。
少なくとも、公務員でないと身につかないという意味で希少性があるでしょう。


民生関係の仕事をやりたいなら市町村、嫌なら都道府県

都道府県と市町村の差が大きく、かつ構成比も大きいのが「民生」部局です。
この分野の仕事に関心があるのなら市町村一択ですし、反対に避けたいのであれば都道府県を選んだほうが無難でしょう。


「防災」はあくまで専任職員の数

「防災」の構成比を見ると、僅差ではありますが都道府県のほうが若干大きくなっています。
この数字を見て、「防災関係は嫌だから市町村にしよう」と考えてはいけません。

この数字はあくまでも専任職員の数を集計したもので、災害発生時には部局にかからわず全職員が対応にあたります。
市町村は避難所運営のような対住民業務が多く、都道府県よりも負担が重いと思われます。

公務員である限り、防災関係業務からは逃れられません。
防災関係業務を避けたいのであれば、そもそも公務員は辞めておいたほうが無難です。


商工・観光は狭き門、民間就職も視野に入れては?

公務員志望者から人気のある商工関係部局ですが、都道府県であれば5%、市町村であれば4%しか配属されない競争率の高い部署であることをぜひ認識しておいてもらいたいです。
観光に至っては2%未満です。

商工・観光関係の仕事に就きたくて、かつ具体的にやりたいことが決まっているのであれば、公務員よりも民間に就職したほうがいいかもしれません。
「いつまで経ってもやりたい仕事に配属されない」という地方公務員人生の宿命的リスクに、わざわざ身を晒すことはありません。

地域経済全体の活性化なら金融機関・コンサル、個々の企業支援なら商工会・商工会議所、観光関連ならイベント会社……など、役所と似たような仕事をしている組織が民間にもたくさんあります。
役所でしか携われない仕事といえば、企業誘致くらいでは?


「どのガチャを引くか」を選ぶ

ソシャゲを実際に嗜んでいる方ならよくご存知でしょうが、一つのゲームの中にもいくつかのガチャがあります。
レアキャラが出やすかったり、特定のキャラクターがピックアップされていたり、普段より割安だったり…等々。
どのガチャを引くか、ユーザー達は条件を見ながら選択します。


地方公務員への就職、特に「都道府県か市町村か」の選択は、「どのガチャを引くか」の選択に近いものがあると思っています。
本記事で紹介したように、都道府県と市町村では、配属先の確率分布が異なります。
配属先そのものは運ゲーですが、運ゲーの前提にある確率分布は、志望者が選択できるのです。


ソシャゲ風に言うと、
  • 都道府県は通常ガチャ(ピックアップなし)
  • 市町村は「総務(特に住民)・企画」「民生」ピックアップガチャ
と表現できるでしょう。

ソシャゲと比較していただければ、配属ガチャのクソゲーっぷりもよくわかってもらえると思います。
人気SSRである「観光」を引くためには、一発勝負のガチャで1.3%(都道府県の場合)を引き当てなければいけないわけです。

ポケモン黄のトキワのもりでピジョンが出現する確率が確か1%だったはず。
都道府県職員として観光部局に配属される確率は、ピジョンの出現率と大差無いのです。
(アラサーしかわからない肌感覚かもしれませんが……)

広報に至っては0.6%です。まともにやってられません。

この記事を書いていて、改めて配属に真剣になったほうの負けだと痛感しました。 
どこに配属されようともそれなりに楽しくやる「楽観的達観」が役所人生には欠かせないでしょう。

自分が出世コース入りしているのかどうか、30歳を過ぎる頃になれば自然と分かってきます。
同期職員の間でも業務内容の差が広がり、忙しい職員と暇な職員にはっきり分かれるからです。

過去にも紹介したとおり、出世コースに入るか否かは20代のうちに確定すると僕は考えています。


役所の出世コースは明確で、「誰が出世コースに乗っているのか」は人事録を数年分見ればおおよそわかります。

出世競争最大の謎
であり役所人事の神秘は、その前段階である出世コース入りを賭けた2次選抜過程です。
誰が参戦しているのか傍目にはわかりませんし、戦っている当人すら自覚が無いかもしれません。

今回はこの「2次選抜」の真相に迫ってみます。
7割方妄想なので脱力して読んでください。

2次選抜過程=調整能力と激務耐性を試す

出世コースに乗るためには、少なくとも「事務処理能力」「調整能力」「激務耐性」の3つが欠かせません。
ここでいう「激務耐性」とは、忙しい時期でも仕事のパフォーマンスが落ちないという意味です。

このうち「事務処理能力」は、担当業務がどんなものであれ測定可能な指標です。
役所の仕事において、事務処理能力が求められないものはありません。

そのため、採用直後からの数年間にわたる1次選抜の過程では、主に「事務処理能力」を測定していると思われます。
「事務処理能力」が高いと評価された職員が、2次選抜に進みます。

2次選抜では、残る2要素である「調整能力」と「激務耐性」が主に測られます。
つまり、「調整能力」と「激務耐性」が試されるポストに配置されれば、自分が2次選抜にかけられていると判断できます。

20代後半の段階で、延々と事務作業が続くポストやほぼ定時で帰れるようなポストに配置されたとしたら、残念(幸運?)ながら2次選抜には進めなかったのだと思われます。

具体的な2次選抜ポストは自治体ごとにバラバラであり、人事録を読み込んで分析するしかありません。
しかし役所は役所であり、若手に任せても問題なくて「調整能力」と「激務耐性」をテストできるポスト、つまり2次選抜向けのポストは、ある程度は似通ってくると思います。

2次選抜ポストの典型例

予算担当

課の予算担当ポストや、部局の予算調整ポストは、言わずもがな庁内調整業務の要であり、来年度当初予算の編成時期(11月~2月)には激務を強いられます。

しかも部や課ごとに最低一人は配置されるポストであり、庁内全体で見れば相当な人数が存在します。
つまり、仕事の出来を比較でき、能力評価しやすいです。
「調整能力」「激務耐性」を測定するのにうってつけのポストと言えるでしょう。


前任者がもっと上位の職員だったポスト

これまで30代半ばの職員が担当していた業務の後任者として起用された場合も、2次選抜入りしている可能性が高いと思われます。

役所では基本的に、職位が上の職員ほど難しい仕事を割り当てられます。
歴代ずっと30代の職員が担当している業務は、若手職員では務まらない理由があるのです。
(例外もたくさんありますが……)

逆にいえば、これまで30代職員が担当してきた業務を難なくこなせる若手職員がいたとすれば、その若手職員は間違いなく優秀といえるでしょう。

ベテラン担当ポストにあえて若手を配置することで、その若手職員を試すのです。

部局長との接触機会が多いポスト

そもそも出世コース入りの可否を見極めているのは一体誰なのでしょうか?
職員の人事はもちろん人事課が決めているわけですが、いくら人事課といえども「調整能力」「激務耐性」のような抽象的な能力まで測定・把握できるとは思えません。

僕の見立てでは、出世コース入りの鍵を握っているのは部局長です。
部局長はいわば出世コースの大先輩であり、出世する職員に求められる資質を自らの経験をもって熟知しています。
人事課としても、部局長たちの意見を大いに参考しているのではないでしょうか?

とはいえ部局長ともなると普段は個室で仕事しており、若手職員を観察する機会がなかなかありません。
そのため、特に注目されている職員は部局長の目に入るポストに配置され、日々評価されているのだと思います。
 
具体的にはこのあたりが典型でしょう。
  • 各課・各部局の予算担当(予算や議会のヒアリングで確実に接触する)
  • 各部局の総括担当課(部局長の秘書的な業務がある)
  • 部局長へのヒアリングを頻繁に行う事業の担当(ヒアリングが多い=目玉事業でもあり、激務かつ調整も多い)


本省出向はあくまで2次選抜の序章

国家本省への出向も2次選抜プロセスの一部だと思っています。
1次選抜で「事務処理能力あり」と認められた職員でなければ、出向しないでしょう。
 
ただし、本省出向そのものが2次選抜の結果を左右するとは思いません。
本省への出向中は、だれもその仕事ぶりを直接観察できず、「調整能力」も「激務耐性」も測定できないからです。

本省出向の目的は、1次選抜で「特に見込みあり」と認定された本命職員をさらに成長させることなのではと思っています。

2次選抜の本番は出向から帰ってきた後であり、本省出向を経験したから出世ルート当確とは限りません。
本省出向者はあくまでも1次選抜の成績が良かっただけで、2次選抜で巻き返される可能性は十分ありえます。

真相がわからないなら勝手に解釈してもいい

自分がどう評価されているかなんて、正直よくわかりません。
正解がわからないのであれば、自分に都合よく解釈してしまえばいいと思います。

仕事で成果を出したいのであれば、「自分は出世候補者だ、組織から見込まれているんだ」と勝手に思い込むのも大いにアリだと思います。
自然とやる気が溢れてきて、仕事が楽しくなるかもしれません。



去年いろいろあってペンディングになっていた公務員の定年延長関係の法案が、今の国会で再度提出されています。
地方公務員に関しては、「地方公務員法の一部を改正する法律案」の中で、国家公務員に準じて定年が延長される形になるようです。

定年が何歳になろうが、僕には直接関係ありません。
僕が定年退職するのはずっと先であり、今後もっと大きな改革がなされていくでしょう。
不利な方向に……

ただ、「61歳以上の職員が増える」という事象からは、ものすごく影響を受けると思っています。
マイナスの影響です。当たりのポストが奪われてしまいます。

単なる「後ろ倒し」ではない

まず定年延長の具体的な中身に触れておきます。
総務省ホームページに昨年度の資料が掲載されていて、これを見ればだいたい中身がわかります。
報道されている限りでは、施行日が一年遅れて「令和5年4月1日」になる以外は、ほとんど中身は変わっていないようです。
 
000675581-pdf


役職定年制(管理監督職勤務上限年俸制)の導入

定年が61歳以上に延長されても、管理職手当がもらえるレベルの職位に就いていられるのは60歳までで、61歳以降は非管理職のポジションでないと原則働けないようです。

役所みたいなガチガチ年功序列な組織で単純に定年が延長されるだけだと、出世のペースがそのまま後ろ倒しになりかねません。
このような状況を未然に防止し、組織の新陳代謝を確保し「上が詰まる」状況を避けるための規定なのでしょう。

定年前再任用短時間勤務制の導入

61歳以降も役所で働きたいけど、フルタイム勤務は体力的に厳しい……という職員は、希望すれば65歳までは短時間勤務のポジションに就けるようです。

フルタイムではなくとも、年金支給開始まではちゃんと雇用を確保するという意味合いなのでしょう。

情報提供・意思確認制度の新設

事前にちゃんと情報提供しますよ、という規定です。
具体的な話をどこまでするのか(担当業務や待遇まで示すのか)気になるところです。

給与に関する措置

給料月額(俗にいう基本給)は、60歳までの額の7割まで落ちるようです。つまり3割減少します。
 60歳時点の給与月額がどんなものなのかは知りませんが、3割減は相当痛いと思います。

ちなみに僕の場合、今の給料月額が約25万円なので、3割減ったら17.5万円になります。
初任給と同じくらいの水準です。8年分の昇級が吹き飛ぶわけですね……

定年延長後の世界(想像)

現状でも「再任用」という仕組みがあり、定年退職した職員は「再任用職員」として65歳まで働けます。
定年退職した職員全員が再任用で働き続けるわけではなく、結構な割合がすっぱり役所と縁を切っています。

そのため、定年が65歳まで延長されたとしても、全員が定年まで勤め上げるとは思えません。
60歳段階でそれなりの割合が退職し、役所に残った職員も途中で辞めていき、65歳まで残る人数はあまり多くないでしょう。

つまり、現状の「再任用職員」が「61歳以上の正規職員」に置き換わり、今よりも人数が若干増える程度で、役所組織が激変するまでは至らないと思っています。

閑職ポストが奪われ、若手は全員激務に回される……?

しかし、僕みたいな楽したいタイプにとっては、「61歳以上の正規職員」は脅威でしかありません。
彼ら彼女らは競合相手であり、わずかでも増えられたら困ります。

「61歳以上の正規職員」が就くポストは限られます。

残業上等の激務ポストや、主要施策担当、内部調整役のような重要ポジションには、まず充てがわれないでしょう。
体力的な懸念がありますし、若手職員の成長機会を奪ってしまいます。

となると、「61歳以上の正規職員」の職員が担当するのは、それほど忙しくないルーチンワーク中心の業務になると思われます。(現状の再任用職員も、たいていこのような仕事をしています。)

僕みたいな楽したいタイプは、こういうポスト(業務)を常に狙っています。 
しかし、「61歳以上の正規職員」が増えるほど、このポストを彼ら彼女らに当てなければいけなくなり、若手〜中堅職員の取り分は減って行きます。
美味しい(=暇な)ポストが「61歳以上の正規職員」に奪われて、はずれ(=忙しくてきつい)ポストを引くリスクが高まるわけです。まさに脅威というほかありません。 

さらに、こういうポストは、新規採用職員を置いたり、産休や病休明けの職員に「ならし運転」してもらったり……などなど、調整弁としても利用されています。
 
しかし、こうしたポストを「61歳以上の正規職員」に割り振ってしまうと、従来のように調整弁として使えなくなります。
 
つまり、「バリバリ働かせられない若手〜中堅」向けのポストを「61歳以上の職員」に明け渡してしまうことで、これまで配慮されていた方がいきなり実戦投入されてしまいかねなくなるのです。




僕の勤務自治体だけなのかもしれませんが、本庁課長以上に出世した職員は再任用を選択しません。
俗にいう「天下り」していくのか、別の働き口を見つけているのか、疲れ果てて完全リタイアしているのか……とにかく役所からは離れていきます。

そのため、「元上司が再任用職員になり部下として配属された」という複雑な関係が生じません。
再任用職員になる方は、たいてい部下を持つポジションを経験せずに定年まで勤め上げます。


定年が伸びて、「管理職経験者」も役所内に残るようになったら、「元上司が部下」みたいなややこしい関係が増えて、職場の雰囲気が変わるかもしれません。
人間的にも役所思考に染まった方が増えて、もっと堅苦しくなるのかも…… 

他のブログやSNSでは「再任用職員が仕事してない」みたいな愚痴も見かけますが、僕はそういう経験が一切無く、むしろ再任用の方に大変お世話になってきました。

このブログの中身も、再任用の方から聞いた話がかなり盛り込まれています。
特に苦情対応関係はほぼ受け売りみたいな状態です。




新規採用者数は減るのでは?

新規採用にも少なからず影響があるのではないかと思っています。
法案によると「2年に1歳ずつ」段階的に定年を伸ばしていくようですが、この延長期間中(10年間)は、2年に1回、定年退職者が発生しない年度があります。

この年度も通常通りに新規採用していたら、一時的に総職員数が増えてしまいます。
辞めないのに採用するからです。

公務員への風当たりが強い昨今、「公務員総数が増える」という事態を、世間が許すでしょうか?

「公務員が増えるのはけしからん!」という住民の怒声を予想して、あらかじめ採用数を減らすのが、自然な対応のような気がしてなりません。

定年延長に関して、公務員試験界隈の方が沈黙しているのが不思議でなりません。
「定年延長で採用減!公務員になるなら今しかない!」みたいな触れ込みで不安を煽って教材買わせたりスクール通わせたりできそうなのに……


このページのトップヘ