キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

タグ:人事


去年いろいろあってペンディングになっていた公務員の定年延長関係の法案が、今の国会で再度提出されています。
地方公務員に関しては、「地方公務員法の一部を改正する法律案」の中で、国家公務員に準じて定年が延長される形になるようです。

定年が何歳になろうが、僕には直接関係ありません。
僕が定年退職するのはずっと先であり、今後もっと大きな改革がなされていくでしょう。
不利な方向に……

ただ、「61歳以上の職員が増える」という事象からは、ものすごく影響を受けると思っています。
マイナスの影響です。当たりのポストが奪われてしまいます。

単なる「後ろ倒し」ではない

まず定年延長の具体的な中身に触れておきます。
総務省ホームページに昨年度の資料が掲載されていて、これを見ればだいたい中身がわかります。
報道されている限りでは、施行日が一年遅れて「令和5年4月1日」になる以外は、ほとんど中身は変わっていないようです。
 
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役職定年制(管理監督職勤務上限年俸制)の導入

定年が61歳以上に延長されても、管理職手当がもらえるレベルの職位に就いていられるのは60歳までで、61歳以降は非管理職のポジションでないと原則働けないようです。

役所みたいなガチガチ年功序列な組織で単純に定年が延長されるだけだと、出世のペースがそのまま後ろ倒しになりかねません。
このような状況を未然に防止し、組織の新陳代謝を確保し「上が詰まる」状況を避けるための規定なのでしょう。

定年前再任用短時間勤務制の導入

61歳以降も役所で働きたいけど、フルタイム勤務は体力的に厳しい……という職員は、希望すれば65歳までは短時間勤務のポジションに就けるようです。

フルタイムではなくとも、年金支給開始まではちゃんと雇用を確保するという意味合いなのでしょう。

情報提供・意思確認制度の新設

事前にちゃんと情報提供しますよ、という規定です。
具体的な話をどこまでするのか(担当業務や待遇まで示すのか)気になるところです。

給与に関する措置

給料月額(俗にいう基本給)は、60歳までの額の7割まで落ちるようです。つまり3割減少します。
 60歳時点の給与月額がどんなものなのかは知りませんが、3割減は相当痛いと思います。

ちなみに僕の場合、今の給料月額が約25万円なので、3割減ったら17.5万円になります。
初任給と同じくらいの水準です。8年分の昇級が吹き飛ぶわけですね……

定年延長後の世界(想像)

現状でも「再任用」という仕組みがあり、定年退職した職員は「再任用職員」として65歳まで働けます。
定年退職した職員全員が再任用で働き続けるわけではなく、結構な割合がすっぱり役所と縁を切っています。

そのため、定年が65歳まで延長されたとしても、全員が定年まで勤め上げるとは思えません。
60歳段階でそれなりの割合が退職し、役所に残った職員も途中で辞めていき、65歳まで残る人数はあまり多くないでしょう。

つまり、現状の「再任用職員」が「61歳以上の正規職員」に置き換わり、今よりも人数が若干増える程度で、役所組織が激変するまでは至らないと思っています。

閑職ポストが奪われ、若手は全員激務に回される……?

しかし、僕みたいな楽したいタイプにとっては、「61歳以上の正規職員」は脅威でしかありません。
彼ら彼女らは競合相手であり、わずかでも増えられたら困ります。

「61歳以上の正規職員」が就くポストは限られます。

残業上等の激務ポストや、主要施策担当、内部調整役のような重要ポジションには、まず充てがわれないでしょう。
体力的な懸念がありますし、若手職員の成長機会を奪ってしまいます。

となると、「61歳以上の正規職員」の職員が担当するのは、それほど忙しくないルーチンワーク中心の業務になると思われます。(現状の再任用職員も、たいていこのような仕事をしています。)

僕みたいな楽したいタイプは、こういうポスト(業務)を常に狙っています。 
しかし、「61歳以上の正規職員」が増えるほど、このポストを彼ら彼女らに当てなければいけなくなり、若手〜中堅職員の取り分は減って行きます。
美味しい(=暇な)ポストが「61歳以上の正規職員」に奪われて、はずれ(=忙しくてきつい)ポストを引くリスクが高まるわけです。まさに脅威というほかありません。 

さらに、こういうポストは、新規採用職員を置いたり、産休や病休明けの職員に「ならし運転」してもらったり……などなど、調整弁としても利用されています。
 
しかし、こうしたポストを「61歳以上の正規職員」に割り振ってしまうと、従来のように調整弁として使えなくなります。
 
つまり、「バリバリ働かせられない若手〜中堅」向けのポストを「61歳以上の職員」に明け渡してしまうことで、これまで配慮されていた方がいきなり実戦投入されてしまいかねなくなるのです。




僕の勤務自治体だけなのかもしれませんが、本庁課長以上に出世した職員は再任用を選択しません。
俗にいう「天下り」していくのか、別の働き口を見つけているのか、疲れ果てて完全リタイアしているのか……とにかく役所からは離れていきます。

そのため、「元上司が再任用職員になり部下として配属された」という複雑な関係が生じません。
再任用職員になる方は、たいてい部下を持つポジションを経験せずに定年まで勤め上げます。


定年が伸びて、「管理職経験者」も役所内に残るようになったら、「元上司が部下」みたいなややこしい関係が増えて、職場の雰囲気が変わるかもしれません。
人間的にも役所思考に染まった方が増えて、もっと堅苦しくなるのかも…… 

他のブログやSNSでは「再任用職員が仕事してない」みたいな愚痴も見かけますが、僕はそういう経験が一切無く、むしろ再任用の方に大変お世話になってきました。

このブログの中身も、再任用の方から聞いた話がかなり盛り込まれています。
特に苦情対応関係はほぼ受け売りみたいな状態です。




新規採用者数は減るのでは?

新規採用にも少なからず影響があるのではないかと思っています。
法案によると「2年に1歳ずつ」段階的に定年を伸ばしていくようですが、この延長期間中(10年間)は、2年に1回、定年退職者が発生しない年度があります。

この年度も通常通りに新規採用していたら、一時的に総職員数が増えてしまいます。
辞めないのに採用するからです。

公務員への風当たりが強い昨今、「公務員総数が増える」という事態を、世間が許すでしょうか?

「公務員が増えるのはけしからん!」という住民の怒声を予想して、あらかじめ採用数を減らすのが、自然な対応のような気がしてなりません。

定年延長に関して、公務員試験界隈の方が沈黙しているのが不思議でなりません。
「定年延長で採用減!公務員になるなら今しかない!」みたいな触れ込みで不安を煽って教材買わせたりスクール通わせたりできそうなのに……


県庁における圧倒的出世コースといえば、財政課(予算編成担当)と人事課(人事異動担当)です。
異論を挟む余地がありません。いずれかに乗ってしまえば、部局長クラスが見えてきます。

問題(そして格好の話題)は、出世コース候補者がしのぎを削る選抜ポストと、惜しくも圧倒的出世コースから漏れてしまった職員がしのぎを削るそこそこ出世コースです。
こちらは自治体ごとに大きく異なるのでしょう。インターネット上の情報でも、書き手によって答えが異なります。

中でも評価が割れているのが「市町村課」です。
財政・人事に次いで出世に近いとの高評価を下す人もいれば、そもそも触れもしない人もいます。

僕は「選抜ポスト」「圧倒的出世コース」いずれでもないと考えています。

本稿を読む前に、この記事を読んだほうがわかりやすいかもしれません。


業務面:小難しい

市町村課の主な仕事は、総務省・財務省・内閣府と市町村の中継ぎです。
都道府県のホームページでは、市町村課の業務として「市町村行財政の指導」みたいなことが書かれていますが、都道府県が何らかの意図を持って指導するわけではありません。
あくまでも国家本省から通知された内容に従います。いわば現場監督です。

このほか、市町村そのものの存在に関わる手続き(自治体間の境界変更など)、一部事務組合のような広域行政に関する業務も、市町村課の役割です。
選挙管理委員会を兼ねている自治体も多いようです。

これらがコア業務であり、自治体によっては、ふるさと納税や移住促進あたりも所管しています。

あくまでも国家本省と市町村の中継役なのであって、県庁内各課と市町村の中継役ではないところが重要です。

市町村課という名前だけ見ると、県庁の事業課と市町村の橋渡し役を務めるかのように思えるかもしれませんが、市町村課は他課の業務には関与しません。 
ある意味、市町村課は、庁内では浮いた存在です。他課との関わりがほぼありません。

基礎能力の高い職員しか配置できない

市町村課の職員には、国が作った膨大なルールやマニュアルを解読して咀嚼する「理解力」、市町村からの質疑に応じる「記憶力」「解説力」が必要です。
いずれも公務員であれば必須の能力ではありますが、市町村課の場合は取り扱う分量が非常に多く、しかも小難しいものばかりなために、高い水準が求められます。

しかも、普段やりとりするのは、市町村の人事課や財政課という、市町村職員の中でも選りすぐりのエリートばかりです。
パッとしない職員は舐められて丸め込まれてしまい、指導監督役が務まりません。

こういった事情ため、もともと実績があって高く評価されている職員でないと、市町村課には配置しづらいのではないかと思います。

職員配置面:県庁職員以外がたくさんいる

市町村課には、たいてい市町村からの派遣職員がいます。
どういう基準で派遣職員を選んでいるのかは不明ですが、僕の勤務する県庁の市町村課には期待のホープが送られてくると言われています。

総務省からも、たびたび若手職員が派遣されてきます。
こちらも詳細は不明です。総合職だけなのか、一般職でも来られるのか……

市町村や国と人事交流している部署は他にもあります。
ただし、派遣職員の人数では、市町村課が圧倒的最多です。

コミュ力の高い職員しか配置できない

派遣職員のいる部署では、彼ら彼女らのマネジメント業務(業務配分、進捗管理、指導など)も、県庁生え抜き職員の仕事です。
しかも市町村課は派遣職員が多いため、年齢にかかわらず、ほぼ全員がマネジメント業務に携わることになるでしょう。

そのため、しっかりコミュニケーションが取れる職員でないと、市町村課の仕事は勤まりません。
自分の仕事だけに没頭するのではなく、常に周囲の職員の様子を見て、的確にサポートできるタイプでないといけません。

派遣職員が多いということは、生え抜き県庁職員の割合が少ないということでもあります。
そのため、首長発の政治的案件のような派遣職員には任せられない突発的業務が発生したら、わずかな生え抜き職員で対応せざるを得ません。

つまるところ、職員配置面から考えても、それなりに評価の高い職員しか配置できないと思われます。

出世コースとは本質的に異なる

まとめると、市町村課には以下のような特徴があると思われます。
  • 業務内容・人員体制の特徴的に、それなりに高評価の職員でないと配置できない
  • 役所運営の根幹である行財税政と選挙の知識が身につく
  • 年齢に関係なくマネジメント業務を経験できる
これだけ見ると、有能な職員が配置され成長の機会も与えられている環境、つまり出世コースのように見えます。

しかし、正真正銘の出世コースである財政課や人事課と比べると、根本的な違いがあります。
市町村課では、出世に不可欠である「庁内調整能力」が身につきません。

市町村課の役割は、あくまでも国(総務省・内閣府)と市町村の仲介役であり、市町村課が何らかの意思決定を下すことは滅多にありません。
部局長や首長の判断を仰がなければいけない大仕事も比較的少ないでしょう。

加えて、市町村課の業務が庁内他課に影響を及ぼすことも少なく、ほとんどの業務が課内で完結するため、庁内での利害関係調整もありません。

これらの事情のために、市町村課では、庁内調整能力が求められる機会に乏しく、育まれることも無いと思われます。

本流出世コースである財政課や人事課では、庁内調整能力を徹底的に鍛えられます。
将来的に部局長として役所を回していく際に、この能力が必要不可欠だからです。
逆に言えば、庁内調整能力が身に付かない市町村課は、出世コースたり得ないのです。

結論:20代前半までに配属されたら期待大

新卒入庁で最初の配属先が市町村課だったり、1回目の人事異動で市町村課に配属された場合は、人事から期待されている可能性が高いです。

市町村課の業務を無難にこなせば、基礎能力は合格点です。
ただ、最重要評価項目である「庁内調整能力」は、まだ一切評価できていない状態です。 
次の人事異動で「選抜ポスト」、つまりは庁内調整能力を試される部署に配置されて、そこでも無難に仕事をこなせれば、晴れて出世コースに入れるでしょう。

20代後半以降に配属された場合は、少なくとも一軍メンバーからは脱落していると思います。
ただし、基礎能力が高く評価されていることは間違いありません。
そうでなければ、そもそも市町村課に配置されないでしょう。

とはいえインターネット上には「市町村課は出世コース!」と断言しているサイトも複数あるので、自治体によっては出世コースなのでしょう。人事録を遡ってみると面白そうです。 

ちなみに僕は市町村課にかなり興味があります。ブログネタの宝庫でしょう。
話し下手コミュ障なので絶対あり得ないでしょうが……


民間企業だと、「営業職」「経理職」「法務職」のように担当業務の種類ごとに社員を分類します。
対して地方公務員は、所属する部局ごとに分類するのが一般的です。
業務の種類では、「事務職」「技術職」のような採用区分よりも細かく分けることはほとんどありません。

役所では、事務職であれ技術職であれ、一人が何役も兼務しています。
そのため業務内容別に職員を括るのが困難です。

例えば今年度の僕の場合、経理(支払い事務)・法務・ホームページ管理・雑用担当を兼ねています。
それぞれの業務に費やす時間も労力も凡そ均等で、どれがメインとも割り切れません。

とはいえ、自分のポストがどういう種類の業務から成り立っているのか分析して客観的に眺めてみれば、新たな発見が得られのではないでしょうか?

とりあえず事務職の県庁職員バージョンの分類法を考えてみました。

県庁職員の5大業種


まず、県庁職員(事務職)の業務を、
  • 内部調整
  • 庶務・経理
  • 法規・制度
  • 住民対応
  • 非法定事業

という5つの類型に整理します。
これらの項目は完全に僕のフィーリングです。もっと適切な分類方法もあるでしょうが、今回はこれで進めます。


先にも触れましたが、地方公務員は複数の担当業務を兼任している場合がほとんどです。
そのため、ある職員を5類型のうちのどれか1つに当てはめようとすると無理が生じ、正確な把握ができません。

そこで、業務全体に占める5要素それぞれの内訳(割合)という形式を用います。
10ポイントを各要素に配分して、「内部調整3、庶務・経理4、法規・制度3」のような形で、担当業務を定量的に表現します。
さらに配点をレーダーチャート化することで、業務の特徴が可視化されて、よりわかりやすくなります。
 

01_チャート概説


具体的な事例も掲載しておきます。

02_典型例



定量的に表現することで、これまでの担当業務の比較が容易になります。

例えば、楽しかった年度(または辛かった年度)の間に、共通する特徴を見つけられるかもしれません。
僕の場合、「非法定業務」がある年度は、残業が多かったものの楽しかったです。

一方、「内部調整」と「法規・制度」の両方にポイントが計上された年度は、いずれも非常に辛かった。
法令的に不可能な処理を別部署から無理強いされるケースが多発し、精神的に磨耗したせいだと思われます。

応用編 〜業務経歴の可視化〜

過去の担当業務のスコアを足し上げていけば、これまでの自分の経歴を可視化することも可能です。

経験豊富な業務ほどスコアが高くなります。

地方公務員の業務経歴に触れる場合、たいていは所属していた部局を語ります。
ある部局の所属年数が長いことを以って「〇〇畑だ」と表現するのが、その典型です。

しかし地方公務員は部局をまたいで異動するのが普通であり、「〇〇畑」を自称できるほど特定部局に特化できるケースはむしろ稀です。
このために「自分には専門分野が無い」「公務員は専門性が身につかない」と嘆く人も多いです。

所属部署という要素を除外して、業務の種類という観点で経歴を見てみると、全く別の特徴が見えてきます。
役所がよく標榜している「ジェネラリスト育成」という題目では、5要素どれもを均等に経験させることを理想としていると想定されますが、実際は結構偏っていると思います。
この偏りから、自分のキャリアの特徴、つまり専門性が浮かんできます。

出世コースの謎が解ける?

業務経歴を定量化することで、出世コースへと選抜される職員の特徴を特定できるかもしれません。
試しに僕の同期職員のケースで算定してみました。比較対象として僕のケースも掲載しておきます。
 
03_経歴比較

出世コースに進んだ職員と僕とでは、チャートの形が明らかに異なります。


出世コースへと選抜された職員は、部局が変われども「内部調整」「非法定事業」スコアの高い業務を担当し続けていました。
俗にいう新規施策や目玉施策は、これらのスコアが高くなります。
こういった目立つ事業を担当しているうちに幹部の目に留まって、出世コースへと抜擢されるのでしょうか?

事例を収集していけば、役所の神秘「出世コースに選ばれるまでの過程」を検証できるかもしれません。

誰か改良してみて(他力本願)

この方法の肝は、数多くある役所の仕事をいかに分類・集約するかだと思います。

僕は前掲のとおり5要素にまとめてみましたが、もっと良い方法があると思います。

まず、5要素のほかに「役所間調整」を別要素として設けるべきか否かで未だ迷っています。
特に県庁の場合、国や市町村とのやりとりが業務内に大きな割合を占めていますし、庁内調整とも住民対応とも異なる独特のコミュニケーション力を必要とする業務でもあるからです。

他にも
  • 「定型作業」を別要素として設けるか
  • 外部団体への出向をどうスコア化するか
  • 係長級以上はこの5要素だと通用しなさそう(あくまで担当レベルの分析ツールにとどまる)

あたりは、現状認識している課題です。



どこの自治体も、そろそろ異動希望の調査がある頃合いでは?
僕は今年の4月に異動したばかりですが、「とにかく出先機関に異動したい」と回答するつもりです。

今の部署に不満があるわけではありません。
1年スパン異動を繰り返しているので、久々に同じ部署に腰を落ち着けたい気持ちもあります。
 
しかし今後の自分のキャリアのため、そして組織のために、僕は早急に出先機関に転出するべきだと思っています。

40代以降はずっと出先機関

同期入庁職員の出世ヒエラルキーが概ね決まり、僕が本庁で出世する可能性はほぼゼロに固まりました。
係長以上のポジション、つまり部下を持つ役割を本庁で拝命することはあり得ないと思われます。

僕の勤務先の場合、本庁勤務のヒラ職員は、せいぜい30代までです。
僕もこの流れに従い、40代以降はずっと出先勤務になると思われます。
出先機関であれば、部下を持つ機会もあるでしょう。

しかし僕は、これまで出先機関で勤務したことが一切ありません。ずっと本庁にいました。
そのため、出先機関の仕事に関しては、中身も進め方も職場の雰囲気も一切わかりません。

自分が出世コースから漏れたと自覚した際、「出世コースであれば不可避であるストレスフルな調整業務から逃げられた!」と歓喜したものの、同時に「出先機関にいきなり放り込まれて右往左往するかもしれないのか……」という不安に駆られました。

ヒラ職員である今のうちであれば、「あの人いい歳してこんな簡単なことも知らないんだ」と嘲笑されるだけで済みます。
失敗しても損害は大きくありません。所詮下っ端です。

しかし、もし40歳手前で初めて出先機関に配属されて、しかも部下を持つポジションだったら、僕の失敗の影響は僕一人に止まりません。
部下をはじめ方々に迷惑をかけることになりますし、組織の名前にも傷をつけます。

つまるところ、職員人生の後半はずっと出先機関で過ごすことになる(しかも責任ある立場を務めるかもしれない)んだから、今のうちから経験を積ませてほしいのです。
このままだと大惨事を引き起こしかねません。ものすごく不安です。


本庁感覚を伝えたい

僕が出先機関に行けば、出先勤務の若手職員の成長にも貢献できると思っています。

出先機関(特に大きなところ)では、自分より若い職員も大勢います。
彼ら彼女らの多くは、本庁での勤務経験がありません。
そのため、本庁職員が置かれている状況を理解できず、本庁からの指示や依頼をとにかく疎む傾向が強いです。

マスコミ対応がその典型です。
取材対応に必要なデータを至急送るよう出先機関職員にお願いすると、たいていかなり渋られます。
「どうしてマスコミを優遇しなければいけないのか、自分たちの平時の仕事を軽んじるのか」と言わんばかりの剣幕です。

本庁勤務経験があれば、マスコミには即時対応しないと揉めることを知っています。
対応が遅れると「対応が遅い、きっと裏に何か隠している」と騒ぎ立てられますし、そもそもマスコミから取材がある時点で、そのトピックに関して誰か黒幕が存在しています。
すぐに現状を調べ上げて幹部に報告して臨戦体制を整えておかないと、その黒幕が本格的に動き出した際に手遅れになってしまいます。

僕のような本庁勤務経験が長めの職員であれば、「マスコミ」と聞いた瞬間に上述のような連想がひらめいて、ヒラ職員の慌てふためく様子と、眉間に皺を寄せて嫌な汗を滲ませる管理職の姿が浮かんできます。
この感覚を出先勤務の若手職員に教えてあげることが、彼ら彼女らの成長に繋がり、ひいては組織のためにもなると思うのです。
 
特に僕の場合、本庁のいろんな部局を経験させてもらったおかげで、いろんな事態を目にしてきました。
本庁の感覚を出先の若手職員に伝える役割なら、我ながらなかなかの適任だと思っています。

出先機関経験を経て本庁に来た職員は、口を揃えて「出先にいた頃は本庁の意図がわからなくてイライラしたし、本庁職員に対して暴言を吐いてしまったこともある」と悔いています。
こういう職員間のすれ違いや、結果として生じかねないトラブル・後悔を未然防止すべく、自分の感覚や経験を若手職員に伝えることが、結果として組織への貢献になると思います。



というわけで、出先機関への異動、特に農林事務所か整備事務所(土木)を希望しています。
いずれも大所帯で、本庁経験のない若手職員もたくさんいますし、何より埋没できるので精神的に楽です。

来年度すぐに異動できなくとも構いません。同じ希望を来年度も提出するだけです。
信念を貫く、ブレないことが大事だと思っています。

地方公務員がたどるキャリアは人それぞれです。
僕のように頻繁かつ無秩序に異動する人もいれば、何年も同じ業務を担当し続ける人もいます。

後者のパターンだと、担当業務に飽きてしまうこともあると思います。
役所は基本的に民主主義プロセスによって決められた事項を実施する手足であり、意思決定機関ではありません。
下っ端の職員には尚更、権限も裁量もなく、その役割は作業が中心にならざるを得ません。
ひととおり業務のルールを覚えてルーチンワークをこなせるようになり、ボトムアップでも実行できる程度のマイナーな業務改善を終えてしまえば、あとは同じような日々が続くことになります。

こういう淡々とした日々を送って給料がもらえるという環境は、実際かなり幸せなことだと思います。
しかし人間はわがままなもので、新鮮味や刺激が欲しくなるものです。

そんなときは、役所以外の関係者の目線を調べてみれば、眼前の作業が再び新鮮に映ると思います。

「役所だけの案件」ではない

庁内調整業務を除き、役所が携わる仕事には、役所外にもたくさんの関係者がいます。
むしろ役所は関係者の一角でしかありません。
それぞれの関係者ごとに役割が異なり、実行する作業内容も異なります。
そしてそれ以上に、その仕事に対する目線(認識、スタンス)が異なります。

地方公務員として働いているだけでは、普通は「役所の担当者」という一関係者の目線からしか、仕事を捉えません。
関係者それぞれの考え方を知り、「役所の担当者」以外の視線から仕事を眺めてみれば、きっと新しい発見があるでしょうし、よりよい結果につながるかもしれません。

典型的な「関係者」

仕事によって登場する関係者は様々です。
ここではどんな業務でも関係者として存在しそうなものを挙げていきます。

住民

公務員なら誰しも「住民目線を持て」という訓示を受けたことがあるでしょう。

僕も何度も聞かされてきましたが、自治体内に暮らす全住民を合算したようなマクロな意味での「住民」を想定すべきなのか、一人一人の個々人の感情や損得を重んじるミクロな意味での「住民」を想定すべきなのか、その中間のどこかで落とし所を見つけるべきなのか……いずれの方法を採るのか次第で、獲得すべき「住民目線」は全く異なってきます。

今回の場合は、「受益者」「負担者」「賛同者」「アンチ」「無関心層」のような特徴的なスタンス別に、住民目線を想定すればいいと思っています。

議員

議員の最大のモチベーションは再選です。
どうすれば得票につながるかを考えれば、議員さんの思考も見えてくるでしょう。

議員さんの背後には、財界や地域の有力者が控えています。議員目線を知ることは、こういう影の実力者の利害関心という、別の目線を知ることにも繋がります。

マスコミ

マスコミの目的は視聴者・読者の関心を集めることです。
そのために、事実を組み合わせてストーリー化したり、要素を削ぎ落として単純化することが多いです。

まずは「自分の担当業務をスキャンダルに仕立て上げるにはどうすればいいか」を考えてみたら、いい練習になると思います。

一見地味な業務でも、別の事業と組み合わせたり、過去事業の延長線上に位置付けてみたりしたら、ものすごいインパクトを生むかもしれません。
マスコミはこういう潜在的爆弾を探し求めています。

アカデミック

役所の仕事は学術的な研究対象でもあります。
研究成果をまとめた書籍もたくさんありますし、ciniiで論文を調べても多数ヒットします。

本省も絡む業務であれば、国が設置した有識者会議のような組織でも、学術的観点からの考察がなされているかもしれません。

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