キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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新卒採用でも経験者採用でも、民間企業はとにかく「即戦力となる人材」を求めます。

一方、役所はそれほど即戦力にはこだわりません。
特に新卒採用では、全く期待していないと断言してもよいでしょう。

役所には役所特有の「仕事の作法」があり「思考法」があります。
これらを欠いていると、いくら専門知識が豊富だったりビジネススキルに長けていたとしても、地方公務員としてはうまく機能しません。

これらを習得するには、役所内である程度の期間を過ごすしかありません。
日々の仕事を通して感覚的に理解していくものです。

つまり、地方公務員として活躍するには役所独自の「仕事の作法」「思考法」を身につける必要があり、これらの習得にはどうしても時間がかかるため、新人職員のパフォーマンスには大して期待できないのです。

職場が新人に求める要素は、ごく限られています。
これらをきちんと達成できれば「将来有望な即戦力」として高く評価され、出世コース一次選抜を突破できると思います。
 

自立的学習能力

まず何より重要なのが、自分で調べて理解を深める能力です。

役所の新人教育は「OJTがメイン」という建前ですが、大抵の自治体ではトレーナーのような指導役がいるわけではなく、手の空いた職員が面倒を見るだけです。
忙しい部署であれば、誰も構ってくれないかもしれません。

ゆえに、放っておいても自分で勉強して成長してくれる新人は、職場にとって非常にありがたい存在です。
 
もちろん、調べてもわからないことや、調べ方がそもそもわからないときは、周囲に質問すればいいです。
質問前にきちんと自分で調べること、自分で調べようとする姿勢が重要です。

自分で調べたうえで、周囲に「調べたところ〜だと思うのですが、合ってますか?」と確認を取るのも良いでしょう。

地方公務員は部局をまたいでガンガン人事異動するという宿命にあり、何歳になっても新しい仕事を覚えなければいけません。
「調べて理解する」というプロセスは、ずっとつきまといます。
地方公務員の基礎スキルの一つであり、これを入庁当初から発揮できれば、間違いなく高評価につながるはずです。

独学で公務員試験を突破できた方は、「自分で調べて理解する」のが相当得意だろうと思います。
この意味で即戦力要素を備えていると言えるでしょう。

 

内部的コミュニケーション能力

民間企業でも、即戦力人材の必須要素として「高いコミュニケーション能力」が真っ先に挙げられます。
役所の場合でも同様で、コミュニケーションに長けていれば即戦力になります。

ただし、民間企業でいう「コミュニケーション能力」と比べ、役所が新人に求める「コミュニケーション能力」は、かなり範囲が限定されます。
 
役所の場合は、まずは組織内でのコミュニケーションがしっかりとれれば十分です。
組織外(住民など)に対するコミュニケーションまでは、新人には求めません。
役所外との付き合いは、まさに役所特有の「思考法」が重要な業務であり、いくらトークが上手い新人であっても任せられないからです。

新人のうちは、誰かに仕事を振る(指示する)ケースはごく稀で、基本的に仕事を振られる(指示される)立場であります。
そのため、役所が新人に求めるコミュニケーション能力は、
  • 周囲からの指示を正確に理解し、作業レベルに落とし込む
  • 作業した結果を指示元に正確に伝える
これに尽きます。

言葉にすると単純かつ簡単そうに見えるのですが、実際は結構難しいです。
いい歳こいても全然できていない職員もいます(ブーメラン発言)。 

屈強なフィジカル

若手地方公務員の仕事には、肉体労働もたくさんあります。
会議やイベント会場のセッティングのために重たい備品什器類を運んだり、大量の書類を縛って捨てたり、パンフレットやチラシを延々と袋詰め・箱詰めして運んだり、ゆるキャラの着ぐるみに入ったり……例を挙げるとキリがありません。

20代の頃は「若い奴だけに押し付けるな😡」と内心憤っていました。
ただ僕自身30歳を過ぎて、体の節々に違和感を感じるようになってきました。
やりたくないわけではない(むしろこういう単純作業は好きなほう)なのですが、やり過ぎると体を壊すリスクがあるので、任せざるを得ないのです。

肉体労働を軽々こなしてくれるパワー系新人は、どんな部署でも即戦力として重宝されます。
上からの評価も自然と厚くなっていくでしょう。

今やるなら「習慣化」

今回取り上げた「学習能力」「コミュニケーション能力」「筋力」いずれにしても、一朝一夕で身につくものではありません。
さらに「コミュニケーション能力」は、実戦の中で磨かれる要素も強く、事前に鍛えるのは難しいでしょう。

「即戦力として活躍したい!」と思うのであれば、「コミュニケーション能力」は一旦棚上げして、「学習能力」と「筋力」にフォーカスすればいいでしょう。

なんでもいいので勉強してみて「勉強方法」を思い出したり、筋トレやジョギングを始めたり……とにかく習慣化して地道に鍛えていくしかないと思います。
勉強に関しては、今の時期であれば、5月のFP3級か、ITパスポート試験あたりがちょうどいいでしょう。

 

「地方公務員=安定している」というイメージはいつも強いです。
こういう文脈で登場する「安定」が何を指すのかは定かではありませんが、おおよそ
  • 職を失うリスクが小さい
  • 給与などの待遇が保証されている
  • 業務内容があまり変わらない
  • 将来のキャリアプランが予想できる
こういった要素を含むと思われます。

「地方公務員=安定」論に対しては懐疑論者も多く、「地方公務員はAIに仕事を奪われて失職する」「現状並みの待遇はもう維持できない」という説は特に強いです。
元地方公務員の方には「役所は泥舟、だから脱出した」という方もいます。

未来のことは誰にもわかりません。
わかるのは過去と現在だけであり、未来は推測するしかありません。

過去と現在においては、地方公務員は確実に「安定した職業」と言えると思います。
少なくとも、先に示した具体的要素の全部を満たしていました。

地方公務員の安定性の理由は「制度」と「雰囲気」に大別できると、僕は考えています。
そして、「制度」「雰囲気」のいずれかに大きな変化が起きたら、「地方公務員の安定性」も揺らいでくると考えています。


法制面の安定性:解雇できない&各種休暇制度

地方公務員は、地方公務員法に定める場合を除き、解雇できません。
具体的な解雇事由は省略しますが、ざっくりいうと犯罪を犯した場合と定年以外の理由では解雇されません。
(職員数を減らしたい場合は、解雇ではなく採用者を減らすことで対処します)

 

地方公務員法

(分限及び懲戒の基準)
第二十七条 すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。
2 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、若しくは免職されず、この法律又は条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職されず、又、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降給されることがない。
3 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない。


 
そのため、いったん地方公務員になってしまえば、よほど悪いことをしない限り職が保証されると言えるでしょう。
業績が落ちたら整理解雇されるかもしれない民間企業と比べると、かなりの安定感です。

加えて地方公務員には、各種の休業制度が設けられています。
代表的なものは産前産後休業(産休)、育児休業、病気休業です。
これらのおかげで、一時的に働けなくなっても地方公務員としての身分が保証され、離職せずに済みます。

同種の休業制度は、大手の民間企業でも設けられていますが、中小企業ではまだ無いところもあります。自営業だともちろんありません。
地方公務員と民間(自営業含む)という比較軸であれば、明らかに地方公務員のほうが充実していると言えます。

雰囲気面の安定性:一度折れても残留できる風土

制度的に身分が保証されているとはいえども、運用方法によってはいくらでも骨抜きにできます。

さらに、組織構成員が「身分保証制度に頼るのはダメなことだ」と認識しており、誰も制度を使わない(使えない)雰囲気であれば、どれだけ制度的に身分が保証されていようとも、実質的には身分保証が無いのと同義です。



「年間20日間」という有給休暇をイメージすればわかりやすいでしょう。
制度的には20日間休めるはずなのですが、実際に年間20日間しっかり休む地方公務員はごく稀です。

これは、職員の大半が「休暇をとると周囲に迷惑をかけるから必要最小限に止めるべし」という認識を持っており、「有休消化は非常識だ」という雰囲気が蔓延しているためです。

まさに雰囲気のせいで制度が骨抜きになっています。




正直、身分保証に関する制度面では、地方公務員より大手民間企業のほうがずっと充実しているはずです。
しかし民間企業には、「制度をフル活用して組織に残る」ことを悪とみなす雰囲気が、多かれ少なかれ存在すると思われます。

コンサルタント業界には「UP or OUT」(昇進か退社か)という言葉があります。
保守的だと言われるメーカーでも最近は「45歳定年」という思想が登場しました。
これらは極端だとは思いますが、どんな民間企業であっても、少なからず「戦力にならない人は出ていってくれ」という雰囲気が存在すると思われます。

一方、役所には、こういう雰囲気がありません。
慢性病を患って十全に働けない人であっても、暖かく迎え入れらます。
無能であっても、後ろめたさを感じることなく、のうのうと定年まで在籍できます。

戦力になれないことを責める雰囲気が無いために、安心して各種休業制度を利用できますし、気に病んで自主退職したりすることも無いのです。

「雰囲気」は危うい

制度と雰囲気は密接にリンクしており、明確に切り分けられるものではありません。
ただし、それぞれの変化要因は、明らかに異なります。

制度は、民主主義的なプロセスによって社会全体が決めることです。
これからもっと制度が充実して地方公務員の安定性が高まる……という期待はかなり薄いですが、民主主義的プロセスは何事も時間がかかるので、すぐに劇的変化が訪れるとも思えません。

一方、雰囲気は、組織内有力者の影響が大きいです。
たとえば首長が「UP or OUTを徹底してポストを空け、将来性のある若手をもっと採用します」みたいなことを発案して、閑職ルートに入った職員を明らかに冷遇したり、職員間の対立を煽って閑職への風当たりを強くして自主退職を促す……ようなことを始めれば、すぐに雰囲気は変わってしまうでしょう。

最近は「生産性向上」という旗印のもと、「民間を見習って地方公務員どうしをもっと競争させるべき」という風潮が強まっている気がしています。

特にこれからは地方公務員の定年延長が始まり、特段対応しなければどんどん職員構成が高齢化していきます。
従来通りに若手職員を採用し続けるのは、職員総数を増やすことになり、世論的に困難でしょう。
かといって若手の採用を絞るのも、組織内の年齢構成が歪になるので、あまり良い方法ではありません。

定年延長と若手採用を両立するのであれば、既存の職員を辞めさせて定数の空きを確保するしかありません。

先述のとおり、地方公務員を辞めさせるのは、制度的には困難です。
ゆえに、これまでの雰囲気を一新して、自主退職を促す方向になる可能性も大いにあり得ると思います。

従来の「働けない人」をも受容する雰囲気、僕が思う「地方公務員の安定性」を支えてきた屋台骨は、今まさに危機を迎えているのかもしれません。

多くの地方公務員にとって、7月から8月は閑散期だと思います。
6月の議会も終わり、4月1日付け人事異動の余波も収まり、役所組織全体が平穏を取り戻す時期です。

ただし、9月補正案件を抱えてしまうと、状況は一変します。
7月半ばから財政課と折衝を始めて、お盆過ぎまで続きます。
担当者はその間、夏季休暇に取得する同僚を横目に、延々と資料を作ったりヒアリングを受けたりしなければいけません。

僕自身、一度だけ9月補正案件を担当したことがあるのですが、その夏は一日も休めませんでした。

夏場に財政課職員とやりとりしているうちに、彼らの食事が明らかに偏っていることに気がつきました。
昼も夜も麺類ばかり食べています。
カップ麺だったりコンビニ製品だったり出前だったり……調達形態は様々ですが、とにかく麺類ばかり食べています。

このことに気づいて以来、秋冬にかけて行われる次年度当初予算要求の際にも財政課職員が何を食べているのか注目していたのですが、やはり麺類が多いです。
つまるところ、僕の勤める県庁では、財政課職員は年中麺類ばかり食べています。

この傾向が全国共通なのか本県独自の傾向なのか、まだわかりません。
ただ僕は出世ルートに共通する特徴だと思っています。
麺類を主食に据えることは、出世ルートを生き抜くために、ものすごく合理的だからです。

すぐに食べられる

このブログでも何度か触れていますが、概して地方公務員は昼休み時間が保証されていません。

 
一応1時間の昼休み時間が設定されてはいるものの、急な仕事が舞い込んできたら休めません。

庁内ではもちろん「昼休み」の存在は認知されていて、昼休み時間中に仕事を振るのは非常識な振る舞いです。
しかし、住民やマスコミ、議員のような役所外部の方々からすれば、昼休み時間なんて役所側が勝手に決めたローカルルールであり、自分たちにとっては全く関係ありません。
「昼休みだから待ってくれ」なんて言おうものなら怒鳴り散らされます。

出世コースの職員であれば、なおさら急件に翻弄されるものです。
普通の職員以上に、いつ・どれくらいの時間を昼食に充てられるか、読めないのです。

このような労働環境下なので、短時間で食べきれる麺類が重宝されているのだと思われます。


疲れてても喉を通る

短時間で食事を済ませることが重要ならば、サンドイッチのようなパン類に頼るという手もあります。

ただ、長時間労働が続いて体力が落ちてくると、食事をすることすら億劫になってきます。
パン類はちゃんと噛まなければ飲み込めません。
この程度の「噛む」動作ですら辛くなるのです。

麺類はあまり噛まなくても喉を通ります。この点もまた重要なのです。
咀嚼する必要性が薄いということは、それだけ食事時間を短縮できるわけでもあります。



かつて僕の知人の現役キャリア官僚も「普段は麺類ばかり食べてる」と話していました。
 
汁物(かけそばやラーメン)よりもつけ麺スタイルが好きだけど、麺を箸でつまんでつけ汁にディップしている時間がないので、普段は汁物しか食べられず悶々としているとか。
つけ麺は価格だけでなく「食事時間」というコストもさらに上乗せして支払う必要がある贅沢な料理なんだとか。

当時は何を言っているのか正直よくわかりませんでしたが、今になってようやくわかりました。

自分が出世コース入りしているのかどうか、30歳を過ぎる頃になれば自然と分かってきます。
同期職員の間でも業務内容の差が広がり、忙しい職員と暇な職員にはっきり分かれるからです。

過去にも紹介したとおり、出世コースに入るか否かは20代のうちに確定すると僕は考えています。


役所の出世コースは明確で、「誰が出世コースに乗っているのか」は人事録を数年分見ればおおよそわかります。

出世競争最大の謎
であり役所人事の神秘は、その前段階である出世コース入りを賭けた2次選抜過程です。
誰が参戦しているのか傍目にはわかりませんし、戦っている当人すら自覚が無いかもしれません。

今回はこの「2次選抜」の真相に迫ってみます。
7割方妄想なので脱力して読んでください。

2次選抜過程=調整能力と激務耐性を試す

出世コースに乗るためには、少なくとも「事務処理能力」「調整能力」「激務耐性」の3つが欠かせません。
ここでいう「激務耐性」とは、忙しい時期でも仕事のパフォーマンスが落ちないという意味です。

このうち「事務処理能力」は、担当業務がどんなものであれ測定可能な指標です。
役所の仕事において、事務処理能力が求められないものはありません。

そのため、採用直後からの数年間にわたる1次選抜の過程では、主に「事務処理能力」を測定していると思われます。
「事務処理能力」が高いと評価された職員が、2次選抜に進みます。

2次選抜では、残る2要素である「調整能力」と「激務耐性」が主に測られます。
つまり、「調整能力」と「激務耐性」が試されるポストに配置されれば、自分が2次選抜にかけられていると判断できます。

20代後半の段階で、延々と事務作業が続くポストやほぼ定時で帰れるようなポストに配置されたとしたら、残念(幸運?)ながら2次選抜には進めなかったのだと思われます。

具体的な2次選抜ポストは自治体ごとにバラバラであり、人事録を読み込んで分析するしかありません。
しかし役所は役所であり、若手に任せても問題なくて「調整能力」と「激務耐性」をテストできるポスト、つまり2次選抜向けのポストは、ある程度は似通ってくると思います。

2次選抜ポストの典型例

予算担当

課の予算担当ポストや、部局の予算調整ポストは、言わずもがな庁内調整業務の要であり、来年度当初予算の編成時期(11月~2月)には激務を強いられます。

しかも部や課ごとに最低一人は配置されるポストであり、庁内全体で見れば相当な人数が存在します。
つまり、仕事の出来を比較でき、能力評価しやすいです。
「調整能力」「激務耐性」を測定するのにうってつけのポストと言えるでしょう。


前任者がもっと上位の職員だったポスト

これまで30代半ばの職員が担当していた業務の後任者として起用された場合も、2次選抜入りしている可能性が高いと思われます。

役所では基本的に、職位が上の職員ほど難しい仕事を割り当てられます。
歴代ずっと30代の職員が担当している業務は、若手職員では務まらない理由があるのです。
(例外もたくさんありますが……)

逆にいえば、これまで30代職員が担当してきた業務を難なくこなせる若手職員がいたとすれば、その若手職員は間違いなく優秀といえるでしょう。

ベテラン担当ポストにあえて若手を配置することで、その若手職員を試すのです。

部局長との接触機会が多いポスト

そもそも出世コース入りの可否を見極めているのは一体誰なのでしょうか?
職員の人事はもちろん人事課が決めているわけですが、いくら人事課といえども「調整能力」「激務耐性」のような抽象的な能力まで測定・把握できるとは思えません。

僕の見立てでは、出世コース入りの鍵を握っているのは部局長です。
部局長はいわば出世コースの大先輩であり、出世する職員に求められる資質を自らの経験をもって熟知しています。
人事課としても、部局長たちの意見を大いに参考しているのではないでしょうか?

とはいえ部局長ともなると普段は個室で仕事しており、若手職員を観察する機会がなかなかありません。
そのため、特に注目されている職員は部局長の目に入るポストに配置され、日々評価されているのだと思います。
 
具体的にはこのあたりが典型でしょう。
  • 各課・各部局の予算担当(予算や議会のヒアリングで確実に接触する)
  • 各部局の総括担当課(部局長の秘書的な業務がある)
  • 部局長へのヒアリングを頻繁に行う事業の担当(ヒアリングが多い=目玉事業でもあり、激務かつ調整も多い)


本省出向はあくまで2次選抜の序章

国家本省への出向も2次選抜プロセスの一部だと思っています。
1次選抜で「事務処理能力あり」と認められた職員でなければ、出向しないでしょう。
 
ただし、本省出向そのものが2次選抜の結果を左右するとは思いません。
本省への出向中は、だれもその仕事ぶりを直接観察できず、「調整能力」も「激務耐性」も測定できないからです。

本省出向の目的は、1次選抜で「特に見込みあり」と認定された本命職員をさらに成長させることなのではと思っています。

2次選抜の本番は出向から帰ってきた後であり、本省出向を経験したから出世ルート当確とは限りません。
本省出向者はあくまでも1次選抜の成績が良かっただけで、2次選抜で巻き返される可能性は十分ありえます。

真相がわからないなら勝手に解釈してもいい

自分がどう評価されているかなんて、正直よくわかりません。
正解がわからないのであれば、自分に都合よく解釈してしまえばいいと思います。

仕事で成果を出したいのであれば、「自分は出世候補者だ、組織から見込まれているんだ」と勝手に思い込むのも大いにアリだと思います。
自然とやる気が溢れてきて、仕事が楽しくなるかもしれません。


県庁における圧倒的出世コースといえば、財政課(予算編成担当)と人事課(人事異動担当)です。
異論を挟む余地がありません。いずれかに乗ってしまえば、部局長クラスが見えてきます。

問題(そして格好の話題)は、出世コース候補者がしのぎを削る選抜ポストと、惜しくも圧倒的出世コースから漏れてしまった職員がしのぎを削るそこそこ出世コースです。
こちらは自治体ごとに大きく異なるのでしょう。インターネット上の情報でも、書き手によって答えが異なります。

中でも評価が割れているのが「市町村課」です。
財政・人事に次いで出世に近いとの高評価を下す人もいれば、そもそも触れもしない人もいます。

僕は「選抜ポスト」「圧倒的出世コース」いずれでもないと考えています。

本稿を読む前に、この記事を読んだほうがわかりやすいかもしれません。


業務面:小難しい

市町村課の主な仕事は、総務省・財務省・内閣府と市町村の中継ぎです。
都道府県のホームページでは、市町村課の業務として「市町村行財政の指導」みたいなことが書かれていますが、都道府県が何らかの意図を持って指導するわけではありません。
あくまでも国家本省から通知された内容に従います。いわば現場監督です。

このほか、市町村そのものの存在に関わる手続き(自治体間の境界変更など)、一部事務組合のような広域行政に関する業務も、市町村課の役割です。
選挙管理委員会を兼ねている自治体も多いようです。

これらがコア業務であり、自治体によっては、ふるさと納税や移住促進あたりも所管しています。

あくまでも国家本省と市町村の中継役なのであって、県庁内各課と市町村の中継役ではないところが重要です。

市町村課という名前だけ見ると、県庁の事業課と市町村の橋渡し役を務めるかのように思えるかもしれませんが、市町村課は他課の業務には関与しません。 
ある意味、市町村課は、庁内では浮いた存在です。他課との関わりがほぼありません。

基礎能力の高い職員しか配置できない

市町村課の職員には、国が作った膨大なルールやマニュアルを解読して咀嚼する「理解力」、市町村からの質疑に応じる「記憶力」「解説力」が必要です。
いずれも公務員であれば必須の能力ではありますが、市町村課の場合は取り扱う分量が非常に多く、しかも小難しいものばかりなために、高い水準が求められます。

しかも、普段やりとりするのは、市町村の人事課や財政課という、市町村職員の中でも選りすぐりのエリートばかりです。
パッとしない職員は舐められて丸め込まれてしまい、指導監督役が務まりません。

こういった事情ため、もともと実績があって高く評価されている職員でないと、市町村課には配置しづらいのではないかと思います。

職員配置面:県庁職員以外がたくさんいる

市町村課には、たいてい市町村からの派遣職員がいます。
どういう基準で派遣職員を選んでいるのかは不明ですが、僕の勤務する県庁の市町村課には期待のホープが送られてくると言われています。

総務省からも、たびたび若手職員が派遣されてきます。
こちらも詳細は不明です。総合職だけなのか、一般職でも来られるのか……

市町村や国と人事交流している部署は他にもあります。
ただし、派遣職員の人数では、市町村課が圧倒的最多です。

コミュ力の高い職員しか配置できない

派遣職員のいる部署では、彼ら彼女らのマネジメント業務(業務配分、進捗管理、指導など)も、県庁生え抜き職員の仕事です。
しかも市町村課は派遣職員が多いため、年齢にかかわらず、ほぼ全員がマネジメント業務に携わることになるでしょう。

そのため、しっかりコミュニケーションが取れる職員でないと、市町村課の仕事は勤まりません。
自分の仕事だけに没頭するのではなく、常に周囲の職員の様子を見て、的確にサポートできるタイプでないといけません。

派遣職員が多いということは、生え抜き県庁職員の割合が少ないということでもあります。
そのため、首長発の政治的案件のような派遣職員には任せられない突発的業務が発生したら、わずかな生え抜き職員で対応せざるを得ません。

つまるところ、職員配置面から考えても、それなりに評価の高い職員しか配置できないと思われます。

出世コースとは本質的に異なる

まとめると、市町村課には以下のような特徴があると思われます。
  • 業務内容・人員体制の特徴的に、それなりに高評価の職員でないと配置できない
  • 役所運営の根幹である行財税政と選挙の知識が身につく
  • 年齢に関係なくマネジメント業務を経験できる
これだけ見ると、有能な職員が配置され成長の機会も与えられている環境、つまり出世コースのように見えます。

しかし、正真正銘の出世コースである財政課や人事課と比べると、根本的な違いがあります。
市町村課では、出世に不可欠である「庁内調整能力」が身につきません。

市町村課の役割は、あくまでも国(総務省・内閣府)と市町村の仲介役であり、市町村課が何らかの意思決定を下すことは滅多にありません。
部局長や首長の判断を仰がなければいけない大仕事も比較的少ないでしょう。

加えて、市町村課の業務が庁内他課に影響を及ぼすことも少なく、ほとんどの業務が課内で完結するため、庁内での利害関係調整もありません。

これらの事情のために、市町村課では、庁内調整能力が求められる機会に乏しく、育まれることも無いと思われます。

本流出世コースである財政課や人事課では、庁内調整能力を徹底的に鍛えられます。
将来的に部局長として役所を回していく際に、この能力が必要不可欠だからです。
逆に言えば、庁内調整能力が身に付かない市町村課は、出世コースたり得ないのです。

結論:20代前半までに配属されたら期待大

新卒入庁で最初の配属先が市町村課だったり、1回目の人事異動で市町村課に配属された場合は、人事から期待されている可能性が高いです。

市町村課の業務を無難にこなせば、基礎能力は合格点です。
ただ、最重要評価項目である「庁内調整能力」は、まだ一切評価できていない状態です。 
次の人事異動で「選抜ポスト」、つまりは庁内調整能力を試される部署に配置されて、そこでも無難に仕事をこなせれば、晴れて出世コースに入れるでしょう。

20代後半以降に配属された場合は、少なくとも一軍メンバーからは脱落していると思います。
ただし、基礎能力が高く評価されていることは間違いありません。
そうでなければ、そもそも市町村課に配置されないでしょう。

とはいえインターネット上には「市町村課は出世コース!」と断言しているサイトも複数あるので、自治体によっては出世コースなのでしょう。人事録を遡ってみると面白そうです。 

ちなみに僕は市町村課にかなり興味があります。ブログネタの宝庫でしょう。
話し下手コミュ障なので絶対あり得ないでしょうが……

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