キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

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大型書店をぶらついていると、Amazonが絶対リコメンドしてこない本に出会えます。
今回紹介する本もそういう一冊。
地方公務員稼業とは一見関係が無いようで、深く考えさせられます。


出版社のページはこちら。

山梨県韮崎市を中心に展開したスーパーマーケット「スーパーやまと」社長の一代記です。
39歳で代表取締役に就任、赤字スーパーをV字回復させるだけでなく、地域の問題解決にも奔走するも、2017年10月に破産。
この一連の流れが綴られています。

背表紙を見た瞬間に嫌な予感がしました。

「この破産、絶対行政も絡んでる……」


贖罪を打ち砕かれた

本書を紐解くと、山梨県庁、韮崎市役所、甲府市役所……続々と出てきて、利益相反キャンペーンへの協力依頼を続々と持ち込んでいます。

本書を読んだ直後、2食抜きました。
胃が痛んで食事どころではなかったので。
スーパーマーケットの本を読んで食事ができなくなるとは思いもしませんでした。

ある程度キャリアを積んだ地方公務員なら、地域の民間事業者に負担を強いた経験が少なからずあると思います。
そんな時、謝金や営業補償として金銭面で穴埋めすることで、自分を赦していませんか?
僕はそうです。役所のわがままのせいで赤字を背負わせてはいけないと思っています。

ただ、本書を読んで、たとえ金銭面でフォローしたとしても行政に対する心理的な不信感は消えないんだなと痛感させられました。


これ以上の詳しい紹介は避けます。
ネタバレしないほうが絶対に身に沁みるからです。
胃痛を抱えながら読み進めて、228ページからの【行政関係者へ】と題されたメッセージを繰り返し噛み締めましょう。

山梨県内の地方公務員の感想が気になるところでもあります。
会う機会があったら話を振ってみます。 

世の中には有料のデータベースがたくさんあります。
料理のレシピ集のようなお手軽なものから、とても個人では手が出せないような高価なものまで、様々です。

有料データベースの中でも役所内でよく使われているのが、TKC経営指標です。

業種別の平均値

TKC経営指標(BAST)とは、会計事務所や自治体向けに特化した情報サービス企業「株式会社TKC」が提供しているデータベースです。
多くの経営指標の業界別平均値を算出してまとめられています。

一部だけならホームページですぐに閲覧できます。 (TKCサイトへのリンク)

日本株に投資している方、特にファンダメンタルを重視する方にとっては馴染みのある資料です。

役所では主に、地場企業の経営分析に使います。
経営分析に欠かせないプロセスとして、時系列比較と同業間比較があります。
業界別平均値は、後者の比較に欠かせない資料です。

これが使えないとなると、経営分析作業が一気に面倒になります。
そもそもの基準(平均値)から準備しなければいけなくなるからです。

どこで見られるかを知っておく

このデータベース、誰でも使えるものではありません。

役所内でも、これを保有している部署はごくわずかでしょう。
産業振興や中小企業支援を担当している部署なら持っているかもしれません。

頻繁に使うものではありませんが、TKC経営指標というデータベースの存在を知っているだけでも、いずれ役に立つと思います。

自己啓発ならとりあえず宅建がモットーの当ブログなのですが、最近は決算書の読み方も重要と思っています。

決算書をはじめ企業会計の知識は、いつの世も自己啓発の定番。
書店に溢れる「決算書が読める!」系の書籍をみれば明らかです。

企業会計の中でも入門編に位置付けられるのが簿記です。
とりあえず簿記2級をとってからステップアップ!みたいな風潮があります。

ただ、地方公務員に限っていえば、簿記を勉強せずにいきなり決算書の読み方を勉強すればいいと思います。

簿記は決算書を作るための知識です。
勿論、作り方を知っている方がより深く決算書を読めるのでしょうが、地方公務員にはそこまで高度な読込は求められません。
そのため、簿記を勉強するよりも、実際に決算書を読んで勘所を抑える方が効率的だろうと思います。

公務員を縛るのは公会計という独自ルール

役所にも経理業務はあります。
ただし、民間企業とはルール体系が異なります。

「統一的な基準による地方公会計マニュアル」p.3より抜粋
平成27年1月 総務省
http://www.soumu.go.jp/main_content/000335891.pdf

お金をどう使ったかを細かく整理している「企業会計」に対し、お金をどう使うかを細かく決めているのが「公会計」といえるでしょう。

公会計でも決算書類のようなものを作りますが、企業会計とは中身も作り方が全く違います。
そのため「企業会計の決算書を作るための知識」である簿記が活きないのです。

会計学の観点から公会計を考えたい等、真剣に公会計に向かい合いたいなら簿記知識も必要でしょうが、少なくとも実務には役立ちません。

出向という罠

ただし、役所の外へと出向すると状況は一変します。
公社や第三セクター、○○協会、○○連盟等々……出向先はいろいろありますが、いったん役所の外に出てしまうと、当然ながら企業会計のルールに縛られます。

出向先で経理担当に配属されると、民間企業並みの決算書類を作ることになります。
こうなると、簿記知識は必須です。

出向先の経理担当を経験する地方公務員は、ごくごくわずかです。
定年まで一度も担当せずに役所人生を終える職員が大多数でしょう。
そのため、事前に勉強しておく必要性は薄いと思います。

決算書を作る業務とは滅多に巡り合わない一方で、決算書を読む業務とはいろんな部署で遭遇します。 
実態は別記事にて紹介します。

ここ数年間で地方在住オタクのアニメ視聴環境は劇的に改善されました。
大体の番組がBSデジタル放送でカバーされるようになったのは、本当に革命的な進歩です。
 
Amazonプライムのような動画配信サービスも非常にありがたい。
最新作に限らず過去作も視聴可能で、オタクバレが怖くてレンタルビデオ店に行けない僕みたいな隠れオタクは相当救われています。

しかし、地方公務員という立場からすると、動画配信サービスは明らかに敵です。
動画配信サービスが伸びれば伸びるほど、田舎の地域経済にはマイナスだと僕は考えています。

暇人を引きこもらせている

現在増えているユーザーは、コンテンツに対してライトな層。
僕みたいに作品語りがしたいオタクではなく、暇つぶしとしてコンテンツを消費する層です。

彼ら彼女らは、動画配信サービスを使い始めるまでは、外出することで暇を潰していました。
友人とドライブに出たり、ウインドウショッピングしたり、飲みに行ったり……何にせよ外出して出費することで地域経済を回していました。

しかし今となっては、彼ら彼女らは外出しません。
家の中でスマートフォンの画面を見て暇を潰します。
彼ら彼女らが外に出なくなった結果、地域の小売店・飲食店にお金が落ちなくなります。

時を同じくして、駅前のファッションビルのような若者向け施設や、オクトーバーフェストやビアガーデンみたいな若者向けのイベントの客足が明らかに減ってきているとのこと。
定量的に調べたわけではありませんが、因果関係は否定できないように思います。

こう考えるようになったきっかけは、昨年夏に Amazon Primeで配信された「バチェラー2」です。
盆休み明けあたりから、1〜5年目くらいの職員がみんな「バチェラー2」の話で持ちきりなんです。

その時は「どうせ一過性のブームだろう、バチェラーとやらが終わったら使われなくなるだろう」と思っていたのですが、冬休みも皆ガキ使も紅白も見ずにAmazon Primeで昔のドラマを見ていたとのこと。
ブームではなく、すっかり彼ら彼女らの生活に根付いてしまったようです。
ここまで続くと、認識を改めざるを得ませんでした。

お金のない娯楽に流れるのは当然

僕含め若者にとって、動画配信サービスを利用して休日を過ごすのは実に合理的な行動です。
楽しいだけでなく、お金の節約になるからです。
そのため、動画配信サービスの勢いは当分伸びていくと思います。

再び若者を外出して出費するよう仕向けるには、動画配信サービスと向き合わなければいけません。
つまり、休日に外出してお金と時間を使うことに大きなメリットがあること、動画配信サービスに浸る以上の合理性があることを示していかなければいけないのです。

今のところ、動画配信サービスでは体験できない「味覚」「嗅覚」「触覚」の重要性を訴えていく作戦が手っ取り早くて効果が出そうかなと考えています。

先日、久々にクレーム電話を取ってしまいました。
1時間はお話を聞いていたでしょうか。おかげで昼休みが消滅しました。

内容には少なからず共感できましたし、クレーム主より「社会全体を巻き込んで議論すべき」と言われたので、心置きなくブログネタにさせてもらいます。

ボランティア精神のせいでビジネスチャンスが潰されている!!

クレームの主旨は以下のとおり。

無償でやることの美徳が強調されすぎていて、本来なら対価が発生してしかるべき仕事が、どんどん無償のボランティアで担うものに格下げされている。
一度タダになってしまったものをは、再度有料化できない。
本当はその道で食っていけたはずの人が食えなくなる。
ボランティアを推し進めているのは紛れもなく行政。行政が街から仕事を奪っている。

たとえば、観光地の案内ボランティア。
お金を取ってより良いサービスを提供する道もあったのに、いつの間にかボランティアが手弁当で担うのが全国で当たり前になってしまった。

「現地でちょっとしたうんちくを聞きたい」ような、ちょっとした不満の声を議員が拾って行政にクレームした結果がこれだ。
行政はなるべくケチ臭く、税金を使わずに不満を解消したいから、自助だのと煽ってボランティアで解決する。
結果、新たなサービス業が勃興する前に、ボランティアが定着してしまう。

行政はやたらにボランティアを推進するのをやめて、無償でのサービス提供がまかり通っていないかを逐一監視すべき。
 

確かに、タダで利用できる観光案内が定着してしまうと、有料の観光案内を後から立ち上げるのはほぼ不可能でしょう。
有料の方がコンテンツ的に優れていたとしても、後出しで有料サービスを開始するという行為自体がボランティア精神の冒涜であり、社会的に許されません。

ボランティアの精神自体は素晴らしいものだと思いますが、ボランティアが担っているせいでちょっとした不満が大きなトラブルに発展していってしまった事例をいくつも聞いています。

事例として挙げられていた観光案内ボランティアでも、ボランティアによる案内、つまりタダの案内だと、どんどん利用者の質が悪くなっていくようです。
「安かろう悪かろう」という前提があるため、利用者がボランティアを見下すようになる(見下すような人ばかり来るようになる)とか。
 
ボランティアの方も、もともと善意でやっていたのに見下されてばかりでは、どんどんモチベーションが落ちていきます。結果、サービスの質が悪化し、本当に「安かろう悪かろう」に陥ってしまうのです。
最終的にボランティアへの苦情が増えて、ガイド自体が無くなってしまった事例も聞きます。

規制行政よりも…… 

僕としては、規制行政の出る幕ではなく、ボランティアが出て来る前にマネタイズの仕組みを作ってしまえる人材育成のほうが重要ではないかと思います。

クレーム主の口調からも、「逃がした魚は大きかった」という負け惜しみを感じました。
ポテンシャルのある地域や観光地を常に監視して、ちょっとした不満を敏感に察知、お金に変える仕組みを考えていくことが必要でしょう。

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