キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ

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タグ:防災

県庁職員を名乗る以上、国家公務員や市役所には無い県庁職員だけの要素についても触れていきたいところ。

今回は県庁職員として働く醍醐味だと僕が思っている「都道府県担当者会議」(以下、担当者会議)について紹介します。

担当者会議とは?誰でも参加できる?

 
担当者会議とは、ある業務の各都道府県の実務担当者が一堂に会し、各自治体の状況や法令の改正状況といった現状を共有する会議です。

許認可業務や福祉制度のような、法令に基づいて全国一律の運用がなされている業務であれば、だいたい年一回くらいのペースで開催されているでしょう。

一方、観光や産業振興のような自治体ごとに好き放題やっている業務では、担当者会議はありません。

開催形態は、大きく分けて二通りあります。
一つは、国が主催する場合。必然的に東京開催になります。
もう一つは、各都道府県が持ち回りで開催する場合。
爆アドなのは後者です。

どちらにしても、会議の後に懇親会が開かれます。
結構な人数が集まるため、だいたいホテルを借りて開催され、20:00頃にお開きになります。

爆アドの理由


持ち回り式の担当者会議は、縁遠い地方都市に出張できる数少ない機会です。

県庁職員の出張先は、基本的に
  • 近隣自治体
  • 地域の中心都市(地方整備局や経済産業局があるところ)
  • 三大都市圏
に限られます。
そのほかの地域には、用事が無いため出張できません。出張先はかなり偏っています。
 
しかし、持ち回り式の担当者会議の場合は、地域に関係なく主催県に出張することになります。
「担当者会議でもない限り行かないよな」という言い回しが役所内に存在するくらい、レアな地域に出張できるのです。

加えて、担当者会議の日時は、なぜか金曜日の午後開催が多いです。
会議が終わっても、役所に戻る必要はありません。戻る頃には定時過ぎています。
翌日は土曜日、お休みです。
こうなったら、泊まって観光していくしかないでしょう。

つまり、担当者会議は、一部公費で見知らぬ土地を観光できるチャンスなのです。

僕が過去に出席した某担当者会議では、配布資料の中に観光マップがちゃっかり入っていました。清々しいですね。


県庁職員なら誰でも行けるの?


担当者会議に出席できるポスト(担当業務)は、県庁職員の中でも限られます
感覚的には、20ポストに1つくらいではないかと思います。
少なくとも、本庁勤務でないと巡り会えません。

さらに、面白い出張先に恵まれるかどうかも、完全に運です。
下手をすると、47年に一度の主催側を引き当ててしまうかもしれません。


それでも、当たりを引いたときの爆アドっぷりは、県庁職員を選んで良かったと心からしみじみ思えるほどです。
僕は過去に山形開催の担当者会議と巡り会えました。控えめに言っても最高でしたね。
銀山温泉、もう一回行きたいなー。 
 

担当者会議の真の目的?

観光系の部署に異動になってから、担当者会議の主催側の思惑にようやく気がつきました。
 
自治体の下っ端メインの会議とはいえ、47都道府県、人数にすれば少なくとも50人、しかも宿泊を伴う遠方からの出席者もいるとなれば、開催地としてはちょっとしたコンベンションです。

最近はどこの自治体でもコンベンション誘致に力を入れています。
ただ、誘致する以前に、宿泊業界の能力を底上げする必要があります。
キャパ以上のコンベンションを誘致してしまい、対応に失敗してしまうと、二度と使ってもらえなくなるからです。

担当者会議は、コンベンションとしては小規模で、しかも自治体職員相手なので失敗しても傷が浅くて済みます。
つまり、コンベンション対応の練習相手にピッタリなのです。


このたびの地震で被害に遭われた皆様、心よりお見舞い申し上げます。
梅雨時なので土砂災害につながるかもしれないのが気がかりです。

災害のニュースを見るたびに、元防災担当として言及したくなるのですが、
業務上の守秘義務も多々あるので、一言だけ「お願い」の形で申し上げます。


防災部署への不要不急の電話は控えてほしい

大きな災害が発生すると、全国各地から電話がかかってきます。
「べき論」や陰謀論、激励の電話などなど、僕もいろいろ対応しました。

電話したくなる気持ちは理解できるのですが、それを受け入れるだけの人的余力も、電話回線の余裕もありません。

現在、現時点では人命には直結しないけど二次災害になりかねない項目を調査していることと思います。
ため池の点検とか……

こういった調査は、メールでやりとりする場合もあれば、調査現場から電話で報告してもらう場合もあります。
全国からの電話を受けていると、回線がパンクしてしまい、こういった調査報告を受けられないのです。

調査結果を至急回収できなかったせいで、二次災害につながることも十分考えられます。
トータルの被害を減らしたいと思うなら、電話は自粛してください。お願いします。

特に、これから週末にかけて、「そっちに旅行に行くんだけど安全ですか?」という電話が増えていくと思います。
もしこのブログを見ている人で、関西方面に旅行予定がある方がいたら、防災部署ではなく、それぞれの目的地に個別に聞いてください。行政では回答できません。

地方公務員の行政職は、いろいろな部署を経験します。
実際、自分も防災→総務(法規系)→観光と異動してきて、それぞれの部署の考え方の違いや、必要とされる知識やスキルの違いに驚きました。

過去の配属部署で学んだ内容が次に生きることは、あまりありません。
防災担当の時に必死に学んだ「暴風雨の中でもロープを川の対岸まで投げ届ける方法」なんかは、異動後は全く使いません。飲み会の話題としては大活躍の鉄板ネタなのですが……業務には役立っていません。

とはいえ、同じ役所内で働いていく以上、どの部署でも共通して必要となる知識・スキルも存在します。
その一つが「地名」、特に大字(おおあざ)知識です。

地名そのものは、インターネット検索すれば一瞬でわかります。
ただ、地名とその地域の大雑把な特徴を暗記していると、検索する手間が省けて業務効率が上がるだけでなく、対外的なコミュニケーションがうまく回ることが多々あります。

地名知識がどう活きるか:防災部局の場合


地方公務員は、自治体という空間を管理する仕事としての側面もあります。働くうえで、地名から離れることはできません。どこの部署でも、毎日地名が飛び交っています。
(物品調達やシステム担当だと、聞こえてこないのかも……)

僕の場合は、防災部署にいたころに、徹底的に叩き込まれました。
防災担当部署には、住民から様々な通報が寄せられます。
「○○町の歩道の手すりが危ない」「○○町▲丁目にハチの巣がある」……等々、地名+症状のセットが連日届きます。これらをずっと聞いているうちに、自然と地名知識が身についていきました。

地名知識がどう活きるか:観光部局の場合


自分の居住地や出身地を披露したとき、相手から特別な反応があると、不意に嬉しくなってしまうものです。
「ああ○○町ですか、水曜日しかやってないパン屋さんがあるところですよね」みたいに、間髪入れずに知っている風に返答されたら、ついつい相手に好印象を持ってしまうこと、経験があるのではないでしょうか?

仕事をしていても、同様の現象がよく発生します。
特に、観光系の仕事で外部団体や地域住民に接触するときには、効果抜群です。

観光業に関係している方は、たいてい地域に強い愛着を持っています。初回の顔合わせで少しマニアックな話題をこちらから切り出せば、単に仕事の必要に駆られてではなく、相手方に少なからず関心があることを示せ、ゆくゆくの良い関係形成につながっていると感じています。


どうして大字単位なのか?


どういう単位で地域を区切るのがベストかは、自治体によって異なるでしょうが、地方の県庁であれば大字単位が一番話題に上ると思います。市町村役場の場合は、もっと細かいかもしれません。
東京だと駅単位で区分するのが一般的ですが、地方だと広域的すぎます。

僕が大字を重視する理由は、単に経験則です。
防災部局に限らず、住民からの電話では、たいてい市町村名は省略され、いきなり大字を名乗られます。
ここで市町村名を尋ねると、「
なんでわからないんだ」と怒られることも多々あります。

この経験から、同じ県内の人間に対しては大字でコミュニケーションをとるのが多数派なのだろうと、僕は考えています。うちの県だけかもしれませんが……


地方公務員として働いていると、聞き耳を立てていなくても、ディープなローカル情報が入ってきます。
今はただの雑木林になっている場所が、かつて広大な養豚場だったとか、明治期に資産家が道楽で造った公園だったとか……

いろんなジャンルのローカル豆知識を収集できるという意味では、部局をまたがる異動というのも楽しいのかもしれません。

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