キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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タグ:公務員試験

先日、大学3年生からのOB訪問を受けました。
予備校の指導のせいか総合計画のことばかり聞いてくるので、あれはただの隠れ蓑で、実際は首長と議員と財界と地域有力者の思うがままだよという現実を説明。
 
瞳の輝きを奪ってしまいましたが、ミスマッチを減らせたということで……良しとしましよう。

せっかく現役職員にインタビューするなら、面接を通過するための小手先知識ではなく、就職後の人生がどうなるのかを聞いてほしいなと個人的には思っています。
理由はもちろん、入庁後の生活を大まかであれイメージしてもらうことで、落胆して離職するのを少しでも防止することです。

このブログをはじめ、地方公務員の実情ネタはネット上に多数転がっています。
ただし、ネット情報はあくまでも一般論か、どこか特定の役所のローカル事情です。
自分が就職を考えている役所にも当てはまるのかは、わかりません。
内部事情を知るのは、現役職員だけです。


以下、地方公務員人生を左右する重要項目のうち、役所ごとに実情が大きく異なるものをピックアップしました。
是非ともOB訪問時に現役職員に聞いてみて、許容できるかどうかを自分に問うてみてください。


今回挙げる項目は、なるべくアラサーで本庁勤務の職員に聞いてください。
 
若い職員は、把握しきれていません。
一方、部下を持つ年齢(30代後半)になると、正直に喋ってくれません。
 
出先機関の職員は、概してこういう内部事情に疎いです。本庁勤務職員のほうが色々喋ってくれるでしょう。


入庁後のミスマッチを防ぐための質問

人事異動のスパン・異動希望は叶うのか

地方公務員をやめた方の声を拝見すると、「異動希望が通らずやりたい仕事ができない」「関係ない部署ばかり回されて専門性が身につかない」といった人事異動への不満が頻繁に出てきます。

実際、「異動希望は基本通らない」「ジェネラリスト育成という名目で色々な部局を転々とさせる」のが、従来の一般的なやり方です。
ただ最近は、人材育成する余力がなくなってきているのか、異動スパンを遅くしたり同じ部局内を回したりして、スペシャリストを育成しようとする流れも出てきています。

キャリアパス的な意味だけではなく、持病や家庭の事情で異動希望を出す場合もあり得ます。
こういうパターンが許容されない役所だと、自分の意図に反して辞めざるを得ないケースもあるでしょう。

僕の友人は、山間部の名家に婿入りして家業を手伝わなくてはいけなくなり、「自宅近くの出先事務所でないと勤務できない」との異動希望を出して、見事通っていました。
一方、介護のために極力定時で帰りたいのに繁忙部署からずっと異動できず、離職した話もよく聞きます。

一般的なキャリアパス

入庁から退職までの大まかな流れは、いくつかのパターンに類型化できます。

  • 出世コース
  • 一般コース
  • 残念コース

くらいの大分類を聞き出せればベストですが、難しければ「何歳くらいにどんな仕事をすることになるのか」聞いてみるとよいでしょう。
 
聞けるようであれば、一般コースの小分類について掘り下げてみてください。入庁後の生活が生々しくイメージできるでしょう。
ちなみに、僕の勤める県庁では、一般コースの類型として、こんなのがあります。

  • 庶務専属(部局を転々としながら庶務ばかり続く、高卒者に多い)
  • 制度専属(部局を転々としながら制度運用ばかり続く)
  • 渉外専属(観光・産業振興のような大概折衝ばかり続く)
  • 職人(マニアックな業務を4年以上やらせる、高学歴に多い)


意思決定の流れ・トップダウンかボトムアップか、平職員の裁量

「行政は意思決定が遅い」とよく言われますが、これも自治体によってまちまちです。
現場判断で物事を進められるところもあれば、細かいところまで首長了承が必要なところもあります。

退職者の声の中には、意思決定のあり方がストレスだったという意見もあります。
質問方法が難しいですが、なんとか聞き出したいところです。

即戦力として求められているのはどういう人材か

この質問を通して、役所内で求められているのがどういう能力なのか、ひいてはどういう人が出世するのかが見えてきます。
つまり、組織内の有力者像がわかるのです。
こういうタイプの人が生理的に無理だったら、やりづらいかもしれません。 
「自分は即戦力です」と面接でアピールするのが目的ではありません。

加えて、役所内の雰囲気もなんとなく掴めます。
 
例えば、「社交性があって人を動かすのがうまい人」が求められている場合。
「社交性に欠ける職員」が多く、陰キャでも過ごしやすい環境と推測できます。

反対に「法令知識に長けた人」が求められている場合は、ノリと勢いで仕事を進める陽キャ職員が多そうです。
 

ブラック度合いを見極めるための質問

ブラック度合いは人による要素が大きく、役所単位というよりも職場単位で大きく異なります。
それでも、役所単位の雰囲気を掴んでおくことは重要でしょう。

残業代の支給状況


離職状況

僕の知る限りでは、どこの役所も若手の離職が増えています。できれば離職理由も聞き出したいところ。
参考:若手地方公務員の離職率はどれくらいなのか?(県庁職員ケーススタディ)

休職状況

休職がスティグマになり、復職後居づらくて退職したという話も聞きます。
休職率よりも、職員の休職に対する捉え方を聞き出したいです。
参考:若手地方公務員の休職率はどれくらいなのか?(県庁職員ケーススタディ)

聞きにくければ……

ややネガティブな質問が多くなってしまいました。
こういった話題を出すのが憚られるのであれば、この記事を見せて「こういうネット情報があったんですけど……」という形で切り出してみては?
質問の意図が伝わり、現役職員としても答えやすいかもしれません。

ネガティブな公務員ブログを見せて「こういうネット情報って事実ですか?」と聞くスタイルは、現役職員側としても答えざるを得ないでしょう。
答えなかったら、暗に認めたようなものだからです。

(関連記事)
自治体職員にOB訪問するには?
他の公務員ブログでは「企画課に電話orメールで申し込もう!」とよく勧められていますが、僕はあんまりオススメしません。
企画課っていわゆる出世コースですし、取り繕ったいい子ちゃんな話しか聞けないのでは……
あと、終わった後に人事に逐一チクってそう。

地方公務員にインタビュー(OB訪問)する際の注意点とは? 
目的はどうであれ、複数人の意見を聞くほうが良いでしょう。

「理系なのに行政職になったら、採用後ついていけないかも……」という不安を時々見かけますが、 
地方公務員レベルであれば、理系学部出身であっても、実務に困ることは全くありません。

大学で学ぶ知識はそもそも必要なのか

「理系学部出身者は文系知識が無くても大丈夫な部署に配属される」という意味ではありません。
 
そもそも、文系学部で学ぶ知識が大半の部署で必要とされません。
そのため、どんな学部を卒業していようと、地方公務員として働く上では関係無いのです。

大学レベルの知識が必要な地方公務員業務は、制度設計くらいだと思います。
現状、学識要素は外部有識者に任せっきりで、大抵の役所職員は役所的要素(お偉いさんをうまく納得させられるかの調整)しかこなせていないのでは?

大学で学んだ学識要素を実務に反映させられているかどうか。
ここが国家公務員(本省勤務)と地方公務員の大きな能力差だと思います。 
自分も猛反省です。

試験さえ突破すれば

理系学部の方だと、採用試験は苦労するかもしれません。
試験範囲が文系科目ばかりなので、初見に近い用語がたくさんあって圧倒されるでしょう。
ただ、公務員試験自体は単語暗記要素が強い試験なので、しっかり勉強すれば大丈夫だと思います。

個人的には、理系の方にもどんどん地方公務員事務職を志してもらいたいなと思っています。
役所くらい大きな組織であれば、人材は多様な方が強いです。

公務員受験ブログでもオススメされている、現役職員へのインタビュー(OB訪問)。
僕自身も受験前に何人かの職員にお話を聞き、実際には定時退社できないことを強く刷り込まれました。

実際に地方公務員として働き始め、インタビューされる側になってみると、公務員試験(特に面接)に役立つような情報を提供できているのか、むしろ偏った情報を与えているのではないかと不安に思うようになりました。

今回は、現役職員にインタビューする際の注意点を紹介したいと思います。
記事にするの、ちょっと遅かったかな…… 

※本記事での「インタビュー」は、採用試験に向けた情報収集のため現役の職員に非公式の場で会って面談することを指します。
あくまで採用試験に限った話です。

偏った個人的見解の危険性

役所内ではどんな部署でも、厳しく情報統制が敷かれています。
下っ端職員が対外的に喋ってもいいのは、すでに公表された情報だけです。

この制約は、公務員志望者相手のインタビューでも同様です。
既に記者発表されていたりホームページに掲載されている内容か、総合戦略や基本方針のような大雑把な方向性しか話せません。

そのため、インタビューでは、具体的な仕事内容の話題になると、ほとんどの職員が「自分の個人的な見解なんだけど……」という前置きを入れてから話し始めると思います。

この個人的見解が大変な曲者です。
個人的見解である以上、その職員の独りよがりなアイデアにすぎません。
いくら具体的で実現可能性があっても、自治体という組織全体にとって許容できるものか、未知数です。
耳触りは良くても、組織的には断固認められない考えかもしれないのです。

つまり、現役職員発のアイデアであっても、面接ウケするかどうかは別問題なのです

もし僕が「インターネットを活用した観光政策はこれからどうあるべきか?」と聞かれたら、「バーチャルユーチューバーみたいな感じでバーチャルゆるキャラを作るべき」と答えます。

もちろん出落ちではありません。モデル作成をどこに頼むか、中の人をどうやって選ぶか、原稿監修をどういう仕組みで運用するか……等々、ローンチからランニングまで具体的に、政治的な根回しも含めてお話しします。

飲み会の場では結構ウケが良いものの、実際に財政当局に予算要求して施策として認められるかは別問題です。

職員から聞いた話は、あくまでも一意見だと割り切らなければいけません。

総合戦略・基本方針を踏まえていないかも… 

地方公務員の面接では、総合戦略や基本方針を熟読して、これらを踏まえて喋ることがセオリーらしいです。

受験側としては、これらの抽象的な文言がどういうふうに具体的な施策に落とし込まれているのか、是非とも現役職員から聞きたいところだと思いますが……恥ずかしい話、全職員がこれらを自覚して仕事をしているわけではありません。
特に庶務系の仕事をしている職員だと、全く知らないかもしれません。

僕も現在の観光系部局に異動するまで、総合戦略も基本方針も知りませんでした。
それまでの配属部局は受け身なところばかりで、建設的な施策とは一切関係していなかったためです。

インタビューをお願いする相手は、産業振興や観光、広報のような、対外的施策を直接担当している職員を選んだほうが無難だろうと思います。

総合戦略や基本方針を作っているのは、企画調整や企画振興という部局になります。
ここの職員に直接インタビューできれば、これらの中身を詳しく聞けるでしょう。
ただ、(自治体によって状況異なると思いますが)この部局は対内的調整業務がメインで、志望動機にできそうな具体的な話を引き出すのが難しそうです。

複数人にインタビューするのがベスト

オススメなのは、複数の現役職員にインタビューすることです。
まずは一人、誰でもいいのでインタビューしてから、「○○について関心あるんですけど、お知り合いの方に会わせてもらえませんか?」とお願いして本命部署の職員を引き出すのです。

紹介されて出てくる職員は、職員の中でも相当まともな人でしょう。
まともではない人は、紹介できません。

具体的な施策の中身よりも、公務員特有の観点、ロジック、発想法がどんなものなのか、教わるというよりは見極めるくらいの気持ちで臨めばいいのかなと思います。

公務員試験の結果報告を見かけるようになりました。
合格された方、おめでとうございます。

複数の役所に合格した方は、本命以外のところの内定を早めに辞退してもらえると助かります。
引きずれば引きずるほど、補充が間に合わなくなるので……

無事合格された方は、ようやく試験勉強ともおさらばかと思います。お疲れ様でした。
試験勉強に使った書籍類は、もう2度と見たくないことでしょう。
ダンボール詰めて一括処分しようと準備中かもしれませんが、ちょっと待ってください。
中には翌春からの実務にも役立つものもあります。

今回は、公務員試験勉強の教材の中で、どんなものが実務にも役立つのかを紹介します。
試験勉強に使った教材を処分する前に一読してもらえると嬉しいです。 

※リンクで掲載している書籍は、参考までに適当に選んだものです。

専門科目の基本書は残しておいてもいいのでは?

俗にいう基本書は、もともと公務員試験対策に特化した書籍ではなく、幅広い読者層を想定しています。
試験対策だけでなく、地方公務員として働き始めてからの実務にも役立ちます。
そのため、保管するスペースがあるのなら、なるべく残しておいたほうがいいと思います。

少なくとも憲法・民法・行政法は実務で確実に使うので、ぜひとも残しておくべきです。
僕の場合、試験勉強中よりも実際に働き始めてからのほうが、頻繁に紐解いています。


憲法 第六版
芦部 信喜
岩波書店
2015-03-06


民法I 第4版: 総則・物権総論
内田 貴
東京大学出版会
2008-04-03


行政法 第5版
櫻井 敬子
弘文堂
2016-02-17

 



統計学も実務で使います
業務でアンケートを取る際、どれだけの数を集めないといけないのか、統計学の考え方をもとに算出することがあります。
今流行りの学問でもあるので、教養や話のネタとしても残しておいたほうが良いでしょう。

はじめての統計学
鳥居 泰彦
日本経済新聞社
1994-11-01



経済学
の基本書も、部署によっては頻繁に使います。
国の省庁では、制度設計にあたり、マーケットデザインやゲーム理論などの経済学(試験科目でいえばミクロ経済学寄り)の知見を利用しています。
この辺りの考え方を調べるため、基本書を紐解かなくてはいけません。

ミクロ経済学の力
神取 道宏
日本評論社
2014-09-25






あとは財政学です。
実務にあたっていると、財政の大局的なルールを見失いがちです。
時折見返して、自分は客観的にはどういう立ち位置で、どういった機能を果たしているのか、位置確認をすると良いでしょう。

財政学
持田 信樹
東京大学出版会
2009-10-22



参考書も1冊は残しておいてもいいかも?

地方公務員は、とにかく資料を作ります。何でもかんでも資料作りから始めます。

地方公務員の資料は、なるべく情報量を盛り込みつつも1枚に収めることが求められます。

公務員試験に限らず、試験の参考書はわかりやすい文章・ページ構成になっていて、資料作りの参考になります。
お気に入りのものを1冊残しておくと、後々役に立つでしょう。

その他役立つもの




詳説世界史研究
山川出版社
2017-12-03




 

詳説日本史研究
山川出版社
2017-08-31



地方公務員の教養として、地理・歴史は抑えてほいたほうがいいと思います。
(主にクレーマー対策のため。知らないとマウントを取られるかも。)

僕の場合、最初に配属された部署が防災系だったため、理系の参考書(特に物理・地学)も役に立ちました。




新 百万人の天気教室
白木正規
成山堂書店
2013-11-08



自分の手元に残しておくのではなく、友人や後輩に譲るのもアリだと思います。

科目にもよりますが、改訂版で追記された最新の内容は、公務員試験では滅多に出題されません。
試験勉強目的なら、少し古い版でも支障無いでしょう。 

最近はほとんどの自治体でインターンシップを実施しています。
民間企業のようにしっかり予算をかけているところは少ないようで、だいたいは人事部局で募集と参加者の部署別割振り人数を決めて、あとは各部署にお任せ、というパターンが多いようです。
 

インターン受入担当職員をとにかく見定めて

各部署でインターン対応にあたる職員(特に若手)は、職員の中でも上澄み中の上澄みです。
業務的に優秀で、人当たりも良く、自分の担当業務だけでなく行政全般のことをしっかり考えている職員が大概対応します。

自治体によっては、人事部局から指名されることもあるようです。
インターンの内容は放任なのに、対応者だけは指名するという気合いの入れ具合。
業務内容そのものよりも「人」を見せたいという意図すら感じます。


対応してくれた職員に好感を持てなければ、ほかの大多数の職員に対しても同じく好感が持てないでしょう。

また、対応してくれた職員の手際が悪いとか、粗ばかり目につくようであれば、地方公務員という仕事自体があなたの器にふさわしくない可能性が高いです。
優秀とはいえ、その程度です。採用されたら、もっと手際の悪い人たちと一緒に仕事をすることになります。

インターン対応を任されるような優秀な職員は、将来の幹部候補でもあります。
いずれ、その職員の部下になるかもしれません。
「こいつに命令されてどう思うか?」と自問自答してみてください。

インターン受入部署自体が平均以上の環境

余裕があれば、職場にいるほかの職員の様子もぜひ観察してください。
インターン生を受け入れるような部署は、役所の中でもメインストリームです。平均以上の職員で固められています。
 
実際に採用されてみると、もっとひどい環境が待っている可能性は十分あり得ますが、目の前以上の環境である可能性は相当低いです。
少なくとも眼前の環境を許容できるかどうか、よく見てみてください。


僕が現在勤務している観光の部署では、毎年インターン生が来ています。
勿論、僕のようなキモメン陰キャは、インターン生に近寄ることすらできません。 
毎年、イケメン新人とベテラン主任が対応しています。

インターンで見える部分は、地方公務員稼業の中でも最も輝かしい部分です。
大半の職員は、もっと地味な仕事をしています。
業務内容の紹介ではなく、職員の紹介なんだと割り切って人間観察に集中した方が、学びが多いかもしれません。

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