キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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タグ:採用

定年延長関係の研究会報告書が、いつの間にやら総務省ホームページにアップされていました。


 

この研究会は定員管理が主な議題であり、新規採用者数についても言及されています。
僕はずっと「採用数は間違いなく減る」と考えてきましたが、果たして研究会の先生方はどう結論づけたのでしょうか?見ていきます。

<定年延長関係の過去記事>






職員増が許容される!?

以下、報告書の「概要版」ベースで、主な内容を見ていきます。
まずは「基本的な考え方」です。
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定年引上げ期間中においても、一定の新規採用者を継続的に確保することが必要

自治体の採用は、基本的に退職者補充です。
採用者数=退職者数をベースに、業務量の増減に応じて加減していきます。
また、退職者の約6割が定年退職者です。

退職者補充ベースで採用者数を検討する場合、定年引上げ期間中は定年退職者が2年に一度しか生じないことから、1年ごとに退職者数が大幅に増減し……これに連動して採用者数も増減することになります。
例えば直近だと、令和5年度は定年退職者が発生しないので、退職者数が激減します。
その結果、令和5年度の採用者数(R6年4月1日から働き始める人)も、連動して激減することになります。

研究会報告書では、このような1年ごとの採用者数大幅増減は「望ましくない」と評価しています。
職員の経験年数や年齢構成に偏りができて組織運営に支障をきたすうえ、職員人材確保の観点から問題があるからです。

そこで研究会報告書では、「一定の新規採用者を継続的に確保」「採用者数を一定程度平準化」という表現で、定年引上げ期間中の採用者数が乱高下しないよう留意を求めています。

新規採用者の検討をはじめ、中朝的な観点から定員管理を行うことが必要

目先の単年度の採用者数を検討するのみならず、定年引上げが完成する10年後を見据えて定員管理をする必要があり、職種ごとの年齢構成や採用環境を踏まえしっかり分析する必要がある、とのことです。
そのとおりですね。改めての念押しという位置づけなのでしょう。

業務量に応じた適正な定員管理である説明が必要

定年引上げというイレギュラー要因があろうとも、職員数の増減理由をしっかり住民へ説明する必要がある、とのことです。
こちらもそのとおりです。改めて言われずとも切実に考えているでしょう。

採用者数は「2か年平準化」がスタンダード!?

採用者数の平準化に関しては、さらに具体的に深掘りしています。
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注目すべきは「定年退職者が2年に一度しか生じないことを踏まえ、2年ごとの平準化を基本としつつ、各職種の状況を踏まえ、平準化を行う年数については柔軟な検討が必要」という部分です。
ざっくりいうと、定年退職者が発生する年度としない年度の採用者数の平均をとって、2年ともこの平均人数を採用する…という方法を基本としています。

例えば直近だと、シンプルな退職者補充の場合、
  • 令和5年度の採用者数(R6年4月1日から働き始める人)は、令和5年度に定年退職者数が発生しないので減少
  • 一方で令和6年度の採用者数(R7年4月1日から働き始める人)は、令和6年度は定年退職者が発生するので、前年度と比べて増加します。


研究会報告書でいう「平準化」とは、令和5年度と6年度の採用者数を均一にすることを指しており、その人数は(R5採用者+R6採用者)÷2です。
2年間の採用者数計は変わらないものの、R5採用者数は増加、R6採用者数は減少します。
R6の採用者枠の一部をR5に前倒ししたともいえるでしょう。

「平準化」する場合、R5退職者数<R5採用者数となり、R6年4月1日時点では総職員数が増加します。
その反面、R6退職者数>R6採用者数となるので、R7年4月1日時点では総職員数が減少(元通り)になります。
この「一時的な職員数の増員」を、研究会報告書では許容しています。

ここが個人的には一番の驚きでした。
過去の記事でも触れましたが、総職員数が増えないよう「採用減の前倒し」または「採用枠の後ろ倒し」するよう技術的助言してくるものかと想像していました。

採用数の減少はほぼ確実だが減少幅はそれほどでもない?

採用者数が「平準化」されて、定年退職が出る年度と出ない年度の増減幅が小さくなったとしても、定年引き上げ期間中の総退職者数が減少するのは確実であり、そのため採用者数が減るのは間違いありません。 
どのくらい減るのかという定量的情報は示されませんでしたが、報告書を読む限りでは、僕が以前試算した方法(最大▲25%)がわりといい線きているかもしれません。

あくまでも人事素人の感覚ですが、今回の研究会報告書や総務省通知は、自治体の裁量を広く認める内容なんだろうと思われます。
 
これまでの総務省の定員管理といえば、地方自治法第2条第14号「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」に基づき、「業務遂行に必要な最小の人員で賄うべき」という考え方が一般的でした。
そのため、「対外的に説明できること」を前提としつつも定年引上げが原因の職員数増加を認める…という今回の整理は、かなり斬新に映ります。

総務省からの縛りが無い分、業務量推移の見込みや、総人件費、住民や議会からの風当たり、組合との関係……等々、いろんな要素を考慮しながら、各自治体で対応を考えることになるのでしょう。
つまるところ、採用数が減るのはほぼ確実としても、採用者数の減少幅は自治体によってバラバラになりそうです。

来年度に地方公務員試験を受けようか考えている方は、採用情報に加えて定員管理情報にも注目したほうがよさそうです。

今の世の中、「デジタル化」という単語を至るところで見かけます。
 
特に地方自治体はデジタル化が遅れていると連日揶揄されており、新聞なんかでは「自治体のデジタル化が進まないせいで〜〜のような問題が生じている」みたいな指摘がほぼ毎日繰り返されています。
「ネタが無いときの紙面埋め要員か?」と疑りたくなるくらいです。
 
実際のところ、役所はアナログな組織です。
民間企業と比べて明らかにデジタル技術の導入が遅れていて、新しいサービスが提供できていなかったり、非効率なプロセスが残っていたりしています。

デジタル化の遅れは、マスコミから糾弾されるまでもなく、職員自身が自覚しています。
少子高齢化や人口減少、財政悪化、公共施設の老朽化などと並んで、誰もが共通して認識している「行政課題」の一つと言えるでしょう。
 

これから地方公務員試験の採用面接に臨む方の中には、「自治体行政のデジタル化」を志望動機に据えようと計画している方もいるかもしれません。
大学で情報関係の勉強をしていたとか、IT関係のアルバイトをしていたとか、情報処理技術者などのIT系資格を保有しているとか……このような「自分の強み」を活かして「デジタル化」を進めたい、というストーリーを練っている方もいるかもしれません。

個人的には、「デジタル化」を前面に押し出すのは、避けたほうがいい気がしています。
綺麗なストーリーが作れるかもしれませんが、それが面接官に受けるとは限りません。
 

所詮は木端役人

いくら高度なデジタルスキルを持ち合わせていようとも、地方公務員は地方公務員です。
できることには限界があります。

役所のデジタル化が遅れている案件を深掘りしていくと、デジタル以前の理由がボトルネックとして浮上してきます。
法令の規制に引っかかるとか、お金が無いとか、何より住民の理解を得られないとか……
 


デジタル化に限った話ではありませんが、行政課題は頻繁に「総論賛成、各論反対」という民意によって阻まれます。
総論として「行政のデジタル化を進めるべき」だと誰もが思っていても、あるプロセスのデジタル化という個別具体的な論点になると「それは無駄だ」「アナログのままがいい」みたいな反対意見が噴出して、止まってしまうのです。


自治体行政をデジタル化していくためには、単なる新技術の導入のみならず、デジタル以外のボトルネックを解消しなければいけません。
こういうボトルネック解消には、残念ながらデジタルスキルは活かせません。

それどころか、ボトルネックの中には自治体にはどうしようもないものも多く、職員がどれだけ有能であっても解消できるとは限りません。
デジタルに強い地方公務員が増えたところで、自治体のデジタル化は簡単には進まないのです。


このような背景が存在するために、受験生が「行政のデジタル化!自治体DX!」みたいなことをどれだけ熱く語ったとしても、面接官側としては現実味を感じられないと思われます。

「自分のデジタルスキルを活かして〜」という前置きが加わると、皮肉なことに一層非現実的に聞こえます。
個人のスキルで行政課題を解決するなんて、ちゃんと業界研究した人であればまず口にできません。
あまりに現実離れしているために、勉強不足だと思われても仕方ないでしょう。

内部プロセスなら改善できるかもだが……

とはいえ、職員のデジタルスキルだけでも対応できる課題もわずかながら存在します。
それは組織内部のプロセス改善、特に非効率の解消です。
 
  • 組織の問題……部署間のデータ共有ができていなくて、複数の部署で同じような作業を重複して行なっている
  • 職員の問題……職員のデジタルスキルが低くてデータの扱いが下手で、効率が悪い
こういう組織内部しか関係してこない課題であれば、職員個人のデジタルスキルで解決できるかもしれません。

ただし今度は、どういう課題を解決するのか具体的に挙げようとすると詰みます。

非効率の事例としてよく槍玉に上げられている「紙資料使いすぎ」とか「神エクセル」みたいな有名な課題は、徐々に改善されつつあります。
内部プロセスの改善事例として上げられている「会議資料のペーパーレス化」「テレワーク環境の整備」「RPA導入」あたりは、今やどこの自治体でも大なり小なり取り組んでいます。

こういった事例を今年の面接でなんて話そうものなら、さすがに時代遅れです。
勉強不足と思われてしまうでしょう。

組織内部の課題は、実際に組織を観察しなければ見えてきません。
特にデジタル化に関しては、自治体ごとに進捗具合がバラバラで、課題もバラバラだと思います。
めちゃくちゃ熱心にOBOG訪問してリサーチしたり、長期インターンなどで既に組織の一員として働いた経験があったりして、組織内部の状況を熟知しているのでもなければ、地雷を踏みかねないと思います。

素っ頓狂な深堀りを喰らうリスクも

そもそも面接官が「デジタル人材」の実態を理解しているか、かなり疑問です。
僕自身、情報処理技術者試験の勉強をするまでよく知りませんでしたが、一口に「デジタル人材」と言っても、色々な専門分野に分かれています。

しかし面接官は、デジタル人材といえば、
  • プログラムを作れて
  • ネットワーク配線工事ができて
  • データ分析できて
  • プロジェクト管理できて
  • SNSでバズれて
  • スマホやパソコンのおすすめの機種に詳しくて
  • パソコンの使い方をやさしくわかりやすく説明できて……
みたいなパーフェクトオールラウンダーを想定している可能性が大いにあり得ます。

そのため、面接でデジタルスキルをアピールしたら、一発目の受けは良いかもしれませんが、全然専門外の分野から深堀りされるかもしれません。

面接官的には「的確な返答が返ってくるはずだ」と期待しているところ、専門外分野ゆえにしどろもどろになってしまうと、「ハッタリかよ…」と落胆されてしまいかねません。
もちろん適切な深掘りができない面接官の方が悪いのですが、面接の場だとそういう指摘もできません。

アピールしたいなら「添えるだけ」

どうしてもデジタルスキルネタを使いたいのであれば、「行政のデジタル化」という大きな課題を持ち出すのではなく、「〇〇の分野に携わりたい、具体的にはデジタルの知見を活かして〜」みたいに、あくまでもデジタルは手段の一つとして位置付ければいいと思います。

このように位置付ける場合でも、「どうして現時点ではデジタル化が進んでいないか」理由をしっかり確認する必要があります。
ひょっとしたら、自治体では太刀打ちできない理由のために、「デジタル化したくてもできない」かもしれないからです。

こういう観点でスクリーニングしていくと
  • 法令の規制がなく
  • しっかりしたシステムを組む必要がなく(=ローコスト)
  • 住民の「お気持ち」を反映させる必要が薄い
このあたりの条件を満たす分野、具体的には広報とか観光あたりに絞られるのではないかと思います。


変な話、行政全般のデジタル化に本気で携わりたいのであれば、IT企業に就職して行政向けの機器・サービスを開発するほうがよほど近道だと思います。 
コンサルファームに入って行政関係のプロジェクトに参加するのもアリでしょう。

今年度の国家公務員受験者が久々に前年を上回ったようです。


とはいえ僕が公務員試験を受験した頃の3分の2くらいにまで落ち込んでいます。
当時より採用者数は爆増しており倍率的には歴史的低水準、つまり「合格しやすい」にもかかわらず受験者数が伸びないということは、巷でよく囁かれる「学生の公務員離れ」が進んでいると思わざるを得ません。

人事院では昨年、「国家公務員を志望しなかった理由」を調査しています。

 

国が実施する調査は、調査する前は大々的に取り上げられるものの、調査結果はなぜかスルーされがちです。
この調査も、「調査します」と発表した際にはニュースになっていましたが、3月に発表された調査結果はほとんど話題になっていなかったように思います。僕自身、つい先日気づきました。
気になった項目を紹介していきます。


全文へのリンクを貼っておきます。

もうちょっと細かく集計してほしかった

僕がまず注目したのは、本アンケート回答者の「志望状況」です。

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まず、回答者の約65%が「もともと興味なし」と回答しています。結構高いです。
ということは、このアンケート結果には、「公務員を興味が湧かなかった人」の意見が色濃く反映されています。

就活生は忙しいです。
興味が湧かない業界に対し、わざわざ時間と労力を費やしてリサーチしている余裕はありません。
ゆえにこのアンケート結果は、「公務員に興味がない人が」「直感的印象で回答している」ものと解釈するのが適切だと思います。

また、約20%が「関心があったが、やめた」と回答しています。
この層は「ちゃんとリサーチしたうえで止めた」方々であり、採用側からすれば「取りこぼし」ともいえます。
個人的には結構高いと思います。一旦公務員を検討したら受験まで一直線のイメージが強く、「よく考えたうえでやっぱりやめる」というパターンはごく少数だと思っていました。

ガチで分析するのであれば、「もともと関心がなかった」層と「関心はあったが、やめた」層を分けて集計する必要があると思います。
前者の回答は「ただの印象」で、後者の回答は「調査・熟考の結果」です。重みが違います。
なんらかの対策を講じるにしても、手法が全く異なるはずです。
公表されていないだけで、人事院内ではきちんと分析しているのでしょうが……

「人間関係と職場の雰囲気が終わっている」というイメージ

個々の回答項目を見ていくと、1問目から衝撃的な結果が出てきます。

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「人間関係や職場の雰囲気が良さそう」のスコアが飛び抜けて低い……
本省のエンドレス長時間労働や、国会議員にどやされている印象が強いのでしょうか?
「職場の雰囲気」は多忙と結びついているとして、「人間関係」とは……?

「仕事と私生活の両立ができる」も気になります。「そう思わない」がこの項目だけ頭一つ抜きん出ています。
「関心はあったが、やめた」層がこの項目でどう回答しているのか非常に気になります。
ひょっとしたら「そう思わない」に集中しているのかも……

コスパが悪い就職手段?

次の設問では「国家公務員を選ばなかった理由」を尋ねています。

先述したとおり、この設問の対象者には、「もともと関心がなかった」層と「関心はあったが、やめた」層という異質な存在が入り混じっています。
これらの2層では、「選ばなかった理由」に差がありそうですし、たとえ同じ回答を選ぼうとも、その回答に至るまでの過程は全然違うはずです。
そのため、ごちゃ混ぜで集計してもあんまり有意義ではない気もしつつ……とはいえどうしようもないので、この結果を見ていきます。

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まず目につくのが採用関係です。
「採用試験の勉強や準備が大変」が最も高スコア、「採用試験に合格しても必ずしも採用されないこと」「採用試験の実施時期が遅い」もなかなか上位に来ています。

がっつり対策しなければいけないのに採用されるかどうか不確実、つまるところ採用対策のコスパが悪いということなのでしょう。わかります。完全に同意です。

あとは「ハードワークだから敬遠している」系統の項目でスコアが高くなっています。

一方、ハードワークを厭わない層からは、処遇関係への不満がありそうです。
「出身大学が処遇に影響しそう」「能力や実績に基づいた評価がなされなさそう」「若手に責任のある仕事を任せてもらえなさそう」あたりの回答も高スコアで、実力や成果に見合った待遇を求めるバリキャリ志向のニーズに沿えていないことがわかります。

第三者発の情報のせいで受験者が減っている?

この調査では、国家公務員関係のみならず、就職活動プロセス全般についても質問しています。
中でも僕が気になったのは情報収集手段です。

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本文中でも触れられているとおり、採用側が発する公式情報のみならず、インターネット記事や口コミサイト、Twitterのような第三者発の情報も結構参照されているようです。

この傾向は、役所にとってはかなり不利です。
世間の人々の大半は、公務員に対して敵対的です。
インターネット上には、公務員批判記事は大量にあれど、公務員に好意的な記事はほとんどありません。

公務員への就職に関しても、「オワコン」「泥舟」「人生の墓場」といった否定的な記述ばかりです。
公務員就職を推奨しているのは、今や予備校くらいです。

つまり、第三者発の情報を集めるほど、公務員就職に対してネガティブな感情を抱いてしまうでしょう。
こうやって意欲を挫かれる人も、ひょっとしたら少なくないのかもしれません。

この調査結果はあくまでも国家公務員について尋ねたもので、そもそも地方公務員は対象外です。
ただし、この設問は「就職活動全般」について尋ねており、地方公務員採用でも大いに参考になります。
インターネット上の第三者意見が結構参照されていることが定量的に明らかになったという事実は認識しておいたほうがいい気がします。

最近少しずつ「定年延長で採用者数が減少するぞ!!!!」という煽りを見かけるようになりました。

ただ、具体的にどれだけ減るのかは、今のところ見つかりません。
そこで、現時点で入手できる情報を用いて、果たしてどれくらい減りうるのかを考えてみました。
あくまでも人事エアプによる試算です。

採用者数=退職者数

地方自治体の採用は、基本的に退職者補充です。
退職者見込み数と同数を採用します。
 
例えば2022年度中に100人退職する見込みだとすると、2022年度中の採用者(2023年4月から勤務スタートの人たち)は、100人がベースになります。
2022年度中に100人減る代わりに、2023年4月1日から新たに100人を雇い入れることで、総人数をキープするわけです。

定年延長期間中は、2年に1度のペースで定年退職者が発生しない年度、つまり退職者数が激減する年度が挟まります。
退職者数の減少が確実であるために、採用者数の減少も確実視されているのです。

約5割が定年退職者

総務省の「令和元年度 地方公務員の退職状況調査」(リンク先はPDF)によると、全退職者に占める定年退職者の人数は、54.5%とのこと。

以下、表現をシンプルにするため、全退職者に占める定年退職者の割合は約5割と置きます。
さらにシンプルにするため、職員の年齢構成は均一(どの年齢でも職員数は同一)と仮定します。

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定年が延長されようとされまいと、定年退職以外の退職者数には、直接の影響はありません。
ひょっとしたら「老いぼれを優遇する組織に未来は無い!」と若手の離職が増えたりするかも知れませんが、現時点では定量的に予測できないのでスルーします。

超単純に考えると、定年が引き上げられる年度(令和5,7,9,11,13年度)は、退職者数が最大で約5割減少するわけです。

先述したとおり、地方自治体の採用は基本的に退職者補充です。
退職者数が5割減るということは、採用者数も5割減ることになります。

つまり、またまた超単純に考えると、定年が引き上げられる年度(令和5,7,9,11,13年度)は、採用者数が最大で5割減少するかもしれないわけです。

ただし、その前後の年度(令和4,6,8,10,12,14年度)は、定年退職者が発生するので、新規採用者数は減りません。
新規採用者数は、令和4→5にかけて半減、令和5→6にかけて倍増、令和6→7にかけて半減……というサイクルを繰り返します。

不確定要素①:年度間で平均化するか?

めちゃくちゃ単純に考えるとこんな感じになりそうなのですが、実際の運用はもっと複雑になると思われます。
この方法だと職員の年齢構成が歪んでしまい、組織運営に支障が出るからです。

採用試験に関しても、「1年ずれるだけで倍率が全然違うのは非効率・不公平だ」という批判が上がるでしょう。

そこで、多くの自治体では、採用者数の減少幅を平均化するだろうと思われます。
「2年に1度のペースで新規採用者数を半減させる」のではなく、例えば「2年続けて新規採用者数を25%減少させる」ことで、年度間の採用者数の増減幅を縮小するのです。
定年延長と採用者.001


僕がこれまで「令和4年度の新規採用者数は減りそう」と呟いているのも、この発想がベースです。
令和5年度に新規採用者数を5割減らす代わりに、令和4年度と5年度に25%ずつ減らす……という人事戦略を採る自治体がそこそこあるのでは?と勘繰っています。

この作戦では、令和4年度は退職者>採用者となるため、令和5年度は欠員が生じます。
この分は会計年度任用職員で穴埋めするのでしょう。

反対に、令和4年度の採用数は減らさず、令和5年度〜14年度にかけて25%採用数を減らす、いわば採用枠を前倒しするような運用も考えられます。
こちらだと令和6,8,10,12,14年度は定員をオーバーしてしまうので、自治体としてはあまり気が乗らない気がします。

不確定要素②:定年延長を受け入れない職員の割合

ここまでの妄想は、満60歳を迎える職員が全員定年延長を受け入れる前提で展開してきました。
これまで定年退職してきた職員が「全員」残留するために、採用者数が圧迫されるという前提です。

しかし実際は、定年延長を受け入れず、満60歳で退職する人も存在するはずです。
つまり、定年延長年度(R5,7,9,11,13)であっても、退職者数が5割も減るとは限らず、ひいては採用者数の減少幅もより小さいかもしれません。
 
定年延長と採用者.002


「定年延長を受け入れず、満60歳で退職する人」の割合が高ければ高いほど、退職者数が増えるため、採用者を減らさずに済みます。
極端な話、この割合が100%であれば、定年延長は完全に形骸化して、これまでと全く変わらないわけです。
反対に0%であれば、全員が定年延長に従うことになり、5割の退職者減・採用者減が現実化するでしょう。

「定年延長を受け入れず、満60歳で退職する人」の割合は、現時点では全然読めません。
かつ、自治体によっても大きく差があるでしょう。

不確定要素③:現時点のフルタイム再任用移行率

自治体の職員の定員(職員数の上限)は、条例で決められています。
条例上の定員には、フルタイム勤務の再任用職員も含まれます。
(短時間勤務の再任用職員は含まれない)

つまるところ、現時点でも「61歳以上の職員」は、定員の中に存在するのです。
今回の定年延長は、この「フルタイム勤務の再任用職員」が「61歳以上の正規職員」に置き換わっていく過程だともいえます。

退職者補充という考え方は、職員数(定員)を一定に据え置くことが前提です。
定員を一定にするために、退職者数が少ない年度には、採用者数を減らすわけです。
定年延長のせいで採用者数が減るのは、これまで定年退職していた職員が退職しなくなり退職者数が減る、つまり61歳以上の職員が増えて定員を圧迫するからです。

ただし実際のところ、既に定員の中には「フルタイム再任用職員」という形で、一定数の61歳以上の職員が存在します。
定年退職しているものの、実は定員の中には残っているわけです。
そのため、定年延長が始まっても、フルタイム再任用職員の人数分はもともと定員に含まれているので職員数増とはならず、定員を圧迫しないのです。

職員数が増えないのであれば、採用数を減らす必要もありません。
つまるところ、フルタイム再任用職員が現状で多い自治体ほど、定年延長による採用者数の減少幅が小さいと言えるでしょう。

定年後にフルタイム再任用勤務へ移行する職員の割合は、自治体ごとにまちまちですし、同じ自治体の中でも年度によってばらつきがあると思われます。
これも不確定要素の一つです。

暫定的結論:最大25%?

現時点で入手できる公表数値ベースでは、
  • 2年に一度、最大で50%減少させる
  • 多くの自治体では、採用者数を平均化するため、10年間にわたり最大で25%減少する
  • 令和4年度採用から減らす自治体もあるかもしれない(最大25%減少)

までしか言えません。
あくまで「最大」であり、 実際はここまでは減らないと思います。

定年延長期間中の採用戦略は、今まさに各自治体の人事部局で真剣検討している最中でしょう。
そもそも使えるデータが少なく、悪戦苦労しているところなのではと思われます。 
人事通な方が書いたガチ解説が読みたいところなのですが、今のところ見つけられていません。
人事に詳しいほど、不確定要素がありすぎるために、確たることを発信できないのでしょうか……?

新年明けましておめでとうございます。

新年一発目の記事として、今年も陰謀論をお送りします。

直近の記事で「2022年は何が話題になるか全然予想できない」と書いたところですが、地方公務員関係で強いて挙げるとすれば、「集団訴訟」と「採用抑制」なんじゃないかと思っています。


新型コロナウイルス関係の集団訴訟がついに動き出すか? 

僕が最初に配属された防災担当課では、とある経験則が語り継がれていました。
「発災から2年間は被災住民の感情のケアを怠るな」というものです。
これをおろそかにすると、集団訴訟につながるからです。

災害関係の集団訴訟は、だいたい災害発生から1年後〜2年後に提起されます。
災害の直後ではありません。

ある程度時間が経たないと、発災原因(現象そのものが規格外だったのか、インフラの問題なのか、人災なのか)が絞られず攻撃すべき論点が定まりませんし、「誰が悪者なのか」という世論も固まらないからです。
さらに、原告側住民の生活再建が終わるまで賠償請求する被害額が確定しませんし、何より訴訟を起こす時間的余裕がありません。

前々から触れているとおり、新型コロナウイルス感染症関係でもいずれ集団訴訟が始まると僕は思っています。

新型コロナウイルス感染症の場合は、今も収束したとは言えません。
ただし2021年の間に、被害状況がかなりはっきりしてきました。

今のところの大きな被害は以下の2つ。
  • 緊急事態宣言による営業自粛での経済的被害(主に個人飲食店)
  • 去年夏の感染者数ピーク時の人命被害
どちらも「行政による人災」という評価が固まっています。
さらに、去年秋から被害が落ち着いていることから、原告側としても準備する余力があったでしょう。

つまり、これまでの集団訴訟のスケジュール感を踏まえると、そろそろ訴えられてもおかしくない頃合いなのです。

これまでの新型コロナウイルス感染症対策は、ゼロベースでの「手探り」でした。
だからこそ大変だったと思います。

一方、集団訴訟対応に関しては、役所にはこれまでの知見が蓄積されています。
ゼロベースではありません。先人の知恵を借り、巨人の肩に乗れるわけです。
ある意味、楽になるのではと思います。

定年延長対策としての採用抑制がついに始まる?

去年も一度触れていますが、令和5年度(2023年度)から地方公務員の定年延長がスタートします。
2年に1回のペースで定年が伸びていき、最終的には65歳が定年になります。
2年に1回、定年退職者ゼロの年度が発生するわけです。

定年退職者が発生しない最初のタイミングは、令和5年度の最終日、令和6年3月31日です。
令和6年4月1日時点では、これまでだったら定年退職していた満60歳の職員が、引き続き正規職員として在籍していることになります。

4月1日には、新規採用職員が発生します。
これまでは「3月31日に退職する職員(圧倒的に定年退職者が多い)」と「4月1日に採用される職員」のバランスをとることで、総職員数を調整してきました。

しかし、令和6年4月1日は、定年退職者が発生しないため「3月31日に退職する職員」が激減します。
そのため、「4月1日に採用される職員」の数を減らさないと、総職員数が大幅に増えてしまいます。


定年退職者が発生しない年度だけ採用数を減らすと、職員の年齢構成が歪になってしまいます。
とはいえ採用数を減らさないと総職員数が増えてしまいます。
どこの自治体も「財政が厳しい」と連呼しているところであり、総職員数を増やす=人件費が増えるという方向性は到底採れないでしょう。 

全国の自治体の人事担当者は、今まさに頭を抱えているところだと思います。
 
ここからは完全に私見ですが、定年延長対策として、今年から採用数を減らす自治体がけっこうあるのではないかと思っています。


令和5年度(令和6年3月31日)の退職者数が100人だとすると、令和5年度の新規採用(令和6年4月1日から働き始める人)を100人減らさなければいけません。

ここで、令和4年度の新規採用(令和5年4月1日から働き始める人)の時点で50人減らしておけば、令和5年度の新規採用は50人減で済みます。

特定の年度で100人減らすよりは、2年度に分けて50人ずつ減らしたほうが、年齢構成は歪みません。


上記の例は極端ですが、「採用減を2カ年に分散させる」という発想自体は、それほど珍奇とは思えません。
しかもここ数年は地方公務員試験の倍率が右肩下がりですし、何より「採用数を減らす」のは世間からウケます。

定年延長に伴う新規採用減少、公務員志望の学生さんたちにとってはかなりインパクトの大きい話題だと思うのですが、予備校はじめ公務員試験界隈ではあまり盛り上がっていないのが不思議で仕方ありません。
僕の空想なのでしょうか……?


ちなみに僕は本日から仕事です……
今年もがっつり残業&休日出勤を強いられそうですが、時間を見つけてぼちぼち更新していきます。

(追記)
年末年始にインターネットを徘徊していたところ、某所にて本ブログが「公務員面接対策において害悪な情報源」として真っ先に例示されているのを発見して爆笑しています。

実際、ご指摘のとおりだと思います。自覚はあります。
むしろ「害悪」と評していただけるほどに弊ブログを読み込んでもらえて、感謝しています。 

面接の場で、このブログに書いてあるような被虐系ネガティブ発言をしようものなら、ドン引きされるでしょう。
面接対策という意味では、弊ブログの主張を論破するようなポジティブ展開を考えてみると、思考のトレーニングになるかもしれません。
そういう突破力のある職員を役所組織は求めているでしょうし、面接受けも良好でしょう。

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