キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

地方公務員の人生満足度アップを目指しています。地方公務員志望者向けの記事は、カテゴリ「公務員になるまで」にまとめています。

タグ:時事ネタ

今月は地方公務員関係の気になるニュースが多かったので、まとめて言及します。

本当にこんなに賃上げできるのか?(人事院勧告)



過去最大の引き上げ幅になるということで、とてもありがたいです。
ただ、賃上げの財源はどこの自治体も厳しいと思われ、人事当局はなんとか骨抜きにして人件費総額を抑えようと工夫するんじゃないかと思っています。

期末勤勉手当の支給月数はごまかせないとしても、昇給昇格ペースを遅らせたりすれば、月給引上げの影響は少しは誤魔化せるんじゃないかと。
そのため僕は、自分自身の収入増にはあまり関心がありません。期待もしていません。

それよりも、政治家やメディアが「公務員の賃上げ」をどのように取り扱うのか、気になっています。

日本を牛耳る高齢者世代にとって、公務員の賃上げほど無意味な施策はありません。
自分たちに恩恵が無いどころか、自分たちに割ける財源の縮小とほぼ同義だからです。まさに百害あって一利なし。
そのため、政治家やメディアは、「公務員の賃上げなど言語道断!」と一喝すれば、高齢者世代の人気を簡単に獲得できると思います。
支持者を一気に増やせるわけです。

一方で、「賃上げが必要」という風潮もかなり強いです。
いくら嫌われ者の公務員とはいえ、うかつに「賃上げ不要」と主張すれば、主に現役世代から叩かれかねません。

教職調整額の引上げも相まって、来年度は公務員人件費が爆増すると思われます。
そのため、例年以上にニュースバリューがあるので、いろんな人や組織が公務員人件費に言及してくるのではないでしょうか?
百家争鳴のごとく議論が盛り上がるのはないかと期待しています。

地域手当があるところはギスギスしてそう(他人事)

地域手当の率の見直しも興味深いです。
  • 北関東各県の12~16%エリアが結構下がってる
  • 一方で神奈川県が躍進していて、これまで0%だった自治体も12%の最低保証へ。藤沢市は12→16に上昇
  • 群馬県では、県庁所在地の前橋市3%に対し、ライバル高崎市が6%でダブルスコアをつけていたところ、今回の見直しでどちらも4%に揃う
特にこのあたりは、当事者の方々には悲喜こもごもありそうで、内心どのように思っているのか気になるところです。
田舎県庁職員的には、地域手当が出るだけで嫉妬してしまいます。


男性激減による女性割合増(国家一般職の合格人数)



国家一般職の合格者に占める女性の割合が過去最高を記録したとのこと。
ここ数年、地方公務員でも、合格者に占める女性割合が上昇してきており、「女性職員割合の増加」は公務職場に共通する現象なのだと思われます。

ただ、よく見ると、女性の合格者の頭数が増えているわけではなく、単に男性の合格者が減っているだけなんですよね……

記事では「女性にとって働きやすい職場環境作りが進んでいる影響」と分析されていますが、これはあくまでも「男性と比べて女性の減少幅がなぜ小さいか」を分析しているものです。
「公務の職場は、女性にとって働きやすい環境なんだ」と理解するのは非常に危険だと思います。

そもそもの大前提として、公務員試験の受験者は激減しています。
男女ともに敬遠されつつある中で、あくまでも相対的に、女性のほうが残っているというだけなんですよね……

辞めたくなる気持ちはよくわかる



自治労が調査した結果、能登半島地震で大きな被害を受けた5市町で、なんと6割の職員が発災後に「辞めたい」と思ったとのこと。
僕も対口支援で現地入りましたが、辞めたくなる気持ちはよくわかります……
セルフネグレクトのような投げやり状態になっている方が少なくありませんでした。

総務省「定員管理調査」によると、調査対象になった5市町の一般行政職員は1,049人(R5.4.1時点)。
ネットの反応を見ていると、「自治労の調査はサンプルがおかしいしバイアスかかりまくりだから意味が無い」という意見も多いようですが、このアンケートの回答者は211人なので、自治労実施のアンケートにしては結構回答率が高いのでは?と思います。

果たして県庁は大丈夫なのでしょうか……


ネットでバズってる地方公務員がカスハラを助長している?

職場内回覧物の定番、時事通信社の「地方行政」。
僕はざっと目次を見て、興味のある記事だけ読んでいるのですが、先日の号に大変興味深い記事がありました。
【2024年08月01日 第11312号】掲載の「新時代を生き抜く公務員講座 (23)カスタマーハラスメント防止対策」という記事です


なんとなんと、「自治体職員の中に『カスハラ応援団』が存在する」とのこと。
詳しくはぜひ本文を読んでいただきたいのですが、「自治体職員がネット上で、国や自分が属していない自治体を一方的に批判する行為が、カスハラを助長している」という見解で、「単に私憤を表明しているだけなのに『自分は公務員である』という優位性を主張することで注目を浴びる行為」という何とも痛快な評価まで下しています。

X上に、こういう方いますよね……
己の知識と経験に基づいて持論を開陳するのは、確かに快感なので、やりたくなる気持ちはよくわかります。
ただ、怒りや批判で終わるのではなく、もっと生産的な形に落とし込めばいいのにと思います。

もしかしたら、本人としては「私憤」ではなく「義憤」だとか、怒っているわけではなく「正論」を説いているだけなんだと思っているかもしれません。
ただ、この思考回路こそハードクレーマーあるあるであり、全国の地方公務員を日々苦しめています。
地方公務員を苦しめる存在に、当の地方公務員が堕してしまう……これこそまさに「悪堕ち」だと思います。

僕は絶対に「カスハラ応援団」には堕ちないよう、気を付けていきます。

東京オリパラ2020、ついに始まってしまいました。

僕は今回のオリパラに対し屈折した感情を抱いています。
うまくいってほしいと思いつつも、国民がのうのうと観戦してるのが許せないというか……
地方公務員であれば、同じようなことを考えている方が結構いるのでは?

スポーツエンターテイメントとしては間違いなく世界最高峰のイベントであり、一旦始まってしまえば、エンタメの魔力によってこんなモヤモヤした感情も吹き飛んでしまうのでしょう。
だからこそ今のうちに思いの丈を書き残しておきます。

国民感情とかいうUMA

オリパラが始まってしまえば、よほど筋金入りのアンチスポーツ勢を除き、「開催してよかった」と思うに決まっています。
これがエンタメの魔力です。

ただ実際のところ、開催前の時点では、国民はどう思っていたのでしょう?
メディアが報じるとおりであれば「開催反対が多数派」らしいのですが、本当にそうだったのか?

国民感情なんてものはそもそも調べようがないのですが、もしメディアが報じるとおりなのだとしたら、あまりにも浮気性すぎてどうなの?と思う。

一方、本当は「開催反対が多数」なんて事実が存在せず、メディアが火に油を注ぐためにでっち上げたのであれば、やり口がダーティで腹立たしい。

いずれにせよ釈然としないのです。

とにかく行政末端職員が被害を受ける

どんなトピックであれ国民感情が荒立つと、役所にクレームが飛んできます。
今回のオリパラも同様です。
僕自身、昨年のうちから、賛成派・反対派の両方からクレームを受けてきました。
マジでどうしようもないのに、ただ感情の捌け口として利用されてきました。
教育委員会の体育教育担当係あたりは苦情処理に年中追われていたと聞きます。

つまるところ、地方公務員が「国民感情の調整弁」のように使われたのが腹立たしいのです。

誰かが意図的に役所叩きへと誘導したのか、自然発生的に役所を叩く流れになったのか、実態はわかりません。
とにかく「事実関係や原因を確認する前に、イラッとしたらまずは身近な役所に対して怒りをぶつける」というムーブが当然のように罷り通り、国民の間に広く浸透してしまったという事実が、本当に厳しいのです。

悪評はずーーーっと残る

エンタメの魔力の効果がどれだけ凄まじくとも、今回のオリパラに対し百点満点評価を下せる人はあまりいないと思います。
終了した後に、加点要素と減点要素の線引きが行われるでしょう。

この境界線をどこで引くのか、これは高度に政治的な問題だと思います。

少なくともアスリート達は確実に加点要素です。
演出を作ったクリエイター達も、加点要素側に入るでしょう。
競技会場などのハード面を整備した方々、ボランティアとして参加したスタッフも加点要素でしょう。

一方、事務方は、僕は減点要素扱いされるのではないかと思います。
事務方自体は、どちらかと言えば国民に負担を求める立場であり、自ら感動的なコンテンツを生成しているわけではないからです。

最終的には
  • 役所用語でいう「サブ」=コンテンツ制作に携わった方々は加点要素
  • 役所用語でいう「ロジ」=開催にあたっての段取りに携わった方々(事務方)は減点要素
言い換えると
  • 無能事務方のグダグダっぷりを挽回する勢いでアスリート達が頑張ってくれた

こういう整理で落ち着きそうな気がしているのです。

国民にとって、オリパラの事務方=行政です。
この整理はつまるところ、「今回のオリパラによって行政の無能っぷりが露呈した」
という理解にほかなりません。

『失敗の本質』あたりの本と絡めて、「今回のオリパラ運営も、太平洋戦争と同様、未だ兵糧軽視の玉砕戦を〜」みたいなことを論じる方が絶対出てくると思います。予言します。


「行政は無能」という理解は、オリパラの感動とともに、国民の心に深く根付くでしょう。
そしてこれから当面の間、行政不信・公務員蔑視の燃料として燃え続けると思います。
公務員を見下す風潮にお墨付きが与えられたと言っても過言ではないでしょう。

「どれだけ頑張っても戦犯扱い」、これが事務方の宿命なのかと思うとやるせなくなります。

現役地方公務員とそれ以外の方々で評価が180度変わりそうなニュースが出てきました。



東京都では
  • 特定の人が頻繁に請求を繰り返したり、請求する対象が十分に特定されないため開示を検討する対象の文書が大量になったりして、業務に著しい支障が出ている
  • 制度の運用を見直し開示請求を受け付けない基準を設けることを検討している
とのこと。

もしこのような運用が実装されたら、地方公務員の多分80%超がガッツポーズをとると思います。
上記のような状況は、東京都に限った話ではありません。
僕の勤務先県庁でも常態化していますし、しかも特定の部署に限った話ではなくほぼ全部署が悩まされています。

僕自身もこれまで幾度となく手を煩わされてきました。
とある年度なんか、特定の1人からの情報公開請求だけで250時間くらい残業しました。
(今使っているMacBookProは、その時の残業代で買いました。なのではっきり覚えています)

一方、地方公務員以外の方からすれば、サービスの劣化かつ行政の不透明化、ひいては知る権利の侵害に他ならず、「けしからん」と思うでしょう。
(都議選を控えたこの時期に、こんな住民受けが悪そうなニュースが報じられるあたり、政治的な匂いを感じます)


ニュースの文面だと、あたかも「公開請求の件数が多いせいで業務に支障が出ている」ように書かれていますが、実際は異なります。
混雑緩和のために入場制限を設けるかのごとく、「件数が多いから規制します」という理屈であれば、僕も疑問に思います。

情報公開の現場を悩ませているのは、「この制度を使って行政活動を妨害したい」「情報公開のプロセスをやらせることでミスさせたい」という悪意ある方々です。
こういう方々が暴れているせいで、「情報公開制度を使って情報を入手したい人」、つまり本来のユーザーが割を食っています。

「さすが独身異常男性、狭量すぎだろ(笑)」と思われるかもしれませんが、僕がこれまで経験したどの部署でも、情報公開制度を使った攻撃を食らってきました。

以下、自分の経験談を紹介していきます。
現役の地方公務員であれば、身に覚えのある話ばかりで、目新しさは皆無だと思います。

事務担当者側から見た公文書開示のフロー(前提)

情報公開制度は、だいたい以下のような流れで進んでいきます。

  1. 請求内容の確認
  2. 対象文書を探す
  3. 開示できるか否かの判断
  4. 非開示情報をマスキング(黒塗り)
  5. 開示方法の調整
  6. 開示の実施
基本的には無料です。お金がかかるのは開示された資料をコピーする際くらいです。
スマートフォンカメラで撮影すれば完全無料で済みます。

単純作業のように思っている方もいるかもしれませんが、実際は相当のコミュニケーション能力が求められます。
特に「請求内容の確認」「開示方法の調整」あたりは、頻繁に揉めます。


公開請求=Look at me.

情報公開制度は、開示請求書を提出するというアクションを起こすことで、役所に対して『公文書開示』というサービス提供を義務付けることを可能にする制度です。

あえて性格の悪い言い方をすると、紙切れ一枚で役所に法的義務を負わせ職員を拘束することが可能です。
たとえ理不尽な内容であっても、条例上のルールを守っていれば、役所側は拒否できません。
「条例ギリギリ」の理不尽ラインを攻めることで、役所に負担をかけられるのです

先述した1〜6の各プロセスで、具体的にどういうふうに役所に負担をかけられるのか、見ていきましょう。

1.請求内容の確認……あえてぼかす

情報公開制度を利用する方は、基本的に公務員以外の方です。
そもそも役所がどんな情報を持っているのか知りません。
そのため、請求内容は、「〇〇に関する文書を開示してください」みたいな抽象的なものになりがちです。

こういう請求があった場合、役所側は請求者とコミュニケーションをとり、請求内容を絞り込まなければいけません。
情報公開制度は条例に基づくサービスであり、このコミュニケーションも条例に基づくもので、役所側は法的義務を負っています。
そのため、下手(したて)に出るしかありません。

繰り返しになりますが、役所側は「請求内容を特定する」という法的義務があります。
そのため、どれだけ請求者から罵倒されようが詰られようが粘り強くコミュニケーションを続けなければいけませんし、直接面会を要求されれば応じなければいけません。

さらに、情報公開請求のフローに乗せれば、メールや電話ならスルーされるレベルの荒唐無稽な中身であっても、行政側は応じざるを得ません。


例えば
  • 「ふざけるな」など単なる暴言
  • 「地球外生命体が攻めてきた場合の避難フロー」みたいな過激設定・陰謀論

であっても、行政側は真剣に応じなければいけません。

つまり、「請求書を提出する」というお手軽かつ無料のアクションだけで、下手弱腰な職員を好きなだけ拘束できるという美味しいシチュエーションを確立できるのです。



2.対象文書を探す……悪魔の証明を強制できる

対象文書の量が多くても、正直それほど負担ではありません。
肉体的には大変ですが、あくまで作業です。

本当に大変なのは、存在するのかどうかはっきりわからない文書です。
書庫をひっくり返して探すしかありません。

僕の経験上、悩ましいのは以下のような文書です。
  • 大昔の文書(廃棄した可能性が高いもの)
  • 国から移管された業務の文書(自治体に引き継がれているのか不明瞭)

「存在しない」ことの証明は、俗にいう「悪魔の証明」であり、どれだけ手間と時間をつぎ込もうが原理的には不可能です。
しかし、情報公開制度を使えば、役所に対して「悪魔の証明」を強制できるのです。
こういう案件が降ってくると、面白いくらいに残業時間が嵩んでいきます。

3.開示できるか否かの検討……グレーゾーンを攻めて「運用の齟齬」を狙う

情報公開制度のルールでは、「開示できない情報」の基準も定められています。
代表的なものが個人情報(特定の個人を識別できる情報)です。
あとは企業の営利的内部情報であったり、役所内部の機密情報などもあります。

各自治体の内規などで、これら「開示できない情報」の具体的な線引きがなされていると思いますが、情報のあり方は非常に多様で、全ての事例を網羅的に線引きするのは不可能です。
そのため、部署ごとに個別の判断が下されることもあります。

つまり、ある情報についてA部署では普通に公開されたのにB部署では非開示情報扱いで黒塗り処理された……という「運用の不統一」が生じうるのです。

開示できるか否かのグレーゾーン案件が生じた場合、とにかく徹底的に前例を調べなければいけません。
庁内初のケースであれば、別自治体にも問い合わせます。
これも時間がかかるんですよね。

もし「運用の不統一」に感づかれてしまったら、格好の燃料になってしまいます。


4.非開示情報をマスキング(黒塗り)……物量で攻めて「ケアレスミス」を狙う

全ページ真っ黒に塗りつぶせるなら楽なのですが、1ページの中に個人情報がちょろちょろ出てくるような文書の場合、個人情報部分だけを黒塗りしなければいけません。

この作業がめちゃくちゃ大変です。
これまでの県庁職員生活で、僕がいただいた残業代の少なくとも3割は、黒塗りタイム分だと思います。

悪意ある請求者達もこの苦労は十分ご存知で、だからこそ黒塗り作業が発生しやすそうな文書を狙い撃ちしてきます。
黒塗りが多ければ多いほど、役所に負担をかけられるのです。

もし黒塗り作業にミスがあれば、請求者側からすれば「棚からぼた餅」です。

黒塗りが漏れている箇所があったら、明らかな行政の失態です。
管理職を呼びつけて謝罪させることができます。

黒塗り不要な箇所を間違って黒塗りしてしまった場合も、「情報の隠蔽だ」「きっと意図があるに違いない」と言って燃やせます。


5.開示方法の調整……ここからが本番

黒塗り作業を終えて開示準備が整ったら、再び請求者とのコミュニケーションが始まります。
ここからの流れは、「単に情報が欲しい人」相手と「役所と戦いたい人」相手とで大きく異なります。

前者の方々が求めているのは「文書そのもの」です。
そのため、「開示の準備ができました」と一報を入れれば終了です。

一方、後者の方々の目的は文書ではありません。
公文書開示のプロセスを通して職員を好き放題に拘束することです。
そのためほぼ確実に、情報開示にあたり、職員の同席&口頭説明を求めます。
むしろここからが本番です。

個人的には一番緊張するプロセスです。
怒鳴られながら宣戦布告されることもあれば、やたら嬉しそうな口ぶりでプレッシャーをかけてきたり、「マスコミと議員を連れていくから最低限課長出してね」と一方的に通告されたり……


6.開示の実施……毎回ドラマ

文書が目的の方の場合、基本的に開示には立ち会いません。
質問がある場合のみ面会して対応します。

一方、役所と戦いたい人の場合、相手側の要求に応じて立会わざるを得ません。

開示当日は何が起こるかわかりません。
いまだトラウマな案件もあれば、笑い話もあります。
何にせよ時間も体力も消耗します。

大体の案件に共通するのは、せっかく用意した文書をほとんど見てもらえないことです。
請求者の目的は「職員の拘束」であり、文書はどうでもいいのです。

文書を読み込まれたら別のトラブルに飛び火しかねないので、読まれないほうが安心ではあるのですが、せっかくの努力が無駄になるのはやるせないものです。



ここまで約3,500字にわたって書いてきました。
このブログの記事はだいたい2,000字前後なので、かなりの長編になってしまいました。

しかし、ほとんどの地方公務員にとって、目新しい内容は無かったと思います。
それくらいありふれた事案です。

東京都には是非頑張ってもらって、全国に広がることを強く期待します。
 

公務員・教員界隈で話題になっている「文部科学省の学校の情報環境整備に関する説明会」の動画を見ました。



学校のオンライン教育を充実させるため国でがっつり補正予算を組んでいるから自治体も付いてきてねという趣旨の動画で、いろいろな補助金メニューが紹介されているのですが、


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このスライド(だいたい22分〜28分あたりで登場)のように役所らしからぬ熱い説明が展開されます。


個人的にツボったスライド

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めっちゃわかる。特に回線の遅さは深刻と聞きます。

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やっぱ世界はGAFAMなんだねと痛感しました。
日本メーカー……

とはいえ実現性は薄いと思わざるを得ない

文部科学省の熱意に本物だと思いますし、教育環境を充実しなければいけないのも事実だと思います。
ただ、田舎役場職員の感覚では、実現はかなり難しいと感じてしまいます。

まず、住民の理解を得られるとは思えません。
 
教育への投資によってメリットを得られるのは主に若い世代です。
しかし田舎(特に有力者)はご高齢の方が多く、たとえオンライン学習環境が整ったところで恩恵は受けられません。
ありとあらゆる言い分を拵えて無駄金扱いして、別の用途に振り向けようとします。
 
環境整備がこれまで進んでいない大きな理由がまさにここ、自分に直接的なメリットが無いために教育への投資を無駄金扱いする層がものすごく分厚いためだと思います。


実際に運用する段階では、家庭間のITリテラシー格差が大きなハードルになると思います。
ボトム層は本当に機器の使い方を知りません。
 
例えばスマートフォンだと、電話・LINE・カメラ・ネットくらいの使い方しかできず、自らアプリをインストールすることすらできない人も実際います。
(LINEは販売店にインストールしてもらう)

家庭学習には親御さんのサポートが不可欠です。
しかしボトム層家庭だと、サポートは一切期待できません。
学校である程度端末の使い方を教えてもらった後でないと、そもそも使い方がわからず何もできないでしょう。

教育力のある家庭では、既に家庭にオンライン学習を取り入れていることでしょう。
そのため、行政による整備の恩恵も、さほど大きくないと思われます。
 
一方、自らオンライン学習環境を整備するだけの意欲・余裕のない家庭は、大いに恩恵を受けられることになります。 
しかしこういう層の多くは、IT機器に疎く使い方に不慣れです。
恩恵を受けるだけのリテラシーが追いついていないのです。
機器と教材だけ準備して「後は家で頑張って」というスタンスでは、格差がより広がるだけなのではと思います。

何より僕自身、オンライン学習のメリットがよくわかっていません。
そのせいかあんまり推したくなりません。冷暖房整備の方が先じゃないかと思ってしまいます。
自ら体験してみたら理解できるんでしょうか?
やはりiPadProを買うしかないのか……?

先月発表された月次の労働力調査で、雇用環境が悪化していることが定量的に示されてしまいました。



今回の経済の冷え込み具合を、2008年のリーマンショック時と比較する動きも出てきています。
実際発生している影響は、これから続々と明らかになっていくでしょう。

個人的な勉強用に、リーマンショック直前(2007年)と、コロナショック直前(2019年)のマクロな環境を比較してみました。
参考に掲載しておきます。

雇用状況の比較 →非正規雇用者が増えてる分、失職人も増える?

非正規雇用
リーマンショック前と比べて非正規雇用者が増えています。実数も割合も増えています。
元データには男女別のデータもあり、そちらによると男女ともに増えています。
増加率で見れば、男性のほうが増えています。
最初は女性のパートタイマーが増えたのかと思いましたが、そうではなく、非正規雇用者自体が増えているのです。

正規雇用者よりも非正規雇用者のほうが解雇しやすいので、リーマンショック時よりも解雇しやすい人が多いことになります。
つまり、今回の場合、リーマンショック時よりも失職者が増える可能性が大いにあり得ます。

直感的にもそう思われるところですが、定量的に見ても妥当な推論と言えるでしょう。

世帯数の比較 →一人世帯が大幅増、寄る辺のない人が増える?

世帯数

国勢調査データ(5年に一度)のため、2007年と2019年のデータが無かったので、近い年次のデータを参照します。

時々報道されているとおり、一人世帯が増えています。
このことから、自分が失職しても、支えてくれる人が身近にいない可能性が高い方が増えていると推測されます。

頼れる人がいないとなると、役所に駆け込むという選択肢が現実味を帯びてきます。
役所側としては、リーマンショック時よりも役所に駆け込んでくる方が増えてくる可能性、つまり窓口・電話が混み合う可能性が想定する必要があるでしょう。

貯蓄額の比較 →あまり変わらないが……

金融資産
こちらも度々報道されているとおり、生活防衛資金を確保できていない世帯が多数存在しています。
3割弱の方が自転車操業で生活していることは重要な事実です。

家賃の比較 →地域によってまちまち

賃料ー2

生活する上での固定費として大きなウェイトを占める家賃は、地域によって様々なようです。
全国的に上昇しているだろうと予想していたので、意外な結果でした。
西日本が上昇しているらしいですが、実感が湧きません。

北陸三県の賃料が軒並み落ちているのにも違和感があります。
去年マンション管理士の勉強をしていたとき、富山金沢に高級マンションが増えているとか、賃料が上昇傾向という話題を見た記憶があるので……

僕の統計の見方がおかしいかもしれません。

税制の比較 →負担が増えている&感情的面での悪影響

定量的なデータではありませんが、制度面にも触れておきます。
  • 復興特別税の導入
  • 自動車税の見直し(大体のケースで負担が増える)
  • 消費税率の引き上げ
パッと思いつくだけでも、リーマンショック前と比べてこれだけ税負担が増えています。

住民対応の観点では、金額的な負担よりも「ここ数年で税負担が増えた」という事実の方が重要だと思います。

住民の感覚では、税負担が増えたのは役所のせいであり、公務員のせいです。
つまり、税負担が増えたという事実は、役所・公務員への憎悪の原因になり得ます。
何らかのきっかけで役所への憎悪を爆発させる際にはガソリンのように機能するのです。

特に消費税の増税は、日々の生活にも直結することもあり、悪感情への影響も大きいと思われます。
日頃から役所も公務員も不愉快に思われているという認識を改めて持つ必要を感じます。

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